Archive for the ‘性犯罪’ Category
【事例解説】路上で女性に対して卑猥な言動をしたとして警察から連絡が(前編)
路上で女性に対して卑猥な言動をしたとして警察から連絡があった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
事例
Aさんは、住宅街の道路を自転車で走行中に、前を歩いている女性を追い抜きざまに女性の胸部や性器の俗称を言って走り去りました。
その場で被害女性から声を上げられることはありませんでしたが、被害女性が警察に相談して、周囲の防犯カメラの映像からAさんが特定されました。
Aさんの携帯に警察から連絡があり、呼出しを受けたため、不安になったAさんは弁護士に相談してみることにしました。
Aさんの行為はどのような犯罪になる?
Aさんは、自転車で追い抜きざまに女性に対して、女性の胸部や性器の俗称を言うなどの卑わいな言動をしています。
北海道迷惑行為防止条例(出典/北海道警察のHP)では、公共の場所又は公共の乗物にいる者に対して、卑わいな言動をすることを禁止しています。
そのため、Aさんの行為は、北海道迷惑防止条例違反となる可能性があります。
「卑わいな言動」とは何を意味するのでしょうか。
判例(最高裁判所第三小法廷平成20年11月10日決定)によると、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」をいうと解されています。
女性の胸部や性器の俗称を言うことは、性的なデリカシーに欠けると言わざるを得ません。
これによると、Aさんの行為は、「卑わいな言動」に該当する可能性があります。
その他、「卑わいな言動」に該当しうる行為の例として、「女性に卑わいな文章をしつこく見せる行為」、「女性にしつこくつきまとい、性的な言葉をかける行為」、「執拗に女性を凝視する行為」などが挙げられるでしょう。
逮捕の可能性について
卑わいな言動をしたくらいで逮捕されるわけがないと思われるかもしれませんが、行為態様や回数によっては普通に逮捕されてしまうこともあります。
通報により臨場した警察官に逮捕されてしまうこともあれば、後日防犯カメラの映像や目撃者の証言により犯人特定に至ることもあります。
これくらいでと安易に考えず、卑わいな言動に当たり得る行為をしてしまった場合は、弁護士に相談することをオススメします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌では、迷惑行為防止条例違反事件の弁護経験が豊富な弁護士が在籍しております。
迷惑行為防止条例違反で捜査を受けている方、ご家族・お知り合いが逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部まで一度御相談ください。(0120-531-881)
【事例解説】北海道札幌市で男性につきまといストーカー規制法違反で逮捕(後編)
恋愛感情を抱いた男性に対してストーカー行為を行ったことによって、ストーカー規制法違反の疑いで捜査されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
【事例】
北海道札幌市に住むA女は、自身が恋愛感情を抱いていた、喫茶店で働く20代の男性Vに対し、勤務終了後などの2カ月間のうちに複数回にわたりつきまとい、繰り返しVの行動を盗撮するなど、ストーカー行為をしていました。
札幌東警察署からの警告や禁止命令を受けたにも関わらず従わなかったAさんは、ストーカー規制法違反で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
【ストーカー規制法に基づく警告】
ストーカー規制法第4条(出典/e-GOV法令検索)では、つきまとい等の被害を受けた方が警察に対して申出を行った場合、警察がつきまとい等を行った者に対して、更に反復してつきまとい等の行為をしてはならないと警告を出すことができます(4条1項)。
この警告が出されたあとも、つきまとい等をやめなかった場合、さらに「禁止命令等」が出される可能性があります。
この禁止命令等に違反してさらにストーカー行為をした場合は、刑が重くなり、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(第19条)となります。
【ストーカー規制法違反でお困りの方は】
ストーカー行為をしてしまった方、ご不安な方には無料相談をお受けしています。
また、ご家族の中で、ストーカー規制法違反で逮捕されてお困りの方は、まずは刑事事件に精通した弁護士に依頼して、接見に行ってもらうことをお勧めします。
弁護士による接見をきっかけに、早期に弁護士が事件に介入することが出来れば、身柄拘束の解放に向けた弁護活動をとることができ、身柄拘束による社会生活への影響を最小限に抑えることが期待できます。
また、ストーカー規制法違反の事件では、被害者の方との示談が大事になってきますが、示談交渉についても、示談経験が豊富な弁護士に依頼された方が、よりよい結果になる可能性が高くなるといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、ストーカー規制法違反の事件の弁護経験が豊富な弁護士が在籍しております。
ご家族の中にストーカー規制法違反の疑いで逮捕された方がいる、あるいは、自身がストーカー規制法違反の疑いで警察から捜査を受けているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部まで一度御相談ください。(0120-531-881)
