暴力・傷害事件が起きたらどうなる?
暴力行為をしてしまった、被害者を怪我させてしまったという場合に問題となる罪や捜査の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【暴行罪】
(暴行)
第208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行とは,人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
最近は,特に家庭内での暴行事件で,逮捕されるケースが増えております。
警察も,家庭内暴力が常習的に行われたり事態が大きくならないようにするために,積極的に家庭の事件に介入する傾向があります。
恋人との喧嘩でも同じようなことが言えます。
【傷害罪】
(傷害)
第204条 人の身体を傷害した者は,十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
暴行の結果,人の身体の生理的機能を毀損させる傷害を負わせたら,傷害罪が成立します。
被害者は病院で診断書を取得し,警察に被害届を提出して,警察が逮捕することになります。
相手の負傷の程度に応じて,刑罰が重くなります。
攻撃方法が極めて危険で負傷の程度が大きかったら,人を殺す意図があったとして,殺人未遂罪で捜査が進められることがあります。
【傷害致死罪】
(傷害致死)
第205条 身体を傷害し,よって人を死亡させた者は,三年以上の有期懲役に処する。
傷害の結果,人が死亡したら,人を死亡させる意図がなければ,傷害致死罪が成立します。
しかし,警察は,人を死亡させる意図があったと強く疑い,殺人罪で捜査を進めようとしてきます。
【正当防衛】
(正当防衛)
第36条 急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は,情状により,その刑を減軽し,又は免除することができる。
相手から攻撃されて,自分を守るために反撃したら,正当防衛が成立して犯罪が成立しない可能性があります。
反撃がやりすぎたとしても,過剰防衛が成立して刑事処分が軽くなる可能性があります。
しかし,正当防衛が認められるハードルは高く,取調べ等できちんと状況を含めて説明していかなければなりません。
【暴行・傷害事件が起きたらどうなる?】
被害者が警察に通報し,逮捕され,起訴されて刑事処分を受け,前科が付くことになります。
被害状況が大きかったら,実刑で刑務所に入る可能性もあります。
早期に弁護士を通じて被害者と接触し,謝罪と被害弁償をしたうえで示談を成立させていくことが重要です。
当事者同士で話し合うと,感情的になって余計に状況が悪化してしまいます。
過剰な金額を要求されたり,後々にまで紛争が残ってしまうこともあります。
弁護士を通じて交渉していくことが重要です。
被害者はお金の問題だけでなく,恐怖感も大きいと思われます。
2度と接触しないなどの約束も含めて交渉していくことになります。
示談が成立したら刑事処分が軽くなる可能性が高まり,起訴前なら不起訴となる可能性が高まります。
検察官は,示談や被害弁償の有無だけでなく,本人の反省や犯罪を繰り返す可能性などを総合的に考慮して判断していきます。
特に何度も犯罪を繰り返している人に対しては,刑事処分が重くなる傾向があります。
被害者が被害届を提出する前に示談が成立したら,警察の捜査が始まらずに終了することになります。
【逮捕されたら】
逮捕されたら,逮捕・勾留合わせて最長23日間,警察署の留置場などで身体拘束されることになります。
外部と連絡を取ることは制限され,連日捜査機関による取調べを受けるため,被る精神的苦痛は非常に大きなものとなります。
当然,会社や学校に行くことはできません。
逮捕されたことが会社や学校に知られてしまう可能性も高まります。
逮捕されることで,報道される可能性が高まります。
検察官や裁判所に釈放を求めていくことになりますが,釈放が認められるハードルは高く,簡単には認められません。
刑事に強い弁護士に依頼した方が,釈放は認められやすくなります。
証拠隠滅と逃亡のおそれがあるかが判断されることになります。
被害者に対して不当な働きかけが行われる可能性があると評価されることが多いです。
そこで,そのような可能性はないことを具体的に説得的に示していくことが必要です。
身元引受人を確保し,被害者と接触しないことを具体的に説明することになります。
起訴後は保釈を求めていくことになります。
保釈とは,起訴された後,証拠隠滅や逃亡のおそれが低いうえで,一定額の金銭を支払うこと等を条件に釈放される制度をいいます。
保釈金の額は,裁判所が,犯罪の軽重や情状,経済状態や生活環境などの一切の事情を考慮して,その事件で逃亡を防ぐためにはどのくらいの金額を納めさせるのが適当かを判断した上で決定します。
保釈金の相場は,一般的に200万円前後となることが多いですが,事件によっては500万円を超える場合もあります。
保釈を取り消されて保釈金が没収されることがなければ,裁判が終わった後に裁判の結果が無罪でも有罪でも保釈金は返還されます。
しかし,保釈中に問題を起こしたら,再び身体が拘束され,預けた保釈金は没収される可能性があります。
【暴行罪・傷害罪が成立しない場合】
暴行行為がないにもかかわらず,相手が警察に被害を訴えて,警察が捜査や逮捕をしてくることがあります。
相手から一方的に攻撃されて,身を守るために反撃したとしても,相手は一方的に攻撃されたと警察に訴えて,警察が相手の言い分だけに従って捜査や逮捕をしてくることもあります。
殺意がなかったとしても,殺意があったと決めつけて,厳しく追及してくることも多いです。
密室の取調室で,「被害者がこう言っている」「証拠はもうそろっている」などと言われ,警察の言われるままに話を持っていかれ,不当な内容の供述調書が作成されてしまいます。
刑事に詳しくない弁護士が対応した場合,そのような不当な状況を放置することもあります。
刑事に詳しい弁護士のきちんとしたサポートが必要になってきます。
取調べでどのようなことを言うか,弁護士と相談しながら進めていきます。
警察の威圧的な取調べが行われていたら,弁護士が抗議をしたり,黙秘を指示したりして,きちんと対応しなければなりません。
こちらに有利な証拠がないか,検討することにもなります。
起訴されて裁判となったら,きちんとこちらの主張をしていかなければなりません。
【すぐに弁護士に相談を!】
刑事事件ではスピードが大切です。
すぐに弁護士に連絡し,相談して依頼しましょう。
逮捕後最大72時間は,たとえ家族の方でも逮捕された人との接見ができませんが,弁護士が代わりに連絡を取ってくれます。
逮捕された場合,最長で23日間,身体が拘束されますが,その間に検察官が起訴をするかどうかを判断します。
検察官が起訴の判断をする前に,示談を成立させなければなりません。
非常に限られた時間で活動しなければならず,急がなければなりません。
また,逮捕直後に不当な取調べが行われ,不利な内容の調書が作成されてしまうかもしれません。
早く弁護士が接見し,取調べへの対応方法に関してきちんとしたアドバイスをする必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので,お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では,刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
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