北海道小樽市の未成年者誘拐事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事件】
北海道小樽市に住むAさんは、パチンコ遊技中、少女Vさん(8歳)がパチンコ店内で遊んでいるのを目にしました。そのしばらく後、Vさんが「お母さんがいなくなった。おじちゃん、おもちゃを買いにつれていって。」とAさんに申し向けてきました。
AさんはVさんが可愛くてたまらなかったことから、駐車場に停めていた自分の車に乗せ、連れ回したうえ、自宅に一晩泊めましたが、翌朝、Vさんが、「家に帰りたい。」と言って泣き止まないので、車に乗せ、Vさんの家の近くの公園まで連れて行き、そこでVさんを降ろしました。
後日、Aさんは、未成年者誘拐罪で、小樽警察署に逮捕されました。
~未成年者誘拐罪について~
刑法第244条は、未成年者を略取または誘拐した者について3月以上7年以下の懲役に処すと規定しています。
「略取」とは、広く被拐取者の意思(幼児や意思無能力者のときは推定的同意)に反して行われますが、「誘拐」とは、欺罔・誘惑を手段として不法に未成年者を自己または第三者の実力的支配内に移すことをいいます。
「欺罔」とは、虚偽の事実をもって相手方を錯誤に陥れることをいい、「誘惑」とは、欺罔の程度に至らないが、甘言で相手方を動かし、その判断の適正を誤らせることを意味します。
また、自己又は第三者の実力支配内に移す行為が、是非弁別能力のない幼児などの心身喪失・抗拒不応状態に乗じてなされる場合が略取、知慮浅薄・心神耗弱に乗じてなされる場合が誘拐に当たります。
~事例について~
事例の場合、Aさんは、Vさんを「迷い子」としてパチンコ店員に連絡するなどの措置をとるべきであり、Vさんから言葉を掛けられたことで、自分の車に乗せて連れ回し、自宅に泊めた行為は、正にVさんの知慮浅薄・心神耗弱状態に乗じ、事故の実力支配内に置いたとして誘拐行為に当たると判断できます。
また、本罪の保護法益は被拐取者の自由のみならず、親権者などの保護監督権もこれに当たるとされています。
したがって、未成年者の同意があっても、その同意は自己の自由に対する侵害を承諾するにとどまり、その効果は、保護者・監督者の保護監督権にまで及ばないので、Vさんの同意があったとしても、保護監督者の意思に反して誘拐した場合は、本罪が成立します。
~情状弁護による刑の減軽~
未成年者誘拐罪の罰則は決して軽いものではありません。
懲役の実刑が科される可能性も決して否定できないところでしょう。
そこで、正式裁判が行われることを見越して情状弁護の準備をしておくことが有益です。
情状弁護とは、裁判において被告人に有利な事情(情状)を明らかにし、執行猶予や刑の減軽といったより寛大な処分を求めるものです。
刑事事件において捜査機関が目指すのは犯罪の立証であり、それと関係のない被疑者・被告人の事情や言い分をわざわざ明らかにしてくれるわけではありません。
そのため、裁判で被告人に有利な事情を酌んでもらうには、被告人の方から積極的に事情を明らかにしなければなりません。
ただ、裁判での主張には証拠の提出が必要であり、これを法律に明るくない者が行うのは様々な困難が伴います。
ですので、情状弁護により寛大な処分を狙うのであれば、弁護士に事件を依頼することをおすすめします。
弁護士であれば、法律の専門家として最適な対応をし、効果的な情状弁護を行うことが期待できるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、数多くの刑事事件を経験した弁護士が、様々な観点から情状弁護の検討を行います。
未成年者誘拐罪などでお困りの方は、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。