北海道旭川市の傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事件】
北海道旭川市に住むAさんは、近所のコンビニエンスストアで買い物した際、店員Vさんの横柄な態度に腹を立てました。Aさんは、帰宅後もVさんのことが頭から離れず、自宅から木刀を持ち出し、再びコンビニエンスストアに訪れ、その木刀でVさんの頭部を殴り、Vさんは全治2週間の怪我を負いました。
警察への通報により、Aさんは、北海道旭川東警察署の警察官に傷害罪の現行犯で逮捕されました。
後日、Vさんの容態が急変し、死亡してしまいました。
(このお話はフィクションです。)
◇傷害罪について◇
傷害罪とは、相手に暴行を加えた結果、怪我をさせた場合をいいます。
ここで暴行とは、人の身体に対して不法な有形力を行使することとされています。
被害者に怪我をさせるつもりはなかった場合でも、意識的に暴行を加えた結果、相手に怪我をさせた場合には、傷害罪が成立するとされています。
傷害罪の法定刑は、1か月以上15年以下の懲役、または1万円以上50万円以下の罰金です。
◇傷害致死罪について◇
傷害致死罪とは、身体を傷害し、よって人を死亡させた者に成立する犯罪です。
傷害致死罪の法定刑は、3年以上の有期懲役(20年以下)です。
傷害致死罪は、傷害罪を犯した結果、被害者が死亡した場合に成立する犯罪です。
殺人罪は、殺意がある場合に成立するのに対し、傷害致死罪は、殺意まではなく暴行または傷害の故意がある場合に成立します。
例えば、石を被害者に向かって投げて、被害者に命中させずに脅す意思の場合には、暴行の故意しか認められませんが、結果として石が被害者の頭に命中して、それによって死亡させた場合にも、傷害致死罪が成立します。
傷害致死罪のように、行為者が認識していた結果より重い結果が生じた場合に、より重い刑罰が科せられる犯罪を結果的加重犯といいます。
傷害致死罪は、結果的加重犯の典型です。
傷害致死罪は、人が死ぬという点では殺人罪と似ています。しかし、殺人罪は殺意をもって行為に出て、それによって人を死亡させるものです。これに対して、傷害致死罪は、殺人の故意はなく、暴行または傷害の故意だけをもって犯行に及び、傷害を負わせ、それによって人を死亡させるものです。
事例のケースは、Aさんは、木刀で頭を殴打した傷害罪で逮捕されたわけですが、その後、Vさんは死亡しており、傷害の結果とVさんの死亡に因果関係があれば、傷害致死罪が適用され、傷害罪より重い刑罰が科せられることになります。
このようなケースでは、検察官が訴因変更を請求するなどします。
たとえば傷害罪を傷害致死罪に訴因変更する、自動車運転過失致死罪から危険運転致死罪へ訴因変更するというような場合です。
訴因とは,検察官が起訴した犯罪事実(公訴事実)のことです。
◇傷害罪・傷害致死罪の弁護活動◇
被害者のいる刑事事件ではいずれもいえることですが、示談はできるだけ早い段階で進めましょう。
逮捕前に示談ができれば、被害者に被害届を取り下げてもらえる可能性がありますし、傷害罪の場合、示談が成立すれば、起訴される可能性も低くなり、逮捕されない可能性も出てきます。
また、起訴されてしまっても、判決までに示談ができれば刑罰を軽くしてもらえる可能性は高くなります。
ただ、傷害致死罪は、示談での解決が難しくなります。
傷害罪で被害者が負った怪我の程度が軽い場合に比べ、重大な怪我を負った場合や、傷害致死罪のケースでは、示談が難しくなることが多いと言えます。
これらのケースでは、被害者や遺族の処罰感情も強く、賠償金額も高額になるからです。
傷害罪や傷害致死罪で逮捕された場合、場合によっては重い罪を適用される可能性があります。そのため、逮捕直後から刑事事件の経験豊富な弁護士に対応を依頼することをおすすめします。
北海道旭川市で傷害罪や傷害致死罪など刑事事件に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご連絡ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。