再審

再審の請求

再審の請求は、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のためにすることができます。検察官による控訴や上告のように、刑を言い渡された者の不利益に変更することはありません(刑事訴訟法452条)。

再審の請求ができる場合として、

  1. 原判決の証拠となった証拠書類又は証拠物が確定判決により偽造又は変造であったことが証明されたとき(刑事訴訟法435条1号)、
  2. 原判決の証拠となった証言、鑑定、通訳又は翻訳が確定判決により虚偽であったことが証明されたとき(2号)、
  3. 有罪の言渡を受けた者を誣告した罪(虚偽告訴の罪)が確定判決により証明されたとき。但し、虚偽告訴の罪により有罪の言渡を受けたときに限ります(3号)
  4. 原判決の証拠となった裁判が確定裁判により変更されたとき(4号)、
  5. 特許権、実用新案権、意匠権又は商標権を害した罪により有罪の言渡をした事件について、その権利の無効の審決が確定したとき、又は無効の判決があつたとき(5号)、
  6. 有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき(6号)、
  7. 原判決に関与した裁判官、原判決の証拠となった証拠書類の作成に関与した裁判官又は原判決の証拠となった書面を作成し若しくは供述をした検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が被告事件について職務に関する罪を犯したことが確定判決により証明されたとき。

但し、原判決をする前に裁判官、検察官、検察事務官又は司法警察職員に対して公訴の提起があった場合には、原判決をした裁判所がその事実を知らなかったときに限ります(7号)。

また、有罪の言い渡しをした確定判決そのものでなく、控訴又は上告を棄却した確定判決に対して再審請求することもできます(刑事訴訟法436条1項)。

ただし、上記の①②(刑事訴訟法436条1項1号)の他、原判決又はその証拠となった証拠書類の作成に関与した裁判官について⑦に規定する事由があった場合(刑事訴訟法436条1項2号)に限られます。

また、下級審の確定判決について再審決定があった後は、上級審の確定判決に対して再審請求をすることはできません(刑事訴訟法436条2項3項)。下級審に再審の決定があったときは上級審の再審請求は棄却されます(刑事訴訟法449条1項2項)。

 

再審請求権者

再審の請求は、

  1. 検察官
  2. 有罪の言渡を受けた者
  3. 有罪の言渡を受けた者の法定代理人及び保佐人
  4. 有罪の言渡を受けた者が死亡し、又は心神喪失の状態に在る場合には、その配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹、

がすることができます(刑事訴訟法439条1項各号)。ただ、刑事訴訟法435条7号又は436条1項2号の事由による再審の請求は、有罪の言渡を受けた者がその罪を犯させた場合には、検察官でなければできません。

再審の請求は刑の執行が終わったり、刑の執行を受けなくなった時でもすることができます(刑事訴訟法441条)。ただ、再審の請求自体は刑の執行を停止する効力を有しません(刑事訴訟法442条)ので、再審請求中であっても刑を執行されるおそれがあります。

 

再審の決定

再審の請求が法令上の方式に違反し又は請求権の消滅後になされたものであるときは決定で棄却され(刑事訴訟法446条)、再審の請求がりゆうがないときは、判決で棄却されます(刑事訴訟法447条1項)。

再審の請求が理由があるときは再審開始の決定がされます(刑事訴訟法448条1項)。この時決定で刑の執行を停止することができます(刑事訴訟法448条2項)。

控訴は地方裁判所又は簡易裁判所のした一審判決に対して行うことができます(刑事訴訟法372条)。その提起期間は判決宣告の翌日から14日です(刑事訴訟法373条)。控訴の申し立ては2審の裁判所ではなく、第一審の裁判所です(刑事訴訟法374条)。

再審は刑の言い渡しを受けた者本人が亡くなっても審判がされます(刑事訴訟法451条)。

 

無罪判決の公示

再審に置いて無罪の言い渡しがあったときは、官報及び新聞紙に掲載してその判決は公示され(刑事訴訟法453条)、有罪の言渡を受けた者の名誉が回復されます。

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