犯罪を起こしてしまい、一度は逃げたものの、事件のことが噂になっていたたまれなくなったり、捜査が及んできて、捕まるくらいならその前に自首あるいは出頭したいと考えるかもしれません。
「自首」とは
逮捕される前に警察署に自ら出向いたからといって、法律上自首として扱われるわけではありません。
自首とは、犯罪が捜査機関に発覚する前に犯人が捜査機関に対してすすんで自らの犯罪事実を申告し、その処分に服することを意思表示することいいます(刑法42条)。捜査機関に発覚する前とは、犯罪事実が全く捜査機関に分かっていない場合だけでなく、犯罪事実は捜査機関に知れているが犯人は分かっていない場合も含まれます。犯罪事実も犯人も判明しているが犯人の所在が不明であるだけの場合は含まれません。
犯罪事実を進んで申告しなければなりませんから、職務質問をされて弁解した後に犯行を認めた場合や警察署に任意同行し質問をされて犯行を自供した場合は自首に当たりません。もっとも、余罪取調べ中に取り調べられている犯罪と全く無関係で捜査機関も知らない犯罪事実を申告した場合は自首に当たります。
告訴と異なり、代理人による自主はできません。ただ、使者による自首は可能と考えられており、使者が本人の犯罪事実と本人の処分に服する意思を捜査機関に申告すれば、たまたまその後で逮捕されたとしても、自首したとして扱われます。
なお、当たり前のことですが、自首の取り消しは認められません。
自首は書面または口頭で検察官又は司法警察員つまり警部以上の警察官に対して行います。もっとも、司法警察員に犯罪事実を申告しなければおよそ自首にならないわけではありません。警察官にすすんで自らの犯罪事実を告げた場合はその段階で自首したとして扱われます。その後たまたま逮捕されたとしてもなお自首したと主張することができます。
検察官又は司法警察員は自首された時は調書を作らなければなりません。この調書は通常の取調べと同じく自白調書として後の裁判で証拠となり得ます。
自首の効果
自首した場合、刑を減刑することができます。有期懲役の短期が3年を超えているため本来執行猶予がつかない犯罪であっても執行猶予がつけられる可能性が出ます。
また、法律上の自首には当たらなくとも、自ら捜査機関に出頭したという事実は、被告人に有利な情状として評価されえます。
自首をお考えの場合
自首したい場合に弁護士に相談することで、弁護士が事案を確認したうえで、自首に同伴し逮捕などの危険を避けることができます。