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覚醒剤使用に用いる注射器を破壊し、公務執行妨害の疑いで逮捕
今回は、薬物使用を疑われた被疑者が、覚醒剤の使用に用いていた注射器を踏みつけて破壊し、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕されてしまった場合の刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~ケース~
札幌市中央区の歩道を歩いていたAさんは、警察官から薬物の使用を疑われ、職務質問を受けました。
警察官がしきりに持っているバッグの中身を見せるよう要求するので、Aさんは自ら覚醒剤の使用に用いていた注射器を取り出し、これを力いっぱいに足で踏みつけて粉々に破壊してしまいました。
Aさんは、注射器を足で踏みつけて破壊し、警察官らの公務の執行を妨害した疑いで、札幌方面中央警察署に現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~公務執行妨害罪について解説~
公務執行妨害罪とは、「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加える行為」(刑法第95条1項)、及び、「公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加える行為」(刑法第95条2項)をいいます。
実際に公務員の職務執行が妨害されたことは必要ではありません。
(「暴行」について)
公務執行妨害罪の「暴行」は、暴行罪における「暴行」と異なり、公務員の身体に直接向けられる必要はなく、その補助者や物に対して加えられることによって、間接的に公務員に物理的・心理的な影響を与えるようなものも含みます。
判例で認められたものとして、
・「税務署員が差し押さえた密造酒入りの瓶を割って内容物を流出させる行為」(最高裁昭和33年10月14日判決)
・「逮捕現場で警察官が押収した覚醒剤注射液入りアンプルを足で踏みつけて破壊する行為」(最高裁昭和34年8月27日決定)
などが公務執行妨害罪の「暴行」として認められています。
これによれば、Aさんが警察官を直接殴打するなどしたわけではなくても、覚醒剤の使用に用いていた注射器を力いっぱい踏みつけて破壊する行為も「暴行」に該当する可能性があります。
もっとも、Aさんは注射器を押収される前に自分のバッグから取り出すやそのまま破壊したので、押収されて警察官の下にあった物を破壊した判例とは異なり、「暴行」には当たらないと判断される可能性もあります。
~今後の捜査~
公務執行妨害罪の疑いで逮捕され、Aさんのバッグから覚醒剤などの違法薬物が発見されれば、覚醒剤所持の嫌疑もかかります。
また、所持していた覚醒剤を使用しているのではないかとの嫌疑もかかるでしょう。
Aさんに尿検査がなされ、覚醒剤の使用を示す反応が検出されれば、覚醒剤使用の件でも捜査を受けることになるでしょう。
(逮捕が繰り返される場合もある)
逮捕・勾留されると、捜査段階において最長23日間の身体拘束を受けることになります。
Aさんは公務執行妨害罪の疑いで逮捕されていますが、この勾留期間が満期を迎え釈放された直後、あらためて覚醒剤所持罪等の疑いで逮捕されてしまう場合もあります。
このような場合、捜査段階において身体拘束を受ける期間が非常に長くなってしまい、Aさんの心身に大きな負担を与えることになります。
早急に弁護士を依頼し、公務執行妨害罪の捜査とあわせて覚醒剤所持罪等の捜査を行うよう働きかけ、身体拘束を受ける期間が不当に長くならないよう取り計らう必要があるでしょう。
~適切な主張・保釈の実現・執行猶予付き判決の獲得を目指す~
逮捕・勾留されたからといって当然に犯罪が成立するわけではありません。
犯罪の成否に疑いがあればその旨主張し、無罪を目指す必要があります。
さらに、尿検査などの捜査が適法に行われたかを検討し、違法な捜査があればその捜査により得られた証拠は裁判の証拠として排除するよう主張する必要があります。
また、薬物犯罪の捜査は長引きがちですが、起訴後、保釈を実現できる可能性があります。
保釈を実現することにより身体拘束から解放されることはもちろん、再犯防止に努めていることをアピールするために、薬物依存の治療プログラムを開始することができるようになります。
また、Aさんが初犯であれば執行猶予付き判決を獲得できる可能性もあります。
言い渡された懲役刑の刑期が6か月であっても、3年であっても、執行猶予がつかなければ刑務所に行かなくてはなりません。
弁護士に依頼し、裁判官に対して再犯防止に努めていることを説得的に訴えかけ、執行猶予付き判決の獲得を目指しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が公務執行妨害罪の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
公然わいせつの疑いで逮捕
今回は、酒に酔って全裸で外出し、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~ケース~
札幌市厚別区に住むAさんは、日頃のストレスを和らげるため、いつもよりも多くお酒を飲んだところ、全裸で外出してみたくなり、服を脱いで外を歩いていると、パトロール中の警察官から職務質問を受けました。
職務質問の後、Aさんは公然わいせつの疑いで札幌方面厚別警察署に現行犯逮捕されてしまいました。
