性的姿態等撮影未遂の疑いで男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
事例
会社員のAさんは、仕事が休みの日にプライベートで札幌市内の商業施設に買い物に来ていました。
商業施設内を歩いていたところ、制服を来た女子高校生がエレベーターに乗りかけているところを見ました。
魔が差したAさんは、上りエレベーターで女子高校生の後ろに立ってスマートフォンのカメラ機能でスカート内を盗撮しました。
エレベーターの横の店の従業員がAさんの盗撮行為に気付き、Aさんと女子高校生を呼び止めて、警備員を呼ぶなどの対応をしました。
盗撮行為を否認していたAさんでしたが、警察からスマートフォン内のデータを見せるように言われ観念し、盗撮したことを打ち明けました。
警察がAさんのスマートフォン内の動画を確認したところ画角が悪く、スカート内の下着は映っていなかったため、Aさんは性的姿態等撮影未遂の疑いで警察に現行犯逮捕されてしまいました。
性的姿態等撮影罪について
まず、性的姿態等撮影罪は令和5年7月13日に施行された「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の第2条に規定されています。
性的姿態等撮影罪が成立する行為としては以下の場合になります。
①正当な理由がないのに、ひそかに、「性的姿態等」のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたものを撮影する行為
②不同意性交等に当たる行為その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成、表明又は全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
③行為の性質が性的なものではないと誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて人の対象性的姿態等を撮影する行為
④正当な理由がないのに、16歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
また、これらの未遂に関しても処罰されます。
性的姿態等撮影罪の未遂とは
未遂とは「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった」(刑法43条本文)場合を言います。
例としては、スカート内を撮影しようとスマートフォンを差し入れたがスカート内の写真が取れていなかった場合などが考えられるでしょう。
未遂は犯罪が未完成の場合であるため、これを罰すると定めた個別の規定がある場合に限り処罰されます(刑法44条本文)。
性的姿態等撮影罪については、これを規定する2条2項において、「前項の罪の未遂は、罰する」とされ個別の規定があるため未遂行為も処罰の対象となります。
未遂犯の刑については、既遂の場合の法定刑を「減軽することができる」と定められており任意的減軽事由とはなりますが必ずしも刑が減軽されるわけではありません。
また、未遂犯処罰規定がある以上は未遂行為も犯罪に当たるため逮捕されるリスクがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は性的姿態等撮影未遂罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族が性的姿態等撮影罪の疑いで逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。