麻薬及び向精神薬

麻薬及び向精神薬取締法

麻薬と向精神薬については麻薬及び向精神薬取締法により規制されています。

麻薬は、ジアセチルモルヒネ、その塩類又はこれらのいずれかを含有する麻薬とそれ以外の麻薬で区別されています。

ジアセチルモルヒネは一般にヘロインと呼ばれているものです。

 

違反行為と罰則

ジアセチルモルヒネ等の麻薬は、より依存性や身体への有害性が高く、その他の麻薬を施用するなどの場合よりも重く処罰されています。また、向精神薬より麻薬全般について重く処罰されています。麻薬及び向精神薬いずれも同様に処罰されていますが、ここではジアセチルモルヒネ等について説明します。

 

ジアセチルモルヒネ等についての罰則

輸出入、製造

ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者は、1年以上20年以下の有期懲役に処されます(64条1項)。営利目的で犯した場合は無期若しくは3年以上の懲役に処されます。情状によっては1000万円以下の罰金も加えられます(2項)。

 

製造等

ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、製造し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、又は所持した者は、10年以下の懲役に処されます(64条の2第1項)。営利目的で犯した場合は1年以上20年以下の有期懲役に処されます。情状によっては500万円以下の罰金も加えられます(2項)。

 

施用等

厚生労働大臣の許可を受けた麻薬研究施設設置者や麻薬研究者以外は麻薬の施用は禁止されています(12条1項・4項)。これに違反してジアセチルモルヒネ等を施用し、廃棄し、又はその施用を受けた者は、10年以下の懲役に処されます(64条の3第1項)。営利目的で犯した場合は1年以上20年以下の懲役に処されます。情状によっては500万円以下の罰金も加えられます(2項)。覚せい剤と異なり、主に他人に施術するときの「施用」という言葉で記載されていますが、覚せい剤と同様に自己使用も処罰の対象となっています。

 

資金等提供

麻薬の輸入などの罪に当たる行為に要する資金、土地、建物、艦船、航空機、車両、設備、機械、器具又は原材料を提供し、又は運搬した者は、5年以下の懲役に処されます(68条)。

 

故意について

麻薬及び向精神薬取締法違反の罪もいずれも故意犯であり、故意がなければ犯罪とはなりません。故意とは、犯罪事実の認識のことをいいます。輸入であれば、麻薬と知って本邦内に持ち込んだことです。

麻薬かもしれないと思っていた場合も故意があるとされます。ただ、刑罰の軽い薬物だと思っていた場合は、刑罰の重い覚せい剤ではなくより軽い罪の違反となります。たとえば、ジアセチルモルヒネを他の麻薬だと思って所持していた場合は、実際に持っていた刑罰の重いジアセチルモルヒネではなく、より刑罰の軽いその他の麻薬所持の罪となります。

 

再犯を防ぐには

麻薬及び向精神薬、特にヘロインの自己使用については強い依存症によるものであり、刑罰よりも治療が必要であるという認識が広がりつつあります。

どの犯罪でも、二度としませんと誓うだけでは反省として不十分ですが、薬物事件の場合はそもそも治療を受けなければ不十分です。

一部執行猶予ができた現在、最初は刑務所に行きますが、刑の終わりの半年ほどは一部執行猶予として刑務所の外に出て、地域に戻ると同時に治療プログラムを受ける等の方法が考えられています。

判決前の保釈などで身柄が解放されている段階から治療プログラムを受けられるようにしておくことは、再犯を防ぐ点でも重要ですし、現在の事件で実刑を避ける点でも重要です。

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