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【事例解説】インターネットでの名誉毀損で被害届が提出される(後編)     

2024-11-01

インターネット上で名誉を毀損したとして被害届が提出された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

事件の概要

北海道小樽市に住むAは、インターネットで投資関係の情報の発信をしています。
ある日、知人から、同じ投資家界隈での有名人Vが「これまで数人の女性に対する強姦事件を起こし、それを金で無理矢理示談している」というような噂を聞きました
後日、Aは「知り合いから聞いた話なんだけど、Vはレイプ魔だよ。レイプして、相手に500万とか金払ってもみ消してるらしい」などとインターネットのストリーミングで喋りました。その時には30人ほどのリスナーがいました。
その時の録音(画面録画)をあとから聞いて怒ったVは、札幌にある自宅近くの札幌方面手稲警察署に被害届を出しました。 
(フィクションです。)

名誉毀損罪について

 ④最後に、「違法性阻却事由がないこと」ですが、これは

1.公共の利害に関する事実に係るものであること
2.その目的が専ら公益を図ることにあったと認められること
3.真実であることの証明があったこと

 と定められています(刑法230条の2)。
 また、同条2項では、「公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす」と定められています。

 Vが過去に強姦をした、そしてもみ消した、というAが適示した事実が、つまりは、検察官により「公訴が提起されれるに至っていない人の犯罪行為に関する事実」であれば、上のみなし規定により、1.の「公共の利害に関する事実に係るものであること」という要件は満たされる可能性があります。

 その上で、2.「その目的が専ら公益を図ることにあったと認められること」が満たされるか否かですが、判例によれば、主たる動機が公益目的であればよいとされています。また、事実適示の際の表現方法や事実調査の程度が、公益目的の有無の認定において考慮されるべきものとされています。
 公益目的が否定された判例としては、主として読者の好奇心を満足させる目的の事案などがあります。
 
 Aの発言はどうでしょうか。投資家界隈に注意喚起を促す意図だったと認定され、公益を図る目的があったと認定される可能性もないわけではありません。一方で、単にリスナー達の好奇心などを満足させる意図しかなかったと認定される可能性もあります。また、Aが単に噂を信じて情報の真偽を調査する姿勢があったかどうかなども判断要素となるでしょう。

 上記の2要件が満たされた上で、最後に3.「真実であることの証明があったこと」ですが、これもAの側が合理的疑いをいれない程度」の証明を行う必要があります。
 Aは、知人から聞いた話だとしていますが、真実性の証明が必要なのはそのようなうわさ等の存在についてではなく、実際にその噂の内容を成す事実についてです。Vが、本当に強姦をしたり、金に物を言わせて示談させたなどの事実が実際に存在したことを証明する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
名誉毀損の疑いで警察の捜査を受けられてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部まで一度ご相談ください。
法律相談のご予約・初回接見の申込は、フリーダイヤル(0120-631-881)までお電話お願いします。 

【事例解説】インターネットでの名誉毀損で被害届が提出される(前編)

2024-10-29

インターネット上で名誉を毀損したとして被害届が提出された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

事件の概要

北海道小樽市に住むAは、インターネットで投資関係の情報の発信をしています。
ある日、知人から、同じ投資家界隈での有名人Vが「これまで数人の女性に対する強姦事件を起こし、それを金で無理矢理示談している」というような噂を聞きました
後日、Aは「知り合いから聞いた話なんだけど、Vはレイプ魔だよ。レイプして、相手に500万とか金払ってもみ消してるらしい」などとインターネットのストリーミングで喋りました。その時には30人ほどのリスナーがいました。
その時の録音(画面録画)をあとから聞いて怒ったVは、札幌にある自宅近くの札幌方面手稲警察署に被害届を出しました。 
(フィクションです。)

名誉毀損罪について

刑法230条(出典/e-GOV法令検索)は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」と定めています。事実を適示するなどして、相手の社会的評価を下げる行為を、名誉毀損といいます。