逮捕され、酔いがさめたあと、Aさんは自身の行動を悔やんでいます。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)
~公然わいせつ罪について解説~
公然わいせつ罪は、その名の通り、公然とわいせつな行為をする犯罪です(刑法第174条)。
法定刑は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています。
「公然」とは、わいせつな行為を不特定または多数人が認識し得る状態をいいます。
現実に不特定または多数人が認識したことは必要でなく、認識する可能性があれば足ります。
したがって、全裸で外に出たが誰にも見られることはなかった、という場合であっても、後日検挙されてしまう可能性があります。
(わいせつな行為)
「わいせつな行為」とは、行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいいます。
典型例として、公然と陰部を露出することが挙げられます。
ケースの事件は公然わいせつ行為の典型例ということができるでしょう。
~身柄解放活動を弁護士に依頼~
逮捕・勾留されてしまうと、捜査段階において最長23日間の身体拘束を受ける可能性があります。
反対に、逮捕された場合であっても、勾留がつかなければ、逮捕されてから3日程度で釈放されることになります。
そのため、逮捕直後の段階においては、勾留を回避する活動が極めて重要となります。
もっとも、Aさんが留置場の中でこのような活動を行い、身柄解放の実現を目指すことは困難です。
したがって、弁護士を依頼し、留置場の外で活動してもらうことが重要です。
逮捕されたからといって、常に勾留決定されるわけではありません。
被疑者を勾留するためには、「罪証隠滅のおそれがある」、「逃亡のおそれがある」などといった要件を満たす必要があります。
責任をもってAさんを監督できる身元引受人を用意し、その上申書を提出するなどして、上記の要件を満たさないことを説得的に主張する弁護活動が考えられます。
検察官や裁判官が勾留の要件を満たさないと判断すれば、勾留されることなく釈放されるでしょう。
~身柄解放を実現した後は?~
釈放されたからといって、事件が終わったわけではありません。
身体拘束を受けていないだけで、捜査は続行されます。
検察官が最終的にAさんを起訴すれば、裁判にかけられることになります。
ケースの事実関係からは、起訴された場合に無罪判決を獲得することは困難でしょう。
前科がついてしまうのを回避するためにはどうすればよいのでしょうか。
~不起訴処分の獲得を目指す~
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられないので、前科がつくことはありません。
ただし、万引きや傷害事件におけるような被害者が存在しない事件なので、被害者に生じさせた損害を賠償し、不起訴処分の獲得を目指す活動はできません。
このような場合は、弁護士会などの団体に対し寄付を行う「贖罪寄付」によって、反省の意思を示すことができることがあります。
贖罪寄付の有効性について、接見にやってきた弁護士に相談しましょう。
その他に、心療内科等に通って性的な逸脱行動をしないよう取り組み、その経過を検察官に示すことが考えられます。
どのようなことに取り組めばいいか、弁護士としっかりと相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が公然わいせつの疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
児童買春事件を略式手続で解決
今回は、塾講師として勤めるAさんが、児童買春事件を起こしてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~ケース~
札幌市白石区に住むAさんは、塾講師として勤務しています。
気に入っていた生徒V(16歳の女子高生)に「お茶でもしないか」などと声をかけて休日に誘い出し、デートをした後、ラブホテルにおいて、Vに4万円を渡してこれと性交しました。
Vは帰宅が遅かったことを両親から咎められ、「塾の先生であるAさんとデートをしていた」と説明しました。
さらに「本当にデートしただけなんだろうな」と詰め寄られたので、Vは両親に罪悪感を覚え、4万円を受け取ってAさんと性交したことを打ち明けました。
Vの両親は怒り心頭で、札幌白石警察署に被害届を提出したところ、Aさんは児童買春の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~児童買春の罪~
「児童買春」とは、
①児童
②児童に対する性交等の周旋をした者
③児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいいます)又は児童をその支配下に置いている者
に対し、
対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすることをいいます(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条2項)。
児童買春の罪を犯し、有罪判決を受ける場合は、「五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」に処せられます(同法第4条)。
~長期間の勾留の可能性~
