MDMA所持事件で黙秘権を行使
MDMAを所持した場合に問題となる罪と、黙秘権がどのような権利なのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【事例】
北海道夕張郡栗山町在住のAさんは、夕張郡栗山町で自営業をしています。
事件当日、Aさんは仕事で夕張郡内を車で走行していたところ、パトロール中だった夕張郡を管轄する札幌方面栗山警察署の警察官によって制止・降車を求められました。
その後任意で所持品検査が行われたところ、AさんのバッグからMDMA(と考えられる薬物)が出てきたため、札幌方面栗山警察署に任意同行を求められました。
警察署では任意での取調べを受けましたが、その際に黙秘権の告知が行われました。
当日は逮捕されなかったAさんは、今後の見通しや黙秘権がどのような権利なのか知りたいと考え、刑事事件専門の弁護士による無料相談を受けました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【MDMA所持について】
МDМAとは、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミンの略称です。
日本では、エクスタシー、バツ、タマなどとも呼ばれているМDМAは、一見すると可愛く思えるような形状をしたカラフルな錠剤である場合も多いです。
摂取後少し経ってから、気分の高揚が数時間みられるそうです。
しかし、厚生労働省のホームページによると、МDМAを使用・濫用した場合の症状として
錯乱・憂鬱・睡眠障害
高血圧、心臓の機能不全
悪性の高体温による筋肉の著しい障害
腎臓と心臓血管の損傷
脳卒中、けいれん
記憶障害
などが見られるようです。
このように、МDМAは濫用者の心身に悪影響を与えるのみならず、幻覚等の症状によって自傷他害(暴れまわる等して自分や他人を傷つける行為)の恐れがある極めて危険な薬物です。
また、МDМAを購入する費用が反社会的勢力の資金源になっている可能性があります。
МDМAは、麻薬及び向精神薬取締法の定める「麻薬」(麻薬及び向精神薬取締法2条1号)にあたる、いわゆる合成麻薬です。
同法では、МDМAを含む麻薬等の薬物について、免許を持たない者の輸入、輸出、製造、所持、譲渡、譲受、医療目的以外の使用、栽培を禁じています。
ケースについて見てみると、МDМAを医療目的以外で使用しているため、麻薬及び向精神薬取締法に違反します。
また、МDМAを使用するために所持している場合にも麻薬及び向精神薬取締法に違反します。
なお、МDМAの使用やМDМAの自己使用目的での所持の法定刑は7年以下の懲役です。
【黙秘権とは?】
黙秘権という言葉は多くの方がご存知だと思いますが、改めて説明すると、取調べを受ける際に自身の意に反して供述しないという権利が認められています。
法的には、憲法38条1項で「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と定められているほか、刑事訴訟法では刑事訴訟法198条2項で「…取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ自己の意思に話して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」と定められています。
つまり、取調べで被疑者には黙秘権という権利が憲法上保障されていて、検察官や警察官などの取調べ官は取調べを行う前に被疑者に黙秘権があることについて説明しなければならないほか、黙秘している被疑者等に対して無理やり供述させるようなことはできないとされています。
黙秘権により
①主観面での争いがある(故意の有無が罪状に大きく影響する)場合などで、捜査機関に有利な調書を作成されない。
②主観面以外の証拠収集が困難な場合(捜査機関が客観証拠を収集できない状況にある)に被疑者にとって不利な証拠が作成されない。
③被疑者が事件についての記憶が曖昧な状態(うろ覚えな状態)で供述をしないことで、不合理な供述調書の作成を避けることが出来る。
といった点が挙げられます。
他方で黙秘権を行使することでのデメリットについては、法律上はありません。
但し、実際には黙秘権を行使することで、
・取調べでの口調などがより厳しいものになる
・身体拘束のリスクが高まるおそれがある
などの事実上のデメリットがあることも事実です。
黙秘権を行使すべきか否かについては事案によって判断が分かれるため、刑事事件専門の弁護士から説明を受けることをお勧めします。
北海道夕張郡栗山町にて、MDMAの所持などで取調べを受ける可能性がある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の無料相談をご利用ください。
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