騒乱

多人数で集まり地方の平穏を害するような暴行・脅迫行為をした者たちに対しては、特別な処罰がされます。

 

騒乱罪(刑法106条)

多衆で集合して暴行又は脅迫をした者は、騒乱の罪として処断されます。

多衆とは、多数人の集団をいいます。一地方の平穏を害する程度の人数が必要となります。

集合はこの多衆が時と場所を同じくして集まることをいいます。

暴行又は脅迫は、暴行罪(刑法208条)や脅迫罪(刑法222条)におけるものよりも広いもので、一地方の平穏を害するものであれば足り、人に対するものに限らず物に対するものも含まれます。

参加者は他人を気にせず暴行脅迫をするのではなく、多衆の間で多数人の力を利用して共同して暴行や脅迫を加える意思が必要となります。一方、事前の謀議や計画までは必要とされていませんし、参加者全員が意思疎通をしている必要もありません。

多衆の中での役割によって刑罰は異なります。

  1. 騒乱行為の主導者として騒乱行為を画策し多衆をその合同力により暴行又は脅迫をするに至らせた者は、首謀者として、1年以上10年以下の懲役又は禁錮に処されます。
  2. 多衆の一部または全部を指揮したり、多衆の力を頼んで暴行脅迫させる意思をもってた多衆に抜きんでて騒乱を容易にさせその勢いを助長増大させた者は、他人を指揮し、又は他人に率先して勢いを助けた者として、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処されます。
  3. 多衆が集合して暴行脅迫することを知りながら群集心理に駆られ付和雷同的に参加した者は、付和随行した者として、10万円以下の罰金に処されます。

通常の暴行脅迫は本罪とは別に問われません。しかし、それ以上の被害を生じさせれば他の罪に触れることになります。人に傷害を負わせれば傷害罪に問われますし、公務員の職務の執行を妨害すれば公務執行妨害罪となります。

 

多衆不解散罪(刑法107条)

暴行又は脅迫をするため多衆が集合した場合において、権限のある公務員から解散の命令を3回以上受けたにもかかわらず、なお解散しなかったときは、首謀者は3年以下の懲役又は禁錮に処し、その他の者は10万円以下の罰金に処されます。こちらの首謀者は解散をしなかった行為の首謀者であり、騒乱罪の首謀者とは必ずしも一致しません。

3回目の解散命令が出て直ちに既遂となり犯罪成立となるのではなく、3回目の解散命令を受けてから解散に必要な相当の時間を経てもなお解散していなかった場合、既遂に達するといえます。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら