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(架空の事例で検討)北海道千歳市にて共同危険でお子さんが逮捕されたら?少年鑑別所では何をする?

2024-04-30

(架空の事例で検討)北海道千歳市にて共同危険でお子さんが逮捕されたら?少年鑑別所では何をする?

いわゆる暴走運転をした場合に問題となる共同危険行為がどのような罪に当たるのか、20歳未満の少年が共同危険行為により送致される可能性がある少年鑑別所では何が行われるのか、北海道千歳市にて発生した架空の事例を踏まえ検討します。

【ケース】

北海道千歳市在住のAさんは、北海道内の高校に通う高校2年生(16歳)です。
Aさんは、友人ら11人と一緒に、千歳市内の路上にて各人が運転するバイク数台で並走したり横並びに運転したりして、他の車両に危険を及ぼすような運転を繰り返していました。
そのうちの数回は、北海道警察署の警察官がサイレンを鳴らし追尾していたのですが、制止命令に従うことなく、暴走運転を繰り返していました。

後日、Aさんの自宅に北海道警察署の警察官が来て、Aさんは道路交通法違反(共同危険行為)で通常逮捕されました。
Aさんの家族は、担当の弁護士から「逮捕・勾留ののち少年鑑別所での観護措置がなされる可能性が高いので長期間の身柄拘束が予想される」と説明を受けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【共同危険行為について】

いわゆる暴走族について、最近は街中で見かけることが少なくなりましたが、今なおその存在は確認されています。
公道において集団でバイクや車を走行し、蛇行運転や信号無視、カーチェイスなどを繰り返す暴走行為は、共同危険行為と呼ばれ、下記の条文が問題となります。

道路交通法68条 2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
同法117条の3 第68条(共同危険行為等の禁止)の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

その他にも、信号無視での違反や無免許運転手がいた場合にはそれらの罪、マフラー等の改造による不正改造等禁止の罪など、様々な罪に問われる可能性があります。

【観護措置とは?少年鑑別所では何をする?】

事件を起こしてしまった20歳未満の少年について、家庭裁判所裁判官が必要と判断した場合には観護措置決定が下されます。
観護措置は、家庭裁判所が調査官による調査や審判を行うため、少年の心身の鑑別を行うための措置とされています。
観護措置には在宅観護と収容観護の2種類がありますが、実際には在宅観護を行うケースはほとんどなく、観護措置という言葉はもっぱら収容観護を指すことになります。
この収容観護で収容される先が、少年鑑別所となるのです。

少年鑑別所では、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づいて鑑別等が行われます。
具体的には、集団方式の心理検査や鑑別面談、精神医学的検査・診察(一部必要ケースのみ行われる)のほか、起床から就寝迄の行動を観察される行動鑑別などが行われています。
鑑別の期間は、基本的に4週間以内とされていて、それまでに少年審判が行われることが一般的であり、審判の数日前までに鑑別結果通知書という書類に結果を取りまとめられ、調査官が作成する少年調査記録に綴られ審判での処分言い渡しのための判断材料になります。

少年鑑別所での観護措置は、少年の弁護活動・付添人活動を行ううえで極めて重要な場合もあり、その後の更生・保護者の監督に重要な視点をもたらすこともあります。
他方で、捜査中の逮捕・勾留期間に続いて4週間程度を少年鑑別所で過ごすことになると、休学・退学処分を受ける可能性や留年する可能性、会社を解雇される可能性などもあり、少年の更生や学費などに大きな壁となる可能性も否定できません。
事件の内容によって、観護措置を回避するための活動や、観護措置を受けた場合の学校や職場への説明等、弁護士による対応は重要です。

北海道千歳市にて、家族が共同危険行為により通常逮捕され、少年鑑別所での観護措置が予想される場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が初回接見(有料)に向かい、事件の詳細を確認したうえで必要となる弁護活動・付添人活動、ご依頼頂く場合の費用等についてご説明します。

ススキノで見知らぬ人を殴打し頬を骨折させるなどして傷害罪で逮捕されたという事例について検討

2024-04-27

ススキノで見知らぬ人を殴打し頬を骨折させるなどして傷害罪で逮捕されたという事例について検討

北海道札幌市の繁華街であるススキノに於て、男性が見知らぬ男性に突然襲い掛かり怪我を負わせたという嫌疑で逮捕されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が検討します。

【報道事例】

去年10月、札幌市の繁華街ススキノの飲食店ビルで、30代の男性の顔を何度も殴り、頬の骨を折る大けがをさせたとして、23歳の男が逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、住所不定の自称・建設業、●●容疑者23歳です。
●●容疑者は去年10月5日午前5時半ごろ、札幌市のススキノの飲食店ビルの通路で、30代の男性の顔を何度も殴り、頬の骨を折る全治2か月の大けがをさせた疑いが持たれています。
警察によりますと、目撃した人からの通報を受け、警察官が駆け付けた際、すでに●●容疑者は現場を立ち去っていました。
その後、警察は防犯カメラの映像や近くの店舗への聞き込みなどで●●容疑者を割り出し、事件発生から半年余りで逮捕しました。
逮捕時、●●容疑者は別件で札幌被害警察署にいて、取り調べに対しては「僕がやったことで、間違いありません」などと話し、容疑を認めているということです。
一方、被害男性は●●容疑者と面識がなく、事件について「理由がわからず、突然、襲われた」などと話していて、警察は引き続き動機などを詳しく調べています。

≪北海道放送2024年4月22日(月) 13:11配信 「理由がわからず、突然、襲われた」ススキノの飲食店ビルで、30代男性の顔を何度も…男性は全治2か月の頬の骨折、半年余りで逮捕の23歳「僕がやったことで、間違いありません」引用※一部弊所に於てマスキング≫

【傷害罪について】

刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回の事例では、傷害罪で通常逮捕されたと報じられています。
傷害罪は、被害者に対して生理的機能を障害した場合に成立する罪で、すぐに治るような擦り傷程度でもこれに該当します。
傷害罪は、暴行に至った経緯や怪我の程度、被害者の処罰感情、被疑者の前科前歴の有無などを総合的に検討して処分を決められます。
初犯であれば、不起訴や略式罰金の可能性が高いと言えますが、今回の報道事例では被害者の怪我の程度が重いため、起訴され刑事裁判になることも考えられます。

なお、仮に加害者が武道やボクシングなどの経験者などで、被害者の方を執拗に殴打していた場合、傷害罪ではなく殺人未遂罪に問われることも考えられます。

【傷害事件での弁護活動】

本件では、加害者となる男性が罪を認めていると報道されているため、それを前提に弁護活動について検討します。

まず、傷害事件の場合、被害者がいることから、示談交渉が重要な弁護活動の一つに当たると言えるでしょう。
示談交渉は、加害者が罪を認め謝罪の意を示し、その賠償を行うことを意味し、示談書の取り交わしを行うことが一般的です。
示談書の内容は当事者間での協議によって決めることになりますが、被害届の取下げや宥恕(ゆうじょ:被害者が捜査機関に対し、加害者に厳しい刑事処罰を求めないという意思表示)などの約定を盛り込めることが理想的です。

