盗撮事件で勾留されるも準抗告により釈放
盗撮事件で問題となる罪と、勾留が認められた場合に準抗告をしたところ準抗告認容となり釈放されたという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道千歳市在住のAさんは、千歳市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、出張の帰りで新千歳空港に降り立った後、千歳市内の自宅に帰ろうとした際、短いスカートを履いた女性Vさんを見つけ劣情を催してしまい、後ろを付けたところ、エスカレーターに乗ったためそのすぐ後ろに立ち、スマートフォンのカメラを用いてVさんのスカート内に差し向けました。
エスカレーター上でAさんのすぐ後ろに立っていたXさんはAさんが盗撮していることに気付き、Aさんに向かって「お前なにやってるんだよ」と声掛けし、Aさんは怖くなって咄嗟に逃げましたが、その後通報を受けて捜査を開始した千歳市内を管轄する千歳警察署の警察官は、防犯カメラの映像や交通系ICカードの履歴などからAさんの犯行であると考え、後日Aさんを逮捕しました。
Aさんは検察庁送致された後、勾留が認められました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【盗撮について】
下着や裸体などを性的な目的で秘かに撮影するいわゆる盗撮は、各都道府県の定める迷惑防止条例に違反します。
ケースは北海道千歳市内での盗撮事件を想定していますので、北海道迷惑行為防止条例が問題となります。
条文は以下のとおりです。
北海道迷惑行為防止条例2条の2 何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為をしてはならない。 第2項 公共の場所若しくは公共の乗物又は集会場等…にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
ア 衣服等で覆われている身体又は下着を撮影すること(次号に規定する状態の他人に対
して行う場合を除く。)。
イ 略
ウ 略
(罰条:6月以下の懲役又は50万円以下の罰金※常習の場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
【釈放に対する準抗告申立て】
被疑者が逮捕された場合、逮捕から72時間以内に釈放されるか、勾留裁判を担当する裁判官により勾留質問という手続きを経て勾留が認められるかの2択です。
勾留が認められた場合、原則として10日間、その後1度延長が認められるので最大で20日間、身柄拘束されることになります。
また、被疑者は20日の間に起訴されるか釈放されることになりますが、起訴された場合、その後も勾留は続きます。
勾留を回避し釈放を求めるためには、弁護士により、勾留の裁判が行われる前に検察官や裁判官に対して勾留が不要であることを主張していく必要があります。
とはいえ、逮捕から勾留が認められるまでの手続きは、通常逮捕の翌日や翌々日頃までに行われるのが一般的で、それまでに弁護人の選任が間に合わないという方も多いです。
(なお、一定の要件を満たした場合に国が選任する国選弁護人は、勾留が決まった後に初めて選任されます。また、当番弁護士は勾留前であっても一度限り接見することができますが、「弁護人」ではないため釈放を求める弁護活動はできません。)
勾留が認められた場合には最大20日間の勾留が避けられないのかというと、必ずしもそうではありません。
勾留が認められた場合、
・勾留裁判に対する不服申し立てる(勾留を認めた勾留裁判を取り消すよう申し立てる)準抗告申立て
・勾留裁判後に変更した事情を主張し釈放を目指す勾留取消請求
という方法で釈放を求めます。
このうち準抗告申立てについては、勾留の判断に対して「逃亡や証拠隠滅の恐れ等がないため勾留を認めた判断は誤りである」という主張を行います。
準抗告の判断は、勾留の判断を下した裁判官とは別の裁判官3名で行われます。
とはいえ、別の裁判官が判断するとはいえ、一度裁判官が認めた勾留を覆すことは容易ではありません。
その意味で、勾留される前に弁護士に弁護を依頼し、勾留の判断前に検察官・裁判官に対して勾留が不要である旨意見することが望ましと言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、これまでに数多くの身柄事件を取り扱ってきていて、準抗告を含めた釈放を求める弁護活動が豊富です。
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