北海道旭川市の虚偽告訴事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事件】
北海道旭川市在住のAさん(20歳)は、幼馴染のVさんと親交があり、Vさんに対して好意を抱いていました。
ある日、AさんはVさんを自宅に招いて自身の思いを打ち明けましたが、Vさんは「良い友達として接していた」と言って交際の申出を断りました。
ショックを受けたAさんは、Vさんに嫌がらせをしようと思い、Vさんにレイプされた旨の虚偽の告訴を北海道旭川東警察署にて行いました。
これによりVさんは強制性交等罪の疑いで逮捕されましたが、のちに嘘が発覚し、Aさんは虚偽告訴罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に示談を依頼することにしました。
(フィクションです。)
【虚偽告訴罪について】
他人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告を行った場合、虚偽告訴等罪が成立する可能性があります。
上記事例では、Vさんがレイプされた旨の虚偽の告訴をしています。
そのため、他人に刑事の処分を受けさせる目的で虚偽の告訴をしたとして、虚偽告訴罪の成否が問題となると考えられます。
虚偽告訴罪の法定刑は、3か月以上10年以下の懲役となっています。
懲役刑しか選択の余地がない点、3か月という下限が定められている点で、虚偽告訴罪の刑は決して軽くないと言えます。
その理由としては、虚偽告訴罪により害されるのが国家の刑事司法作用の安全であり、事の重大性が高いと評価されるからだと考えられます。
ちなみに、告訴だけでなく、被害届の提出によっても虚偽告訴等罪が成立する余地があります。
また、上記事例のような行為を行った場合、虚偽告訴罪ではなく軽犯罪法違反の罪に問われる可能性もあります。
軽犯罪法は、「虚偽の犯罪又は災害の事実を申し出た者」について、拘留または科料という最も軽い刑を定めています。
虚偽告訴罪が成立する場合には当然上記の軽犯罪法違反にも当たると考えられ、どちらで起訴されるかは場合によります。
刑罰の内容から分かるように、重いのは虚偽告訴罪であるため、悪質な事案であれば虚偽告訴罪として捜査を進める可能性が高いでしょう。
【虚偽告訴事件における示談の効果】
先ほど少し触れたように、刑法が虚偽告訴罪を通じて保護しているのは、国家の刑事司法作用の安全だと考えられます。
つまり、刑事裁判で適正な判断が下すための一手段として、虚偽告訴罪が制定されたというわけです。
このことから、虚偽告訴罪の直接の被害者は、刑事司法作用の安全を害された国家だと言うことができます。
被害者が存在する犯罪において、示談の成立という事実は大きな意味を持ちます。
一般的に、示談の締結には当事者双方の納得が必要であり、示談の成立は謝罪や被害弁償などの受け入れによる損害の補填が図られたと評価できるからです。
他方、虚偽告訴罪のように、社会全体や国家が被害者となる罪に関しては話が変わってきます。
社会全体や国家という存在は抽象的であり、示談による被害の回復などが望めないためです。
とはいえ、迷惑を掛けた特定の相手方に対し、謝罪や被害弁償などの反省の態度を見せることは、量刑判断に当たって有利な事情となります。
弁護士の助言を受けて真摯な対応をアピールできれば、たとえ不起訴が目指せずとも執行猶予になる余地は出てくるでしょう。
もし示談に関してお困りであれば、ひとまずお近くの弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、様々な刑事事件に詳しい弁護士が、示談をはじめとする充実した弁護活動を行います。
ご家族などが虚偽告訴罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。