児童買春事件を略式手続で解決

今回は、塾講師として勤めるAさんが、児童買春事件を起こしてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

~ケース~

札幌市白石区に住むAさんは、塾講師として勤務しています。
気に入っていた生徒V(16歳の女子高生)に「お茶でもしないか」などと声をかけて休日に誘い出し、デートをした後、ラブホテルにおいて、Vに4万円を渡してこれと性交しました。
Vは帰宅が遅かったことを両親から咎められ、「塾の先生であるAさんとデートをしていた」と説明しました。
さらに「本当にデートしただけなんだろうな」と詰め寄られたので、Vは両親に罪悪感を覚え、4万円を受け取ってAさんと性交したことを打ち明けました。
Vの両親は怒り心頭で、札幌白石警察署に被害届を提出したところ、Aさんは児童買春の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~児童買春の罪~

児童買春」とは、
①児童
②児童に対する性交等の周旋をした者
③児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいいます)又は児童をその支配下に置いている者
に対し、
対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすることをいいます(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条2項)。
児童買春の罪を犯し、有罪判決を受ける場合は、「五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」に処せられます(同法第4条)。

~長期間の勾留の可能性~

逮捕され、勾留されると、捜査段階において最長23日間、留置場や拘置所に入らなければなりません。
勾留がつかなければ、逮捕後1~3日程度で釈放されるのですが、勾留がつくと、身体拘束が長期化してしまいます。

一般的に、被疑者と被害者との間柄が近く、お互いに連絡先を知っている場合や、それぞれの自宅が近い、という場合には、罪証隠滅のおそれがあるとして、勾留がつく可能性が高くなります。
ケースに即して検討すると、AさんとVは、塾講師と、その授業を受ける生徒という関係にあります。
また、ケースには記載されていませんが、Vをデートに連れ出すなどしていることから、AさんはVの連絡先を知っているかもしれません。
AさんとVとの間にこのような関係があると、Aさんに罪証隠滅のおそれがあると判断され、勾留が長引いてしまうおそれがあります。

Aさんの生活圏から離れた場所に住む親戚などに依頼して身元引受人となってもらい、責任をもってAさんを監督する旨を誓う上申書を提出することにより、AさんとVが接触する可能性がないことをアピールし、早期の身柄解放を目指す必要があります。

~今後の処分~

児童買春事件の起訴率は高く、不起訴処分により事件を解決することは非常にハードルが高いといえます。
反面、Aさんが初犯であり、被害者も1人であれば、起訴されたとしても、略式手続により事件を解決できる可能性が高いです。

略式手続とは、書面のみにより審理を行い、略式命令によって100万円以下の罰金又は科料を科す制度です。
略式命令がAさんに告知されれば、勾留状の効力が失われますので(刑事訴訟法第345条)、釈放されることになります。

Aさんの勾留中に弁護活動を行う中で、起訴を回避することが極めて困難と考えられる場合には、なるべく早く略式命令の請求をするよう検察官に促し、これに応じてもらうことができれば、早期の事件解決及び早期の身柄解放を実現することができます。
略式命令を言い渡されたあとは、罰金を納付して事件が終了します。

ただし、略式手続においては通常、Aさんの言い分を裁判官に伝えることができません。
ケースの場合は困難と思われますが、例えば、「被害者が18歳未満であると知らなかった」という主張が通れば、児童買春の罪は成立しません。
犯罪の成立を妨げる言い分がある場合に、略式手続に応じるのは得策ではありません。
略式手続に応じるか否かは、重要なポイントです。
略式手続に同意する前に、一度、弁護士と相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が児童買春事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

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