逮捕され、勾留されると、捜査段階において最長23日間、留置場や拘置所に入らなければなりません。
勾留がつかなければ、逮捕後1~3日程度で釈放されるのですが、勾留がつくと、身体拘束が長期化してしまいます。
一般的に、被疑者と被害者との間柄が近く、お互いに連絡先を知っている場合や、それぞれの自宅が近い、という場合には、罪証隠滅のおそれがあるとして、勾留がつく可能性が高くなります。
ケースに即して検討すると、AさんとVは、塾講師と、その授業を受ける生徒という関係にあります。
また、ケースには記載されていませんが、Vをデートに連れ出すなどしていることから、AさんはVの連絡先を知っているかもしれません。
AさんとVとの間にこのような関係があると、Aさんに罪証隠滅のおそれがあると判断され、勾留が長引いてしまうおそれがあります。
Aさんの生活圏から離れた場所に住む親戚などに依頼して身元引受人となってもらい、責任をもってAさんを監督する旨を誓う上申書を提出することにより、AさんとVが接触する可能性がないことをアピールし、早期の身柄解放を目指す必要があります。
~今後の処分~
児童買春事件の起訴率は高く、不起訴処分により事件を解決することは非常にハードルが高いといえます。
反面、Aさんが初犯であり、被害者も1人であれば、起訴されたとしても、略式手続により事件を解決できる可能性が高いです。
略式手続とは、書面のみにより審理を行い、略式命令によって100万円以下の罰金又は科料を科す制度です。
略式命令がAさんに告知されれば、勾留状の効力が失われますので(刑事訴訟法第345条)、釈放されることになります。
Aさんの勾留中に弁護活動を行う中で、起訴を回避することが極めて困難と考えられる場合には、なるべく早く略式命令の請求をするよう検察官に促し、これに応じてもらうことができれば、早期の事件解決及び早期の身柄解放を実現することができます。
略式命令を言い渡されたあとは、罰金を納付して事件が終了します。
ただし、略式手続においては通常、Aさんの言い分を裁判官に伝えることができません。
ケースの場合は困難と思われますが、例えば、「被害者が18歳未満であると知らなかった」という主張が通れば、児童買春の罪は成立しません。
犯罪の成立を妨げる言い分がある場合に、略式手続に応じるのは得策ではありません。
略式手続に応じるか否かは、重要なポイントです。
略式手続に同意する前に、一度、弁護士と相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が児童買春事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕
今回は、酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕されてしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~ケース~
北海道日高町に住むAさんは、午前5時頃まで深酒をした後、出勤に備えて就寝しました。
自動車で午前8時頃に自宅を出発する予定でしたが、「少し寝たのであれば飲酒運転にはならないだろう」と甘く考え、遅くまでお酒を楽しんでいたようです。
自動車にて通勤中、Aさんの車が若干フラフラと走行していたため、パトカーに停止を求められ、呼気検査を受けることになりました。
Aさんは「一度寝ているから問題ない」と、呼気検査に応じましたが、検査の結果、呼気から0.25ミリグラムのアルコールが検出されたため、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで札幌方面門別警察署に現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~酒気帯び運転の罪について解説~
(酒気帯び運転の罪)
身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で車両等(軽車両を除く)を運転すると、「酒気帯び運転の罪」が成立します。
酒気帯び運転につき起訴され、裁判で有罪が確定すると、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(道路交通法第117条の2の2第3号)。
「政令で定める程度」とは、「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム」です(道路交通法施行令第44条の3)。
Aさんは呼気1リットルにつき0.25ミリグラムのアルコールが検出される状態で自動車を運転していたのですから、酒気帯び運転の罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。
~酒酔い運転の可能性も~
また、Aさんは若干フラフラと運転していました。
これがアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態と判断されると、「酒酔い運転の罪」となります。
酒酔い運転につき起訴され、裁判で有罪が確定すると、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(道路交通法第117条の2第1号)。
「一度寝ているから飲酒運転にはならない」というのは危険な発想です。
飲酒し、睡眠をとったとしても、そのまま起きていたとしても、その後に自動車を運転していた際、「身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」であれば、酒気帯び運転の罪の嫌疑をかけられるのは当然です。