次に、取調べでのアドバイス等が重要になります。
仮に加害者が被害者を執拗に殴打し、「死亡させる」「死亡するかもしれないが構わないだろう」といった認識がある場合、傷害罪ではなく殺人未遂罪の成立も検討されます。
捜査機関は、武器を用いたか・どの程度の力や回数で被害者を殴打したかといった客観的な情報に加え、加害者に被害者を殺害する意思があったのかどうかという主観の部分も重要視すると考えられます。
厳しい口調で取り調べを受けたり、誘導され調書が作成されたりする可能性もあるため、弁護士のアドバイス等は重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、傷害罪などの数多くの刑事事件・少年事件に携わってきました。
ススキノなど北海道札幌市にて、家族が傷害罪で逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

レンタカーを借りたまま返さなかった嫌疑で女性が逮捕されたという事例について弁護士事務所が検討

2024-04-24

レンタカーを借りたまま返さなかった嫌疑で女性が逮捕されたという事例について弁護士事務所が検討

北海道千歳市のレンタカー店にて車を借りたものの返却期日までに返却をしなかったとして女性が逮捕されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が検討します。

【報道事例】

北海道千歳市のレンタカー店で乗用車を借りたまま、返却期日を過ぎても返さずに乗り回していたとして、苫小牧市に住むの無職の女(25)が横領の疑いで逮捕されました。
女は2023年9月22日ごろ、新千歳空港のレンタカー店の営業所で乗用車1台のレンタル契約を結びました。
レンタル期限は1~2日で、女は期日までの料金は前金で払っていましたが、返却期日を過ぎても乗用車を返しませんでした。
その後、同年11月1日までに、レンタカー店の従業員が女に貸した乗用車が千歳市内に乗り捨てられているのを発見し警察に通報。
警察が女の行方を追っていたところ2024年4月22日、警察官が札幌市内で女を発見し逮捕しました。
調べに女は「ガソリンを満タンにして返す金がなかった」と容疑を認めています。
警察が女から詳しい経緯を聴いています。

≪北海道文化放送 2024年4月23日 火曜 午前7:25配信≫

【レンタカーを返さなかったら横領?】

例えば道路に止めていた車のキーが刺さったままだったとして、それを無断で乗り逃げした場合、窃盗罪に問われます。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。

刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、他人の財物を窃取することで成立します。
窃取の「窃」とは、「ひそかに」という意味があります。
実際にはひそかに行われていなくても成立しますが、要するに、被害者の意に反して財物を移転する行為を指します。

他方で、今回の報道事例では、レンタカーを借りたまま返さなかった女性に対し、横領の嫌疑で逮捕したと報じられています。
横領罪の条文は以下のとおりです。

刑法252条1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

横領罪のいう「自己の占有する他人の物」とは、要するに人から借りたものや預かっているものを指します。
窃盗罪との違いは、加害者の手に被害品が渡る際に、被害者の意思で行ったか否かにあります。
先述のとおり、窃盗罪は被害者の意思に反して被害品を加害者のものにする行為を指します。
しかし横領罪は、被害者の意思で加害者に被害品を渡す場合に成立します。
レンタカーは、レンタカー店の人(被害者)が加害者が被害品(レンタカー)を返却してくれることを前提にキーを渡すなどしているため、窃盗罪ではなく横領罪が成立することになるのです。

【取調べ次第で詐欺罪が成立?】

今回の事例で女性は横領罪で逮捕されていますが、詐欺罪の成立も検討されます。
条文は以下のとおりです。

刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪は、
①加害者が被害者を欺罔する(騙す)
②被害者が錯誤に陥る(騙される)
③被害者が加害者に被害品を渡す(交付)
④上記①~③に因果関係が認められる
という場合に詐欺罪が成立します。

仮に、女性がレンタカーを借りる際に返却する意思がなかったとします。
当然、レンタカー店は返却されないことが分かっている場合にはレンタカーを貸し出さないことでしょう。
よって、返却する意思がないにもかかわらず「●日までに返却する」と言ってレンタカーを借り①、被害者であるレンタカー店が当然に返却されるものだと誤信し②、レンタカーを貸し出した場合③、これら一連の流れに因果関係が認められるため④、詐欺罪に該当するという可能性があるのです。

【罪名が変わる可能性があるような事例での弁護活動】

これまでに述べた罪名の罰条について見てみると、
窃盗罪:10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
横領罪:5年以下の懲役
詐欺罪:10年以下の懲役
と、それぞれ異なります。

あくまで報道事例を前提としてではありますが、詐欺罪が成立する可能性があるという点は特に取調べで重点的に聞かれるおそれがあります。
その際、時として威圧的な取調べが行われたり、被疑者の意に反した調書が作成されたりするおそれがあります。
そのため弁護士は、接見等を通じて捜査機関の取調べ状況を逐一確認し、必要に応じて被疑者に取調べのアドバイスをしたり、警察官・検察官に対し然るべき意見や抗議をするなど、被疑者の認識に即した調書の作成を目指していく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、これまでに数多くの刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
北海道千歳市にて、家族がレンタカーを返却しなかった嫌疑で横領罪や詐欺罪により逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
まずは弁護士が初回接見サービス(有料)を行い、事件の詳細を把握したうえで、考えられる結果や弁護活動についてご説明致します。

北海道滝川市内で未成年者にお酒を提供したという事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が検討

2024-04-21

北海道滝川市内で未成年者にお酒を提供したという事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が検討

北海道滝川市にて飲食店経営者の方が未成年者にお酒を提供してしまったという報道事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が検討します。

【事例】

バーで中学生を含む未成年3人へにスパークリングワインを提供していたとして、オーナーの男が逮捕されました。
風営法違反の疑いで逮捕されたのは、北海道●●市に住む飲食店経営の36歳の男です。
男は1月30日夜、自身が経営する滝川市内のバーで、いずれも●●に住む当時18歳の男子高校生2人と15歳の女子中学生に酒を提供した疑いがもたれています。
警察によりますと3人は客としてバーを訪れていて、男は3人へ「スパークリングワイン」のボトル1本を提供していました。
その後、当時店に居合わせた別の客から「未成年に酒を提供しているのではないか」などと警察に情報提供が寄せられ捜査が続いていました。
調べに男は「未成年だとは知らなかった」などと容疑を否認しています。
これまでにも中高生3人は数回バーを訪れていて、警察は男の余罪などを今後調べることにしています。

「未成年とは知らなかった」中高生3人に『スパークリングワイン』提供…36歳のバーのオーナーの男を逮捕 居合わせた客の情報提供で発覚 北海道滝川市 UHB北海道文化放送 4/18(木)7:15配信 一部弊所にてマスキング>

【未成年者にお酒を提供させる行為】

ご承知のとおり、飲酒行為にはリスクも伴い、とりわけ未成年者はその影響が大きいことから、年齢を以て一律で禁止しています。
制限される年齢は国や州によって異なりますが、我が国では、「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」により、20歳未満の飲酒が禁止されていて(法1条1項)、営業者(飲食店やコンビニエンスストアなど)が未成年者が飲むためのお酒を販売・提供することを禁止しています(法1条3項)。
お酒を飲んだ未成年者に対しては、刑事罰は科せられませんが保護や指導の対象となります。
お酒を提供した営業者に対しては、「50万円以下の罰金に処す」ると定められています(法3条1項)。

また、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風俗営業法)では、
・客を接待(横に座る等)して客に遊ばせたり飲食させたりするキャバレーなど
・室内を暗くして飲食させる喫茶店やバーなど
・室内を見通せない個室などの状態で営業する個室居酒屋など
・麻雀やパチンコ等
・ゲームセンター等
を風俗営業店と定めています。
そして、それらの店で未成年者にお酒を提供した場合、以下の規定が問題となります。

風俗営業法22条1項 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
 6号 営業所で二十歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること。
風俗営業法50条1項 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 4号 第22条第1項第3号の規定又は同項第4号から第6号まで…の規定に違反した者

今回の報道事例については、まず場所が「滝川市内のバー」と報道されていることから、室内を暗くして飲食させる風俗営業店であったことが伺えます。
次に、今回の事件は「当時18歳の男子高校生2人と15歳の女子中学生」にお酒を提供したとされていることから、風俗営業法違反で捜査されているものだと考えられます。

【風俗営業法違反(未成年者にお酒を提供した場合)での弁護活動】

今回の報道事例で、逮捕された男性は「未成年だとは知らなかった」と供述しているようです。
我が国の刑事司法は故意犯処罰が原則であることから、相手方が未成年者であるという認識を持ち乍らお酒を提供した場合でなければ、風俗営業法違反には該当しません。
但し、この認識は「未成年者かもしれない」程度の認識でも足りるとされているため、逮捕された方がどのような認識でお酒を提供したのかが問題となります。
報道では「これまでにも中高生3人は数回バーを訪れてい」たとされているため、今回の身ならずそれまでのやり取りなどを通じて中高生らが未成年者であることを認識できるようなやり取りがなかったか、徹底的に追及されると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまでに数多くの否認事件で弁護活動を行ってきました。
逮捕され否認している場合、取調べの対応は極めて重要な弁護活動の一つであり、弁護士には早急且つ複数回の接見が必要不可欠です。
北海道滝川市などで、家族が未成年者にお酒を提供した嫌疑で風俗営業法違反により逮捕されてしまい、否認している場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

【札幌の刑事事件・少年事件は当事務所へ】北海道千歳市にてチケットの不正転売禁止法違反で書類送検になったら?

2024-04-18

【札幌の刑事事件・少年事件は当事務所へ】北海道千歳市にてチケットの不正転売禁止法違反で書類送検になったら?

2018年に特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(通称:チケット不正転売禁止法)が成立し、2019年6月14日から記名チケットなどの高額転売が違法となりました。今回は、北海道札幌市にある弁護士事務所が、架空の事例を想定してチケット不正転売禁止法に違反する行為と書類送検について検討します。

【ケース】

北海道千歳市在住のAさんは、千歳市内の事務所でパートタイマーとして勤務していました。
Aさんは副収入を得たいと思っていたところ、国内のとあるアイドルグループの会員になり、会員限定で発売しているチケットの抽選に応募して購入したチケットを転売し儲けを得ていました。
ある日、北海道警察の警察官がAさんの自宅に来て、チケット不正転売禁止法違反で取調べをするから任意同行するよう求められ、千歳警察署に出頭することになりました。

在宅で数回の取調べを受けたAさんですが、警察官からは「書類送検するから、次は検事さんから呼び出されると思います。」と説明を受けました。
Aさんは不安になり、書類送検の意味とチケット不正転売禁止法違反での刑事罰について知りたいと考え、弁護士による無料相談を受けました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【チケット不正転売禁止法違反について】

冒頭で述べたとおり、2018年にチケット不正転売禁止法が成立し、2019年に施行されました。
これは、コンサートや劇などのチケットの高額転売などが社会問題の一つになっていることや、2020年に開催を予定されていた東京オリンピック・パラリンピックのチケット高額転売が予想されることなどにより成立した法律で、不正転売について禁止する条文については以下のとおり規定されています。

チケット不正転売禁止法
3条 何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。
4条 何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。
9条1項 第3条又は第四条の規定に違反した者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

特定興行入場券は、同法2条各項に規定されていて、簡単に言うと
・イベントの入場チケットであること
・不特定多数の者に販売していること
・チケットの販売をする会社(人)が有償で譲渡することを禁止していること
・イベントの日時と場所(会場)が指定されていること
・入場資格者を指定するチケットの場合は入場資格者の氏名や連絡先がチケットに明記されていること/座席指定チケットの場合は購入者の氏名が明記されていること
を要件としています。
※詳細は文化庁のHPをご参照ください。【PDF注意】

そして、上記の要件を満たすチケットを、正規の価格を超えて販売した場合に、チケット不正転売として処罰されます。(法3条)

また、不正転売の目的でチケットを購入すること自体も、禁止され処罰の対象となります。(法4条)

【書類送検とは?】

書類送検という言葉は、日々のニュース報道で目にすることがあるかと思います。
この書類送検は法律用語ではなく、書類のみで行う検察官送致を意味します。

ほとんどの刑事事件の場合、最初の捜査は警察官が行いますが、最終的に事件は検察官に送致され、検察官が追加の取調べ等を行ったうえで、起訴するかどうか判断するのが原則です。
この、警察官(など)が検察官に事件を送致することを、検察庁送致と呼びます。
検察庁送致には2種類あり、
・被疑者が逮捕している場合…逮捕から48時間以内に、書類及び証拠物と被疑者の身柄を検察官に送致(又は釈放)
・被疑者が逮捕されていない場合…取調べなどが一通り行われて証拠書類がまとまり次第、書類及び証拠物を検察官に送致
となっています。

今回のAさんの事例は、逮捕はされず在宅で捜査が進められていることを想定していますので、警察官は証拠書類をまとめたうえで書類送検すると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、チケット不正転売禁止法違反にも対応しています。
北海道千歳市にて、チケット不正転売禁止法違反で捜査を受けている方、書類送検される可能性がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。

