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北海道札幌市中央区で盗撮事件を起こした事例を想定して盗撮で問題となる罪や関連条文を解説

2023-11-15

北海道札幌市中央区で盗撮事件を起こした事例を想定して盗撮で問題となる罪や関連条文を解説

北海道札幌市でも、盗撮事件は少なくありません。
当事務所でも多くのご相談・ご依頼を受けております。
スカートの中をスマートフォンで動画撮影したり、トイレや更衣室にカメラを設置して動画撮影したり、風俗店を利用中に盗撮したり、パターンは様々です。
会社や学校、女性の家で盗撮が行われることがあります。
現行犯逮捕されたり、時間を置いてから令状逮捕されたりします。
特に最近の法改正により犯罪が成立しやすくなり、刑罰も重くなっております。
社会全体が盗撮事件に対してより厳しい対応をすることになりました。
今回は、盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

●事例(フィクション)

北海道札幌市中央区在住のAさんは、事件当日、札幌市中央区の職場の異性用のトイレに侵入し、個室で用を足しているVさんを盗撮していたところ、Vさんが気付き警察に通報しました。
札幌市中央区を管轄する札幌方面中央警察署の警察官は、Aさんを盗撮の罪で捜査することとしました。

●盗撮を禁止する法律の目的

盗撮は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」で規制されております。
「この法律は、性的な姿態を撮影する行為、これにより生成された記録を提供する行為等を処罰するとともに、性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収を可能とし、あわせて、押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等の措置をすることによって、性的な姿態を撮影する行為等による被害の発生及び拡大を防止することを目的とする。」とされております。

●盗撮で問題となる罪

性的姿態等撮影罪として、以下が規定されております。

正当な理由がないのに、ひそかに、人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるもの)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分を撮影する行為をしたら、犯罪が成立します。
相手の同意なく密かに、女性の裸やスカートの中を盗撮することをいいます。

正当な理由がないのに、ひそかに、わいせつな行為又は性交等(性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの)がされている間における人の姿態を撮影する行為をしたら、犯罪が成立します。
相手の同意なく密かに、性行為等をしている最中の姿を盗撮することをいいます。

以下の各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等(前記の裸や下着や性行為等)を撮影する行為をしたら、犯罪が成立します。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
相手の同意がない状況で撮影することをいいます。

行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為をしたら、犯罪が成立します。
医療行為等と騙したり、自分以外の人間には見せないと騙したりして、撮影することをいいます。

正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為をしたら、犯罪が成立します。
相手の同意があっても、相手が16歳未満であれば、裸や下着や性行為等を撮影するのは原則として犯罪となります。

以上の行為をしたら、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処されることになります。

未遂も罰せられることになります。
撮影しようとしてカメラを向けたら、実際に撮影していなくても、犯罪が成立します。

性的姿態等撮影だけでなく、不同意わいせつ罪や監護者わいせつが同時に成立することになる可能性もあります。

●盗撮した画像や動画を提供する罪

盗撮された性的影像記録を提供した者は、性的影像記録提供等罪として、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処されることになります。
盗撮された性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されることになります。
インターネットでは、盗撮データが多くやり取りされ、掲載されておりますが、犯罪として立件され、重い刑罰を受けることになります。
性的影像記録提供等罪をする目的で、性的影像記録を保管した者は、性的影像記録保管罪として、2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金に処されることになります。

●盗撮事件が発覚した後の流れ

盗撮行為をしてその場でばれたら、現行犯逮捕されることになります。
犯行後に数か月経過してから、犯人が特定され、令状逮捕されることもあります。
悪質な内容であれば、実名報道されることもあります。
身体拘束され、会社や学校に行けなくなり、事件がばれてしまうことがあります。
早期に弁護士を通じて釈放活動をする必要があります。
証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを説得的に主張し、釈放を求めていくことになります。

警察や検察の取調べには、慎重に対応する必要があります。
不当な圧力や誘導により、捜査機関に都合のいい内容の調書が作成されてしまう可能性があります。
弁護士と打ち合わせ・相談をしながら、取調べにどのように対応していくのかを決めていきます。
状況次第では、黙秘をして何も話さないという対応をすることもあります。
特に、実際には盗撮行為をしていなかったのであれば、更に慎重な対応が必要になります。

被害者と早期に連絡を取り、示談を成立させる必要があります。
当事者同士では感情的になってしまい、示談を成立させることは困難です。
弁護士を入れて、冷静に話し合う必要があります。
示談金だけでなく、二度と接触しないとか、事件現場には近づかないなど、細かく内容を話し合って決めていくことになります。
無事に示談が成立したら、不起訴になる可能性が高まります。

起訴されて正式裁判となったら、裁判対応をすることになります。
深く反省していること、被害者に対して大変申し訳なく思っていること、二度と犯罪を行わないこと、等を話していくことになります。
家族に情状証人として証言していただくこともあります。
盗撮が常習的に行われていたのであれば、精神的な問題を抱えている可能性があるかもしれず、病院・精神科に通っていることを説明することになります。

●弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部の特徴

刑事事件ではスピードが大切です。
すぐに弁護士に連絡し、相談して依頼しましょう。
逮捕後最大72時間は、たとえ家族の方でも逮捕された人との接見ができませんが、弁護士が代わりに連絡を取ってくれます。
逮捕された場合、最長で23日間、身体が拘束されますが、その間に検察官が起訴をするかどうかを判断します。
検察官が起訴の判断をする前に、示談を成立させなければなりません。
非常に限られた時間で活動しなければならず、急がなければなりません。
また、逮捕直後に不当な取調べが行われ、不利な内容の調書が作成されてしまうかもしれません。
早く弁護士が接見し、取調べへの対応方法に関してきちんとしたアドバイスをする必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので、お気軽にお電話ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、盗撮などの刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)
までお気軽にお電話ください。

北海道札幌市厚別区にて、つきまといを繰り返したストーカー規制法違反事件を想定し解説

2023-11-12

北海道札幌市厚別区にて、つきまといを繰り返したストーカー規制法違反事件を想定し解説

嫌がる仕草

ストーカー事件については,警察への相談数も多く,大きな社会問題となっております。
今回は,ストーカー事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

【事例】

北海道札幌市厚別区在住のAさんは、札幌市厚別区内の会社に勤める会社員です。
Aさんは同僚のVさんに恋慕していましたが、Vさんに袖にされたため、札幌市厚別区内のVさんの家の周りをうろつくなどしたうえで、Vさんに対して「あなたに交際相手がいないのは調査して分かっています。なぜ私と交際してくれないのですか。」「交際してくれるまでこの辺りをうろつき続けますよ。」などと発言しました。
Vさんは厚別区内を管轄する札幌方面厚別警察署の警察官に相談しました。

※事例はすべてフィクションです。

【ストーカー規制法の目的と定義】

ストーカー行為等の規制等に関する法律(略してストーカー規制法)」では,法律の目的として,「この法律は,ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに,その相手方に対する援助の措置等を定めることにより,個人の身体,自由及び名誉に対する危害の発生を防止し,あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。」と規定しております。

犯行は,「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」が必要となります。

「つきまとい等」は,上記目的で,当該特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し,次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいいます。
1 つきまとい,待ち伏せし,進路に立ちふさがり,住居,勤務先,学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし,住居等に押し掛け,又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
2 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ,又はその知り得る状態に置くこと。
3 面会,交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
4 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
5 電話をかけて何も告げず,又は拒まれたにもかかわらず,連続して,電話をかけ,文書を送付し,ファクシミリ装置を用いて送信し,若しくは電子メールの送信等をすること。
6 汚物,動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し,又はその知り得る状態に置くこと。
7 その名誉を害する事項を告げ,又はその知り得る状態に置くこと。
8 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き,その性的羞恥心を害する文書,図画,電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって,電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き,又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

「位置情報無承諾取得等」とは,上記目的で,当該特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し,その承諾を得ないで,相手の位置情報を取得したり,位置情報が分かる道具を相手に取り付けさせたりすることをいいます。
相手のGPS情報を取得したり,GPS機器を相手に取り付けたりすることをいいます。

ストーカー行為」とは,同一の者に対し,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいいます。
つきまとい等に関して,第1号から第4号までと,第5号の電子メールの送信等に係る部分の行為については,身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限ります。

何人も,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして,その相手方に身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはなりません。

【ストーカー規制法における警告】

警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長は,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をされたとして当該つきまとい等又は位置情報無承諾取得等に係る警告を求める旨の申出を受けた場合において,当該申出に係る違反する行為があり,かつ,当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,当該行為をした者に対し,更に反復して当該行為をしてはならない旨を「警告」することができます。

【ストーカー規制法における禁止命令等】

都道府県公安委員会は,違反する行為があった場合において,当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,その相手方の申出により,又は職権で,当該行為をした者に対し,次に掲げる事項を命ずる「禁止命令等」をすることができます。
1 更に反復して当該行為をしてはならないこと。
2 更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項
原則として聴聞を行わなければなりません。
禁止命令等の効力は,禁止命令等をした日から起算して1年です。
期間は1年ごとに延長することができます。

【ストーカー行為等での罰条】

ストーカー行為をした者は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることになります。
更に反復してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をしてはならないことの禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は,2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処されることになります。
更に反復してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をしてはならないことの禁止命令等に違反して,つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をすることにより,ストーカー行為をした者も,同様となります。
更に反復してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をしてはならないことの禁止命令等に違反して,ストーカー以外の行為をした者は,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることになります。

【ストーカーに関するその他の条文】

ストーカー事件では,他にも以下のような刑法上の犯罪が問題になることがあります。

(住居侵入等)
第130条 正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

(傷害)
第204条 人の身体を傷害した者は,十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(暴行)
第208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(脅迫)
第222条 生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は,二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も,前項と同様とする。

(強要)
第223条 生命,身体,自由,名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し,又は暴行を用いて,人に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害した者は,三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し,人に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害した者も,前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は,罰する。

(名誉毀損)
第230条 公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した者は,その事実の有無にかかわらず,三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は,虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ,罰しない。

(侮辱)
第231条 事実を摘示しなくても,公然と人を侮辱した者は,一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

他にも,私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ法)違反が問題になる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、ストーカー規制法違反など俗にストーカーと呼ばれる行為で刑事事件に発展した場合の弁護活動に対応しています。
北海道札幌市厚別区にて、ご自身がストーカー規制法違反で捜査を受けている方、家族がストーカー規制法違反で逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部にご連絡ください。