飲酒してから運転するまでの時間、飲酒量、パトカーに停められた直後のAさんの言動などによっては、酒気帯び運転の故意がないとして、酒気帯び運転の罪が成立しない場合も考えられます。
しかし、ケースのように飲酒を終えてから自動車を運転するまで3時間程度しか睡眠していない、という場合においては、故意を争うことは極めて困難でしょう。
自動車を運転する予定がある場合は、飲酒を控えるか、飲酒後、十分な時間をとった上で自動車を運転するように努めることが不可欠と思われます。
~早期の身柄解放を実現する必要性~
Aさんは酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
逮捕後に勾留決定がなされると、捜査段階において最長23日間の身体拘束を受けることになります。
身体拘束が長期化すると、その間、勤務先を無断欠勤することになります。
無断欠勤が続くと、勤務先をクビになる可能性が極めて高くなります。
そのため、早期に弁護士を依頼し、身柄解放活動を行ってもらう必要があります。
ケースの事件は適切な弁護活動を行うことにより、勾留されずに釈放される可能性が見込めます。
この場合は逮捕後、1~3日程度で外に出ることができます。
~Aさんになされる処分は?~
Aさんが初犯であれば、略式手続によって罰金刑を言い渡される可能性が高いのではないでしょうか。
この場合は、罰金を納付することにより、刑事手続が終了します。
もっとも、略式手続は書面のみにより審理が行われるため、Aさんの言い分を裁判官に伝えることができません。
ケースの場合は難しいと思われますが、故意を争い得る事情が存在するなど、Aさんの言い分を裁判官に伝える必要性が認められるときは、略式手続を拒否することも視野に入れる必要があります。
検察官から略式手続を打診されたものの、判断に迷う場合は、弁護士と相談することを強くおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が酒気帯び運転の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
市役所職員への公務執行妨害
市役所職員への公務執行妨害について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
~事例~
札幌市南区に住むAは、必要な書類をそろえるために南区役所を訪れました。
そこで対応した職員の態度に腹が立ったAは職員の胸倉をつかんで「なんだその態度はなめてると殺すぞ」などと文句をまくしたてました。
区役所内は騒然となり、札幌方面南警察署の警察官が駆け付ける事態となってしまいました。
その後、Aは公務執行妨害罪の疑いで逮捕されることとなってしまいました。
Aが公務執行妨害罪で逮捕されてしまったと連絡を受けたAの両親は刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです。)
~公務執行妨害罪~
まずは条文を見てみましょう。
刑法第95条 公務執行妨害罪
1項「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」
2項「公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。」
公務執行妨害罪と聞くとなんとなく警察官に対する暴行をイメージしますが、条文にあるように、「公務員が職務を執行するに当たり」「これに対して暴行又は脅迫を加える」ことで成立する犯罪です。
そして、公務執行妨害罪における「公務員」の定義については、
刑法第7条に
「この法律において「公務員」とは、国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう。」
と規定されています。
つまり、市役所などの職員についてもこの公務執行妨害罪の「公務員」に当てはまることになります。
そのため、今回の事例のように自身の対応をしている市役所職員に対して、胸倉をつかむという暴行で職務の妨害をすれば公務執行妨害罪となってしまうでしょう。
~公務執行妨害罪の保護法益~
刑法では保護するに値すると認められる利益のことを保護法益と呼びますが、公務執行妨害における保護法益は、公務員個人の身体の安全ではなく、公務員の職務の執行という国家的法益にあります。
国家的法益に対する侵害とされる公務執行妨害については、暴行の程度が軽微であっても、厳しい処分となってしまうこともあります。
ただ、不起訴処分を獲得して前科を回避することができる可能性もありますので、今後の見通しをたてるためにも、公務執行妨害事件を起こしてしまったという場合は刑事事件に強い弁護士の見解を聞くようにしましょう。
特に、ご家族が公務執行妨害罪で逮捕されてしまったという連絡を受けたらすぐに弁護士を派遣する初回接見を利用するようにしましょう。
~早期釈放を目指すなら~
ご家族が公務執行妨害罪で逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士に依頼するようにして、早期釈放を目指していきましょう。
逮捕されてしまった場合、その後に勾留が決定してしまうと、起訴されるまでの間に最大で23日間の身体拘束を受けることになってしまう可能性があります。
身体拘束が長引いてしまうと、会社を解雇されたり、学校を退学させられたりなど社会生活に対する影響を大きなものとなってしまいます。