北海道札幌市の業務上横領事件で自首?出頭?手続の流れと適切な弁護活動について検討するブログ

2024-04-15

北海道札幌市の業務上横領事件で自首?出頭?手続の流れと適切な弁護活動について検討するブログ

自首という言葉は広く一般に馴染みのある単語かと思いますが、自首は刑法でその定義が定められています。
今回は、北海道札幌市における架空の業務上横領事件を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が検討します。

【ケース】

北海道札幌市東区在住のAさんは、札幌市東区の会社に勤める会社員です。
Aさんは5年前から経理の担当者をしていましたが、人事異動で別の課に異動することになりました。
Aさんは経理担当者をしていた時分に架空の領収証を用いて会社の経費を懐に入れるいわゆる横領行為をしていました。
Aさんは新たな経理担当者に見つかると自身の横領行為が発覚すると考え、自首を検討しています。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【業務上横領罪について】

今回のA産の行為については、業務上横領罪の適用が検討されます。
条文は以下のとおりです。

刑法253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、
①業務上
②自己の占有する他人の物を
③横領した
場合に成立します。

①業務上、とは、人がその社会生活上の地位に基づき反復・継続して行う事務を指します。
②占有とは、事実上支配している場合や、法律上の支配が及んでいることを意味します。
③横領とは、不法に領得する行為を意味します。
たとえば、ある会社の経理部に現金100万円の札束があったとして、それを掃除のために入室した清掃業者の人が着服した場合、これは②「自己の占有する他人の物」に該当しないため、業務上横領罪には問われません(窃盗罪が成立します。)。
他方で、ケースのように経理を担当している場合は、会社の金(自己の占有する他人の物)を管理する立場にあるため、業務上横領罪が成立します。

なお、実務ではケースのような事例で、業務上横領罪ではなく電子計算機使用詐欺罪で起訴されるという場合もあります。
電子計算機使用詐欺罪の罰条についても、業務上横領罪と同様「10年以下の懲役」です。(刑法246条2項

【自首と出頭は違う?】

日常生活においても、「自首」という言葉は多く使われているかと思いますが、これは法律上の用語です。
似た言葉に「出頭」という言葉もありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

出頭とは、被疑者が警察署に赴くことを指す広い言葉です。
一方で自首は刑法で以下のとおり規定されています。

刑法42条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

つまり、出頭はどのような場合でも可能ですが、自首は捜査機関に発覚する前に警察署に事件を申告する必要があります。
自首も出頭の一部にあたると考えると良いでしょう。
たとえば指名手配されているような場合には、自首ではなく出頭に該当します。
しかしそうでない場合は、捜査機関が被疑者を特定しているか不明であることから、実際に自首に当たるか単なる出頭に留まるのかは分からず、弁護士に事情を伝え、事件の性質や捜査手法・時間などを総合的に勘案し、捜査機関が被疑者を特定している「可能性が高いか否か」確認すると良いでしょう。

【自首するメリットやデメリットについて弁護士に質問】

自首の規定を見てみると「軽減することができる」とありますので、自首したことで必ずしも刑が軽くなるわけではありませんが、自首しなかった場合に比べて刑が軽くなる可能性は高くなります。
また、自首するということは捜査機関に自身の罪を打ち明ける行為を意味し、そのような被疑者が証拠隠滅や逃亡といった捜査に支障を来すような行為をするとは考えにくいため、逮捕・勾留する必要はないと判断され、在宅で捜査される可能性があるなどのメリットがあります。

他方で、自首することは
・捜査機関が事件を承知していて被疑者がだれか調べているところに名乗り出る
・そもそも事件自体を知らなかった捜査機関に事件があったことを伝える
という2種類のパターンがあり、後者の場合、自首しなければ前歴も残らなかったのに、という状況になる可能性もあります。
そのため、自首したいとお考えの方は、予め事件の詳細を弁護士に説明し、自首するメリット・デメリットを知った上で、両者を天秤にかけると良いでしょう。

北海道札幌市東区にて、業務上横領事件を起こしてしまい自首を検討している場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅で捜査を受けている・まだ事件化していない、という場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。

北海道江別市で売春・買春をしてしまった場合を想定して成立する罪について検討する記事

2024-04-12

北海道江別市で売春・買春をしてしまった場合を想定して成立する罪について検討する記事

北海道江別市にて性を売る売春、性を買う買春をしてしまったという架空の事例を想定して、成立する罪について検討します。

【ケース】

北海道江別市在住のAさんは、江別市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、SNSを通じて知り合ったXさんと連絡を取るようになり、実際に会うことにし、江別市内で合流した後、AさんがXさんに2万円を支払うという合意をしたうえで、Aさんの自宅で性交等しました。
行為後、Aさんは自身の行為が罪に問われるのではないかと不安になりました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【買春:相手が成人だった場合の法的問題】

まず前提として、我が国には売春防止法という法律があります。
売春防止法では、売春を「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」と定義しています。
このブログでも用いている「買春」という言葉は法律用語ではなく、専ら「売春の相手方」になることを意味します。

買春をしてしまい、その相手方が成人だった場合、これは売春防止法に違反します。
条文は以下のとおりです。

売春防止法3条 何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。

罰条はありません。

【買春:相手が未成年者だった場合の法的問題】

■不同意性交等罪

相手方児童が16歳未満だった場合、不同意性交罪に問われます。
条文は以下のとおりです。

刑法177条3項 16歳未満の者に対し、性交等をした者も、第一項※と同様とする

※第一項では、被害者の同意がない等の場合に性交等をした場合に、5年以上の有期懲役刑を科すと定められています。
売春・買春は基本的に双方同意の上で行われるものですが、16歳未満の相手に対しては、同意があったと否とに関わらず不同意性交罪が成立することになるのです。

■児童買春罪

買春した場合に、相手が16歳以上18歳未満だった場合、児童買春に該当します。
児童買春は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、児童買春児童ポルノ処罰法)により、「18歳に満たない者」を「児童」と定義し、児童買春については以下のとおり規定されています。

児童買春児童ポルノ処罰法2条
この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等…をすることをいう。
1号 児童
2号 児童に対する性交等の周旋をした者
3号 児童の保護者…又は児童をその支配下に置いている者
同4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

このように、児童に対して対価を渡す(あるいはその約束をする)などして行われる児童買春は、厳しい刑事処罰が科せられる行為です。
相手方が未成年者だとは知らずにした場合には児童買春罪が成立しないことが考えられますが、相手方の容姿・やり取りの内容・SNSのプロフィールといった何かしらの事情で「(相手が)児童かもしれない」程度の認識があった場合には、児童買春罪が成立します。

■青少年健全育成条例違反(いわゆる淫行条例違反)

