【事例解説】自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕(前編)

自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。

未成年誘拐

事例

Aは、自身と同居している養女のV(16歳)と、今年の4月~5月ごろにかけて複数回性交をしました。
Vが母親に被害を告白したことをきっかけに、Vは児童相談所に保護され、Aは逮捕されました。(フィクションです)

監護者性交等罪について

この前編では監護者性交等罪の成立要件や罰則などについて解説します。

刑法179条2項(出典/e-GOV法令検索)は、18歳未満の者に対し、「その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等を」する行為を罰しています(監護者性交等罪)。

監護者性交等罪は2017年に新設された犯罪で、罰則は5年以上の有期拘禁刑です。
それまでは同種の事案では、青少年保護条例や児童福祉法が適用されることが多かったのですが、それらに比べて罪が重くなっています。罰金刑もないため、起訴されると、公開での裁判が開かれることになります。

監護者性交等罪の成立要件は、以下の4つです。

監護者であること
②相手が18歳未満の者であること
③監護者であることによる影響力に乗じたこと
④性交等を行ったこと

監護者とは、親などのように、生活全般にわたって保護する者のことです。
 同居の有無や、身の回りの世話をしているかどうか、生活費の支出をしているかどうかなどの事情から、監護者かどうかが判断されます。そのため、親権者であっても「監護者」にはあたらない場合もありますし、反対に、親権者ではなくても「監護者」にあたる場合もあります。
 たとえば、親から子供を預かって実際に養育している親類や、同居している親の交際相手などは監護者に該当する可能性があります。
 一方、学校や塾の教師、習い事のコーチ、バイト先の教育係などは、子供の生活全般にわたって世話をしているとまでは言えないため、基本的に監護者にはあたらないでしょう。

③「監護者であることの影響力に乗じ」とは、生活を保護することによって生じている影響力を利用することをいいます。
 衣食住など生活全般について、被害者が自己に一定程度依存している関係にあることを認識しながらわいせつな行為に誘導する場合などが該当するでしょう。

④「性交等」とは、

・性交:陰茎を膣内に挿入する行為
・肛門性交:陰茎を肛門に挿入する行為
・口腔性交:陰茎を口腔内に挿入する行為

のことを意味します。

今回の事例で、Aは、自己と同居しているVの養親でありながら、Vと性交をしており、監護者であることの影響力がないとされるような特段の事情がない限り、監護者性交等罪が成立する可能性があります。

後編では、被害者の供述などの証拠の信用性の判断について、それが争われた判例を紹介しながら解説します。

弁護士にご相談を!

監護者性交等罪は懲役刑のみで罰金刑はありませんので、起訴されることはすなわち公開裁判が開かれることを意味します。また、有罪になれば、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に収監されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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