盗撮

性的姿態撮影等処罰法

令和5年に、性的姿態撮影等処罰法が成立しました。

正式名称は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」です。

これまでは盗撮に関する犯罪は各地方公共団体の条例で規定されていましたが、今回の立法で国の法律で一律に犯罪として規定されることになりました。

以前より盗撮行為が犯罪として成立しやすくなり、刑罰も重いものとなっております。

性的姿態等撮影罪

以下の行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処されることになります。

未遂も処罰されることになりますので、カメラを向けるだけでも犯罪が成立します。

密かに盗撮

正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為

イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分

ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの)がされている間における人の姿態

正当な理由なく、密かに、盗撮行為をした場合です。

盗撮対象となる対象性的姿態等は、人の性的な部位又は人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分や、わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態、です。

同意のない撮影

刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為

刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為は、以下のとおりです。

一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。

二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。

三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。

四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。

五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。

六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。

七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。

八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

密かにでなくても、被害者の同意がない状態で対象性的姿態等を撮影したら、犯罪が成立します。

同意がないケースについて、広く規定されております。

騙して撮影

行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為

被害者をだまして対象性的姿態等を撮影しても、犯罪が成立します。

医療行為だとだましたり、自分以外には見せないとだましたり、した場合が考えられます。

16歳未満の被害者を撮影

正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為

被害者が13歳未満であれば、被害者の同意がある場合でも、性的姿態等を撮影したら犯罪が成立します。

被害者が13歳以上16歳未満で、被害者と加害者の年齢差が5歳以上であれば、被害者の同意がある場合でも、性的姿態等を撮影したら犯罪が成立します。

性的影像記録提供等罪

性的影像記録(性的姿態等撮影罪等により生成された電磁的記録その他の記録又は当該記録の全部若しくは一部を複写したもの)を提供した者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となります。

性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することになります。

性的影像記録保管罪

性的影像記録提供等罪をする目的で、性的影像記録を保管した者は、2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金となります。

性的姿態等影像送信罪

不特定又は多数の者に対し、以下の行為をした者は、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することになります。

1 正当な理由がないのに、送信されることの情を知らない者の対象性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。次号及び第三号において同じ。)の影像送信(電気通信回線を通じて、影像を送ることをいう。以下同じ。)をする行為

2 不同意わいせつ罪の刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為

3 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは不特定若しくは多数の者に送信されないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為

4 正当な理由がないのに、13歳未満の者の性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。以下この号において同じ。)の影像送信をし、又は13歳以上16歳未満の者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、当該13歳以上16歳未満の者の性的姿態等の影像の影像送信をする行為

情を知って、不特定又は多数の者に対し、前項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像の影像送信をした者も、同様に処罰されます。

性的姿態等影像記録罪

情を知って、性的姿態等影像送信罪により影像送信をされた影像を記録した者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となります。

未遂も罰せられます。

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