取調べの受け方

被疑者の出頭要求・取調べ

捜査については、その目的を達成するために必要な取り調べをすることができます(刑事訴訟法197条1項本文)。ただし、強制の処分は、逮捕や捜索などのように法律に特別の定めがなければすることはできません(刑事訴訟法197条1項但書)。

そして、検察官、検察事務官、警察官(司法警察職員)は被疑者の出頭を求めて、取調べをすることができます(刑事訴訟法198条1項本文)。この取調べは強制処分ではなく、任意処分とされています。

 

出頭拒否・退去

被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができると定められています(刑事訴訟法198条1項但書)。

もっとも、何度も出頭を拒むと逃亡のおそれありと判断されて逮捕されてしまうおそれがあります。所用で都合がつかないときはその旨伝えて日程を変えてもらうなどした方が良いでしょう。何の連絡もなく出頭しないのは危険です。また、退去しようにも、実際は説得のためにとどめられたり、出入り口に警察官を置かれたりと結局出ることができないようになっています。

 

黙秘権

憲法では、何人も、自己に不利益な供述を強要されないと定められています(日本国憲法38条1項)。これを受けて、刑事訴訟法でも、捜査機関は、取調べに際しては、被疑者に対して、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要が無い旨を告げなければならないと定められています(刑事訴訟法197条2項)。

 

調書の作成-閲覧又は読み聞かせ・増減変更申立て、署名押印

被疑者の供述は、調書に録取することができます(刑事訴訟法197条3項)。

調書は被疑者に閲覧させ又は読み聞かせて、誤りがないか問わねばなりません。ここで被疑者が調書の記載の追加、削除、変更を求めたときは、その供述を調書に記載しなければなりません(刑事訴訟法197条4項)。

調書に誤りがなければ、被疑者に署名押印するよう求めることができます(刑事訴訟法197条5項本文)。印鑑を持参していなかった場合は利き手と反対の人差し指で指印させます。署名押印は拒絶できます(刑事訴訟法197条5項但書)。

調書に署名押印した場合、後の裁判で被疑者が被告人になったとき、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものや、特に信用すべき状況の下作成されたものであれば、証拠となってしまいます(刑事訴訟法322条1項本文)。

 

不利な調書をとられないために

被疑者・被告人の調書も任意にされたものではない疑いがあれば証拠とすることはできません(刑事訴訟法319条1項)。しかし、強制、拷問又は脅迫による自白や、不当に長く捕まった後の自白に匹敵するよほどの事情がない限り任意にされたものではないとの疑いは生じません。面倒になったからそのまま署名押印した、などでは覆すことはできません。

取調べの段階で不利な事実の承認を内容とするような調書は作らせないようにするのが肝要です。

「しました」など自分自身の記憶に反することを当然やったこととして書いてある記載には注意が必要です。「やったと思います」でも不利な事実を認めたことになるので危険です。躊躇なく増減変更の申し立てを行いましょう。

増減変更に応じてくれなかったり、相変わらず意味のよく分からない記載があったら署名押印を拒否するのが良いでしょう。

 

黙秘する

それでも捜査機関の追及が激しかったり、捜査機関に言いくるめられる恐れがあるのであれば、黙秘して一切供述しないのが良いでしょう。

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