【事例解説】北海道札幌市で男性につきまといストーカー規制法違反で逮捕(前編)
恋愛感情を抱いた男性に対してストーカー行為を行ったことによって、ストーカー規制法違反の疑いで捜査されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
【事例】
北海道札幌市に住むA女は、自身が恋愛感情を抱いていた、喫茶店で働く20代の男性Vに対し、勤務終了後などの2カ月間のうちに複数回にわたりつきまとい、繰り返しVの行動を盗撮するなど、ストーカー行為をしていました。
札幌東警察署からの警告や禁止命令を受けたにも関わらず従わなかったAさんは、ストーカー規制法違反で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
【ストーカー行為】
ストーカー規制法(出典/e-GOV法令検索)では、ストーカー行為を「つきまとい等」や、承諾なく相手方の位置情報を取得する行為などの「位置情報無承諾取得等」を反復して行う行為として規定しています(2条4項)。
前者の「つきまとい等」については、以下に例示する8つの行為のうち、いずれかの行為を「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に対して行うことをいいます(2条1項柱書)。
1.つきまとい・待ち伏せ・立ちふさがり・見張り・押しかけ・うろつき行為(同項1号)
2.監視していると思わせるような事項を告げ、又は知りうる状態に置く行為(同項2号)
3.面会・交際等義務のないことの要求(同項3号)
4.著しく粗野又は乱暴な言動(同項4号)
5.無言電話・電話拒否後の連続した電話・文書送付・FAX送信・電子メールの送信等の行為(同項5号)
6.汚物などの送付(同項6号)
7.名誉を害する事項を告げ、又はその知りうる状態に置く行為(同項7号)
8.性的羞恥心を侵害する事項を告げる等行為(同項8号)
なお、上記1から4までの行為と、5のうち電子メールの送信等の行為については、「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に」という限定が付いています(2条4項)。
事例では、Aは、恋愛感情に基づいて被害者のVに対して複数回つきまとい行為を行い、盗撮等の行動の自由や平穏を害するような方法で2条1項1号の「つきまとい」を行っているので、身体の安全が害されるような方法により行われたとして、「ストーカー行為」に当たる可能性があります。
ストーカー行為を行うと、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになります(18条)。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌では、ストーカー規制法違反の事件の弁護経験が豊富な弁護士が在籍しております。
ご家族の中にストーカー規制法違反の疑いで逮捕された方がいる、あるいは、自身がストーカー規制法違反の疑いで警察から捜査を受けているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部まで一度御相談ください。(0120-531-881)
【事例解説】洋服店内で女性のスカート内を盗撮したとして男が逮捕
洋服店で20代の女性のスカート内を盗撮したとして男が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
事例
釧路警察署は、釧路市内の洋服店内で商品を選んでいた20代女性に後ろから近づき、スカート内にスマートフォンを差し入れて下着を盗撮したとして性的姿態等撮影罪の容疑で男を逮捕しました。
警備員が男の盗撮行為を目撃して、男を確保して警察に通報したことで、逮捕に至ったようです。
警察の調べに対し男は、スカート内の盗撮を認めているようです。
(フィクションです。)
性的姿態等撮影罪とは
性的姿態等撮影罪とは、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(出典/e-GOV法令検索)の第2条1項に定められており、刑罰として「三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金」が定められています。
事例の男が、スカート内にスマートフォンを差し入れる行為は、同法第2条1項1号イに定められる、「人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」を撮影していると評価される可能性があります。
また、同条第2項は「前項の罪の未遂は、罰する。」と定めているため、性的姿態等撮影罪には未遂罪も規定されています。
そのため、もしAさんの撮影行為により下着が映っていなかったとしても性的姿態等撮影未遂罪が成立する可能性もあります。
まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、盗撮事件を含む豊富な刑事弁護の経験がある法律事務所です。
逮捕などの身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
逮捕された方の元に、最短当日に、弁護士を派遣する初回接見も行っております。
なるべく早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部へご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。
【事例解説】19歳だという女性にお金を払って性交。実は18歳未満だった?
