放火罪で保釈

北海道二海郡の放火事件における保釈について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道二海郡在住のAさんは、近所に住んでいたVさんと折り合いが悪く、顔を合わせるものの挨拶すらしない日々を過ごしていました。
ある日、AさんはVさんから自宅の植木鉢を壊されるという嫌がらせを受けたことから、何かやり返してやろうと考えました。
そして、AさんはVさんの不在時を狙ってVさん宅に放火しました。
Vさん宅は半焼しましたが、住人は全員不在にしていたため怪我人は出ませんでした。
この件で捜査を開始した北海道八雲警察署は、現住建造物等放火罪の疑いでAさんを逮捕しました。
その後勾留中に起訴されたAさんは、弁護士保釈できないか聞いてみることにしました。
(フィクションです。)

【現住建造物等放火罪について】

放火罪には、大きく分けて①現住・現在建造物等放火罪、②非現住建造物等放火罪、③建造物等以外放火罪の3つがあります。
上記事例においてAさんが犯したのは、そのうち最も重い①現住・現在建造物等放火罪だと考えられます。

まず、放火罪が成立するには、放火によって目的物について「焼損」という結果が生じなければなりません。
ここで言う「焼損」とは、火が媒介物を離れて独立に燃焼作用を継続しうる状態になったことを指します。
すなわち、マッチや着火剤などの火が目的物に燃え移り、目的物単体で燃え続ける状態に至れば、放火罪は既遂になると言えます。
もし放火したもののその状態に至らなった場合、放火未遂罪が成立するにとどまると考えられます。

そして、現住・現在建造物等放火罪の目的物は、現に人が住居として使用している、あるいは現に人が存在する建造物等です。
「建造物等」には、汽車、電車、艦船、鉱坑が含まれますが、放火罪の事案の殆どは建造物を対象とするものです。
上記事例では、AさんがVさんの不在時を狙ってVさん宅を放火しています。
これにより住居であるVさん宅は半焼に至っていることから、Aさんには現住建造物等放火罪が成立すると考えられます。

【保釈による釈放の可能性】

現住・現在建造物等放火罪の法定刑は、①死刑、②無期懲役、③5年以上の有期懲役(上限20年)のいずれかとなっています。
これは非常に重いものであり、逮捕の可能性が高いのはさることながら、その後勾留により身体拘束が長期にわたることも十分ありえます。

そこで、釈放を実現するためには、保釈という手段によることが考えられます。
保釈とは、裁判所に対して指定された金銭を預けることで、特定の条件下で被告人の身柄を釈放してもらう手続のことです。
被告人のみが対象なので、保釈を行えるのは検察官が起訴により裁判を行う判断を下した後です。
保釈には一定の金銭の納付を伴うというデメリットがありますが、長期の身体拘束を防げる点で大きなメリットがあると言えます。
被疑者として勾留されているときに起訴されると、その勾留が被告人用のものとなって最低2か月延長されます。
2か月経過後は1か月毎に勾留が更新されることとなるので、何もアクションを起こさなければいつまでも身体拘束が続く可能性があります。
保釈は、そういった状況を打破するうえで有益というわけです。

ただ、保釈が認められるためには、事前に保釈請求を行って保釈の当否を判断してもらう必要があります。
この保釈請求には法的な視点が必須と言っても過言ではないので、もし保釈を望むのであれば法律の専門家である弁護士に相談するとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、数多くの刑事事件を見てきた弁護士が、釈放の実現に向けて保釈を含む様々な弁護活動を行います。
ご家族などが放火罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。事務所での相談料は初回無料です。

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