16歳以上18歳未満の児童に対して、対価を渡さず、その約束もしていなかった場合、児童買春罪には問われませんが、各都道府県の青少年健全育成条例(北海道の場合は北海道青少年健全育成条例)に違反します。

【売春:成人が売春した場合の法的問題】

まず、【買春:相手が成人だった場合の法的問題】の項目で紹介したとおり、売春行為についても売春防止法3条で禁止されています。
売春そのものについての罰条はありません。

但し、売春の勧誘については別途禁止規定があり罰条が用意されています。
例えば、売春を行う前段階で、例えば道端で相手方を探すべく声を掛ける行為や、SNSで売春の相手方を募集するような行為がこれに当たります。

売春防止法5条 売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、6月以下の懲役又は1万円以下の罰金に処する。
1号 公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
2号 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
3号 公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。

しばし「立ちんぼ一斉摘発」などと報道されますが、これは売春そのものではなく、売春の勧誘をした嫌疑で捜査対象となっているのです。

【売春:未成年者が売春をした場合の法的問題】

未成年者が売春をした場合について検討します。
先に【買春:相手が未成年者だった場合の法的問題】にて触れたとおり、児童との買春は児童買春罪となりますが、その相手方である児童はどうなるのでしょうか。

基本的に、児童に対して処罰されることはありません。
しかし、売春をした児童については、児童買春児童ポルノ処罰法において、以下のとおり保護する規定が設けられています。

児童買春児童ポルノ処罰法15条
1項 こども家庭庁、法務省、都道府県警察、児童相談所、福祉事務所その他の国、都道府県又は市町村の関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2項 前項の関係行政機関は、同項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。

条文のとおり、売春をしてしまった児童は、指導されるだけでなく一時保護等の措置を受け、自宅に帰れない等の可能性があるのです。
また、売春を含め素行不良が見られるような場合には、少年法上の「虞(ぐ)犯少年」として、家庭裁判所に送致されて保護処分を受ける/児童相談所に通告される、といった処分が考えられます。

【その他】

直接、買春や売春をしていない場合でも、そのような場所を提供した場合や斡旋(周旋)した場合などには、売春防止法違反事件で捜査を受ける可能性があります。

【売春・買春事件での弁護活動】

売春・買春は、直接的な被害者のいない犯罪です。
しかし、たとえば児童買春の場合は、児童の心身を傷つけてしまったという観点から、事実上の被害者として児童や児童の保護者に対し謝罪や賠償が必要となるでしょう。
また、相手方の年齢を知らずに買春をしてしまい後に児童であると発覚した場合、取調べに於て罪を否認することも考えられます。
また、サイバーパトロールなどを通じて売春の勧誘行為が認められ捜査されるという可能性もありますが、パソコン遠隔操作事件のような誤認逮捕・検挙のおそれも否定できません。

このように、事件の内容次第で様々な弁護活動が考えられます。
北海道江別市にて、売春・買春が原因で警察官から連絡を受けている方、家族が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

北海道札幌市にて身代わり出頭をしてしまい取調べで厳しく質問された場合を想定して弁護活動を検討

2024-04-09

北海道札幌市にて身代わり出頭をしてしまい取調べで厳しく質問された場合を想定して弁護活動を検討

北海道札幌市にて、いわゆる身代わり出頭をしてしまったものの警察官に指摘され、厳しい取調べを受けたという架空の事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が記述します。

【ケース】

北海道札幌市白石区在住のAさんは、札幌市白石区の会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは配偶者のXさんが運転する車に乗っていたところ、Xさんは札幌市白石区の路上にて、歩行者Vさんに気付かず接触してしまう人身事故を起こしてしまいました。
しかしXさんは停止せず発進したため、Aさんが停まって現場に戻るよう言ったところ、Xさんは自身が免許停止中であることを告白しました。
そこでAさんは「免許証を持っている私が運転していたことにする」と言い、Aさんが運転席に乗り込み、現場に戻り消防と警察に通報しました。
Vさんは全治2週間の怪我を負いました。

通報を受けて臨場した札幌市白石区の白石警察署の警察官は、当初Aさんが運転手という申告を受けてAさんによる人身事故(過失運転致傷被疑事件)として捜査を開始しましたが、その後Vさんから話を聞く中で運転手はXさんだったようだと指摘され、身代わり出頭ではないのか厳しく問い質されました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【身代わり出頭について】

身代わり出頭とは、本当の事件・事故の犯人とは別の者が事件の犯人として捜査機関に名乗り出る行為を意味する俗称です。
身代わり出頭の場合に問題となる罪に、犯人隠避罪があります。
条文は以下のとおりです。

刑法103条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

判例によると、
蔵匿(ぞうとく):官憲の発見逮捕を免れるべき隠匿場を供給すること
隠避(いんぴ):蔵匿以外の方法により官憲の発見逮捕を免れしむるべき一切の行為を包含する
とされています。(大判昭5.9・18)

つまり、
犯人蔵匿罪:犯人が捜査機関に見つからないよう家にかくまったり、ホテルを取ってやるなどの行為
犯人隠避罪:犯人が捜査機関に見つからないよう犯人蔵匿罪以外の方法で犯人が捜査対象にならないようにする行為
ということになります。
身代わり出頭の場合、本当は犯人ではないにもかかわらず、犯人であるかのように捜査機関に出頭する行為を意味し、これによって捜査機関は本当の犯人を見つけられなくなる可能性があります。
実際に捜査機関が身代わり出頭してきた者が犯人であると信じたか否かは問題にはなりません。

なお、ケースの例でいうと、
X:過失運転致傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律違反)
 :道路交通法違反(無免許運転罪)
A:犯人隠避罪
の成立が検討されますが、仮にAさんがXさんの無免許運転を知り乍ら運転を頼むなどして同乗していた場合、Aさんは道路交通法64条3項にも違反する可能性があります。

【犯人蔵匿罪での取調べ対応】

事例のAさんが犯人隠避罪を疑われた場合、捜査機関はまず、誰が真犯人であるのかを重要視します。
次に、犯人隠避罪に至った経緯を詳しく調べます。
仮に、XさんがAさんに身代わり出頭をするよう強いたのであれば、Xさんには強要罪が成立する可能性がありますし、XさんからAさんに身代わり出頭するよう進言したのであれば、Xさんには犯人隠避教唆罪が成立する可能性があります。
その場合、Aさんの犯人隠避罪の責任はないあるいは限定的であると評価されるでしょう。