18歳未満の相手を買春した事例、及び児童買春罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
23歳のAは、SNSで知り合った女性Vに3万円を払って、ホテルで性交をしました。Vは19歳だと言っていましたが、後日、白石警察署から、17歳の女性と性交をした疑いで、事情聴取されました。
児童買春罪で捜査を進めているとのことです。(フィクションです)
児童ポルノ法について
児童買春罪は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(いわゆる児童ポルノ法)に定められています。
児童ポルノ法2条によれば、児童買春とは、
①児童(=18歳未満の者)に対して
② 対償を供与し、又はその供与の約束をして、
③ 性交等をすること
を意味するとされています。
②「対償を供与し」、というのは、性交の対価としてお金や、その他の経済上の利益を与えることです。バッグや食品なども該当します。また、実際に与えなくても、それらを与えるという約束をするだけで足ります。
なお、経済上の利益を与える先は、その児童本人に限られず、その保護者や、買春をあっせんした者も含まれます。
③「性交等」とは、
・性交(陰茎を膣に挿入すること)
・性交類似行為(肛門性交や口腔性交など)
・自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器・肛門・乳首を触ること
・自己の性的好奇心を満たす目的で、児童に自己の性器・肛門・乳首を触らせること
が挙げられています。
警察の言うことが事実ならば、Aは、17歳の「児童」であるVに対し、3万円という「対償を供与し」、「性交」をしているため、児童買春罪が成立する可能性があります。
一方で、Aが本当にVの年齢を19歳だと信じていたならば、犯罪の故意がないため、犯罪は成立しないかもしれません。ただし、警察や裁判所がそのAの言い分通りの認定をするとは限りません。
また、未必の故意といわれますが、Vが18歳未満かもしれないとAが認識していた場合でも、故意が認められる可能性があります。
弁護活動
上述のとおり、今回の事例では未必の故意が認められるかどうかが犯罪の成否を大きく左右するかもしれません。そこで、警察がAを取調べする際には、AがVの年齢を18歳未満かもしれないと認識していた、という調書を取ろうとする可能性があります。
取調べの際に、一つの選択として黙秘を貫くか、それともそれ以外に最善の方法があるかどうかの判断は、証拠関係などによっても様々あり得ます。
ですから、なるべく早い段階で弁護士に相談されることをお勧めいたします。
児童買春・児童ポルノ禁止法違反被疑事件で警察から捜査を受けている方、お困りの方は、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
また、逮捕され身体拘束を受けている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。
【事例解説】自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕(後編)
自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
この後編では、被害者の供述等の証拠について争われた例を解説します。
事例
Aは、自身と同居している養女のV(16歳)と、今年の4月~5月ごろにかけて複数回性交をしました。
Vが母親に被害を告白したことをきっかけに、Vは児童相談所に保護され、Aは逮捕されました。
(フィクションです)
実行行為の存否
今回の事例では、第三者による犯行の目撃等がなく、さらにAが性交の事実を否定しているとします。そのような場合は、被害者の供述や、客観証拠などによって犯罪の実行行為があったことを認定することになります。
ここで、被害者の供述の信用性などが争われた判例(福岡高判令和3・10・29)を紹介しながら、被害者の供述の信用性の判断のポイントを解説します。
なお、この判例の事案は、今回の事例に近いものですが、被害者(以下Vとする)が14歳であったことと、被害者が軽度知的障害段階(IQ77,精神年齢11歳4か月)であったことが今回の事例とは異なっています。
この判例では、被害者の供述の信用性を判断するうえで、
①被害者の供述は客観的証拠によって裏付けられているか否か
②被害者の供述に具体性・迫真性があるか否か
③被害者の供述に不自然・不合理な点があるか否か
④被害者に虚偽供述の動機があるか否か
が審理されました。
①まずVの供述を被害者の外陰部の損傷という客観的証拠によって裏付けることができるかどうかが争われました。
1審では、損傷は性交によらなくても起こり得ること、損傷の状態から挿入された物を同定することはむずかしいこと、もとより、Vの身体の損傷からそれを生じさせた者を推認することはできない、などの理由で、Vの供述が客観的証拠によって裏付けられているとは言えず、信用性を備えていないと結論付けました。
これに対し、控訴審では、性暴力や虐待事案に関する生体鑑定の法医学の専門的知見をもつ医師の供述から、むしろ損傷はVの供述を裏付ける客観証拠と認められる可能性が高いとしました。