北海道札幌市白石区にて泥酔した被害者と性行為をして不同意性交等罪に問われたという事例を想定して解説

2023-11-09

北海道札幌市白石区にて泥酔した被害者と性行為をして不同意性交等罪に問われたという事例を想定して解説

嫌がる仕草

不同意性交等罪は、性的自由を侵害する重大な犯罪です。この罪について、具体的な事例を交えながら、その法的な枠組みと社会的な影響について解説します。

1. 不同意性交等罪とは

不同意性交等罪は、性的自由を侵害する行為に対して設けられた新しい法律です。
この罪は、被害者の同意なく性交等を行うことを犯罪と定めており、令和5年の刑法改正により、従来の強制性交等罪に代わって創設されました。
法定刑は5年以上の有期拘禁刑とされており、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 意に反する状態の利用
    被害者が意識不明、泥酔、睡眠中など、自己の意思を表明できない状態にあること。
  2. 同意の不在
    行為が行われた際、被害者が同意していないことが明白であること。
  3. 性交等の行為
    法律に定める性交等の行為が行われたこと。

この法律の下では、被害者の同意がない場合、たとえ暴力や脅迫がなくとも、加害者は重い刑事責任を負うことになります。
不同意性交等罪の成立は、被害者の自由意志に基づく同意の有無が鍵となり、これにより性的自由を尊重する法の精神が強調されています。

2. 想定事例

北海道札幌市白石区での出来事で不同意性交等罪に問われたという事例を想定して、検討します。
ある夜、白石区の静かな住宅街で、20代の女性が帰宅途中に泥酔状態に陥りました。
彼女は自宅近くの公園のベンチで意識を失い、その無防備な状態を利用され、性的暴行を受けるという事件が発生しました。

加害者は、札幌白石区に住むAさんで、被害女性が正常な判断ができないことを見計らって犯行に及びました。
この行為は、「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。」(刑法176条1項3号)に乗じて性行為等をしたとされ、刑法177条1項に該当する、不同意性交等罪に該当します。
事件後、被害女性は札幌市白石区を管轄する札幌方面白石警察署の警察官に相談し、加害者は防犯カメラの映像などから特定されました。

札幌市白石区での事例はフィクションですが、このような事件(あるいは加害者2名以上が共謀して性的行為を行う)事件は少なくありません。

3. 法改正の背景

不同意性交等罪の創設に至った背景には、性犯罪に対する社会的な認識の変化があります。
令和5年に施行された刑法改正は、性的自由と尊厳をより強固に保護するためのものでした。
従来の法律では、強制性交等罪が存在しましたが、その適用には暴力や脅迫が伴う必要があり、被害者が抵抗できない状態での性交は「準強制性交等罪」として扱われていました。

しかし、この区分は被害者の受けた害の重大さを十分に反映していないとの批判がありました。
改正は、加害者の行為が被害者の同意なく行われた場合、その方法や手段に関わらず、一律に重い罪として扱うことを明確にしました。
これにより、被害者の意思が尊重され、性的自由が法的に保護される範囲が拡大されたのです。

この改正は、国際的な人権基準にも対応するものであり、性犯罪に対するより厳格な対応を求める世界的な動向を反映しています。
日本国内でも、性犯罪に対する意識が高まり、被害者支援の充実や、加害者に対する厳罰化の声が強まっていたことが、法改正の大きな推進力となりました。

4. 被害者との示談交渉

不同意性交等罪の立法において、被害者保護は最も重要な要素の一つです。
法律は、被害者が二次的な被害や社会的なスティグマに苦しむことなく、必要な支援と正義を受けられるように設計されています。

被害者支援の法的枠組み

被害者は、事件後の警察への届け出から裁判過程に至るまで、精神的なサポートを受ける権利があります。
これには、カウンセリングサービス、法的アドバイス、場合によっては匿名での支援が含まれます。
また、被害者が証言する際には、プライバシーを保護するための措置が講じられることが多く、これには非公開の審理や、証言のビデオ録画があります。

実際の支援体制

日本では、性犯罪被害者支援センターや女性相談所など、被害者を支援するための様々な組織が存在します。
これらの組織は、被害者が経験したトラウマに対処し、社会復帰を支援するための専門的なサービスを提供しています。
また、法律事務所やNPO法人と連携し、被害者が法的な手続きを進める際の支援も行っています。

このような支援体制は、被害者が自らの権利を主張し、適切な治療と法的救済を求めるための基盤を提供します。
不同意性交等罪の被害者に対する包括的な支援は、社会全体で性犯罪に対する意識を高め、被害者が正義を求めることを後押しするものです。

5. 加害者の法的責任

不同意性交等罪における加害者の法的責任は、日本の刑法において厳しく定められています。
この罪に問われた場合、加害者は重い刑事罰に直面することになります。

刑罰の規定

不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の有期懲役刑です。
これは、被害者の意に反する性交等を行った加害者に対して、その行為の重大性を反映した刑罰を科すためのものです。
さらに、被害者に対する暴力や脅迫が伴う場合は、より重い刑罰が科される可能性があります。

法的責任の重さ

加害者が被害者の意思に反して性交等を行ったという事実は、社会的にも倫理的にも許されない重大な犯罪行為と見なされます。
このため、加害者は刑事責任のみならず、社会的な非難や職業的な制裁を含む広範な影響に直面することになります。