捜査機関は周囲の防犯カメラの映像解析や目撃証言の収集などの客観的な証拠収集に尽力しますが、そのような客観証拠が少ない場合は特に、身代わり出頭したAさんに対しても(口調や態度が)厳しい取調べをする恐れがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部には、刑事事件・少年事件についてのご相談が日々多くなされます。
その中で、取調べについてのご相談もございます。
相談内容は、意に反した内容の調書が作成され押印を迫られたというものや、黙秘権の説明を受けたものの喋らないなら逮捕する旨言われたり、厳しい態度・馬鹿にした態度での取調べが行われたものなど、多岐に渡ります。
そのような違法の疑いがある、あるいは不適切な態度での取調べが行われている場合、弁護士に弁護を依頼し、然るべき対応を取る必要があります。
具体的には、担当取調べ官に対し抗議、警察署長(・監察)・検察庁に対して違法・不適切な取調べを是正するよう求める意見書や抗議文の提出、取調べ立会の申入れ、取調べの録音録画を求めるといったことが検討されます。
現状、我が国では取調べで弁護士の立会は認められていません。
しかし弊所では、在宅事件での取調べでは、準立会という方法を活用します。
取調べの準立会は、対象となっている被疑者の方が取調べを受ける日に弁護士も一緒に警察署に行き、取調室の近くで弁護士が待機し、取調べを受けていて不安や疑問を感じた場合には一旦退席して弁護士と相談するというものです。
この方法で取調べ状況が改善された例も多数見られます。

北海道札幌市白石区にて、いわゆる身代わり出頭をしてしまい犯人隠避罪に問われている方、取調べが不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。

北海道札幌市にて発生したとする架空の恐喝事例を踏まえて検討する、成立する罪と通常逮捕について

2024-04-06

北海道札幌市にて発生したとする架空の恐喝事例を踏まえて検討する、成立する罪と通常逮捕について

この記事では、恐喝罪の法的枠組みと、事件が通常逮捕に至った経緯を解説します。恐喝罪とは、他人を脅して財物を交付させる犯罪であり、刑法により重罪とされています。本記事では、北海道札幌市にて発生したとする架空の事例を用いて、恐喝罪の成立要件と、逮捕手続きの違いについて詳しく見ていきます。

1. 恐喝罪とは

恐喝罪は、人を脅かして財物を交付させる行為を罰するものです。刑法第249条に定められており、10年以下の懲役に処される可能性があります。恐喝の手段は、暴力の使用や脅迫に限らず、相手の恐怖心を利用したあらゆる行為が含まれます。

恐喝罪の成立要件

恐喝罪が成立するためには、以下の要件が必要です。

  1. 脅迫:被害者を脅す行為。これには、直接的な暴力の脅威だけでなく、被害者の家族への危害をちらつかせることも含まれます。
  2. 財物の交付:被害者が脅迫に屈して、金銭や財物を交付すること。
  3. 不法利得の意図:加害者が不法に利益を得る意図を持っていること。

刑罰

恐喝罪には、最大で10年以下の懲役刑が科されます。事件の具体的な状況や加害者の過去の犯罪歴などによって、刑罰の重さが変動する可能性があります。

社会的影響

恐喝罪は、被害者に重大な精神的、経済的損害を与える犯罪です。また、社会全体に対する信頼関係を損ない、安全と秩序を脅かす行為として、厳しく罰されます。

恐喝事件に遭遇した場合、被害者は一刻も早く警察に相談し、適切な法的措置を講じることが重要です。社会全体で恐喝という犯罪に対して正しい認識を持ち、被害者を支援する体制を整えることが求められます。

2. 事例:北海道札幌市の架空の恐喝事件

札幌市中央区に住むAさんは、友人のVさんに「事業拡大のため人手が足りないんだけど紹介してもらないか?」と伝えたため、VさんはAさんにXさんを紹介したのですが、Xさんは入社数日で出勤しなくなり音信不通になりました。
Aさんは怒ってVさんに詰め寄り、「お前が紹介した従業員が飛んだんだから、500万円を用意しないと、お前に危害を加える。その時はお前の家族にも何が起こるか分からないぞ」と脅迫しました。
Vさんは恐怖を感じ、警察に相談することなく、Aさんに要求された金額を支払いました。

しかし後日、Vさんはやはり500万円を渡したのは納得がいかないと考え、管轄する中央警察署に相談して被害届を提出し、警察官はAさんを恐喝の嫌疑で通常逮捕しました。
≪フィクション≫

3. 通常逮捕とは

通常逮捕は、犯罪の嫌疑がある人物を法的手続きに基づいて拘束することです。
逮捕には裁判所の発行する逮捕状が必要であり、被疑者の逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合に行われます。
本事例では、Aさんの証言とBさんの行動パターンから、警察は逮捕状を取得し、Bさんを通常逮捕しました。

逮捕状を発行するためには、以下の条件が必要です。

  1. 逮捕の理由:被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由が存在すること。
  2. 逮捕の必要性:被疑者が逃亡する恐れがある、または証拠を隠滅する恐れがある場合。

Bさんの場合、Aさんからの金銭の要求と脅迫の証拠が確認された後、警察は裁判所に逮捕状の発行を請求しました。
裁判所は、提出された証拠を基にBさんに対する逮捕状を発行し、警察はその逮捕状に基づいてBさんを逮捕しました。

逮捕後、Bさんは警察署に連行され、身体の自由を一時的に奪われました。
この段階では、Bさんは正式に罪を問われているわけではなく、警察と検察による捜査が続行されます。
捜査の結果、十分な証拠が集まった場合、検察官はBさんを起訴し、裁判所での審理が行われることになります。

通常逮捕は、犯罪の嫌疑者を法的に拘束し、捜査を進めるための重要な手段です。
しかし、この手続きは被疑者の権利を大きく制限するため、厳格な法的基準に基づいて行われます。

4. 現行犯逮捕と緊急逮捕との違い

現行犯逮捕と緊急逮捕は、逮捕手続きの中で特別な状況下で行われる二つの異なる形態です。これらは通常逮捕とは異なり、特定の条件下でのみ実施されます。

現行犯逮捕

現行犯逮捕は、犯罪を行っている最中または直後に、令状なしで行うことができる逮捕です。この逮捕形態の特徴は、犯罪行為が目撃された場合に、誰でも犯人を逮捕することができる点にあります。現行犯逮捕の要件は以下の通りです。

  • 犯人性が明白であること。
  • 犯行と逮捕との間に時間的接近性があること。

緊急逮捕

緊急逮捕は、一定の重罪を犯したと疑われる場合に、逮捕状を取得する時間がない状況下で行われます。緊急逮捕の要件は、逮捕の理由と必要性が高いレベルで認められ、かつ、迅速な行動が求められる場合に限られます。具体的な要件は以下の通りです。

  • 重大な罪(死刑、無期または3年以上の懲役・禁固)に該当する犯罪であること。
  • 充分な嫌疑が存在すること。
  • 緊急性があり、逮捕状を取得する時間がないこと。
  • 事後的に裁判所に逮捕状の発行を求めること。

