横領罪で告訴された案件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。
◇事件◇
無職のAさんは、数ヶ月前に札幌市内のレンタカー会社で乗用車を一台レンタルしました。
レンタルした際は、翌日に返却する契約をしていたのですが、Aさんは返却せずに、レンタカー会社に何の連絡もせずに、そのまま乗り続けていました。
レンタカー会社から、横領罪で札幌方面東警察署に刑事告訴した旨の連絡を受けたAさんは、今後のことが不安で刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
◇横領罪◇
刑法第252条第1項に「自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する」と横領罪が規定されています。
今回の事件で、Aさんはレンタカー会社の車を、契約期日を過ぎても返却せずにそのまま使用していたので、レンタカーは、Aさんにとって「自己の占有する他人の物」となります。
このレンタカーを、レンタカー会社の許可なく、自分の都合で使用し続けているAさんの行為は、「横領罪」に当たる可能性が非常に高いでしょう。
また、仮に契約時から、Aさんに、レンタカーを返却する意思がなかたった場合は、店員を騙してレンタカーを借りたことになるので、詐欺罪が成立する可能性があります。
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」と横領罪に比べると厳しいものです。
最終的にどのような法律が適用されるかは、実行行為だけでなく、警察等の捜査機関での取調べにおいての供述内容などによって決定するので、横領罪等の刑事事件を起こしてしまった方は、警察の取調べを受ける前に弁護士に相談することをお勧めします。
◇刑事告訴◇
告訴とは刑事訴訟法第230条に定められている刑事手続きの一種です。
告訴とは、被害者等が捜査機関に対して、犯罪被害を申告し、犯人の刑事処分を求めることで、通常は、警察署や検察庁に告訴状を提出する方法によって行われています。
告訴を受けた警察は、速やかに告訴された事件を捜査して、証拠品と共に検察官に送致しなければなりません。(刑事訴訟法第242条)
告訴できるのは、被害者だけではありません。
被害者の法定代理人や、被害者が死亡している場合は、被害者の配偶者や、直系の親族や兄弟も告訴権があるので、告訴することができるのです。
~被害届を警察に提出するのと何が違うの?~
犯罪の被害者等が、事件の捜査と犯人の処罰を望んで、警察等の捜査機関に対して被害を届け出るという意味では、捜査機関が犯罪捜査を開始する端緒となるので、告訴は、被害届を警察に提出するのと大きな違いはありません。
しかし、上記のように警察等の捜査機関は、告訴事件に関しては、犯罪を捜査して検察庁に送致する義務を負います。つまり、被害届によって認知した事件に関しては、警察が捜査を開始し、犯罪事実を立証できない場合や、早期に被害者と犯人が示談した場合など、早期に捜査が終結してしまえば、検察庁に事件が送致されない可能性があります。しかし告訴された事件については必ず検察庁に送致されるということです。
また親告罪(器物損壊罪、過失傷害罪、名誉毀損罪等)に当たる事件に限りますが、犯人を知った日から6カ月間と、告訴できる期間が定められていたり(刑事訴訟法第235条)、一度告訴を取消すと再び同じ犯罪事実で告訴をすることはできません(刑事訴訟法第239条1項)。
◇刑事告訴されたら◇
刑事弁護活動には様々な内容がありますが、軽減を求めるうえで最も有効的な活動は、被害者との示談です。
当然、被害者の存在する事件でしか示談できませんが、刑事告訴される事件は、必ず被害者の存在する事件ですので、示談によって刑事罰を軽減させることが可能です。
そして、その示談の内容に「告訴を取り下げる」内容を含むことができれば、絶対的に、刑事罰を免れることもできるのです。
ですから刑事告訴された場合は、早期に弁護士を通じて被害者と示談することをお勧めします。
札幌市内の刑事事件でお困りの方、横領罪で刑事告訴された方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では刑事事件に強い弁護士が無料相談、初回接見をおこなっております。
フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、札幌市の横領事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。