特殊詐欺事件で情状弁護

特殊詐欺事件で情状弁護

特殊詐欺事件を起こしてしまった場合に問題となる罪と、裁判での情状弁護について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【ケース】

北海道虻田郡在住のAさんは、虻田郡内で自営業をしていました。
Aさんは金に困ってSNS上で副業について調べていたところ、「誰でも日当5万円以上が稼げる」という投稿を見つけました。
Aさんは投稿主にダイレクトメッセージを送り興味がある旨伝えたところ、投稿主からは
・指定された自宅に行って銀行員を装い
・「キャッシュカードが悪用されているので確認する必要があります」と説明してキャッシュカードを受け取り封筒に入れ、
・隙を見て封筒を別のカードが入った封筒と差し替え
・「キャッシュカードは後日来る警察官に渡してください。それまでに封を開けたら犯罪になります。」と言い、
・すり替えて受け取ったキャッシュカードは指定された場所に送るよう
指示されました。

Aさんは上記行為を5回行い、数万円を受け取ったところ、6回目で訪問した先で騙されたフリ作戦をしていた虻田郡を管轄する俱知安警察署の警察官が出てきて、Aさんを窃盗罪で逮捕しました。
Aさんの家族はAさんが逮捕されたことを知り、情状弁護について弁護士に質問しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【特殊詐欺事件について】

特殊詐欺という言葉は多くの方がご存知でしょう。
特殊詐欺には色々な犯行手口があり、現金を直接受け取る場合や、指定した口座に振込ませる場合、キャッシュカードを受け取る場合などがあります。
これらは、詐欺罪にあたり、その後裁判で刑事罰が科せられることになります。

今回のAさんの犯行態様については、キャッシュカードを直接受け取ったわけではなく、キャッシュカードを保管する必要があると嘘をついて封筒に入れ、隙を見て別の封筒とすり替えて本物のキャッシュカードを盗むという罪を犯しました。
この場合、詐欺罪にあたります。

どのような場合に詐欺罪に当たり、どのような場合に窃盗罪にあたるかについては、被害者の意思で対象物を渡しているのか、被害者の意思に反して対象物を持ち去ったのか、という点で評価が分かれます。
Aさんの場合は、キャッシュカードを受け取ると説明したわけではなく、封筒をすり替えるという方法でキャッシュカードを持ち去っていて、被害者は被害に遭った時点ではキャッシュカードはまだ持っていると誤信しています。
そのため、窃盗罪にあたる可能性があるのです。
なお、Aさんの6件目の事件については、騙されたフリ作戦により結果を遂げていないため、窃盗未遂罪が適用されます。

【情状弁護について】

刑事事件を起こした犯人は、まずは被疑者として捜査され、証拠が集まった時点で担当する検察官は被疑者を起訴するかどうか判断します。
起訴された場合、被疑者は被告人という立場に変わり、刑事裁判を受けることになります。

刑事裁判では、まずは冒頭手続きにて起訴状の朗読や犯罪事実についての意見を述べます。
次に、証拠調べ手続きにより、犯罪事実についての証拠を調べるとともに、被告人の情状(被告人に対し刑事罰を科す上で考慮すべき事情)についての立証を行います。
証拠調べ手続が終了した後、最終弁論として検察官はこれまで出てきた証拠などを踏まえて意見を述べるとともに検察官として科すべき刑事罰がどのようなものか意見し、弁護人は被告人の考えに沿った意見を主張します。
裁判官はすべての手続きを踏まえ、判決を言い渡します。

情状弁護は、被告人の刑事罰を検討するうえで極めて重要な弁護活動です。
情状弁護には決まった内容があるわけではなく、被害者との示談状況や贖罪寄付の説明、被告人の内省(反省の状況)状況の説明、家族の監督状況の説明、報道や失職などによる社会的制裁の状況の説明など、様々な主張が考えられます。
これらは弁号証というかたちで証拠書類として提示することもありますし、被告人質問や人証(情状証人質問)によって情状弁護を行うことが考えられます。

情状弁護で主張する内容は、事件の数だけあると考えて良いでしょう。
この情状弁護は、裁判になってから考えるものではありません。
事件を起こして直ぐ、あるいは保釈された直後などから、生活状況の改善や脱依存症プログラムへの参加・治療など、早期の対応が必要となります。
よって、裁判になる可能性がある刑事事件を起こしてしまった場合、裁判での情状弁護をも見越して早期に刑事事件を専門とする弁護士に弁護活動を依頼することをお勧めします。

北海道虻田郡にて、ご家族が特殊詐欺事件で詐欺罪窃盗罪により逮捕・勾留されている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の初回接見サービスをご利用ください。
刑事事件・少年事件専門の弁護士がご家族のもとに接見に行き、被疑事実や自信の主張、取調べでの状況についてしっかりと聞き取ったうえで、情状弁護についての具体的な内容などについてご説明します。

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