詐欺

人を欺いて財物を交付させた者又は財産上不法の利益を得、もしくは他人に得させたものは、10年以下の懲役に処されます(刑法246条)。

詐欺は被害者を錯誤に陥らせ、その瑕疵ある意思に基づいて財物を交付させたり財産上の利益を得させる罪です。

 

欺く

人を錯誤に陥らせる行為です。

欺く相手は人です。財物の所有者である必要はありませんが、財物について事実上又は法律上処分行為をなしうる権限ないし地位を有していなければなりません。クレジットカード会員が支払う意思も能力もないのに自己名義のクレジットカードを使って買い物をした場合、代金が支払われず損害を被るのはカード会社ですが、欺かれて商品を提供したのは加盟店であることから、加盟店が被害者とされています。

他人のクレジットカードを勝手に使って買い物をした場合も同じく、加盟店が被害者とされています。もっとも、実際の経済的被害を被っているのはカード会社であるため、示談や被害弁償ができるかどうかはカード会社次第といえます。

なお、多少の誇大広告は経済界では通常行われることとして、欺いたとはされません。また、通常の説明で相手方が勝手に誤った考えをもっても欺いたとは言えません。

 

銀行口座の譲渡・貸出について

始めから銀行口座を他人に譲渡したり貸したりする目的で銀行に口座開設の申し込みをした場合、銀行に対する詐欺罪が成立します。現在では他人の口座の犯罪利用などのおそれから、銀行が申込者の真意を知っていれば開設に応じないからとされています。一方で、口座を開設した後で他人に口座を貸そうと思って貸しても詐欺罪にはなりません。

しかし、これでは犯罪収益の移転を防げないと考えられ、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯収法)により口座の売買や貸渡も罰せられています。他人になりすまして銀行のサービスを受ける目的で預貯金通帳やカードなどを譲り受けた者に1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科します(28条1項)。相手にこの目的があることを知って預貯金通帳やカードなどを譲り渡し、提供し、交付した者も、同様の刑罰を科されます(28条2項)。

友人が困っているからと通帳やキャッシュカードを貸したら被害者どころか加害者になってしまいかねないのです。

 

欺かれた結果か

詐欺罪が成立するには、欺かれた結果錯誤に陥り、財物を交付し、または財産上の利益を得させる必要があります。欺く行為とは無関係に相手が財物や利益を渡してきた場合は、詐欺未遂に留まります。

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