 今回、VがAを刑事事件で告訴するとしたら、この230条の名誉毀損罪として告訴することになるでしょう。
(ちなみに名誉毀損罪は、「親告罪」の一つであり、検察が起訴するためには被害者自身による刑事告訴が必要になります(刑法232条)。そして、親告罪の告訴は、被害者が犯人を知った日から6ヶ月以内に行う必要があります(刑事訴訟法235条)。また、公訴時効は「犯罪行為が終わったとき」から進行し、公訴時効の期間は3年となります(刑事訴訟法253条、250条2項6号)。)

名誉毀損罪が成立するための構成要件は以下の4つです。

①公然と
②事実を摘示して
③人の名誉を毀損することで
④違法性阻却事由がないこと

①「公然」とは、不特定または多数の者が直接に認識できる状態のことをいいます。
今回の事件で、AのXのアカウントは公開されており、スペースでは数十人のリスナーがいたということですし、「伝播可能性」もあることから、公然性は認められる可能性が高いでしょう。

次に、②「事実を適示して」とは、文字通り、具体的な事実内容を示したことをいいます。デマであっても「事実」に該当することになります。
 Aの、「Vが強姦した」や「事件をもみ消した」などの発言がそれに当たるでしょう。

③「人の名誉を毀損すること」ですが、まず、この「人」もある程度特定されている必要があります。 AはVの名前を出し、しかもその界隈では有名ということなので、聴衆の間においても特定性の要件は満たされているでしょう。
名誉を毀損すること」とは、その人の社会的評価を低下させることです。ここで注意が必要なのは、現実にその評価が低下したか否かは関係がありません。実際にそのような立証を行うことは困難だからです。
Vが「レイプ魔」であることや、お金を払ってもみ消したことなどは、一般に社会的評価を低下させる事実といえるでしょうから、「名誉を毀損すること」に該当するでしょう。
次回は④から解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
名誉毀損の疑いで警察の捜査を受けられてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部まで一度ご相談ください。
法律相談のご予約・初回接見の申込は、フリーダイヤル(0120-631-881)までお電話お願いします。 

【事例解説】銀行口座をネットを通じて売却 後日警察から連絡が(後編)

2024-10-26

インターネットを通じて、銀行口座を複数売却した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

SNS

事例

北海道札幌市に住むフリーターのAは、ある日SNSで「誰でも簡単に稼げる」「即日振込」などの文言が書かれた広告を見つけ、相手と連絡を取り合ううちに、「新しい銀行口座を作って情報を教えてくれるだけでお金をすぐに振り込む」といわれ、2つの口座を作って口座情報を与えました
後日、札幌警察署の警察から電話があり「口座売買は違法である」と言われ取調べのため警察署に呼出しを受けることになりました。
(フィクションです)

詐欺罪について

他人に売却するための銀行口座について、その売却の目的を隠したまま銀行で口座開設手続きをおこない、窓口担当職員から預貯金通帳やキャッシュカードを受け取った場合、詐欺罪も成立する可能性があります。

整理すると、すでに自己が所持している自分名義の預貯金口座を売却した場合には「犯罪収益移転防止法違反」の容疑で、預貯金口座を売却する目的で新たに預貯金口座の開設手続きをおこなった場合には詐欺罪の容疑で捜査や逮捕がなされる可能性があるということになります。

なお、今回の事例のような詐欺の場合は未遂も処罰されるため(刑法第250条)、口座開設手続き時の状況次第では、通帳やキャッシュカードを受け取る前でも、詐欺未遂罪の容疑で逮捕される可能性が生じます。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役刑」です(刑法第246条第1項)。犯罪収益移転防止法違反の法定刑「1年以下の懲役刑もしくは100万円以下の罰金刑(併科あり)」に比べると厳しい刑罰が定められています。

弁護活動

上記の通り、詐欺罪で検挙されてしまった場合に、なんとしても刑務所に服役したくないと希望するならば、できるだけ早期からの効果的な防御活動によって不起訴処分を得る必要があります。

また、起訴されてしまった場合、詐欺罪で執行猶予付き判決の条件を満たすには、酌量減軽・自首減軽などの防御活動が不可欠です。執行猶予付き判決を獲得できなければ刑期を満了するまで日常生活に復帰できないので、起訴された場合は、執行猶予付きの判決を得ることが目標になります

銀行口座の売却などによって、犯罪収益移転防止法違反や詐欺罪の容疑で捜査・逮捕された場合には、弁護士のサポートを受けながら、少しでも軽い刑事処分を目指すことが肝要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件と少年事件を中心に扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回であれば無料の法律相談を、逮捕または勾留中の方の場合は直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けております。
犯罪収益防止法違反や詐欺罪の事件を起こしてしまった、又はご家族が逮捕されてしまった、そういった時には弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部へ、是非、ご連絡ください。

【事例解説】銀行口座をネットを通じて売却 後日警察から連絡が(前編)

2024-10-23

インターネットを通じて、銀行口座を複数売却した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

SNS

事例

北海道札幌市に住むフリーターのAは、ある日SNSで「誰でも簡単に稼げる」「即日振込」などの文言が書かれた広告を見つけ、相手と連絡を取り合ううちに、「新しい銀行口座を作って情報を教えてくれるだけでお金をすぐに振り込む」といわれ、2つの口座を作って口座情報を与えました
後日、札幌警察署の警察から電話があり「口座売買は違法である」と言われ取調べのため警察署に呼出しを受けることになりました。
(フィクションです)

犯罪収益移転防止法違反について

犯罪による収益の移転防止に関する法律」(出典/e-GOV法令検索)という法律があります。
この法律は、犯罪組織などによって行われる、収益の出所を不明確にさせるような資金の移動を防ぐために、不正な行為を処罰する目的で施行されました。
犯罪収益移転防止法の指す「犯罪収益」とは、不正な利益を得る目的で犯した罪によって生じた財産や、犯罪行為の報酬として得た財産のことです。

同法第28条第2項は、「他人になりすまして銀行などの特定事業者との間における預貯金契約についての役務の提供を受ける目的または第三者にこれをさせる目的を相手方が有することを知りながら、その者に対して預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、または提供すること」や、「通常の商取引や金融取引としておこなわれるものであることなどの正当な理由がないのに、有償で預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、または提供すること」を処罰しています。
自己の銀行口座を他人に売却することなどはこれに当たります。
違反した場合の法定刑は、「1年以下の懲役刑もしくは100万円以下の罰金刑(併科あり)」となります。
さらに、この売却を「業として」(反復して)行ったとされた場合は、法定刑が「3年以下の懲役刑もしくは500万円以下の罰金刑(併科あり)」まで引き上げられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件と少年事件を中心に扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回であれば無料の法律相談を、逮捕または勾留中の方の場合は直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けております。
犯罪収益防止法違反や詐欺罪の事件を起こしてしまった、又はご家族が逮捕されてしまった、そういった時には弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部へ、是非、ご連絡ください。

【事例解説】仕事で知り合った男性から現金80万円を騙し取ったとして逮捕(後編)

2024-10-20

今回は、仕事で知り合った男性からお金を騙し取ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

逮捕

事例

接客の仕事で知り合った男性から現金約80万円を騙し取ったとして、札幌方面中央警察署は、札幌市に住むAさんを詐欺の疑いで逮捕しました。
Aさんは、仕事ので知り合った男性Vさんに対して好意をちらつかせて交際を発展させるフリをし、「買い物をしすぎてキャッシュカードを止められそうになっている。支払いのためのお金がほしい」などとをつき、複数回にわたり現金約80万円を騙し取った疑いが持たれています。
札幌方面中央警察署がVさんから相談を受けたことで事件が発覚し、捜査を経てAさんの逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

弁護活動について


詐欺罪で逮捕・勾留されると最長で23日間身柄を拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります
その間、被疑者は行動を厳しく規制され、家族や友人や恋人など外部との交流も制限されます。
また、逮捕・勾留による身柄拘束中は、当然ですが職場に勤務することができなくなるので休むことになりますが、無断で休ませてもらえる職場などなかなかありません
そうなれば、被疑者は職を失う可能性が極めて高くなります
そのため、少しでも早い身柄拘束からの解放を実現する必要があります。
被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、早期の身柄解放に向けた弁護活動としては、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していくことになります
例えば、被疑者が家族と同居しており、その家族が被疑者の監督をすることを約束し、身元引受書を作成すれば、被疑者の住居不定や逃亡のおそれを否定する客観的な証拠となります。
早期の身柄解放を実現するためには、少しでも早い段階からこのような弁護活動を行う必要があるため、逮捕・勾留された場合には少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。

