(架空の事例で検討)北海道千歳市にて共同危険でお子さんが逮捕されたら?少年鑑別所では何をする?
いわゆる暴走運転をした場合に問題となる共同危険行為がどのような罪に当たるのか、20歳未満の少年が共同危険行為により送致される可能性がある少年鑑別所では何が行われるのか、北海道千歳市にて発生した架空の事例を踏まえ検討します。
【ケース】
北海道千歳市在住のAさんは、北海道内の高校に通う高校2年生(16歳)です。
Aさんは、友人ら11人と一緒に、千歳市内の路上にて各人が運転するバイク数台で並走したり横並びに運転したりして、他の車両に危険を及ぼすような運転を繰り返していました。
そのうちの数回は、北海道警察署の警察官がサイレンを鳴らし追尾していたのですが、制止命令に従うことなく、暴走運転を繰り返していました。
後日、Aさんの自宅に北海道警察署の警察官が来て、Aさんは道路交通法違反(共同危険行為)で通常逮捕されました。
Aさんの家族は、担当の弁護士から「逮捕・勾留ののち少年鑑別所での観護措置がなされる可能性が高いので長期間の身柄拘束が予想される」と説明を受けました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【共同危険行為について】
いわゆる暴走族について、最近は街中で見かけることが少なくなりましたが、今なおその存在は確認されています。
公道において集団でバイクや車を走行し、蛇行運転や信号無視、カーチェイスなどを繰り返す暴走行為は、共同危険行為と呼ばれ、下記の条文が問題となります。
道路交通法68条 2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
同法117条の3 第68条(共同危険行為等の禁止)の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
その他にも、信号無視での違反や無免許運転手がいた場合にはそれらの罪、マフラー等の改造による不正改造等禁止の罪など、様々な罪に問われる可能性があります。
【観護措置とは?少年鑑別所では何をする?】
事件を起こしてしまった20歳未満の少年について、家庭裁判所裁判官が必要と判断した場合には観護措置決定が下されます。
観護措置は、家庭裁判所が調査官による調査や審判を行うため、少年の心身の鑑別を行うための措置とされています。
観護措置には在宅観護と収容観護の2種類がありますが、実際には在宅観護を行うケースはほとんどなく、観護措置という言葉はもっぱら収容観護を指すことになります。
この収容観護で収容される先が、少年鑑別所となるのです。
少年鑑別所では、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づいて鑑別等が行われます。
具体的には、集団方式の心理検査や鑑別面談、精神医学的検査・診察(一部必要ケースのみ行われる)のほか、起床から就寝迄の行動を観察される行動鑑別などが行われています。
鑑別の期間は、基本的に4週間以内とされていて、それまでに少年審判が行われることが一般的であり、審判の数日前までに鑑別結果通知書という書類に結果を取りまとめられ、調査官が作成する少年調査記録に綴られ審判での処分言い渡しのための判断材料になります。
少年鑑別所での観護措置は、少年の弁護活動・付添人活動を行ううえで極めて重要な場合もあり、その後の更生・保護者の監督に重要な視点をもたらすこともあります。
他方で、捜査中の逮捕・勾留期間に続いて4週間程度を少年鑑別所で過ごすことになると、休学・退学処分を受ける可能性や留年する可能性、会社を解雇される可能性などもあり、少年の更生や学費などに大きな壁となる可能性も否定できません。
事件の内容によって、観護措置を回避するための活動や、観護措置を受けた場合の学校や職場への説明等、弁護士による対応は重要です。
北海道千歳市にて、家族が共同危険行為により通常逮捕され、少年鑑別所での観護措置が予想される場合、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
まずは刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が初回接見(有料)に向かい、事件の詳細を確認したうえで必要となる弁護活動・付添人活動、ご依頼頂く場合の費用等についてご説明します。