覚せい剤について

覚せい剤の使用や所持は、覚せい剤取締法によって規制がかけられ、罰則も定められています。

 

覚せい剤取締法

輸出入、製造

覚せい剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者は、1年以上20年以下の有期懲役に処されます(41条1項)。営利目的で犯した場合は無期若しくは3年以上の懲役に処されます。情状によっては1000万円以下の罰金も加えられます(2項)。

 

所持、譲渡、譲受

覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者は、10年以下の懲役に処されます(41条の2第1項)。営利目的で犯した場合は1年以上20年以下の有期懲役に処されます。情状によっては1000万円以下の罰金も加えられます(2項)。

 

使用

覚せい剤製造業者が製造するためであったり、覚せい剤施用機関たる病院、研究者などが研究として用いたりする等一定の場合以外は覚せい剤の使用は禁止されています(19条)。これに違反して覚せい剤を使用した場合は、10年以下の懲役に処されます(41条の3第1項)。

 

故意について

覚せい剤取締法違反の罪はいずれも故意犯であり、故意がなければ犯罪とはなりません。故意とは、犯罪事実の認識のことをいいます。輸入であれば、覚せい剤と知って本邦内に持ち込んだこと、所持であれば覚せい剤と知って管理していたことです。

例えば、外国から本邦に入国したときに、鞄の中に覚せい剤が入っていれば覚せい剤を本邦に輸入したことになりますが、鞄の中に覚せい剤が入っていたことを知らなかった場合は、故意がないことになります。

もっとも、確実に覚せい剤だと知っていたことまでは必要なく、覚せい剤かもしれないと思っていた場合も故意があるとされます。

ただ、覚せい剤より刑罰の軽い薬物だと思っていた場合は、刑罰の重い覚せい剤ではなくより軽い罪の違反となります。たとえば、覚せい剤を大麻だと思って所持していた場合は、実際に持っていた刑罰の重い覚せい剤所持ではなく、より刑罰の軽い大麻所持の罪となります。

 

採尿について

覚せい剤を体内に摂取した場合、その成分は2週間ほど尿の中に出続けます。尿検査で覚せい剤の成分が検出された場合、2週間程度のうちに覚せい剤を体内に摂取したことになります。尿の鑑定書は覚せい剤自己使用の重要な証拠となります。そのため、捜査機関は強く「任意採尿」を求め、それがかなわねば強制採尿令状を取って「強制採尿」を行い、尿を入手しようとしてきます。

採尿された尿は、他人の尿と取り違うことが無いように、一定の手続きで保管され鑑定へ送られます。

「任意」といいながら恫喝の末に採尿させることもあります。令状が出る要件もないのに強制採尿令状が出ることもあります。他の人の尿と間違って鑑定へ回される可能性もなくはありません。

弁護士は採尿手続きを精緻に追い、違法な点があれば追求し、違法な証拠が使われることを防ぎます。

 

再犯を防ぐには

覚せい剤の自己使用については強い依存症によるものであり、刑罰よりも治療が必要であるという認識が広がりつつあります。

どの犯罪でも、二度としませんと誓うだけでは反省として不十分ですが、覚せい剤事件の場合はそもそも治療を受けなければ再犯を防ぐには不十分です。

一部執行猶予ができた現在、最初は刑務所に行きますが、刑の終わりの半年ほどは一部執行猶予として刑務所の外に出て、地域に戻ると同時に治療プログラムを受けること等の方法が考えられています。

判決前の保釈などで身柄が解放されている段階から治療プログラムを受けられるようにしておくことは、再犯を防ぐ点でも重要ですし、現在の事件で実刑を避ける点でも重要です。

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