②次に、Vの供述が実際に体験しなければ供述できないほどの具体性・迫真性があるかどうかについては、未成年であることや軽度知的障害であることを考慮すると、具体性・迫真性に欠けるからといって直ちに架空の被害を創作した合理的疑いが生じると推認するのは適当ではない、としたうえで、Vの供述のほぼすべてが検察官の誘導尋問によって引き出されたものであるともいえない、としました。
③さらに、1審では、AやVと同居している他の家族が、犯行に一切気付かなかったというのは不自然・不合理である、としましたが、控訴審では、VはAを恐れて抵抗せず、起きていることがAにばれないようにしていたと供述していることや、Aにおいても発覚を防ぐため細心の注意を払っていたとみるのが自然であり、他の家族が気付かなかったとしても不自然・不合理であるとはいえないとしました。
④最後に、虚偽供述の動機があるか、については、VがAに悪感情を抱いていたことから、ストレス源であるAを悪者にしようと考え虚偽の供述をしたという可能性について、それなりに合理性があるというのが1審の判断でした。
しかし、控訴審ではVの被害申告の経緯には特に作為的なものがうかがわれず、むしろ慎重で真摯なものであったとみる余地が十分にあるとして、さらに審理を尽くすべきとしました。
この事案では、最終的にVの供述の信用性が認められ、Aは懲役7年の実刑となりました。
(参考図書:『裁判例に学ぶ刑法各論Ⅰ 個人的法益編』)
弁護活動
今回紹介した事例のようなケースで罪を認めない場合、弁護活動としては、被害者の供述が信用できないことを主張していくことなどが主になることが多いかもしれません。また、不利な供述をしないように取調べのアドバイス等も行います。
罪を認める場合でも、被害者への謝罪や再犯をしないための取り組みをサポートすることで、少しでも有利な結果を求めていきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、ご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑
事事件総合法律事務所札幌支部までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回
接見サービス」(有料)をご提供しています。
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【事例解説】自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕(前編)
自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
事例
Aは、自身と同居している養女のV(16歳)と、今年の4月~5月ごろにかけて複数回性交をしました。
Vが母親に被害を告白したことをきっかけに、Vは児童相談所に保護され、Aは逮捕されました。(フィクションです)
監護者性交等罪について
この前編では監護者性交等罪の成立要件や罰則などについて解説します。
刑法179条2項(出典/e-GOV法令検索)は、18歳未満の者に対し、「その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等を」する行為を罰しています(監護者性交等罪)。
監護者性交等罪は2017年に新設された犯罪で、罰則は5年以上の有期拘禁刑です。
それまでは同種の事案では、青少年保護条例や児童福祉法が適用されることが多かったのですが、それらに比べて罪が重くなっています。罰金刑もないため、起訴されると、公開での裁判が開かれることになります。
監護者性交等罪の成立要件は、以下の4つです。
①監護者であること
②相手が18歳未満の者であること
③監護者であることによる影響力に乗じたこと
④性交等を行ったこと
①監護者とは、親などのように、生活全般にわたって保護する者のことです。
同居の有無や、身の回りの世話をしているかどうか、生活費の支出をしているかどうかなどの事情から、監護者かどうかが判断されます。そのため、親権者であっても「監護者」にはあたらない場合もありますし、反対に、親権者ではなくても「監護者」にあたる場合もあります。
たとえば、親から子供を預かって実際に養育している親類や、同居している親の交際相手などは監護者に該当する可能性があります。
一方、学校や塾の教師、習い事のコーチ、バイト先の教育係などは、子供の生活全般にわたって世話をしているとまでは言えないため、基本的に監護者にはあたらないでしょう。
③「監護者であることの影響力に乗じ」とは、生活を保護することによって生じている影響力を利用することをいいます。
衣食住など生活全般について、被害者が自己に一定程度依存している関係にあることを認識しながらわいせつな行為に誘導する場合などが該当するでしょう。
④「性交等」とは、
・性交:陰茎を膣内に挿入する行為
・肛門性交:陰茎を肛門に挿入する行為
・口腔性交:陰茎を口腔内に挿入する行為
のことを意味します。
今回の事例で、Aは、自己と同居しているVの養親でありながら、Vと性交をしており、監護者であることの影響力がないとされるような特段の事情がない限り、監護者性交等罪が成立する可能性があります。
後編では、被害者の供述などの証拠の信用性の判断について、それが争われた判例を紹介しながら解説します。
弁護士にご相談を!
