過失致死傷

過失傷害

過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処されます(刑法209条1項)。これは告訴がなければ起訴されません(2項)。

 

過失致死

過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処されます(刑法210条)。結果が人の死と重大であり、被害者本人もいないため、こちらは告訴がなくても起訴されます。

 

過失とは

過失とは、不注意により、結果を予測できたのにもかかわらず結果を避けなかったことをいいます。その人の情況に置かれた場合の一般人を基準に判断されます。

およそ被害結果を予測できなかった場合や、結果を回避しようがなかった場合は、過失があったとはいえず、被害結果の責任は問われません。

 

傷害・殺人との境―故意の有無

過失は注意していれば結果を予測して回避できたのに回避しなかったことをいいます。結果を予測した上でその結果が起きても構わないと思って行為し被害結果を生じさせた場合は、結果を認容していたとして、故意があるとされます。故意をもって人を死傷させた場合、傷害あるいは殺人の罪に問われます。

 

業務上過失致死傷

業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処されます(刑法211条前段)。

「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づいて反復継続して行うものをいいます。たまたま1回行っただけの行為では反復継続とはいえません。防火体制の不備により火災が起きて宿泊客が死亡した際に、ホテルのオーナーがこの罪で責任を負います。

 

重過失致死傷

重大な過失により人を死傷させた場合も、業務上過失致死傷と同様5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処されます(刑法211条後段)。

重大な過失とは、一般人ならば容易に結果を予見して回避できたのに結果を回避しなかったことをいいます。

 

自動車運転過失致死傷

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処されます。(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条本文)。

ただし、傷害にとどまった場合でそれが軽いときは、情状により、その刑を免除することができます(同法5条但書)。

かつては業務上過失致死傷と同じ条文で規制されていましたが、交通事故の厳罰化に向けて自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律が新設された際、同法に規定されるようになりました。

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