事件のことが知られると
刑事事件を起こした疑いをもたれて捜査されていることが勤務先や学校などの周囲に知られれば、疑いの目を向けられ、従来のように仕事を続けたり通学することができなくなるかもしれません。
逮捕、勾留されてしまうと、最大で23日間外に出ることができず、出勤や通学することができません。勤務先や学校に何も伝えないと、無断欠勤をしていることになります。こうなると、懲戒解雇処分や退学のおそれがでてきます。
何日も欠勤が続き、欠勤の知らせや理由の説明もなければ、懲戒処分の可能性が高まります。逮捕・勾留されてしまった場合、家族から会社や勤務先に欠勤することを伝えることになるでしょう。しかし、警察に捕まったと伝えてしまうと、たとえ不起訴処分や略式罰金で済んだとしても不利な扱いをされたり、圧迫を加えられるかもしれません。病気だと言っても診断書を出すよう言われて、結局逮捕されたとばれてしまうかもしれません。
性犯罪や被害者が多数にわたるようなショッキングな事件の場合、マスコミがセンセーショナルな報道をして、事件どころか身元住所まで世間一般に知らされてしまうおそれがあります。
弁護士の守秘義務
弁護士は守秘義務を負っています。依頼者の秘密は厳守し、事件のことを勝手に外部に漏らすことはありません。
早期の身柄解放
事件のことが知られ損失を負うリスクを避ける何よりの方法は、早期の身柄解放です。検察官の勾留請求が却下されれば、勾留されることなく外に出ることができます。
勾留請求前に弁護人が選任されていれば、弁護人が迅速に活動して身元引受人を依頼したり身元引受書などの資料を準備し、勾留の理由も必要もないことを裁判官に訴え、勾留を阻止します。
ただ、被疑者国選弁護人が選任されるのは勾留決定がされた後になります。
勾留請求前に弁護人を選任するには私選しかありません。
外部への対応
弁護人が選任されていれば、家族に対しても勤務先や学校への対応をアドバイスできます。マスコミによる過剰報道のおそれがあってもマスコミに対し適切な対応を行い、事件が世間に知られないようにします。
どこまで秘密にするか
少年事件の場合、学校や勤務先が身柄解放後も少年を引き受けてくれるかどうかは、少年の処遇を判断するに当たって重要な要素となります。早期に学校の担任等に打ち明けて協力を仰ぐことが必要な場合もあります。もちろん、学校や職場によっては、事件を起こした疑いだけで厄介払いしようとして協力してくれない可能性もあります。弁護士は学校や職場と緊密に折衝し、身柄解放後も協力してくれるよう働きかけます。
少年事件の報道
家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない,とされています。
しかし,18歳・19歳の特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における記事又は写真については、対象外となり,報道される可能性があります。