DV・ストーカーについて

DV(ドメスティックバイオレンス)

DVドメスティックバイオレンスとは、同居関係にある配偶者間や内縁関係にある者の間で起こる家庭内暴力をいいます。

DVは暴力といっても殴る蹴るなどの身体的暴力に限りません。相手に暴言を吐き自尊心を傷つけたり監視する精神的暴力、生活費を渡さなかったり就労を妨害するなどの経済的暴力、性交を強要するなどの性的暴力があります。

身体的暴力は暴行となります。

一方、精神的暴力は、相手を害する旨を告げれば脅迫となりますが、多くは犯罪に当たらないものが多いです。

経済的暴力もそれ自体犯罪とはならないものが多いです。

性的暴力はパートナー間のこともあり、同意があるとみなされやすいです。

 

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律―DV防止法

この法律においては、「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動とされ、「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、「離婚」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入ることを含むものとされています。

また、「配偶者」だけでなく生活の本拠を共にする交際をする関係にある相手からの暴力及び当該暴力を受けた者について準用されています(第28条の2)。

配偶者からの身体に対する暴力又は配偶者から被害者の生命または身体に対して害する旨を告げる脅迫を受けた被害者が、さらなる暴力や脅迫によりその生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、配偶者に対して保護命令(10条)を出し、6か月間、被害者の住居などにおける被害者の身辺へのつきまとい、はいかいの禁止や、二月間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること及びはいかいの禁止を命じます。

付きまといやはいかいを禁じた裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、6か月を経過する日までの間、被害者に対して面会要求、監視、乱暴な言動、無言電話などの嫌がらせ電話、深夜の電話・メール送信、汚物等の送り付け、名誉棄損行為、性的羞恥心を害する行為、などの行為をしないよう命じます。

被害者が成年に達しない子と同居しているときであって、配偶者が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていることその他の事情があることから被害者がその同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、6か月間、当該子の住居、就学する学校その他の場所においてその子の身辺につきまとい、又はその子の住居、就学する学校その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとしています。

ただし、子が15歳以上であるときは、本人の同意がある場合に限るとされています。

また、裁判所は配偶者が被害者の親族等の住居に押し掛けて著しく粗野又は乱暴な言動を行っていることなどから被害者がその親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、被害者の申立てにより、6か月間、当該親族等の住居等の場所において当該親族等の身辺につきまといやはいかいしてはならないことを命じます。

この申立ては、当該親族等の同意がある場合に限りすることができます。

これらの保護命令に違反した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。虚偽の記載のある申立書により保護命令の申し立てをした者は10万円以下の科料に処されます。

 

DVか

保護命令がだされていなくても、暴行や脅迫に当たる行為があれば、これらの罪に問われることになります。被害者が加害者と同居しているために罪証隠滅の可能性が高いとみなされているからか、しばしば逮捕、勾留されてしまいます。

暴行は前科がなければせいぜい略式手続きで10万から20万円の罰金で済むことが多いです。一方で、検察官が示談が成立するのを待って処分を遅くすることがあり得ます。このこと自体は示談が間に合わずに処分されることが回避できる点で全く被疑者に不利とまではいえません。

しかし、家庭内の暴力に離婚なども絡むと、離婚条件をのむことを示談の条件にされてしまうこともあります。こうなると被疑者としては示談を受け入れがたいですが、示談しなければ身柄拘束が長引くおそれがあります。

被疑者側の親族に身元引受人になってもらい身元引受の上申書を作る、被害者に近づかないとの誓約書を作成する、などして罪証隠滅のおそれがないことを証して勾留からの解放を目指します。

 

ストーカー

ストーカー行為は男女間の問題として民事不介入とされてきました。しかし、ストーカー行為自体被害者に多大な恐怖を負わせるだけでなく、傷害、殺人などのより凶悪な事件に発展する可能性が多いことから、特別な規制が設けられました。

 

ストーカー行為等の規制等に関する法律(いわゆるストーカー防止法)

ストーカー防止法第2条で、「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他その特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、つきまとい、待ち伏せし、立ちふさがり、見張り、住居等への押し掛け、付近をうろつくこと。監視し又は監視していると思わせることを告げること。

面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること、著しく粗野又は乱暴な言動をすること、無言電話、汚物等の送り付け、名誉棄損行為、性的羞恥心を害する行動をすることです。

このような「つきまとい等」を、同じ相手に対し、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法で繰り返し行うことを「ストーカー行為」と定めています。

3条で、何人も、つきまとい等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならないと定めています。

これに違反する行為があって、違反した者がさらに反復して違反行為をする恐れがあるときは、都道府県公安員会は、つきまとい等の相手方の申出により又は職権で、その違反行為をした者に対し、更に反復して違反行為をしてはならないこと、更に反復して違反行為が行われることを防止するために必要な事項を命じることができます(5条)。

ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます(18条)。
禁止命令等に違反した者は6月以下の懲役または50円以下の罰金に処されます(20条)。
禁止命令に反してストーカー行為をした者は2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処されます(19条)。

その他、相手の身体等を害する旨を告げれば脅迫罪(刑法222条)になりますし、それで復縁を迫るなどすれば強要罪(刑法223条)となります。相手の名誉を棄損すれば名誉棄損の罪に問われます(刑法230条)。

性的な画像をばらまいたりネット上に流せばリベンジポルノ防止法違反やわいせつ物頒布(刑法175条)にとわれます。その相手が18歳未満の児童だと、児童ポルノ所持に問われます。

特定の者に対する恋愛感情など好意の感情又はそれが満たされなかった怨恨の感情を充足する目的で待ち伏せなどをしなければストーカー防止法のいう「つきまとい等」にあたりません。元交際相手からただ借金を取り立てる場合などです。ただ、両者の元来の関係性から恋愛感情や怨恨目的とみられる可能性があります。

また、行為は反復して行われる必要がありますから、1回だけではストーカー行為とはいえません。ただし、同じ行為を繰り返している必要はなく、例えば、待ち伏せ1回、つきまとい1回でも、反復して行ったといえます。

 

ストーカーとまではいえなくても

ストーカー防止法の規制する行為にあたらなくとも、一定のつきまとい等は他の犯罪に当たります。

軽犯罪法28条により「他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者」は拘留または科料に処されます。

また、各都道府県の迷惑防止条例でもつきまとい行為を罰しています。

北海道迷惑行為防止条例では恋愛感情からに限らず、正当な理由がないのに、特定の者に対し、つきまとい等を反復して行うことを禁止しています。

 

ストーカー行為で逮捕されたら

ストーカー行為はその性質上被害者に再接触する可能性が高く罪証隠滅のおそれが高いとしてしばしば勾留されます。また、前科がなくとも罰金に留まらず懲役刑を科される可能性が十分にあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、身柄解放に精通した弁護士が、被疑者が釈放されるために家族の方のご協力の下被疑者の身元引受・監視体制が万全であることを示して勾留を阻止します。

また、示談の成立が処分を軽減し又は不起訴とするために重要になります。示談に当たっては慰謝料だけでなく引っ越し代も要求されることが多いです。弁護士が早急に示談を成立させ、重い処分を回避します。

DV・ストーカー事件で不安の方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

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