今回は、酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕されてしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
~ケース~
北海道日高町に住むAさんは、午前5時頃まで深酒をした後、出勤に備えて就寝しました。
自動車で午前8時頃に自宅を出発する予定でしたが、「少し寝たのであれば飲酒運転にはならないだろう」と甘く考え、遅くまでお酒を楽しんでいたようです。
自動車にて通勤中、Aさんの車が若干フラフラと走行していたため、パトカーに停止を求められ、呼気検査を受けることになりました。
Aさんは「一度寝ているから問題ない」と、呼気検査に応じましたが、検査の結果、呼気から0.25ミリグラムのアルコールが検出されたため、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで札幌方面門別警察署に現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~酒気帯び運転の罪について解説~
(酒気帯び運転の罪)
身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で車両等(軽車両を除く)を運転すると、「酒気帯び運転の罪」が成立します。
酒気帯び運転につき起訴され、裁判で有罪が確定すると、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(道路交通法第117条の2の2第3号)。
「政令で定める程度」とは、「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム」です(道路交通法施行令第44条の3)。
Aさんは呼気1リットルにつき0.25ミリグラムのアルコールが検出される状態で自動車を運転していたのですから、酒気帯び運転の罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。
~酒酔い運転の可能性も~
また、Aさんは若干フラフラと運転していました。
これがアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態と判断されると、「酒酔い運転の罪」となります。
酒酔い運転につき起訴され、裁判で有罪が確定すると、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(道路交通法第117条の2第1号)。
「一度寝ているから飲酒運転にはならない」というのは危険な発想です。
飲酒し、睡眠をとったとしても、そのまま起きていたとしても、その後に自動車を運転していた際、「身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」であれば、酒気帯び運転の罪の嫌疑をかけられるのは当然です。
飲酒してから運転するまでの時間、飲酒量、パトカーに停められた直後のAさんの言動などによっては、酒気帯び運転の故意がないとして、酒気帯び運転の罪が成立しない場合も考えられます。
しかし、ケースのように飲酒を終えてから自動車を運転するまで3時間程度しか睡眠していない、という場合においては、故意を争うことは極めて困難でしょう。
自動車を運転する予定がある場合は、飲酒を控えるか、飲酒後、十分な時間をとった上で自動車を運転するように努めることが不可欠と思われます。
~早期の身柄解放を実現する必要性~
Aさんは酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
逮捕後に勾留決定がなされると、捜査段階において最長23日間の身体拘束を受けることになります。
身体拘束が長期化すると、その間、勤務先を無断欠勤することになります。
無断欠勤が続くと、勤務先をクビになる可能性が極めて高くなります。
そのため、早期に弁護士を依頼し、身柄解放活動を行ってもらう必要があります。
ケースの事件は適切な弁護活動を行うことにより、勾留されずに釈放される可能性が見込めます。
この場合は逮捕後、1~3日程度で外に出ることができます。
~Aさんになされる処分は?~
Aさんが初犯であれば、略式手続によって罰金刑を言い渡される可能性が高いのではないでしょうか。
この場合は、罰金を納付することにより、刑事手続が終了します。
もっとも、略式手続は書面のみにより審理が行われるため、Aさんの言い分を裁判官に伝えることができません。
ケースの場合は難しいと思われますが、故意を争い得る事情が存在するなど、Aさんの言い分を裁判官に伝える必要性が認められるときは、略式手続を拒否することも視野に入れる必要があります。
検察官から略式手続を打診されたものの、判断に迷う場合は、弁護士と相談することを強くおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が酒気帯び運転の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。