法的責任を問うプロセス

加害者に対する法的責任を問うプロセスは、警察の捜査から始まります。
捜査が終了すると、検察官が起訴を決定し、裁判所が審理を行います。
裁判では、加害者の行為の事実関係が詳細に検討され、被害者の証言や証拠が重要な役割を果たします。

この法的プロセスを通じて、不同意性交等罪の加害者は、その行為に対する責任を法的に問われ、社会からの正義の実現に寄与します。

6. 示談と刑事弁護

不同意性交等罪における示談は、加害者と被害者間での合意に基づく解決策です。
しかし、この犯罪の性質上、示談が成立することは少なく、法的な過程を経ることが一般的です。

示談の可能性

示談は、被害者が加害者に対して民事上の賠償を求める場合に検討されることがあります。
加害者が被害者に対して損害賠償を行い、被害者がそれを受け入れることで、民事訴訟を避けることができます。
しかし、刑事責任は民事和解の対象外であり、示談が刑事訴追を停止させるものではありません。

刑事弁護のプロセス

刑事弁護は、加害者が刑事訴訟において自己の権利を守るために行う法的な手続きです。
弁護士は、証拠の収集や証人尋問を通じて、加害者の行為の事情を明らかにし、法的な防御を構築します。
また、弁護士は、加害者が公正な審理を受け、適切な刑罰が科されるよう努めます。

不同意性交等罪の場合、刑事弁護のプロセスは特に複雑であり、加害者の行為の意図や被害者の同意の有無が重要な争点となります。
このプロセスを通じて、加害者は法的な責任を全うし、被害者は正義を求めることができます。

7. まとめと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の紹介

この記事では、不同意性交等罪に関する重要な側面を詳細に解説しました。
この罪は、被害者の性的自由と尊厳を保護するために設けられたもので、加害者には重い刑事責任が課されます。
法改正の背景、被害者の保護、加害者の法的責任、示談と刑事弁護のプロセス、そして社会的影響と予防策について考察しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の役割

札幌市に位置する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、不同意性交等罪を含む様々な刑事事件に対応しています。
この法律事務所は、被告人の権利を守り、公正な裁判を受けるためのサポートを提供しています。
また、被害者の立場からの支援も行い、法的な救済と心のケアを提供しています。

専門的なサービス

  • 刑事事件に関する法的アドバイス
  • 被告人の権利保護
  • 被害者支援とカウンセリング
  • 示談交渉のサポート

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、経験豊富な弁護士チームにより、刑事事件に関わるすべての人々に対して、専門的かつ総合的なサポートを提供しています。
不同意性交等罪に関する法的問題に直面している場合、この法律事務所は信頼できる選択肢となるでしょう。

北海道札幌市白石区にて、家族が不同意性交等罪で逮捕・勾留された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

北海道江別市内で盗撮した性的姿態等撮影罪で捜査を受けた事例を想定して、性的姿態等撮影罪の成立する要件などについて解説

2023-11-06

北海道江別市内で盗撮した性的姿態等撮影罪で捜査を受けた事例を想定して、性的姿態等撮影罪の成立する要件などについて解説

女性のスカートの中を盗撮する事件を起こしてしまい,当事務所に相談・依頼される方は少なくありません。
自分のスマートフォンのカメラで簡単に出来ることから,盗撮は想像する以上に頻繁に行われていると思われます。
つい出来心で好奇心から盗撮してしまったりする場合だけでなく,常習的に盗撮を繰り返す人もいます。
逮捕され,悪質な場合は実名報道されることもあります。
勤務先や学校にばれてしまい,懲戒解雇や退学処分となってしまうこともあります。
今回は,このようなスカート内の盗撮事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

<想定事例>

北海道江別市在住のAさんは、江別市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、事件当日、江別市内を走行中の列車内で、スカートを履いた女性Vさんのスカート内にスマートフォンのカメラを差し向ける方法で盗撮行為をしていたところ、別の乗客がAさんの盗撮行為に気付き、通報を受けて臨場した江別市内を管轄する札幌方面江別警察署の警察官により性的姿態当撮影罪で取調べを受けました。

<性的姿態等撮影>

今年,国会で,「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」が成立いたしました。
略して性的姿態撮影等処罰法ともいいます。
これまでは盗撮に関して,各地方公共団体の条例で刑罰が規定されていましたが,これを国の統一した法律で刑罰を規定し,犯罪の成立範囲を広げ,罰則も重くなりました。
盗撮行為の多さや被害の重さから,社会的に厳しく対処することになりました。

正当な理由がないのに,ひそかに,人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部,臀部又は胸部をいう。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており,かつ,性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分である性的姿態等を撮影したら,性的姿態等撮影罪が成立し,3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処されることになります。
スカート内をカメラで盗撮することは,正当な理由なくひそかに女性の下着を撮影することになるので,性的姿態等撮影罪が成立することになります。

刑法第176条(不同意わいせつ罪)第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により,同意しない意思を形成し,表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて,人の対象性的姿態等を撮影する行為も,性的姿態等撮影罪が成立することになります。
刑法第176条第1項各号は,以下のとおりです。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し,表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ,若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し,若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
ひそかにでなくても,上記のように女性が同意していない状況で下着を撮影したら,性的姿態等撮影罪が成立します。

また,行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ,若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ,又はそれらの誤信をしていることに乗じて,人の対象性的姿態等を撮影する行為も,性的姿態等撮影罪となります。
他の人に見せないと嘘を言って女性を騙して下着を撮影したら,性的姿態等撮影罪が成立します。

ちなみに,正当な理由がないのに,13歳未満の者を対象として,その性的姿態等を撮影し,又は13歳以上16歳未満の者を対象として,当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が,その性的姿態等を撮影する行為も,性的姿態等撮影罪が成立することになります。
基本的に女性が16歳未満であれば,女性の同意があっても下着を撮影したら犯罪となります。

未遂行為も罰せられることになります。
実際に撮影できなかったとしても,スカートの下からカメラを向けたら,犯罪が成立することになります。

<逮捕されたら>

スカート内の盗撮行為がその場で発覚したら,警察を呼ばれて逮捕される可能性があります。
逮捕・勾留されたら,長期間身体拘束される可能性もあります。
直ぐに弁護士を呼んで,アドバイスを受ける必要があります。
捜査機関の取調べに対し,具体的にどのように対応すればいいかを弁護士と相談することになります。
被害者への示談活動や,身体拘束から解放するための釈放活動を,弁護士を通じて行うことになります。

取調べでは,記憶に従って話すことになります。
しかし,警察が違法不当な取調べをして,威圧してきたり,話を不当に誘導してきたりする場合もあります。
状況に応じて,黙秘や抗議をしなければなりません。
具体的にどのように話すのか,それとも黙秘する必要があるのか,弁護士とよく相談することになります。
特に,実際には盗撮行為をしていないにも関わらず,盗撮を疑われて逮捕された場合は,慎重な対応が必要です。
裁判も見据えて,取調べに対して毅然とした対応をしていく必要があります。

示談活動は,弁護士が捜査機関を通じて被害者に接触し,話し合うことになります。
謝罪と誠意を示しながら,示談金の交渉をしていくことになります。
被害者へ近づかないことや,事件現場へ近づかないこと,事件の現場となった公共交通機関を利用しないこと,等も含めて話し合うことになります。
被害者が応じてもらえたら,示談書を作成し,示談金を支払うことになります。
示談が成立したら絶対に検察官が不起訴にするということではありません。
検察官は,示談の成立だけでなく,犯行の悪質性や犯人の反省や前科前歴や再犯可能性等を総合して考慮し,起訴不起訴を判断していくことになります。
なので,示談を成立させることだけが弁護士の仕事ではありません。
環境調整も含めて話し合い,実施していくことになります。

逮捕されたら,釈放を求めていくことになります。
身体拘束は,証拠隠滅や逃亡のおそれが認められることを根拠としております。
そこで,弁護士は,証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを説得的に主張していくことになります。
特に,スカート内の盗撮事件であれば,通常はお互い赤の他人であることが多いので,被害者へ不当な働きかけをすることは不可能で,証拠隠滅のおそれがないことを強調することになります。
もちろん,示談が成立したら,それ以上の証拠隠滅や逃亡のおそれはないと主張していくことになります。

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北海道札幌市中央区での事例を想定して検討する:わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪とは

2023-11-03

北海道札幌市中央区での事例を想定して検討する:わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪とは

北海道札幌市中央区での無修正DVD販売したことでわいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪に問われたという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部が解説しています。

事例

北海道札幌市中央区で起こった事例を想定します。ここでは、Aさんという個人が、生活苦から被写体に許可を得て撮影した性行為の動画をDVDに焼いて販売しようと考えました。
Aさんは、性器などがモザイク処理されていない無修正動画を含むDVDを、自身の店舗で販売していました。
しかし、情報提供を受けて捜査を開始した北海道警察署の警察官によって家宅捜索を受けることになり、Aさんは札幌市中央区にある札幌方面中央警察署にて「電磁的記録記録媒体頒布」の罪で捜査を受けることになりました。Aさんは在宅で捜査を受けることになり、不安になり弁護士に相談しました。

法的背景

わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪についての法的背景を解説します。
この罪は、日本の刑法175条に基づいています。この条文は、わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体、その他の物を頒布、または公然と陳列した者を罰するものです。
具体的には、性器等がモザイク処理されていない無修正の映像や画像を含む電磁的記録媒体(例えばDVD)の頒布が、この罪に該当します。
この法律は、公共の道徳と秩序を保護するために設けられており、わいせつ物の流通を厳しく規制しています。
札幌市中央区の事例のように、無修正DVDの販売はこの法律によって明確に禁止されており、違反した場合には刑事罰が科せられることになります。

罪の成立要件

わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪とわいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持罪の成立要件について解説します。
これらの罪は、刑法175条に基づき、わいせつな内容を含む電磁的記録媒体の頒布や所持に関連しています。
頒布罪は、わいせつな内容を含む電磁的記録媒体を他人に渡す行為、例えば販売や配布などが該当します。
一方、所持罪は、有償で頒布する目的でわいせつな電磁的記録媒体を所持している場合に成立します。これは、販売のために在庫を持っている状況などが該当します。
札幌市中央区の事例では、Aさんが無修正DVDを販売するために所持していたことが、所持罪の成立要件を満たしています。
このように、わいせつ物の頒布と所持は、それぞれ別の要件を満たす必要があり、どちらも法律によって厳しく規制されています。

