刑事免責

刑事免責制度は、証人が刑事訴追を受け、または有罪判決を受けるおそれがあるときに、証人の刑事責任を問わないこと、又は証人に不利益な証拠に使わないことを保証して、証言を強制させる制度です。日本では刑事訴訟法157条の2、157条の3にて不利益な証拠に使わないことを保証する形で、平成30年6月に導入される予定です。

 

刑事免責決定

刑事免責の請求

刑事免責をしてでも証言を獲得する必要があると判断したとき、検察官は、証人が刑事訴追を受け、または有罪判決を受けるおそれのある事項についての尋問をするときに、刑事免責決定をするよう裁判所に請求します。

尋問を予定している場合は157条の2、すでに証言を拒んだと認められる場合は157条の3によります。

刑事免責決定が認められるかは、証言の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮して認められます。

裁判所は、証人の尋問すべき事項に証人が刑事訴追を受け、または有罪判決を受けるおそれのある事項が含まれないと明らかに認められる場合を除き、証人尋問を刑事免責の条件により行う決定をするものとされています。

 

刑事免責決定が出たときの尋問の条件

刑事免責決定が出たときは、証人には証言拒絶権(刑事訴訟法146条)はなくなり、自己が有罪判決を受け、または有罪判決を受けるおそれのある証言を拒むことはできなくなります。

その代わり、その証言や証言に基づいて得られた証拠は、証人の刑事事件において、証人に不利益な証拠とすることはできなくなります。

ただ、証人が証人尋問においてした行為が偽造私文書等行使(刑法161条)、偽証(刑法169条)に当たる場合は、それらの罪の裁判においては証拠として用いられます。

 

証言する被告人

刑事免責決定が出れば、被告人はその証言や証言に基づいて得られた証拠を自己に不利益な証拠として用いられない利益を得られます。そのため、検察官の誘導により記憶と異なる証言をするよう流されるおそれは十分にあります。

ここで記憶に反する証言をしてしまえば後日偽証の罪に問われるおそれがあります。弁護人は事前に被告人と証言について打ち合わせたうえで、尋問の際検察官の誤導、誘導に対して異議を述べ、虚偽の証言をさせられないようにします。

 

証言される被告人

刑事免責決定が出たからといってそれにより得られた証言の信用性まで担保されたとはいえません。特に証言の不利益使用から解放された被告人は検察官の問うままに証言してしまうおそれがあります。弁護士は証拠の関連性や証言の情況を精査して証言の信用性を争います。

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