【事例解説】SNSを利用して、わいせつ目的で未成年を誘拐

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が、わいせつ目的で未成年が誘拐された事例について解説します。

未成年誘拐

事例

Aは、SNSのアプリで、中学生だというVが「家出したい」と投稿しているのを見かけました。そこで、Aは、わいせつな行為をする目的で、Vを誘拐しようと考え、「札幌市だけど来る?」「交通費も出すし、車で迎えに行ってもいいよ」などと言って誘惑し、札幌駅の駅前で合流したあと、4時間後に自宅に連れ込みました。その後は3日間ほど寝泊まりさせました
Vの携帯の位置情報からAの自宅が特定され、Aはわいせつ目的誘拐罪で逮捕されるに至りました。
(フィクションです)

わいせつ目的誘拐罪について

刑法(出典/e-GOV法令検索)には、わいせつ目的誘拐罪という犯罪が定められています。

(営利目的等略取及び誘拐)

第二百二十五条 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

わいせつ目的誘拐罪が成立するためには、

わいせつの目的を有すること

わいせつ目的で、他人を誘拐すること

が必要です。

わいせつ目的」とは、不同意性交や不同意わいせつなどの性的行為をする目的のことです。第三者にわいせつ行為をさせる目的、あるいは被誘拐者にわいせつ行為をさせる目的も含まれるため、例えば売春をさせる目的も、わいせつ目的に当たります。

誘拐」とは、欺罔・誘惑を手段として、他人をその生活環境から離脱させ自己または第三者の事実的支配下に置くことです。

事例の場合

Aは初めからわいせつな行為をする目的がありました。

そして、家出願望のある少女に対して「車で迎えに行ってあげる」などと誘惑し、自己の支配下である自宅に連れて帰っています

被害者は、一般的に社会経験や所持金などが乏しい中学生であり、加えて家出願望もあったことから、本件のような程度の誘惑でも家出を決意させるものとして十分と判断される可能性が高いでしょう。

また、もし仮に被害者の同意があったと認識していたとしても、保護者の監護権や親権も保護法益として考慮する必要があることから、違法性がないとは言えません。相手の同意があるから違法ではないと思った、という言い逃れは認められない可能性が高いでしょう。

したがって、Aが、わいせつ目的を有したうえで、誘惑を手段とし、Vを遠方の自宅に連れ帰った時点で、わいせつ目的誘拐罪が成立する可能性が高いでしょう。

なお、刑法では未成年誘拐罪も定められていますが、わいせつな目的がある場合は、より罪の重いこちらの犯罪が成立することになります。

また、誘拐に加えて、たとえばわいせつな行為や性交をすると、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪も成立し得ます

そのほか、たとえば、裸体や性行為時の姿を撮影し、その写真をインターネットで不特定多数の者が見える形でアップロードをするなどすれば、リベンジポルノ防止法3条にも違反します。こちらの法定刑は三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金です。

弁護活動

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部がわいせつ目的で未成年が誘拐された事例について解説致しました。
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