北海道内において詐欺罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が詐欺罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しております。
詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】仕事で知り合った男性から現金80万円を騙し取ったとして逮捕(前編)

2024-10-17

今回は、仕事で知り合った男性からお金を騙し取ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

逮捕

事例

接客の仕事で知り合った男性から現金約80万円を騙し取ったとして、札幌方面中央警察署は、札幌市に住むAさんを詐欺の疑いで逮捕しました。
Aさんは、仕事ので知り合った男性Vさんに対して好意をちらつかせて交際を発展させるフリをし、「買い物をしすぎてキャッシュカードを止められそうになっている。支払いのためのお金がほしい」などとをつき、複数回にわたり現金約80万円を騙し取った疑いが持たれています。
札幌警察署がVさんから相談を受けたことで事件が発覚し、捜査を経てAさんの逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

詐欺罪について


詐欺罪〉(刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する

刑法の詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させる犯罪です。
人を欺く行為(これを欺罔行為といいます)とは、欺罔行為の相手方を錯誤に陥らせる行為です。これは、相手方が財物や財産上の利益を交付(処分)しようと判断する際の、その判断の重要な事項を偽ることを言います。

詐欺罪は、欺罔行為→相手方の錯誤→錯誤に基づく交付(処分)行為→財物または財産上の利益の移転がそれぞれ原因と結果の関係にあることが必要です。

欺罔行為を行ったが、その相手方が錯誤に陥らず別の理由(例えば、欺罔行為者にお金がないことを知っていて憐みからお金を渡したなど)で交付(処分)行為を行った場合は、欺罔行為と交付行為の間の法的な意味での因果関係が否定されるため、詐欺罪は既遂とはならず未遂にとどまることになります。

上記の事件では、AさんはVさんに対し好意や恋愛感情があるかのように装い、支払の見返りに交際を発展させるフリをしながら、キャッシュカードが止められそうになっていて、その支払いのためのお金がほしいなどと嘘をつき、Vさんからお金を騙し取っているため、Aさんには詐欺罪が成立する可能性があります

北海道内において詐欺罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が詐欺罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しております。
詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】コンビニのコーヒーマシンでの窃盗事件

2024-10-14

コンビニのコーヒーマシンでの窃盗事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

事例紹介

Aさんは、コンビニのコーヒーマシン110円のレギュラーサイズのカップをレジで購入した後に、コーヒーマシンの前に立って250円のラージ―サイズのカップ用のボタンを押してレギュラーサイズのカップにラージサイズのカップ用のコーヒーを注ぎました
この様子を見ていたコンビニ店長のVさんが、Aさんを呼び止めて警察に通報したことで、Aさんは警察で窃盗罪の疑いで捜査を受けることになりました。
警察からの取調べで素直に認めたため当日には釈放されました。
自宅に帰ったAさんは、これからVさんと示談をするために、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)

コンビニのコーヒーマシンでの窃盗事件

事例のように、コンビニのコーヒーマシンで、レジで購入したレギュラーサイズのカップよりも大きいラージサイズのコーヒーのボタンを故意に押して、ラージサイズのコーヒーをレギュラーサイズのカップに入れる行為については、相手を騙してコーヒーを多く騙し取ったとして刑法246条(出典/e-GOV法令検索)の詐欺罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、レジでレギュラーサイズのカップを購入する段階からラージサイズのコーヒーのボダンを押してやろうと決意していた場合には、レジで店員の方を騙してラージサイズのコーヒーをだまし取ったとして刑法246条の詐欺罪が成立する可能性が高いと考えられますが、コーヒーマシンでボタンを押すときになって初めてラージサイズのコーヒーのボタンを押そうと思った場合には、レジではあくまでレギュラーサイズのコーヒーボタンを押そうと思ってレギュラーサイズのカップを購入していて人を騙してはいませんので、詐欺罪が成立することは難しいと考えられます。
そのため、コーヒーマシンでボタンを押すときになって初めてラージサイズのコーヒーのボタンを押そうと思った場合には、刑法235条(出典/e-GOV法令検索)の窃盗罪が成立すると考えられます。

