覚醒剤所持事件で贖罪寄附
覚醒剤所持により捜査され起訴されたという事例を想定し、贖罪寄附などの弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道江別市在住のAさんは、江別市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは覚醒剤を使用するようになり、しばらくの間使用を止めていましたが、その間も所持し続けていました。
ある日、Aさんは覚醒剤の結晶が入った財布を江別市内の商業施設で落としてしまい、それを拾って届けられたことで、受け取った江別市内を管轄する江別警察署の警察官は覚醒剤の所持に気付き、捜査を経てAさんを通常逮捕しました。
逮捕されたAさんは、反省していることを示したいと考えましたが、覚醒剤の所持については被害者がいないためどのようなかたちで反省の意を示すか悩んでいたところ、弁護士のアドバイスを受け、贖罪寄附を実施しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【覚醒剤の所持について】
覚醒剤は、「フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類」や「同種の覚醒作用を有する物であって政令で指定するもの」と定義されています。(覚醒剤取締法2条1項1号)
多くは結晶、あるいはそれを砕いて粉のような状態で所持し、液体に溶かして注射器などで打つという方法で濫用される場合が多いようです。
また、ヤーバーと呼ばれる錠剤タイプの覚醒剤もあります。
覚醒剤は神経を興奮させる効力があるため、一時的な快楽を得られる場合もあるようですが、幻覚や幻聴に悩まされるなどの悪影響が大きいという特徴があります。
また、依存性が高いという特徴もあるため、興味本位で一度使っただけでも、身体がそれを欲してしまい、自分の意志ではやめられないという場合も少なくありません。
そのため、我が国では医療目的の場合を除き、覚醒剤の使用や所持、密輸入、製造などを禁止しています。
覚醒剤所持の場合の罰条は以下のとおりです。
覚醒剤取締法41条の2
1項 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者…は、10年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
3項 前2項の未遂罪は、罰する。
【贖罪寄附について】
暴力事件や性犯罪事件のように被害者がいる事件では、最も重要な弁護活動の一つとして示談交渉が挙げられます。
他方で覚醒剤所持のような被害者がいない事件や、被害者がいる事件でも被害者が謝罪や弁済を拒否・留保している場合、示談交渉を行うことができません。
このような場合に、贖罪寄附を行うという選択肢があります。
贖罪寄附は、日本弁護士連合会や日本司法支援センター(法テラス)などが行っている手続きで、事件についての反省を寄附というかたちで示します。
寄附金は、犯罪被害者支援や難民支援、交通遺児の方のために利用されます。
日本弁護士連合会のパンフレット(2017年~2019年度のアンケート)によると、利用者の81%が「情状に考慮されたと思う」と回答しています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、これまで覚醒剤を含め数多くの薬物事件の弁護活動を経験してきました。
ケースのように贖罪寄附を行う場合、事件の性質や経済状況によって、効果的な金額が異なります。
北海道江別市にて、覚醒剤所持の嫌疑で捜査を受けていて、贖罪寄附をお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。