同居人が逮捕所持で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
事例
北海道札幌市に住む大学生のAは、同じ大学の友人Bと同居しています。ある日、家に警察がやって来て、「札幌方面中央警察署の者だ。大麻所持の罪でBを逮捕する」といって、Bを連行しました。
Aさんは、Bが大麻を使用していたことは知っていたので、自分にも捜査が及ぶのではないかと不安になっています。(フィクションです)
「大麻を所持する」ことの認識について
また前提として、大麻所持罪は、故意犯ですので、「大麻を所持する」ことの認識・認容がなければ大麻所持罪は成立しません。
その物質が「大麻」かどうかについての認識は、その物が依存性のある薬理作用をもつ有害な薬物であることを未必的にであれ認識していればよいとされています。
つまり、ある物を「これは大麻である。」と確信している場合のみならず、「これは何らかの規制薬物かもしれない。」と思っていた場合であっても、大麻であることの認識・認容はあったと判断されます。
判例によれば、薬物の「所持」については、「必ずしも物理的に把持することは必要でなく、その存在を認識してこれを管理しうる状態にあるをもつて足りると解すべきである。」(最判昭31・5・25)
とされています。
つまり、薬物の所持とは、①その存在を認識していること、②管理し処分し得る状態にあること、が同時に満たされる場合に成り立つとされています。
事例の場合には
今回、AとBは同じ家で共同生活をしていますが、Aに大麻の共同所持が認められるためには、Bが家の内外で大麻を吸っていたことを知っていたというのみでは足りず、Bとともに、あるいはBと同じようにそれらの大麻を管理し処分し得るような状態であったことが必要になります。
たとえば、Bが大麻を普段どこに保管しているのかをAが把握しており、BもAに対しその使用や処分を可能にさせていた場合などがそれに当てはまるでしょう。
以上のとおり、Aさんが大麻の保管場所などを全くしらなかった場合は、大麻の共同所持で有罪とされることはないでしょう。もしAさんが警察署に任意出頭し、取調べを受けることになった際には、取調官の誘導に乗り自己に不利な供述がとられないように留意しながら取調べに対応する必要があります。
取調べでどのように対応すべきかについて、弁護士から事前に適切なアドバイスを受けることは有益です。
大麻の共同所持が疑われており、犯罪事実を否定する場合には、できる限り早期に弁護士に相談し、不起訴を目指すのがよいでしょう。
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