SMプレイでの死亡事故

SMプレイでの死亡事故

いわゆるSMプレイをしている最中に相手が死亡してしまったという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。

【ケース】

北海道赤平市在住のAさんは、赤平市内の会社に勤める会社員です。
事件当日、Aさんは交際相手のVさんと赤平市内の自宅で性行為をする際、AさんはVさんから「首を締めるSMプレイに興味があるからやってほしい」と言われたため、自宅にあったビニール紐でVさんの首を締めました。
これを数十秒ほど続けたところ、Vさんは動かなくなり、Aさんは慌てて119番通報しましたがVさんは搬送先の病院で死亡しました。
赤平市内を管轄する赤歌警察署の警察官は、Aさんを逮捕しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【いわゆるSMプレイについて】

まずは紐で縛る、ムチで殴る、ロウソクのロウを垂らす等のSMプレイと呼ばれる行為について検討します。
これらの行為は、それ自体が暴行罪や傷害罪に該当する可能性がある行為です。
条文は以下のとおりです。

(暴行罪)
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
(傷害罪)
刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

但し、SMプレイは「相手方の同意」があってはじめて成立するものと考えられます。
この場合、構成要件(暴行罪や傷害罪といった罪が成立するために必要な要素)には該当しているが、違法性阻却事由が認められるとして、罪に問われない可能性があります。
もっとも、包丁で大量出血するほどの切り傷を負わせるなど死亡する可能性があるような行為については、違法性阻却事由が認められないとして罪に問われる可能性があります。

【SMプレイでの死亡事故】

まず、SMプレイで死亡事故を起こした場合に検討される罪としては
①殺人罪(刑法199条)
②傷害致死罪(刑法205条)
③過失致死罪(刑法210条)
④業務上過失致死罪・重過失致死罪(刑法211条)
が考えられます。
※被害者が殺してほしいと頼み、それを実行した場合には嘱託殺人罪が適用されますが、SMプレイではそのような意思はないと考えられます。

①殺人罪については、「人を殺した者」に適用されます。
これは、加害者に相手を殺害しようとする意思がある場合、あるいは死亡するかもしれない可能性を認識していながら行為を継続した場合に、実際にそれを遂げた場合に成立します。
一般的なSMプレイでは考えにくいですが、行為中に加虐心が大きくなり被害者の死亡を願うようになったような場合には成立する余地があります。
罰条:死刑又は無期若しくは5年以上の懲役

②傷害致死罪については、「傷害し、よって人を死亡させた者」に適用されます。
殺人罪とは異なり、殺害の意思はないが相手を傷つける意思があり、その行為によって被害者が死亡した場合に成立します。
これは、【いわゆるSMプレイについて】に関連するもので、違法性阻却事由が認められるかどうかがポイントになります。
罰条:3年以上の有期懲役

③過失致死罪については、「過失により人を死亡させた者」に適用されます。
相手を死亡させるつもりはなかったが、不注意により相手を死亡させてしまった場合に成立します。
罰条:50万円以下の罰金

④業務上過失致死罪・重過失致死罪については、「業務上必要な注意を怠」った、又は「重大な過失」があったために人を死亡させた場合に適用されます。
例えば、性風俗の中でもSMプレイを専門としている者や、医師など人体の構造と機能に詳しい者等が、注意せずに行ったSMプレイにより相手を死亡させたような場合に成立すると考えられます。
罰条:5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金

ケースのAさんの場合、特殊な仕事に就いていたことを想定していないため、②の傷害致死罪又は③の過失致死罪の成立が検討されます。
両者は、罰条が大きく異なりますが、②と③のどちらに該当するかは事件の詳細を慎重に検討して判断されるものです。
その際、取調べでの供述などが重要な証拠になり得ることから、取調べ前に弁護士にアドバイスを受けることが望ましいと言えるでしょう。
北海道赤平市にて、SMプレイでの死亡事故を起こしてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
在宅事件の場合は事務所にて無料で相談を受けることができます。
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