北海道苫小牧市の威力業務妨害事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
◇事例◇
北海道苫小牧市に住むAさんは、北海道苫小牧市内にある酒卸店設置のフリーダイヤルの電話に、7日間で約800回にわたり、「V子(同店従業員)と話がしたい。話をさせてくれれば、今後一切電話をしない。V子と話をさせてくれなければ、何度も電話しますよ。」等と電話をかけました。後日、Aさんは、北海道苫小牧警察署の警察官に威力業務妨害罪で逮捕されました。そして、Aさんは、弁護士に依頼し、被害店舗に対する示談を進めることにしました。
(フィクションです。)
◇威力業務妨害罪について◇
業務妨害罪は、「虚偽の風説を流布し」又は「偽計を用いて」、あるいは「威力を用いて」人の業務を妨害することによって成立しますが、判例は、例えば、中華そば店に3か月足らずの間に約970回にわたって無言電話をかけて営業を妨害した事案について偽計を用いた業務妨害罪の成立を認めています。(東京高判昭48.8.7)
もっとも、「威力」か「偽計」かの判断基準については、「威力とは人の意思を制圧するような勢力」、「行為の態様又は行為の結果のいずれかが、公然・誇示的・可視的であれば『威力』であり、これが非公然・隠密的・不可視的であれば『偽計』である」、「偽計と威力の区別は欺罔的な色彩が強いか暴力的な色彩が強いかを基準とする。」などと解されています。
事例の場合は、無言電話とは異なり、「V子と話をさせてくれなければ何度でも電話しますよ。」と一面では脅迫的手段を用いて被害者を心理的に困惑させ、他面では店舗のフリーダイヤルの使用を物理的に不可能にするといった性質のものであり、その目的、態様、回数等に照らし社会生活上受容できる限度を超えていて、店舗の営業を妨害するに足りる威力を用いたものと考えられるので、威力業務妨害罪が成立することになります。
◇威力業務妨害罪における示談◇
「示談」と聞くと、刑事事件をお金で解決するというマイナスのイメージを持たれる方が多いかもしれません。
ですが、実際の示談は、金銭の支払い以外にも様々な合意を結びます。
示談というのは当事者間において事件が解決したことを示すものであり、中身もそれに値する内容でなければならないためです。
中心となるのは謝罪と被害弁償ですが、その他に接近禁止や転居などが合意されることもあります。
威力業務妨害罪は業務活動の自由を保護する罪であり、その違法性は結局のところ業務を営む被害店舗に害を加えたことを根拠とします。
ですので、その被害者である被害店舗が犯人を許しているのであれば、そこまで積極的に刑罰を科す必要がないと考えられます。
示談が処分の決定に大きな影響を及ぼす理由は、正にその点にあります。
当事者間で事件が解決されたことが確認されれば、いったん刑罰を科すのは考え直すべきだとして不起訴や執行猶予になるというわけです。
以上のように、示談が刑事事件において持つ効果は非常に大きいと言えます。
それだけに、被害者にとって納得のいく解決がなされなければ、たとえ示談書や念書が交わされたとしてもその効力を最大限に発揮するのは難しいでしょう。
きちんと中身のある示談を締結するなら、やはりトラブル解決のプロである弁護士に依頼するのが得策です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、示談の経験豊富な弁護士が、事件の円満な終了に向けて全力を尽くします。
威力業務妨害罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料:初回無料
北海道苫小牧警察署までの初回接見費用:42,400円