そんな社会への影響を最小限にするためにも早期釈放を目指していきましょう。
早期釈放に向けては、やはり刑事事件に強い弁護士を選任したほうがよいでしょう。
刑事事件に強い弁護士は、身柄解放活動の経験も豊富にありますので、逮捕されてすぐに選任していただければ、最大限の活動を行い、釈放の可能性を高めることができます。
もちろん、その後の最終的な処分に向けても、被害者との示談交渉などさまざまな活動を行っていきます。
公務執行妨害罪やその他刑事事件でお困りの方やそのご家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部までご連絡ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
通話料無料のフリーダイヤル0120-631―881にて、24時間体制で無料法律相談、初回接見の受付を行っておりますのでお気軽にお電話ください。
アパートの隣人宅に強制性交目的で侵入し逮捕
今回は、アパートの隣人である女性Vの自宅に、Vと強制的に性交する目的で侵入した疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~ケース~
北海道余市町に住むアパートに住むAさんは、隣に住む女性Vと強制的に性交することを企図し、Vが帰宅した直後を狙ってV宅に侵入しました。
ところが、Vが大声をあげて助けを求めたため、AさんはV宅から逃亡しました。
逃亡し、数時間後に自宅に戻ったところ、札幌方面余市警察署の警察官がAさんを訪ねてきました。
任意の取調べを受けてほしい、とのことなので余市署に出頭したところ、V宅で起きた事件に心当たりはないかと尋ねられました。
Aさんは隠し通すことはできないと思い、Vと強制的に性交する目的でV宅に侵入したことを打ち明けました。
Aさんは、取調べを受けたあと、住居侵入罪の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~Aさんに成立しうる犯罪は?~
(住居侵入罪)
正当な理由がないのに、人の住居に侵入する犯罪です(刑法第130条前段)。
「侵入」とは、管理権者の意思に反する立入りを意味します。
Vは、自身と強制的に性交する目的でAさんが立ち入ることを容認していないと考えられるので、Aさんの立入り行為は「侵入」に該当する可能性が極めて高いと思われます。
住居侵入罪について有罪が確定すると、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。
(強制性交等罪について)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(「性交等」といいます)をし、又は、13歳未満の者に対し、性交等をする犯罪です。
かつては強姦罪と呼ばれていた犯罪類型であり、法定刑は5年以上の有期懲役となっています。
ケースの場合、Aさんに強制性交等罪は成立するのでしょうか。
結論を述べれば、成立しない可能性が極めて高いでしょう。
強制性交等罪には未遂犯処罰規定(刑法第180条)がありますが、未遂犯が成立するためには「犯罪の実行に着手」し、これを遂げなかったことが必要です(刑法第43条本文)。
AさんはVと強制的に性交する目的でV宅に立ち入っていますが、AさんはVに触れてさえいないため、「強制性交等罪の実行に着手」したとはいえません。
そのため、強制性交等罪は未遂犯も成立しない、ということになります。
(ただし、Vの供述次第では…)
警察は被害者としてVの取調べも行います。
その際にVが「無理矢理襲われそうになった」などと供述した場合は、Aさんに強制性交等罪の疑いがかかるかもしれません。
もちろん、警察官から「強制的に性交しようとしたのか」と聞かれた場合にはきっぱりと否定する必要があります。
時には、Aさんの供述が虚偽とされ、取調べが苛烈になったり、供述した内容と異なる調書が作成されることがあるかもしれません。
その場合には、すぐに弁護士と相談し、抗議等を行ったり、取調官を変更するよう働きかける必要があるでしょう。
~Vと示談をする~
被害者と示談交渉を行うことも重要です。
被害者と示談が成立すれば、不起訴処分やより軽い量刑による判決など、有利な処分を獲得できる可能性が高まります。
ただし、Aさんは身体拘束を受けているため、示談交渉を行うことができません(在宅事件であるため被疑者自身において示談交渉が可能である、という場合であっても、自らケースのVと示談交渉を行うことはおすすめできません。罪証隠滅のおそれがあるとして、逮捕される可能性が高まるかもしれません)。
そのため、依頼した弁護士に外で示談交渉を行ってもらう必要があります。
~最後に~
ケースの事件は、住居侵入事件に留まる可能性が高いとはいえ、Vが感じた恐怖は相当強いものであったでしょう。
そのため、示談金額が高くなったり、引越代まで求められるなど、示談交渉が難航する場合もあります。
十分な弁護活動を行うためには、早期に弁護士を依頼することが重要です。
まずは刑事事件に熟練した弁護士の接見を受け、今後の善後策を立てていきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が隣人と強制的に性交する目的で隣人宅に侵入し、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
身に覚えのない連続侵入盗事件の取調べ