判例と裁判の流れ

わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪に関連する判例と裁判の流れについて見ていきましょう。
この種の事件では、裁判所は違法性の認識、販売期間、販売量や売上金額、税務申告の有無などを総合的に考慮して量刑を決定します。
例えば、札幌市中央区の事例では、Aさんは数年にわたり無修正DVDを販売していたこと、違法性の認識があったことが考慮されました。
裁判では、被告人の反省の意志や社会復帰の可能性も重要な要素となります。Aさんのケースでは、家族の証人尋問を通じて、反省の意を示し、実刑回避を図る弁護戦略が取られました。
このように、わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪に関する裁判では、多角的な視点から被告人の行動とその背景を検討し、適切な判決を下すことが求められます。

法的教訓と社会的影響

最後に、わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪から学ぶ法的教訓とその社会的影響について考察します。
札幌市中央区の事例は、わいせつ物の頒布がいかに厳しく取り締まられているかを示しています。
このような法律は、公共の道徳と秩序を守るために存在し、わいせつ物の流通を防ぐことで社会全体の健全性を保つことを目的としています。
また、この事例は、個人がどのような状況にあっても、法律を遵守することの重要性を教えてくれます。
法律違反は、たとえ生活苦や他の困難な状況が背景にあったとしても、許されるものではありません。
この事件から、私たちは法律の枠組み内で行動することの重要性と、法律違反に対する厳しい社会的な見方を学ぶことができます。

まとめと弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部の解説

本記事では、北海道札幌市中央区でのわいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪の事例を通じて、この罪の法的背景、成立要件、裁判の流れ、弁護戦略、そして法的教訓と社会的影響について考察しました。

この事例から、わいせつ物の頒布や所持がいかに厳しく取り締まられているかが明らかになります。また、法律違反に対する社会的な見方の厳しさと、法律を遵守することの重要性が強調されています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部では、このような刑事事件における法的支援を提供しています。彼らの専門家チームは、被疑者・被告人の権利を保護し、最善の結果を得るための戦略を練ることに長けています。

彼らの解説によると、刑事事件における弁護は、単に法的な側面だけでなく、被告人の人間性や社会的背景を考慮することが重要です。これにより、裁判所に対して被告人の更生の可能性を訴え、より公正な判決を求めることができます。

北海道札幌市中央区にて、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪で家宅捜索を受けた方、取調べを受けた方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所札幌支部にご連絡ください。在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。

犯罪収益隠匿事件:法的側面と事例による解説

2023-10-30

犯罪収益隠匿事件:法的側面と事例による解説

犯罪収益隠匿罪、通称「マネロン罪」は近年注目を集めています。 しかし、この罪についての理解は一般にはまだ浅いものがあります。 本記事では、犯罪収益隠匿罪の法的側面と具体的な事例を交えて詳しく解説します。

1 犯罪収益隠匿罪とは?

犯罪収益隠匿罪(はんざいしゅうえきいんとくざい)、通称「マネロン罪」とは、犯罪によって得られた収益を隠匿または移転する行為を罰する法律です。
この罪は、組織的犯罪処罰法に基づいています。
目的は、犯罪によって得られた資金の流れを追跡しやすくすることで、組織的犯罪を根絶することです。

犯罪収益隠匿罪は、いわゆる「前提犯罪」が存在する場合に適用されます。
前提犯罪とは、詐欺、薬物取引、無登録貸金業など、犯罪収益を生む可能性のある犯罪を指します。
この前提犯罪によって得られた収益を隠匿または移転する行為が、犯罪収益隠匿罪とされます。

この罪には、厳格な罰則が設けられています。
具体的には、懲役や罰金、そして資産の没収などがあります。
そのため、この罪に問われると、重大な影響を受ける可能性が高いです。

2 犯罪収益隠匿事件の事例

犯罪収益隠匿罪の理解を深めるために、具体的な事例を挙げて解説します。
この事例はフィクションですが、実際に起こり得るケースを基にしています。

事例:無登録貸金業者による犯罪収益隠匿

無登録貸金業者A社は、法定利息を大幅に超える利率で貸付を行っていました。
この業者は、全国の顧客に対して、法定利息の約84倍から約118倍で金銭を貸し付けていました。
そして、得られた元利金約3億3,800万円を、他人名義の口座に振り込む形で収益を隠匿していました。

このケースでは、無登録貸金業者A社は出資法違反(超高金利)という前提犯罪を犯しています。
さらに、その犯罪で得た収益を他人名義の口座に振り込むことで、犯罪収益隠匿罪に該当する行為を行っています。

このような事例を通じて、犯罪収益隠匿罪の具体的な適用例とその重要性が理解できるでしょう。

3 法的要件と罰則

犯罪収益隠匿罪には、特定の法的要件が必要です。
これらの要件が満たされた場合にのみ、この罪が適用されます。

法的要件

  1. 前提犯罪の存在:犯罪収益隠匿罪が適用されるためには、前提となる犯罪(詐欺、薬物取引、無登録貸金業など)が存在する必要があります。
  2. 犯罪収益の隠匿または移転:前提犯罪によって得られた収益を隠匿、または移転する行為が行われた場合。
  3. 因果関係:前提犯罪と犯罪収益の隠匿または移転との間に明確な因果関係が存在する必要があります。