このように、コーヒーマシンで購入したサイズよりも大きいサイズのボタンを押す行為には詐欺罪が成立する場合と窃盗罪が成立する場合が考えられるのですが、実際には、どの時点で大きいサイズのコーヒーボタンを押そうと思ったのかといったことについては明確ではないことから、事例のようなケースでは、詐欺罪ではなく窃盗罪で立件されることが多いようです。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役のみですが、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。

窃盗事件の被害者の方との示談をお考えの方は

事例のAさんは、警察に通報されたものの窃盗罪で逮捕されることはありませんでしたが、だからといってこれで事件が終了したという訳ではなく、今後は在宅捜査という形で捜査が進められることになります。
そのため、窃盗罪について素直に認めて被害者の方と示談をしたいとお考えの方は、まずは弁護士に相談して、被害者の方と示談をするための流れやどんな準備をすればよいかといったことについてアドバイスを貰った上で、弁護士に示談交渉を依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
窃盗事件で被害者の方と示談をしたいとお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】盗撮事件に加えて傷害事件も起こしてしまったケース

2024-10-11

盗撮事件に加えて傷害事件まで起こしてしまったケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

逮捕

事例紹介

Aさんは、駅の上りエスカレーターで前に立っていた女性のⅤさんのスカートの下スマートフォンを差し入れてⅤさんの下着を盗撮しました。
Aさんが盗撮する様子を偶然目撃したWさんが「何をしているんだ!」と大きな声を上げて、Aさんのことを捕まえようと追いかけて来ました
Aさんは、追いかけてきたWさんに腕を掴まれて、その場から必死に逃げようとWさんともみ合いになった末、Wさんを押し倒してWさんに頭部打撲の傷害を負わせてしまいました
結局、Aさんは、騒ぎを聞きつけた駅員さんや通報により駆け付けた警察官に現行犯逮捕されてしまいました。
(この事例はフィクションです)

盗撮が発覚して逃走のために目撃者をケガさせるとどのような罪に問われる?

Aさんは、駅のエスカレーターでVさんのスカートの中の下着を盗撮し、さらに逃走の際に、Aさんを捕まえにきたWさんを押し倒してWさんにケガを負わせています。

AさんがVさんのスカートの中を盗撮した行為については、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(「性的姿態撮影等処罰法」)第2条1項1号ロによって性的姿態等撮影罪が成立すると考えられます。
性的姿態等撮影罪の法定刑3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金刑となっています。

また、AさんがWさんを押し倒してWさんに頭部打撲のケガを負わせた行為については、刑法204条の傷害罪が成立すると考えられます。
この傷害罪については、AさんがWさんを意図的にケガさせようとした訳ではなく、Wさんから逃れるためにWさんを意図的に押しただけという場合であっても、Wさんのケガという傷害の結果が生じている以上、傷害罪が成立することになります。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑となっています。

ご家族が盗撮事件で警察に逮捕されたら

ご家族が警察に盗撮事件で逮捕された場合は、いち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
弁護士が初回接見に行くことで、事件の見通しや今後の対応といったことについて詳しく知ることができます。
仮に、今回の事例のように盗撮事件と一緒に傷害事件を起こしたことを逮捕されたご本人が認めるという場合に、性的姿態当撮影罪傷害罪の前科が付くことを避けるためには、盗撮事件の被害者の方と傷害事件の被害者の方の双方の被害者の方との示談交渉が非常に重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は盗撮事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
ご家族が盗撮事件で警察に逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】基準値の2倍越えのアルコール検知 会社員の男が逮捕

2024-10-07

会社員の男が飲酒運転で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

事例

札幌市で酒を飲んで車を運転したとして、会社員の男が逮捕されました。
警察によりますと容疑者は、札幌市内の道路で酒を飲んで軽乗用車を運転した疑いがもたれています。
パトロール中の警察が左右に大きくふらつく車を発見し、停止を求めましたが車は応じずに逃走し、しばらくして停車したということです。
その後運転していた容疑者を調べたところ、吐いた息から基準値の2.5倍を超えるアルコールが検出されました。
容疑者は容疑を認める一方で「酒を飲んでから8時間以上経っていた」と話しているということです。
(フィクションです。)