今回は、身に覚えのない連続侵入盗事件の取調べに対する対処方法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~ケース~
Aさんは深夜、北海道栗山町の民家に侵入し金品を物色していたところを家人に発見され、駆け付けた札幌方面栗山警察署の警察官により住居侵入・窃盗未遂の疑いで逮捕されてしまいました。
近頃、Aさんが侵入した民家の近辺では侵入盗事件が相次いでおり、警察はAさんが犯人ではないかと考えているようです。
もっとも、Aさんが事件を起こしたのは冒頭の件のみで、連続侵入盗事件とは関係がありません。
しかし、取調官はAさんの弁解を信用してくれず、次第に取調べの態様も高圧的になりつつあります。
Aさんはどうするべきでしょうか。(フィクションです)
~身に覚えのない犯行の疑いをかけられたら~
すぐに弁護士と相談し、取調べの対処方法についてアドバイスを受けましょう。
最悪のケースは、身に覚えのない侵入盗事件を起こしたと自白する調書を作成され、無実の罪につき有罪判決を受けてしまうことです。
裁判官が冤罪を見抜くことができればよいですが、その保証はどこにもありません。
裁判になったときに、改めて裁判官に冤罪を訴えればよい、という考えは甘いといえます。
一度作成されてしまった自白調書を覆すことは大変困難です。
Aさんの認識と異なる調書が作成されることは絶対に避けなければなりません。
~やっていない事件の自白がなぜできるのか?~
ところで、やっていない、関わっていない事件の自白がなぜできるのか疑問に感じると思います。
それは、供述調書の作成方法に問題があると考えられます。
供述調書は、取調官が供述者の供述を聞き、要点をまとめて文書に仕上げ、供述者の署名・押印を得る、というプロセスで作成されます(供述者が自ら筆記するなどして作成される場合もあります)。
ということは、供述者が供述したことと全く異なる内容が記載された調書が作成されたとしても、とにかく供述者の署名押印が得られれば、調書上、供述者が記載通りに供述した、という体裁ができあがります。
場合によっては、取調官が勝手に調書を作成しはじめ、署名・押印だけ求められる、ということもあるかもしれません。
捜査の進捗にもよりますが、当然ながら捜査機関は捜査中の事件がどのような事件であったのか、ということを把握しています。
これを裏付けるような供述調書をあらかじめ作成し、事件と無関係な被疑者に署名・押印をさせることができれば、簡単にやっていない事件の自白調書が完成します。
~Aさんは取調べに対してどう対応するべきか~
(黙秘権の行使)
やっていない事件については、そのまま「やっていない」と供述すればよいです。
もし取調官がAさんの供述を聞いてくれない場合は、黙秘権を行使することが考えられます。
(署名押印拒否権)
前述のように、供述したことが供述調書に記載されなかったり、供述していない事柄が供述調書に記載されている場合はどうすべきでしょうか。
被疑者に認められた権利として、「増減変更申立権」、「署名押印拒否権」があります。
供述調書に供述したことと異なる事柄が記載されていたり、供述していない事柄が記載されている場合には、取調官に対し、修正を申し立てることができます(刑事訴訟法第198条4項)。
もし取調官が修正の申立てに応じてくれない場合は、署名・押印を拒否することができます(刑事訴訟法第198条5項但書)。
もっとも、これらの権利の行使により、取調べがさらに苛烈になる可能性も否定できません。
その場合は弁護士に相談し、取調官や検察官に抗議を行う必要があります。
Aさんは住居侵入・窃盗未遂事件を起こし逮捕されていますが、Aさんと関係のない事件についてまで罪に問われる道理はありません。
冤罪を予防するためにも、なるべく早期に弁護士を依頼するのが良いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族に対し、身に覚えのない連続侵入盗事件の嫌疑をかけられ、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
過失運転致傷・ひき逃げ事件の自首をサポートする弁護士
今回は、過失運転致傷・ひき逃げ事件を起こし、自首を検討している方に適した弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、北海道倶知安町内の道路において自動車を運転中、横断歩道にいた歩行者Vの存在に衝突の直前まで気付かず、あわててブレーキをかけたもののVに衝突し、怪我を負わせてしまいました。
Vの怪我は軽傷でしたが、道路に倒れたまましばらく動けなくなっているのを見てAさんは怖くなり事故現場を立ち去りました。
現場から逃亡後、Aさんは自宅に戻りましたが、罪悪感に苛まれ、自首をしようと考えています。
Aさんは自首に先立ち、刑事事件に詳しい弁護士と法律相談をすることにしました。(フィクションです)。
~Aさんに成立する犯罪~
(過失運転致傷罪)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を傷害する犯罪です。
自動車を運転するAさんには、横断歩道上の歩行者などの有無に留意し、歩行者がいればハンドルやブレーキを適切に使用して衝突を回避する注意義務があったと考えられます。
ところがAさんは衝突の直前までVの存在に気付いておらず、上記注意義務に違反していたものと考えられるので、「自動車の運転上必要な注意を怠」ったものと判断される可能性が高いでしょう。
