刑の執行
裁判の執行は確定した後、その裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官が指揮することになります(刑事訴訟法471条・472条2項)。
判決の確定からおおよそ1か月ほど経ってから、留置されている拘置所から刑務所へ移送されることになります。
刑務所
刑務所については、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律により規律されています。もっとも、この法律自体は未決者や死刑確定者を収容する施設についても規律しています。未決者や死刑確定者については受刑者と区別するため特別に規定されています(35条・36条)。
刑務所では、処遇の態様(第2章第2節)、起居動作の時間帯(第3節)、物品の貸与及び自弁(第4節)など細かく規定されています。
刑務所外部との交通についても、親族などとの面会(第11節第2款)や手紙のやり取り(信書の発受第11節第3款)など細かく規定されています。
ご家族が受刑者に面会に行く際には、事前に面会時間や可能な曜日時間、人数制限などを確認してから面会に行く必要があります。
仮釈放
懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の3分の一を、無期刑については10年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができるとされています(刑法28条)。
刑事施設の長はこの期間が経過したときは、その旨を地方委員会に通告しなければなりません(更生保護法33条1項)。
地方委員会の委員が、仮釈放を許すか否かに関する審理において仮釈放の審理対象者と面接し(更生保護法37条1項)し、場合によっては被害者やその遺族の意見を聴いて(更生保護法38条1項)、仮釈放の決定をします(更生保護法39条1項)。仮釈放を許された者は、仮釈放の期間中、保護観察に付されます(更生保護法40条)。
「改悛の状」については、「犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則」28条によれば「仮釈放を許す処分は、懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者について、悔悟の情及び改善更生の意欲があり、再び犯罪をするおそれがなく、かつ、保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるときにするものとする。
ただし、社会の感情がこれを是認すると認められないときは、この限りでない。」と定められています。
仮釈放は次の場合は取消されることがあります(刑法29条)。
- 仮釈放中に更に罪を犯し罰金以上の刑に処せられたとき、
- 仮釈放前に犯した他の罪について罰金以上の刑に処せられたとき、
- 仮釈放前に他の罪について罰金以上の刑に処せられた者に対しその刑の執行をすべきとき、
- 仮釈放中に遵守すべき事項を遵守しなかったとき。
刑の一部の執行猶予の言渡しを受け、その刑について仮釈放の処分を受けた場合において、この仮釈放中に執行猶予の言渡しを取り消されたときは、この仮釈放の処分は効力を失います(刑法29条2項)。仮釈放の処分を取り消したとき、又は前項の規定により仮釈放の処分が効力を失ったときは、釈放中の日数は、刑期に算入されません(刑法29条3項)。