威力業務妨害罪で逮捕

北海道天塩町の威力業務妨害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道天塩町に住むAさんは、近所の飲食店と料金をめぐる揉め事を起こしてしまいました。
怒りの治まらないAさんは、その飲食店に対して爆破予告をし、営業を中断させることを企みました。
そして、飲食店のポストに「明日この店を爆破する。休みにしなければ多くの客が危険にさらされるだろう」と書いた手紙を投函しました。
その翌日、飲食店は休みとなり、北海道天塩警察署が介入する事態となりました。
その後、Aさんは威力業務妨害罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです。)

【爆破予告は何罪に当たるか】

ニュースを見ていると、学校や駅などの場所に爆弾を仕掛けるなどと予告して逮捕されたという事件が時々見られるかと思います。
こうした爆破予告は、たとえ実際にその気がなかったとしても業務妨害罪に当たるおそれがあります。

業務妨害罪は、①虚偽の風説の流布、②偽計、③威力のいずれかを用いて、他人の業務を妨害した場合に成立する可能性のある罪です。
①は真実に反する噂や情報を流すこと、②は嘘をついたり勘違いや不知を利用したりすることを指し、これらによる業務妨害は偽計業務妨害罪と呼ばれます。
それに対し、③による業務妨害は威力業務妨害罪と呼ばれます。
ここで言う「威力」とは、暴行や脅迫よりも広い概念であり、相手方の意思を制圧するに足りる勢力を示すことを指します。

また、条文では「業務を妨害した」とされていますが、その危険さえあれば実際に妨げられたかどうかは問わないと考えられています。
つまり、円滑な業務が妨げられるような偽計または威力があれば、業務の停滞や売上の減少といった結果が生じなくとも業務妨害罪に当たる可能性があるということです。

上記事例のような爆破予告は、爆弾を仕掛ける旨の偽計あるいは人の身体や財産の安全を脅かす威力と言うことができます。
そして、その内容からして人の業務を妨害する危険が認められるため、偽計業務妨害罪または威力業務妨害罪に当たると考えられます。
ちなみに、実務上は威力業務妨害罪として捜査をされることが多いようです。

【不起訴を目指すには】

威力業務妨害罪で有罪となった場合、懲役刑または罰金刑が言い渡され、身体や財産への負担および前科を負うことになってしまいます。
こうした不利益を避けるためには、不起訴を獲得して事件を終了させることが不可欠となります。

不起訴の理由には様々なものがありますが、その中の一つに起訴猶予というものがあります。
起訴猶予とは、被疑者の境遇、態度、犯行に至った経緯など様々な事情を考慮し、被疑者の便宜のために裁判を行うのを見送るという処分です。
起訴猶予処分が下されると、その後処分時の重大な事情が変動したなど極めて例外的な場合を除き、もはやその事件について刑事責任を追及されることはなくなります。

被害者が存在する刑事事件において、起訴猶予による不起訴を獲得するうえで重要なのは、示談の成否とその内容であることが大半です。
示談というのは、謝罪や被害弁償が行わたことを理由に、当事者間において事件が解決したことを確認する行為です。
業務妨害罪が保護しているのは人の業務の円滑な遂行であるため、示談を通して被害者の許しを得られたことは、刑事責任を追及すべきか決めるうえで大きな意味を持ちます。
そのため、示談の成立は、検察官にとっても不起訴の判断を下すうえで重要な事柄に当たるのです。

もし不起訴の可能性を高めるのであれば、事件のことを全て弁護士に依頼してしまうのが得策です。
弁護士に事件を任せてしまえば、被害者との示談交渉はもちろん、不起訴のために他の様々な弁護活動を行ってもらうことができます。
また、仮に不起訴の余地がおよそない重大事件でも、弁護士であればそれを見越して早期から裁判に向けた準備を進めるため、あとあと有利になることが多々あります。

刑事事件というのは誰しも不安を抱くものですが、法律の専門家である弁護士がついていれば安心感は段違いです。
特に不起訴を目指すなら、前向きに弁護士への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件の豊富な経験を有する弁護士が、不起訴に向けて様々な弁護活動を行います。
ご家族などが業務妨害罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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