自動車の運転上必要な注意を怠り、Vに自動車を接触させ、傷害を負わせてしまったものと評価できる場合、Aさんに過失運転致傷罪が成立することになります。
過失運転致傷罪の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金ですが、Vの傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除されることがあります。
(救護義務違反、危険防止等措置義務違反)
一般に「ひき逃げ」と呼ばれる犯罪です。
道路交通法第72条1項前段は、
「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない」
としています。
Vの傷害はAさんの車の運転に起因するものと考えられますが、AさんはVの様子を見て怖くなり、救急車を呼ぶなどしてVを救護することも、道路の危険を防止する措置を講じることもなく、事故現場から立ち去ってしまいました。
上記行為は、道路交通法違反の罪(救護義務違反・危険防止等措置義務違反)を構成する可能性が高いと思われます。
法定刑は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっております。
~自首の検討~
事故を起こした後、自宅に戻ったAさんは罪悪感に苛まれ、自首することを検討しています。
自首をするメリットとして、①刑の減軽を受けられる可能性があること、②自ら捜査機関に犯罪行為を申告したことが評価され、逮捕されずに済む場合があることが挙げられます。
ケースの場合、Vの怪我が軽傷なので、逮捕されずに済む可能性はあります。
ただし、絶対逮捕されない、というわけではありません。
そもそも、Aさんの行ったひき逃げ行為自体が現場から逃亡する行為なので、「逃亡のおそれあり」と判断され、自首した後に逮捕されてしまうことも十分考えられます。
また、捜査機関に発覚する前に申告しなければ「自首」ではなく「出頭」として取り扱われます。
ひき逃げ事件の検挙率は比較的高く、事件を起こした翌日に検挙されるケースも多く存在します。
既にVが警察に被害を申告していて、自動車を運転していたのがAさんであると特定されていれば、「自首」として取り扱われない、ということです。
しかし、弁護士と相談した上で、覚悟を決めて自首・出頭をすることにより、いつ逮捕されるかわからない不安な状況に終止符を打つことはできます。
また、何の用意もなくいきなり逮捕されてしまう場合に比べ、入念な準備を行った上で逮捕されるのであれば、事態として良いということができるかもしれません。
いずれにしても、自首・出頭を行う場合には、自首・出頭に先立ち、弁護士を依頼しておくのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
過失運転致傷・ひき逃げ事件を起こし、自首することを検討されている方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
大麻所持事件において保釈を目指す弁護活動
今回は、大麻所持事件を起こしてしまい、起訴されてしまった被告人の保釈を目指す弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~ケース~
札幌市東区に住むAさんは、自宅自室のデスクの中に大麻を所持していた公訴事実により、札幌地方裁判所へ起訴されてしまいました。
札幌方面東警察署に逮捕された後は勾留がつき、起訴された今も留置場から出ることができていません。
長期間の勾留のため、Aさんは心身ともに限界を迎えており、なるべく早期に外へ出たいと考えています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)
~大麻所持罪について~
大麻取締法第24条の2第1項は、「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する」としています。
法定の除外事由(大麻取締法第3条、第2条)がないのに、大麻を自宅自室のデスクの中で保管する行為は、上記「所持」に該当する可能性が高いでしょう。
~保釈を目指す弁護活動~
(薬物事犯の身体拘束は長引きがち)
一般的に、大麻所持罪をはじめとする薬物事犯においては、勾留され、長期間外に出られなくなる可能性が高いです。
それは、①薬物の入手ルートの解明、②薬物を扱う人物や組織の実態解明に時間を要するからです。
薬物を誰かと一緒に使用・所持していたというような場合も、早期の身柄解放は極めて困難と思われます(共犯者が存在する場合においては、薬物事犯に限らず、勾留がついて身体拘束が長期化する可能性が高いです)。
(保釈の実現を目指す弁護活動)
反面、Aさんが初犯であり、大麻を所持していたというだけであれば(「使用」もしているかもしれませんが、大麻の「使用行為」そのものは罰せられません)、保釈を実現できる可能性を見込めます。
「保釈」とは、保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を意味します。
保釈は起訴後になされる手続です。
そのため、捜査段階においては保釈とは異なる身柄解放活動を実施する必要があります。
保釈金の額は、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、被告人の性質・資産を考慮し、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額が定められます。
