保護観察

家庭裁判所は、少年審判を開始した事件につき、保護観察所の保護観察に付することを決定することがあります。

保護観察

保護観察は、少年を施設に収容することなく、社会の中で生活させながら、保護観察所の行う指導監督及び補導援助という社会内処遇によって、少年の改善更生を図ろうとする保護処分です。

保護観察の期間

保護観察処分となった少年に対する保護観察の期間は、少年が20歳に達するまで、その期間が2年に満たない場合には2年、となります。

18歳・19歳の特定少年の場合、6か月か2年のどちらかとなります。

保護観察の実施

保護観察は、少年の改善更生を図ることを目的として、指導監督並びに補導援護を行うことにより実施されます。

指導監督の方法は、

  1. 面接その他の適当な方法により少年と接触を保ち、その行状を把握すること
  2. 少年が遵守事項を遵守し、並びに生活行動指針に即して生活し、及び行動するよう、必要な指示その他の措置をとること
  3. 特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること

によって行います。

補導援護の方法は、少年が自立した生活を営むことができるようにするため、その自助の責任を踏まえつつ、

  1. 適切な住居その他の宿泊場所を得ること及び当該宿泊場所に帰住することを助けること
  2. 医療及び療養を受けることを助けること
  3. 職業を補導し、及び就職を助けること
  4. 教養訓練の手段を得ることを助けること
  5. 生活環境を改善し、及び調整すること
  6. 社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと
  7. その他、少年が健全な社会生活を営むために必要な助言その他の措置をとること

によって行います。

遵守事項

遵守事項には一般遵守事項と特別遵守事項があります。

一般遵守事項としては、

  1. 再び犯罪をすることがないよう、又は非行をなくすよう健全な生活態度を保持すること
  2. 保護観察官及び保護司による指導監督を誠実に受けること
  3. 保護観察に付されたときは、速やかに、住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長にその届出をすること

などです。

特別遵守事項が、少年の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において、具体的に定められることがあります。

  1. 犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度の飲酒その他の犯罪又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと
  2. 労働に従事すること、通学することその他の再び犯罪をすることがなく又は非行のない健全な生活態度を保持するために必要と認められる特定の行動を実行し、又は継続すること
  3. 七日未満の旅行、離職、身分関係の異動その他の指導監督を行うため事前に把握しておくことが特に重要と認められる生活上又は身分上の特定の事項について、緊急の場合を除き、あらかじめ、保護観察官又は保護司に申告すること
  4. 医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を改善するための体系化された手順による処遇として法務大臣が定めるものを受けること
  5. 法務大臣が指定する施設、少年を監護すべき者の居宅その他の改善更生のために適当と認められる特定の場所であって、宿泊の用に供されるものに一定の期間宿泊して指導監督を受けること
  6. 善良な社会の一員としての意識の涵養及び規範意識の向上に資する地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動を一定の時間行うこと
  7. その他指導監督を行うため特に必要な事項

の中で定められます。

生活行動指針

保護観察所の長は、少年について、保護観察における指導監督を適切に行うため必要があると認めるときは、少年の改善更生に資する生活行動指針を定めることができます。

少年は、生活行動指針が定められたときは、これに即して生活し、及び行動するよう努めなければなりません。

保護者に対する措置

保護観察所の長は、必要があると認めるときは、少年の保護者に対し、その少年の監護に関する責任を自覚させ、その改善更生に資するため、指導、助言その他の適当な措置をとることができます。

被害者等の心情等の伝達

保護観察所の長は、少年について、被害者等から、被害に関する心情、被害者等の置かれている状況又は少年の生活若しくは行動に関する意見の心情等の伝達の申出があったときは、当該心情等を聴取し、少年に伝達します。

ただし、その伝達をすることが少年の改善更生を妨げるおそれがあり、又は当該被害に係る事件の性質、保護観察の実施状況その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、伝達されません。

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