監護者性交等罪は懲役刑のみで罰金刑はありませんので、起訴されることはすなわち公開裁判が開かれることを意味します。また、有罪になれば、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に収監されます。
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【事例解説】SNSを利用して、わいせつ目的で未成年を誘拐
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が、わいせつ目的で未成年が誘拐された事例について解説します。
事例
Aは、SNSのアプリで、中学生だというVが「家出したい」と投稿しているのを見かけました。そこで、Aは、わいせつな行為をする目的で、Vを誘拐しようと考え、「札幌市だけど来る?」「交通費も出すし、車で迎えに行ってもいいよ」などと言って誘惑し、札幌駅の駅前で合流したあと、4時間後に自宅に連れ込みました。その後は3日間ほど寝泊まりさせました。
Vの携帯の位置情報からAの自宅が特定され、Aはわいせつ目的誘拐罪で逮捕されるに至りました。
(フィクションです)
わいせつ目的誘拐罪について
刑法(出典/e-GOV法令検索)には、わいせつ目的誘拐罪という犯罪が定められています。
(営利目的等略取及び誘拐)
第二百二十五条 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
わいせつ目的誘拐罪が成立するためには、
①わいせつの目的を有すること
②わいせつ目的で、他人を誘拐すること
が必要です。
「わいせつ目的」とは、不同意性交や不同意わいせつなどの性的行為をする目的のことです。第三者にわいせつ行為をさせる目的、あるいは被誘拐者にわいせつ行為をさせる目的も含まれるため、例えば売春をさせる目的も、わいせつ目的に当たります。
「誘拐」とは、欺罔・誘惑を手段として、他人をその生活環境から離脱させ自己または第三者の事実的支配下に置くことです。
事例の場合
Aは初めからわいせつな行為をする目的がありました。
そして、家出願望のある少女に対して「車で迎えに行ってあげる」などと誘惑し、自己の支配下である自宅に連れて帰っています。
被害者は、一般的に社会経験や所持金などが乏しい中学生であり、加えて家出願望もあったことから、本件のような程度の誘惑でも家出を決意させるものとして十分と判断される可能性が高いでしょう。
また、もし仮に被害者の同意があったと認識していたとしても、保護者の監護権や親権も保護法益として考慮する必要があることから、違法性がないとは言えません。相手の同意があるから違法ではないと思った、という言い逃れは認められない可能性が高いでしょう。
したがって、Aが、わいせつ目的を有したうえで、誘惑を手段とし、Vを遠方の自宅に連れ帰った時点で、わいせつ目的誘拐罪が成立する可能性が高いでしょう。
なお、刑法では未成年誘拐罪も定められていますが、わいせつな目的がある場合は、より罪の重いこちらの犯罪が成立することになります。
また、誘拐に加えて、たとえばわいせつな行為や性交をすると、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪も成立し得ます。
そのほか、たとえば、裸体や性行為時の姿を撮影し、その写真をインターネットで不特定多数の者が見える形でアップロードをするなどすれば、リベンジポルノ防止法3条にも違反します。こちらの法定刑は三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金です。
弁護活動
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部がわいせつ目的で未成年が誘拐された事例について解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。
【事例解説】交際関係のトラブルから刑事事件に(後編)
交際関係のトラブルから刑事事件になってしまった架空の事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
事例
札幌市内の大学に通うAは、同じ大学に通う恋人V(21歳)との情事の際、Vの裸の姿を何度か盗撮していました。ある日、AとVは喧嘩別れのようになり、しかし未だVのことが忘れられないAは、Vに対し、「もう一度会おう。会ってくれないと写真をばらまくかも」だとか「ヨリをもどしくれないと共通の知人に写真や動画を見せる」などというLINEを送りました。
Aさんから上記のメッセージを受け取ったVさんは恐怖を感じて警察に相談することにしました。
後日、Aさんは厚別警察署から呼び出しを受け、不安になったAさんは弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
成立する可能性のある刑法犯
次に刑法でも処罰される可能性がある行為について解説します。
刑法175条のわいせつ物頒布罪では、リベンジポルノなどの目的がなくても、SNSで今回のような映像を頒布した場合は、「2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金、又はこれを併科」するとされています。
