札幌市の贈収賄事件における初回接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事件】
札幌市職員のAさんは、中学時代の友人で建設会社を営むBさんから「話がある」と言われ、Bさんが指定した喫茶店に向かいました。
そこで話を聞いたところ、Bさんは、公共工事の一般競争入札で、なかなか落札できないらしく、「札幌市から発注される公共工事の予定価格を教えて欲しい。50万円くらいでお願いできないか。」と頼まれました。
Aさんは何度か断りましたが、Bさんと仲が良かったこと、加えて報酬となる賄賂が高かったことから、Bさんの頼みを引き受けることにしました。
そして、その後Aさんは、Bさんから50万円の賄賂を受け取り、Bさんに、お願いされた一般には公表されていない公共工事の予定価格を教えました。
後日、このことが北海道警察本部捜査第二課に知られることになり、Aさんは加重収賄罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの母は、弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)
【収賄罪について】
収賄罪は、公務員がいわゆる賄賂を受け取る約束をし、または実際に受け取った場合に成立する可能性のある罪です。
一般的には「収賄」と一括りにされることが多いですが、その罪の重さは賄賂のやりとりの内容により異なります。
まず、公務員が職務に関連して賄賂の要求、収受、約束のいずれかをした場合、単純収賄罪が成立します。
その際、一定の行為をし、またはしないよう請託(依頼)を受けたのであれば、請託収賄罪となります。
そして、賄賂の要求などをしたのち、公務員が不正な行為をし、または相当な行為をしなかった場合、加重収賄罪となります。
不正な行為をし、または相当な行為をしなかったのち、賄賂の要求などをした場合についても同様です。
ちなみに、以上の行為の相手方として賄賂を供与した者は、贈賄罪が成立すると考えられます。
それぞれの法定刑は、単純収賄罪が5年以下の懲役、請託収賄罪が7年以下の懲役、加重収賄罪が1年以上の有期懲役(上限20年)となっています。
いずれも重いものであり、特に加重収賄罪は懲役の実刑となる可能性も決して低くないでしょう。
【初回接見について】
被疑者として逮捕された場合、勾留決定まで、すなわち逮捕から2日か3日が経過するまでは、家族を含め弁護士以外の者と面会することができません。
更に、接見禁止決定という措置が取られれば、勾留決定後であっても面会できない状態が継続します。
収賄罪は必然的に複数の者が関与する罪であるため、証拠隠滅などの可能性があるとして接見禁止決定がつきやすい傾向にあります。
上記のような状況においては、ひとまず逮捕中の被疑者から話を聞くべく、弁護士に初回接見を依頼するのが得策です。
弁護士には被疑者・被告人の防御を支援する責務があるため、法律上弁護士以外の者にはない種々の特権が認められています。
その特権の一つとして、接見交通権というものが挙げられます。
接見交通権は、捜査に支障がない限り、基本的に時間、場所、話す内容、渡す物のいかんを問わず、被疑者・被告人と自由に接見(面会)できる権利です。
特に、弁護士が最初に行う接見(初回接見)は、弁護活動の出発点となることからその機会がより尊重されています。
そのため、逮捕直後であっても逮捕中の被疑者と面会でき、事件の話を詳細に聞くことができるのです。
初回接見は、周囲に何が起こったのか伝える役割を持つとともに、被疑者・被告人に取調べ対応などを伝える非常に重要な手段です。
ですので、数ある弁護活動の中でも、特に初回接見は積極的に依頼することを強くおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に特化した弁護士が、お申込み後可能な限り速やかに初回接見を行える態勢を整えております。
ご家族などが収賄罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。