両者の違い

現行犯逮捕と緊急逮捕の主な違いは、逮捕の状況と要件にあります。現行犯逮捕は、犯罪が発生した直後に行われることが多く、犯人性と時間的接近性が重要な要素です。一方、緊急逮捕は、重大な犯罪に対して、緊急性が認められる場合に限り実施されます。また、緊急逮捕の場合は、逮捕後に速やかに裁判所に逮捕状の発行を求める必要があります。

これらの逮捕手続きは、社会の安全を守るために必要な措置であり、法的な基準に基づいて厳格に行われます。それぞれの逮捕形態は、状況に応じて適切に選択され、実施される必要があります。

5. 恐喝事件における法的対応

恐喝事件においては、被害者は速やかに警察に相談することが重要です。警察は被害者の証言と証拠を基に捜査を進め、犯人を特定します。犯人が逮捕された場合、検察官は証拠をもとに起訴を決定し、裁判所での審理が行われることになります。

警察への相談

恐喝を受けた場合、被害者は一刻も早く最寄りの警察署に相談するべきです。警察は被害者の証言を詳細に聞き取り、必要に応じて犯人の特定や逮捕に向けた捜査を開始します。この過程で、被害者からの具体的な情報提供が非常に重要となります。

証拠の収集

恐喝事件の捜査においては、犯人による脅迫の内容を証明する証拠が必要です。これには、脅迫メッセージの記録、目撃者の証言、金銭のやり取りを示す証拠などが含まれます。警察はこれらの証拠を収集し、犯人に対する起訴のための証拠基盤を構築します。

起訴と裁判

捜査の結果、検察官が犯人を起訴することを決定した場合、事件は裁判所に移送されます。裁判所では、検察官と被告人(犯人)の双方からの主張を聞き、証拠を基にして事件の真相を究明します。裁判の結果、被告人が有罪と認定されれば、判決によって罰が定められます。

被害者支援

恐喝事件の被害者は、事件によって精神的なダメージを受けることがあります。そのため、警察や地方自治体では、被害者支援のための相談窓口を設けています。これらの窓口では、法的手続きの説明や心理的なケア、場合によっては経済的な支援も提供されます。

恐喝事件に遭遇した場合は、被害者自身が法的な保護を求めるとともに、適切な支援を受けることが大切です。社会全体で被害者を支え、犯罪に対する厳正な対応を取ることが重要です。

6. 被害者支援

恐喝事件の被害者は、精神的なダメージを受けることが多いため、適切な支援を受けることが大切です。警察や地方自治体では、被害者支援のための相談窓口を設けており、法的手続きの説明や心理的なケアを提供しています。

被害者相談窓口

多くの自治体や警察署には、犯罪被害者やその家族が利用できる相談窓口が設置されています。これらの窓口では、専門の相談員が被害者の話を聞き、必要に応じて法的アドバイスや心理的サポートを提供します。また、被害者が事件の影響で直面するかもしれない様々な問題について、具体的な解決策を提案することもあります。

心理的ケア

恐喝事件の被害者は、事件そのものだけでなく、事件後の社会的な反応によっても心理的な負担を感じることがあります。被害者支援機関では、カウンセリングサービスを通じて、被害者が経験するストレスや不安を軽減するための支援を行っています。これにより、被害者が日常生活に戻るための心の準備を整えることができます。

法的支援

恐喝事件の被害者は、事件に関連する法的手続きにおいても支援を受けることができます。これには、警察への被害届の提出方法、裁判過程での被害者の権利、示談交渉の進め方などが含まれます。必要に応じて、被害者支援機関から弁護士を紹介してもらうことも可能です。

経済的支援

一部の被害者支援機関では、恐喝事件によって生じた経済的な損失を補填するための支援も行っています。これには、治療費やカウンセリング費用の補助、緊急時の生活費支援などがあります。被害者が経済的な困難に直面している場合、これらの支援が大きな助けとなることがあります。

恐喝事件の被害者が直面する困難は多岐にわたりますが、適切な支援を受けることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。被害者自身が積極的に支援を求め、社会全体で被害者を支える体制を整えることが重要です。

7. まとめ

恐喝罪は、被害者に深刻な影響を及ぼす犯罪です。本記事で紹介した架空の事例を通じて、恐喝罪の定義と、通常逮捕の手続きについて理解を深めることができました。恐喝事件に遭遇した場合は、迅速に警察に相談し、法的な保護を求めることが重要です。

恐喝罪の重要性

恐喝罪は、他人を脅して財物を不当に奪取する行為を罰するものであり、社会の安全と秩序を守るために厳しく取り締まられています。被害者は、脅迫に屈することなく、法的手段を通じて対処することが求められます。

法的対応のプロセス

恐喝事件の法的対応には、警察への相談、証拠の収集、犯人の逮捕と起訴、裁判による審理が含まれます。このプロセスを通じて、犯罪行為に対する適切な判断が下され、被害者の権利が守られます。

被害者支援の重要性

恐喝事件の被害者は、精神的なダメージや社会的な影響を受けやすいため、適切な支援を受けることが非常に重要です。被害者支援機関では、法的アドバイス、心理的ケア、経済的支援など、多方面からの支援を提供しています。

社会全体での対応

恐喝事件への対応は、被害者個人だけでなく、社会全体での取り組みが必要です。警察、司法機関、被害者支援機関が連携し、被害者が安心して生活できる環境を整えることが求められます。

恐喝事件に遭遇した場合、一人で悩まずに、信頼できる支援機関や法律専門家に相談することが、事件の解決に向けた第一歩となります。社会全体で被害者を支え、犯罪に対する厳正な対応を取ることで、より安全な社会を実現することができます。

8. 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の紹介

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、北海道札幌市に位置し、刑事事件に特化した法律サービスを提供しています。私たちは、恐喝をはじめとする刑事事件における被告人の権利保護と、最適な法的解決を目指して活動しています。

私たちのミッション

私たちのミッションは、刑事事件に巻き込まれた個人が直面する法的課題に対し、専門的な知識と経験をもってサポートすることです。被告人だけでなく、その家族に対しても心理的な支援を提供し、事件を通じて生じる不安やストレスを軽減します。

サービス内容

  • 初回接見サービス:逮捕された方やその家族からの依頼に基づき、弁護士が留置場や拘置所を訪問し、初回の法律相談を行います。
  • 刑事弁護:逮捕から起訴、裁判に至るまでの全過程で、被告人の権利を守り、最良の結果を目指すための法的代理人として活動します。
  • 被害者支援:恐喝事件などの被害者が適切な保護を受けられるよう、法的アドバイスや心理的サポートを提供します。

