盗品売買・譲り受け等

財産に対する罪により手に入れた財産がさらに第三者の手に渡ることによって、被害者は被害品の回復が困難になります。また、盗品の流通を放置すればさらに犯罪を助長することになります。これを規制するために盗品等に関する罪が定められています。

 

盗品譲受け等

盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処されます(刑法256条1項)。これらの物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又は売買の斡旋等有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処されます(刑法256条2項)。懲役刑と罰金刑が併科され、窃盗罪(刑法235条)よりも重くなっています。

窃盗犯人など財産に対する罪を犯した本人はその本罪によって得た物を運搬などしても犯罪は成立しません。一方で、窃盗を教唆した者が盗んだ物を譲り受けたり、有償処分の斡旋をしたりした場合はこの罪に問われることになります。

盗品譲り受け等の罪が成立するためには、これらの物が盗品などであることについて認識している必要があります。なお、いついかなる犯罪によって得られたかまでは認識する必要はありません。

盗んだ金銭を両替してから保管などしても、これらの罪は成立することになります。

また、盗んだ物を別の物に付合させたり加工したりしてから運搬などしても、全く別の財物に変化したといえない限りはこれらの罪は成立することになります。

 

他の罪との関係

他人の犯罪の証拠を隠すために盗品を保管するなどした場合は、盗品譲り受け等の罪の他、証拠隠滅罪にも該当することになりますが、重い盗品譲り受け等の罪で処罰されることになります。

古物商が盗品と知って譲り受けたりして、盗品であることを隠した場合は、本人確認(古物営業法15条)や帳簿への記載(古物営業法16条)を怠ることになり、これらの違反の罪にも問われることになります(古物営業法33条1項1号2号・15条1項・16条)。

 

親族等の間での犯罪について

配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で盗品等譲受けの罪を犯した者は、その刑を免除するとされています(刑法257条1項)。親族の間で盗品と知って預かったり保管したりすることは無理からぬ面があるとの考えから定められています。そのためこの規定は、親族でない共犯については適用されません(刑法257条2項)。この共犯は盗品譲り受け等の罪の共犯のことをいいます。また、親族関係は財産に対する罪を犯した者と盗品等に関する罪を犯した者の間に必要となります。例えば、息子が盗んだ財物を父親と友人が運搬した場合、父親は免除されますが、友人は免除されません。

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