罰則

犯罪収益隠匿罪に問われた場合、以下のような罰則が適用される可能性があります。

  1. 懲役刑:最も一般的な罰則として、懲役刑があります。具体的な期間は、前提犯罪の重さや隠匿行為の規模によります。
  2. 罰金:一定額以上の罰金が科される場合もあります。
  3. 資産の没収:犯罪によって得られた資産が没収される可能性もあります。

4 前提犯罪との関連性

犯罪収益隠匿罪は、他の犯罪行為が前提となる特殊な罪です。
この「前提犯罪」と犯罪収益隠匿罪との関連性について、詳しく解説します。

前提犯罪の種類

前提犯罪は多岐にわたりますが、主なものとしては以下のような犯罪があります。

  1. 詐欺罪:不正な手段で他人から金品を騙し取る行為。
  2. 薬物取引:違法な薬物の製造、販売、所持など。
  3. 無登録貸金業:貸金業の許可を得ずに金銭の貸付を行う行為。

前提犯罪と犯罪収益隠匿罪の連鎖

  1. 捜査の進行:前提犯罪に対する捜査が進むと、その過程で犯罪収益隠匿罪も明らかになる場合が多いです。
  2. 再逮捕・追送致:前提犯罪で逮捕・勾留された後、犯罪収益隠匿罪で再逮捕・追送致されるケースもあります。

複数の罪による罰則の重複

前提犯罪と犯罪収益隠匿罪が同時に適用される場合、罰則はそれぞれ独立して適用されます。
これにより、被告人はより重い刑罰に直面する可能性があります。

以上が前提犯罪と犯罪収益隠匿罪との関連性についての説明です。
次の項目では、マネロン罪の積極的運用について詳しく解説します。

5 マネロン罪の積極的運用

犯罪収益隠匿罪、通称「マネロン罪」は、近年、捜査機関によって積極的に運用されています。
このセクションでは、その背景と具体的な運用方法について解説します。

積極的運用の背景

  1. 組織的犯罪の根絶:マネロン罪の積極的運用は、組織的犯罪を根絶するための一環です。
  2. 国際的な協力:資金洗浄が国際的な問題となっているため、各国との協力を強化する意味でも積極的な運用が求められます。

運用の具体例

  1. 資金の流れの追跡:犯罪収益がどのように移動しているかを詳細に追跡し、関連する人物や組織を特定します。
  2. 複数の罪での起訴:前提犯罪だけでなく、マネロン罪での追加起訴を行い、より重い罰則を科す場合があります。

法改正と未来展望

近年では、マネロン罪に関する法改正も議論されています。
これにより、今後は更に厳格な運用が見込まれるとともに、その適用範囲も広がる可能性があります。

6 防御策と対処法

犯罪収益隠匿罪は厳格な罰則があるため、事前の防御策と万が一の対処法が必要です。
このセクションでは、その具体的な方法について解説します。

防御策

  1. 合法的なビジネス運営:前提犯罪を犯さないように、ビジネス運営は常に合法的に行うことが基本です。
  2. 資金の透明性:資金の流れを透明にし、不正な資金が流れないように管理することが重要です。
  3. 内部監査の強化:定期的に内部監査を行い、不正な行為がないか確認することも有効な防御策です。

対処法

  1. 弁護士の早期依頼:犯罪収益隠匿罪の疑いがかかった場合は、早期に弁護士に相談することが重要です。
  2. 証拠の保全:自身が無実であることを証明するための証拠をしっかりと保全する必要があります。
  3. 協力的な姿勢:捜査機関と協力的に対応することで、より軽い罰則にする可能性もあります。

7 まとめと今後の展望

本記事では、犯罪収益隠匿罪について、その法的側面から具体的な事例、防御策と対処法まで幅広く解説しました。
この罪は、前提犯罪と密接に関連しており、その運用は日々厳格化しています。

まとめ

  1. 犯罪収益隠匿罪の重要性:この罪は組織的犯罪を根絶するため、また国際的な資金洗浄対策として非常に重要です。
  2. 法的要件と罰則:前提犯罪の存在とその収益の隠匿・移転が主な法的要件であり、厳格な罰則が設けられています。
  3. 防御策と対処法:事前の防御策としては合法的なビジネス運営と透明な資金の管理が基本です。

今後の展望

  1. 法改正と厳格化:今後、法改正が行われる可能性があり、その運用は更に厳格化すると予想されます。
  2. 情報の普及と啓発:この罪についての正確な情報を広め、一般の理解を深めることが今後の課題です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、犯罪収益隠匿罪などの複雑な刑事事件にも対応しています。犯罪収益隠匿事件の場合、共犯者や関係者が多く存在することから、証拠隠滅の恐れが高いとして長期間の身柄拘束が見込まれます。

また、起訴され刑事裁判になる可能性が高いため、事件について否認する場合は対立構造になるほか、罪を認める場合には犯情や一般情状を最大限主張する等、事案に即した弁護活動が求められます。

北海道札幌市やその周辺で、家族が犯罪収益隠匿罪で捜査を受けている、逮捕されているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

痴漢事件と不同意わいせつ罪

2023-10-27

痴漢事件と不同意わいせつ罪

日常生活で耳にする「痴漢」と「不同意わいせつ罪」。 これらは一見似ているが、法的には大きな違いがあります。 この記事では、その違いと具体的な事例を交えて解説します。

1 痴漢事件(迷惑防止条例違反)とは?