裁判が無事に終了すれば、保釈金は戻ってきます。
反対に、逃亡、罪証隠滅行為を行った場合には、保釈が取り消され、保釈金も「没取」されてしまう可能性があります(刑事訴訟法第96条参照)。
せっかく保釈決定を獲得した以上は、これを取り消されるような行為をしないようにしなければなりません。
~保釈の種類~
(権利保釈)
裁判所は、保釈の請求があったときは、権利保釈の除外事由(重罪事件である、罪証隠滅のおそれがあるなど)がある場合を除き、原則として保釈を許可しなければなりません(刑事訴訟法第89条)。
(裁量保釈)
また、権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができます(刑事訴訟法第90条)。
(義務的保釈)
さらに、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求によりまたは職権で、保釈を許さなければなりません(刑事訴訟法第91条)。
義務的保釈は実務上、ほとんどありません。
~最後に~
保釈を実現することにより、身体拘束に伴う心身の負担から解放されることはもちろんですが、薬物依存の治療プログラムを開始したり、薬物依存からの脱却をサポートする団体を利用することができるようになります。
Aさんにとって有利な判決を獲得するためには、Aさんが再犯防止に努めていることをアピールする必要があります。
身体拘束を受けた状態では、実施可能な弁護活動が限られてしまいます。
弁護活動の幅を広げるためにも、保釈の実現は重要といえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が大麻所持の公訴事実により起訴されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
児童ポルノ所持事件における弁護士の選び方
今回は、闇サイトから購入した児童ポルノを所持していることが発覚し、被疑者となってしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~ケース~
北海道浦河町に住むAさんは、インターネットの闇サイトから、児童ポルノを数十点購入し、自宅PCのハードディスクに保存して所持していました。
ところが、闇サイトの運営者が検挙され、購入先リストからAさんが浮上し、Aさんは札幌方面浦河警察署に自宅を捜索されてしまいました。
その結果、ハードディスクに保存していた児童ポルノの存在が発覚し、Aさんは任意で取調べを受けることになりました。
取調べの後、逮捕されずに帰宅することができましたが、警察からは「今後も何度か出頭して取調べを受けてほしい」と言われています。
Aさんはどうすればよいのでしょうか。(フィクションです)
~児童ポルノ所持罪とは?~
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条1項は、
「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする」
としています。
闇サイトから児童ポルノを購入し、記録媒体に児童ポルノのデータを保存していた場合は、上記規定が適用される可能性が高いでしょう(ただし、児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列するなどの目的で、児童ポルノを所持する等していた場合は、同法第7条7項が適用される可能性が高く、法定刑も重くなります)。
~Aさんは今後どうするべきか?~
早期に弁護士を依頼することをおすすめします。
逮捕されていないとはいえ、今後も取調べは続きます。
弁護士と相談することにより、取調べの対応方法、今後の処分の見込みについてアドバイスを受け、逮捕の阻止を目指したサポートを受けることができます。
しかし、弁護士の知り合いがいる、という人ばかりではありません。
知り合いに弁護士がいない方は、どのようにして弁護士を探せばよいのでしょうか。
(弁護士会に問い合わせてみる)
弁護士会では、法律相談センターを設けており、電話窓口もあります。
このような機関を活用し、弁護士を探すことが考えられます。
(インターネットを活用し、自身で探す)
最近では、多くの法律事務所がホームページを開設しており、それぞれの得意分野がわかるような記事が掲載されています。
ケースの分野は「刑事事件」、特に「刑事弁護」ですから、これらの分野に強い弁護士を探し出し、法律相談を受けることが考えられます。
法律相談の料金を無料としている法律事務所も多いため、「弁護士と言えば何か敷居が高いのでは」と考えず、お気軽に相談することをおすすめします。
~Aさんに適した弁護士像~
「当番弁護士」や「国選弁護人」は逮捕又は勾留された場合に利用できる弁護士です。
逮捕されていない場合は、「私選弁護人」を利用するしかありません。
弁護士を選ぶにあたっては、①刑事弁護に強いか、②Aさんと弁護士との相性はどうか、③経済的な条件(弁護士費用など)は折り合うか、ということに留意するのがよいでしょう。
特に弁護士との相性については、実際に会って話してみなければわかりません。
まずは法律相談を受け、上記のポイントに留意しながら自身の弁護士を探すことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
児童ポルノ所持事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。