私たちの強み

  • 専門性:刑事事件に特化した経験豊富な弁護士が、複雑な法的問題に対応します。
  • 迅速な対応:事件発生直後から迅速に対応し、被告人や被害者の権利を守ります。
  • 全面的なサポート:法的代理人としての役割にとどまらず、心理的なサポートや社会復帰のためのアドバイスも行います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は札幌市内を中心とした北海道の刑事事件・少年事件に特化した弁護士事務所です。
北海道札幌市中央区にて恐喝事件で捜査を受けている方、家族が通常逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。

【札幌市の弁護士が解説】自動車を運転していて死亡事故を起こしてしまったらぜひご相談を

2024-04-03

【札幌市の弁護士が解説】自動車を運転していて死亡事故を起こしてしまったらぜひご相談を

北海道では,自動車の死亡事故の数が少なくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部でも,これまで数多くの自動車の死亡事故についてご相談・ご依頼を受けてきました。
最近でも,自動車の死亡事故について以下のようなニュースが報道されております。

【報道】※一部情報を修正しております。

道路を横断していた男性が乗用車にはねられ死亡 運転手の男を逮捕
夜,道路を渡っていた男性が乗用車にはねられました。
男性は病院に運ばれましたが死亡しました。
道路を横断していた男性が左側から来た乗用車にはねられました。
この事故で会社員の男性が死亡しました。
警察は,乗用車を運転していた容疑者を過失運転致死の疑いで現行犯逮捕しました。
警察の調べに対し容疑者は,容疑を認めているということです。

女性がひき逃げされ死亡 運転の男を逮捕
女性がひき逃げされ死亡した事件で,警察は車を運転していた男を逮捕しました。
容疑者は,路上で女性を車ではねたにもかかわらず,救護せずに走り去った疑いが持たれています。女性はその後死亡しました。
容疑者は商業施設の駐車場から道路へ出る際に,歩道を歩いていた女性を車の右前方ではねたとみられています。
警察によりますと,事故を目撃した男性が容疑者が乗っていた車を走って追いかけ,交差点で停車したところを取り押さえたということです。取り調べに対し「音はしたが,歩行者をはねた感覚はなかった」と容疑を否認しています。

交差点で道路を渡っていた高齢女性が軽乗用車にはねられ死亡 帰宅途中だった運転手の男を現行犯逮捕
交差点で高齢の女性が軽乗用車にはねられ死亡しました。
信号のない交差点で横断歩道とは別の場所を渡っていた女性が横から来た軽乗用車にはねられました。
女性は病院に運ばれましたが約7時間半後に死亡し,警察は軽乗用車を運転していた会社員の男を過失運転致傷の現行犯で逮捕しました。
男は仕事からの帰宅途中で,調べに対し「間違いありません」と容疑を認めています。
現場は見通しが良く,警察は容疑を過失運転致死に切り替えて事故の状況を調べています。

<過失運転致死罪>

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の第5条は,「自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。」と規定されております。
「自動車の運転上必要な注意」とは,運転者が自動車を運転する上で守るべき注意義務をいいます。
発生した事故から見て,どのような措置を取っていれば事故の発生を回避することができたかを,事故の具体的状況に即して検討します。
運転者に対してそのような措置を講じるべき義務を課すことが,可能で相当かどうかを検討して,義務を怠っていると評価できる場合に,犯罪が成立することになります。
まずは,運転者に過失があるかどうかが検討されることになります。
死亡事故が起きても,過失がなければ,犯罪とはなりません。
運転者に過失がなく,被害者に大きな過失があれば,運転者は刑事処分を受けません。
例えば,横断歩道の無い車道に急に歩行者が走ってきて衝突してしまったとしたら,歩行者の過失が大きく,運転者は衝突を回避することができなかったことから,犯罪は成立しないことになります。
死亡という結果だけでなく,過失の評価が重要となります。
過失が大きければ,それだけ刑事処分も重いものとなります。

<死亡事故に付随した悪質な行為>

飲酒運転による死亡事故は,悪質性が高いと評価され,重く処罰されます。
何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはなりません。
違反して車両等を運転した者で,その運転をした場合においてアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある酒に酔った状態にあったものは,5年以下の懲役又は100円以下の罰金となります。
違反して車両等を運転した者で,その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたものは,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
政令で定める身体に保有するアルコールの程度は,血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムとされています。
これらの飲酒運転に関する罪だけでなく,過失運転致死罪も成立し,重く処罰されることになります。

死亡事故直後に勝手にその場から離れる轢き逃げ行為をしたら,重い刑罰となります。
交通事故があったときは,当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は,直ちに車両等の運転を停止して,負傷者を救護し,道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければなりません。
車両等の運転者が,当該車両等の交通による人の死傷があった場合において,人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは,この義務に違反したら,10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
この場合において,当該車両等の運転者(運転者が死亡し,又は負傷したためやむを得ないときは,その他の乗務員)は,警察官が現場にいるときは当該警察官に,警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所,当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度,当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置である交通事故発生日時等を報告しなければなりません。
この報告をしなかったら,3月以下の懲役又は5万円以下の罰金となります。
死亡ひき逃げ事件については,悪質性が高いと評価され,厳しい刑事処分となります。

危険運転致死罪は,死亡事故事件として最も重く処罰されます。

「第2条 次に掲げる行為を行い,よって,人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し,人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で,走行中の自動車の直前に進入し,その他通行中の人又は車に著しく接近し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 車の通行を妨害する目的で,走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し,その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において,自動車の通行を妨害する目的で,走行中の自動車の前方で停止し,その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより,走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により,又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって,これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」
危険運転致死罪は,交通死亡事故の中でも特に悪質性が高いケースを重く処罰するものです。
多量のアルコールや,大幅なスピード違反や,他の車への異常接近等により,殊更交通事故を起こしやすい悪質な運転を対象としております。
死亡事故であれば,実刑になる可能性が高くなります。

<死亡事故を起こした場合ぜひご相談・ご依頼を>

死亡事故を起こしたら,逮捕される可能性が高いです。
家族などの身元引受人と協力して,釈放活動をする必要があります。
任意保険からの賠償とは別に,独自に示談活動をする必要があるかもしれません。
被害者遺族に誠意を持って謝罪し,話し合っていくことになります。
取調べでも,殊更こちらの過失を重く評価されるような誘導がなされないように,慎重に対応する必要があります。
警察は威圧してきたり,強引に話しを誘導してきたり,騙したりして,こちらの不注意を重くするような調書を作成しようとしてきます。
刑事弁護に精通した弁護士を立てて,毅然と対応するべきです。
起訴され裁判となったら,具体的にどのような主張をしていくかを検討することになります。
罪を認めて反省していることを示すだけでなく,事故をきちんと評価して過失が過剰に重く評価されないように主張しなければなりません。


弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では,無料の面談を実施しております。
北海道札幌市にて、人身事故を起こしてしまい被害者が死亡してしまった場合、ぜひお気軽にご連絡してください。

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