北海道芦別市の児童ポルノ所持事件における略式起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事件】
Aさんは、北海道芦別市にある成人向け商品の販売店Xにおいて、「裏物」と称されるDVDを購入しました。
Aさんがその内容を確認したところ、中身は幼稚園から小学校低学年と思しき女児の裸や下着を撮影した動画でした。
Aさんは児童ポルノを購入してしまったことを知り焦りましたが、どうせ捕まることはないだろうとそのまま自宅に置いていました。
後日、Aさんは北海道芦別警察署から「Xの利用客に話を聞いて回っている」と出頭要請を受けました。
Aさんから相談を受けた弁護士は、Aさんの行為が児童ポルノ所持に当たることを確認したうえで、略式手続について説明しました。
(フィクションです。)
【児童ポルノ所持について】
児童ポルノの所持は、日本において「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」により禁止されています。
この法律によると、「児童ポルノ」とは、児童(18歳未満の者)が性的な行為に及ぶ姿、児童の裸、下着などを記録した、写真やDVDなどの記録媒体を指します。
児童ポルノに関して禁止されている行為は、所持、提供、頒布、製造(盗撮を含む)、運搬、輸出入と多岐に渡ります。
児童ポルノを所持した場合、上記法律により1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
更に、所持の目的が不特定もしくは多数人への提供または公然陳列であれば、罰則は①5年以下の懲役、②500万円以下の罰金、③①②の両方のいずれかとなります。
この罰則は児童ポルノに関する行為の中で最も重く、犯情によっては懲役の実刑となる可能性も否定できません。
万が一これを疑われたら、それを否定すべく弁護活動を尽くすことが必要となる場合もあるでしょう。
ちなみに、児童ポルノ所持の発覚経緯としては、特定の店やインターネットサイトの摘発によるものがよく見られます。
もし家宅捜索が行われたのであれば、摘発により芋づる式に発覚した可能性は十分考えられるところです。
【略式手続の可能性】
通常の刑事事件では、取調べ、捜索、現場検証などの捜査が行われ、その後検察官が起訴するかどうか決定するという流れになります。
捜査に際しては、事件の重大性や被疑者の態度などを踏まえ、逮捕・勾留による身体拘束を伴うことがあります。
児童ポルノの単純所持事件の場合、特に初犯であれば大半が略式手続により処理されることになります。
略式手続とは、100万円以下の罰金刑が相当とされるような軽微な事件について、通常の裁判よりも簡易・迅速な手続で処分を下す制度です。
略式手続も検察官による起訴の一種ではありますが、書面審理により事件が公になることなく処理されるため、一般的にイメージされる裁判とは別物と言うに値するものです。
裁判への出席に伴う負担を軽減するという点において、略式手続は被告人(被疑者の起訴後の呼称)の利益となるものです。
ですが、注意しておく必要があるのは、略式手続による場合は事実関係を争うのが制限されることです。
通常の裁判であれば、法廷での証拠調べなどを経て、犯罪事実の有無をきちんと確かめたうえで判決が下されることになります。
一方、略式手続は検察官が提出した証拠を基に書面審理が行われるため、犯罪事実の認定に関する被告人の関与は極めて限定的なものとなっています。
もし事実を争うなら、検察官が求める略式手続への同意を拒否するか、略式命令(判決に代わるもの)の送達後14日以内に正式裁判の申立てをする必要があります。
特に、無罪を主張したいというケースでは、罰金刑を甘受せず正式裁判で犯罪成立を争う方がより被告人の希望に沿う場合もありえます。
以上のように、略式手続によるべきかどうかは慎重な判断を要するため、悩んだら一度弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に特化した弁護士が、略式手続にどう対処すべきかを多角的な視点からきちんと考察します。
児童ポルノ所持を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
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