北海道札幌市厚別区にて、つきまといを繰り返したストーカー規制法違反事件を想定し解説

北海道札幌市厚別区にて、つきまといを繰り返したストーカー規制法違反事件を想定し解説

嫌がる仕草

ストーカー事件については,警察への相談数も多く,大きな社会問題となっております。
今回は,ストーカー事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【事例】

北海道札幌市厚別区在住のAさんは、札幌市厚別区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは同僚のVさんに恋慕していましたが、Vさんに袖にされたため、札幌市厚別区内のVさんの家の周りをうろつくなどしたうえで、Vさんに対して「あなたに交際相手がいないのは調査して分かっています。なぜ私と交際してくれないのですか。」「交際してくれるまでこの辺りをうろつき続けますよ。」などと発言しました。
Vさんは厚別区内を管轄する札幌方面厚別警察署の警察官に相談しました。

※事例はすべてフィクションです。

【ストーカー規制法の目的と定義】

ストーカー行為等の規制等に関する法律(略してストーカー規制法)」では,法律の目的として,「この法律は,ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに,その相手方に対する援助の措置等を定めることにより,個人の身体,自由及び名誉に対する危害の発生を防止し,あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。」と規定しております。

犯行は,「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」が必要となります。

「つきまとい等」は,上記目的で,当該特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し,次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいいます。
1 つきまとい,待ち伏せし,進路に立ちふさがり,住居,勤務先,学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし,住居等に押し掛け,又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
2 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ,又はその知り得る状態に置くこと。
3 面会,交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
4 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
5 電話をかけて何も告げず,又は拒まれたにもかかわらず,連続して,電話をかけ,文書を送付し,ファクシミリ装置を用いて送信し,若しくは電子メールの送信等をすること。
6 汚物,動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し,又はその知り得る状態に置くこと。
7 その名誉を害する事項を告げ,又はその知り得る状態に置くこと。
8 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き,その性的羞恥心を害する文書,図画,電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって,電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き,又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

「位置情報無承諾取得等」とは,上記目的で,当該特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し,その承諾を得ないで,相手の位置情報を取得したり,位置情報が分かる道具を相手に取り付けさせたりすることをいいます。
相手のGPS情報を取得したり,GPS機器を相手に取り付けたりすることをいいます。

ストーカー行為」とは,同一の者に対し,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいいます。
つきまとい等に関して,第1号から第4号までと,第5号の電子メールの送信等に係る部分の行為については,身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限ります。

何人も,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして,その相手方に身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはなりません。

【ストーカー規制法における警告】

警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長は,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をされたとして当該つきまとい等又は位置情報無承諾取得等に係る警告を求める旨の申出を受けた場合において,当該申出に係る違反する行為があり,かつ,当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,当該行為をした者に対し,更に反復して当該行為をしてはならない旨を「警告」することができます。

【ストーカー規制法における禁止命令等】

都道府県公安委員会は,違反する行為があった場合において,当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,その相手方の申出により,又は職権で,当該行為をした者に対し,次に掲げる事項を命ずる「禁止命令等」をすることができます。
1 更に反復して当該行為をしてはならないこと。
2 更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項
原則として聴聞を行わなければなりません。
禁止命令等の効力は,禁止命令等をした日から起算して1年です。
期間は1年ごとに延長することができます。

【ストーカー行為等での罰条】

ストーカー行為をした者は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることになります。
更に反復してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をしてはならないことの禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は,2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処されることになります。
更に反復してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をしてはならないことの禁止命令等に違反して,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をすることにより,ストーカー行為をした者も,同様となります。
更に反復してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をしてはならないことの禁止命令等に違反して,ストーカー以外の行為をした者は,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることになります。

【ストーカーに関するその他の条文】

ストーカー事件では,他にも以下のような刑法上の犯罪が問題になることがあります。

(住居侵入等)
第130条 正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

(傷害)
第204条 人の身体を傷害した者は,十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(暴行)
第208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(脅迫)
第222条 生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は,二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も,前項と同様とする。

(強要)
第223条 生命,身体,自由,名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し,又は暴行を用いて,人に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害した者は,三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し,人に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害した者も,前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は,罰する。

(名誉毀損)
第230条 公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した者は,その事実の有無にかかわらず,三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は,虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ,罰しない。

(侮辱)
第231条 事実を摘示しなくても,公然と人を侮辱した者は,一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

他にも,私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ法)違反が問題になる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、ストーカー規制法違反など俗にストーカーと呼ばれる行為で刑事事件に発展した場合の弁護活動に対応しています。
北海道札幌市厚別区にて、ご自身がストーカー規制法違反で捜査を受けている方、家族がストーカー規制法違反で逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部にご連絡ください。

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