刑法230条の「名誉毀損罪」についても、本来であれば隠されている部分や、一般に見せるべきでないとされている行為などを周囲に見せることは、周囲からの評価が変わってしまうおそれがあります。映像をSNS等で、特に文字付で公開した場合等は名誉毀損罪に該当し得ます。この場合の罰則は「3年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金」です。
さらに、「写真をばらまく」などとVに伝える行為は、脅迫罪にも当たり得ます。性的な写真をばらまかれることはVの「名誉」等を害する可能性があるためです。脅迫罪の罰則は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
加えて、写真のばらまき等を復縁するための手段として用いることでVを脅迫した場合は、強要罪にも当たり得、こちらはより重く「3年以下の懲役」に処されます。
このような脅迫を手段としてVに性交を強要してしまった場合、刑法第177条の不同意性交等罪(5年以上の拘禁)も成立し得ます。
まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、豊富な刑事弁護の経験がある法律事務所です。
交際関係のトラブルから生じる刑事事件についても対応している実績が多数あります。
なるべく早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部へご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。
【事例解説】交際関係のトラブルから刑事事件に(前編)
交際関係のトラブルから刑事事件になってしまった架空の事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
事例
札幌市内の大学に通うAは、同じ大学に通う恋人V(21歳)との情事の際、Vの裸の姿を何度か盗撮していました。ある日、AとVは喧嘩別れのようになり、しかし未だVのことが忘れられないAは、Vに対し、「もう一度会おう。会ってくれないと写真をばらまくかも」だとか「ヨリをもどしくれないと共通の知人に写真や動画を見せる」などというLINEを送りました。
Aさんから上記のメッセージを受け取ったVさんは恐怖を感じて警察に相談することにしました。
後日、Aさんは厚別警察署から呼び出しを受け、不安になったAさんは弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
事例の行為は何罪が成立し得る?
Aの上記行為は様々な法律に抵触する可能性があります。
まず、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」は、正当な理由もなく人の「性的姿態等」を撮影する行為を罰しています(同2条1項)。
ここでいう「性的姿態等」とは、
・人の性的な部位(性器やその周辺部、胸部など)、又は性的な部位を覆っている下着の部分や、
・わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態
などが当てはまります。
今回、AはVの「胸部」を含めた裸の姿などを同意なく盗撮しており、これは上記の撮影行為に該当し得る行為といえます。
性的姿態等撮影罪の罰則は、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」とされています。
また、今後、撮影行為により生成された「性的影像記録」を、LINEなどの媒体を使って共通の知人に「提供」した場合は、性的映像記録提供罪として「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」に処される可能性があります(同3条1項)。
共通の知人に限らず、多数の在籍するLINEのグループや、不特定多数が閲覧可能なSNSなどに上記の記録を「送信」した場合は、さらに罪が重くなり、「5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされています(同3条2項)。
加えて、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(いわゆるリベンジポルノ防止法)3条1項・2項も、同様の記録の「提供」及び「公然と陳列」する行為を罰しています。こちらは「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされています。
他にも、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」は、「つきまとい等」の「ストーカー行為」を規制しており、これにも該当する可能性があります。
具体的には、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「名誉」や「性的羞恥心」を害する電磁的記録などを他人が知り得る状態に置くことを繰り返す行為です(同2条1項7号・8号)。この場合の罰則は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となっています。
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