飲酒運転とは

飲酒運転とは、飲酒後にそのアルコールの影響がある状態で自動車などの車両を運転する行為をいいます。
お酒に含まれているアルコールは、中枢神経に作用し脳の神経活動を抑制し運動機能の低下、理性・自制心の低下、動体視力・集中力・認知能力などを低下させます。
そして、運転行為は運転手本人だけでなく、同乗者やその他の歩行者らの生命にも重大な危険を及ぼします。
そのため、多くの国においてはアルコールの影響下にある状態での運転行為が禁止されています。

日本での飲酒運転に対する刑事処分について

飲酒運転は道路交通法(出典/e-GOV法令検索)において、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類に分類されます。
酒気帯び運転」は、呼気中アルコール濃度が、0.15ミリグラム以上である者が自動車等を運転した場合に成立します。
酒酔い運転」は、運転中のアルコール濃度を問わず、アルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある状態で運転した場合に成立します。
酒気帯び運転では、呼気中のアルコール濃度が0.15ミリグラムあることが要件となっていますが、酒酔い運転は呼気中のアルコール濃度は要件となっていません
そのため、アルコールに弱い人がお酒を一口飲んだだけであっても、正常な運転ができないおそれがある状態にまでなっているのであれば「酒酔い運転」になってしまう可能性があります
それぞれの法定刑は、「酒気帯び運転」は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
酒酔い運転」では、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。

飲酒運転が発覚してしまったら


飲酒運転が発覚した場合、弁護士に相談することで、今後の事件の見通しや捜査への対応方法について、知ることが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、飲酒運転による道路交通法違反に強い弁護士が数多く在籍しています。
まずは、お気軽に、フリーダイヤル(0120-631-881)までお電話お掛け下さい。

【事例解説】解体工事の現場で共同して作業していた作業員を殴ったとして逮捕 

2024-10-04

解体工事の現場で共同して作業していた作業員を殴ったとして逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

けんか

事例 

札幌市在住のAさんは、一人親方として札幌市内の解体現場で解体作業をしていました。
現場には、作業員も複数いましたが、ある一人の作業員Vと解体の進め方で口論になり、ついカッとなったAさんは作業員Vさんの顔面を殴ってしまいました
Aさんの暴行により、作業員Vさんは口から流血し歯も欠けるなどの怪我を負いました。 
殴られた作業員Vさんが警察に通報したため、臨場した警察官にAさんは傷害の容疑で逮捕されてしまいました。 
(フィクションです。)

【傷害罪について】

傷害罪を規定する刑法第204条(出典/e-GOV法令検索)は、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万以下の罰金に処する。」と定めています。

刑法において、傷害罪は暴行罪の結果的加重犯とされています。
結果的加重犯とは、一つの違法な行為を行い、結果が生じなければ軽い方の罪で処罰し、結果が生じた場合には重い方の罪で処罰するものをいいます。

暴行罪は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に成立します。
暴行行為を加えた結果、被害者が「傷害」を負った場合は、暴行罪の結果的加重犯として傷害罪が成立します。

事例では、AさんがVさんの顔面を殴る暴行行為を行い、その結果、口から流血させ歯も欠けさせるという傷害が生じているため、傷害罪が成立することになります。

【傷害罪の刑事弁護活動】

傷害罪や暴行罪といった暴力犯罪で軽い処罰を求めるためには、示談を締結することが刑事弁護活動で最も重要です。
被疑者が被害者に対し誠意を持って謝罪をして当事者間の問題解決(示談)に至れば、検察官が起訴することなく事件を終わらせる(不起訴)判断をする可能性が高まります

ただ、被害者の怒りや被害の程度など、様々な事情から、示談が必ずしも円滑に進むとは限りません。
被害者が示談に応じない、あるいは、様々な示談条件を提示してくる等、示談交渉が難航する場合もあり得ますので、刑事事件の示談交渉の経験豊富な刑事事件専門の弁護士に弁護を依頼することを強くお勧めします

【傷害罪の刑事弁護活動】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、傷害罪の示談交渉を数多く経験し、不起訴処分を獲得した実績が多数あります。
ご家族が傷害罪等の暴力事件で逮捕されてお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご検討ください。(0120-631-881)

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