痴漢とは、一般的に公共の場所で他人の身体に触れる行為を指します。
このような行為は、多くの場合、各都道府県が定める「迷惑防止条例」に違反するとされています。

例えば、北海道迷惑行為防止条例では、公共の場所や乗物にいる者に対して、正当な理由がないのに身体に触れる行為が禁止されています。
具体的には、条例の文言に「何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、身体に触れること」とあります。

このように、痴漢行為は地域によっては条例で規制されており、違反者には罰則が科されます。
罰則の内容は条例によって異なる場合がありますが、一般的には罰金や懲役刑(拘禁刑)などが考えられます。

2 事例(痴漢事件)

Aさんは北海道小樽市に住む一般の会社員です。
事件当日、Aさんは函館本線に乗車していました。

電車内で、Aさんは眠っているVさんを見つけました。
その瞬間、Aさんは劣情を催し、Vさんの股間付近を服の上から触りました。

5分ほど経過した後、Vさんは目を覚まし、Aさんの行為に気づきました。
すぐに駅員に被害を申告し、その後、小樽警察署の警察官が臨場しました。

当初、Aさんは痴漢事件(迷惑防止条例違反)で捜査を受けていました。
しかし、車内の防犯カメラの映像を確認した結果、捜査は不同意わいせつ罪の嫌疑に変わりました。

この事例からわかるように、痴漢事件は迷惑防止条例違反として捜査が始まることが多いです。
しかし、状況や証拠によっては、罪状が変わる可能性もあります。

3 不同意わいせつ罪とは?

不同意わいせつ罪は、刑法に基づく犯罪の一つです。
この罪は、相手の同意がない状態でわいせつな行為を行った場合に適用されます。

具体的には、刑法176条1項により、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する」と定められています。

この条文からわかるように、不同意わいせつ罪は被害者が「同意しない意思を形成し、表明することが困難な状態」にある場合、特に重視されます。
例えば、被害者が眠っている、または意識が不明瞭な状態である場合などが該当します。

罰則としては、6月以上10年以下の拘禁刑が科される可能性があります。
これは、迷惑防止条例違反(痴漢)と比べても、はるかに重い罰則が科されることを意味します。

4 事例(不同意わいせつ罪)

先に紹介したAさんのケースを再度取り上げます。
Aさんは、函館本線の電車内で眠っているVさんに対して、わいせつな行為を行いました。

この行為は、当初は痴漢事件(迷惑防止条例違反)として捜査が始まりましたが、車内の防犯カメラの映像を基に、不同意わいせつ罪の嫌疑に変更されました。

このケースでは、Vさんが「眠っている」状態であったため、刑法176条1項にある「同意しない意思を形成し、表明することが困難な状態」に該当します。
そのため、Aさんの行為は不同意わいせつ罪として評価されました。

この事例から、不同意わいせつ罪は被害者の状態や行為の性質によって、痴漢事件よりも重い罪として扱われる可能性が高いことがわかります。

また、不同意わいせつ罪での立件は、目撃者や防犯カメラの映像など、確固たる証拠が必要とされる場合が多いです。

5 痴漢と不同意わいせつ罪の違い

痴漢と不同意わいせつ罪は、一見似ているように感じられるかもしれませんが、法的にはいくつかの重要な違いがあります。

法的根拠

まず、痴漢は主に各都道府県の「迷惑防止条例」に基づいています。
一方で、不同意わいせつ罪は「刑法」に基づいています。

罰則の重さ

痴漢での罰則は、一般的には罰金や拘禁刑が考えられます。
しかし、不同意わいせつ罪では、6月以上10年以下の拘禁刑しか用意されていないため、。

適用される状況

痴漢は、公共の場所で他人の身体に触れる行為が対象です。
不同意わいせつ罪は、被害者が「同意しない意思を形成し、表明することが困難な状態」にある場合に適用されます。

証拠の必要性

痴漢は目撃者や防犯カメラの映像などがあれば立件が容易ですが、不同意わいせつ罪ではより確固たる証拠が求められる場合があります。

6 どちらの罪に当たるか?

痴漢と不同意わいせつ罪は、法的には異なる罪ですが、実際の事件ではどちらの罪に当たるのかが問題となる場合があります。

行為による違い

痴漢行為と不同意わいせつ罪との関係性は、いうなれば延長線上にあります。そして、その境界線は明確ではありません。たとえば、「下着の上からであれば痴漢、下着の中に手を入れたら不同意わいせつ」などと決まっているわけではなく、下着の上から行った行為であっても不同意わいせつ罪が適用されることはあります。

事例からの学び

先に紹介したAさんのケースでは、当初は痴漢事件として捜査が始まりましたが、後に不同意わいせつ罪に変更されました。
このように、捜査の進行や新たな証拠が出てくることで、罪状が変わることがあります。

証拠の重要性

特に不同意わいせつ罪では、確固たる証拠が必要とされる場合が多いです。
例えば、防犯カメラの映像や目撃者の証言などが、罪状を決定づける重要な要素となります。

罪の重さと影響

痴漢と不同意わいせつ罪では、罰則の重さが大きく異なります。
そのため、どちらの罪に当たるかによって、受ける社会的・法的な影響も大きく変わります。

7 まとめと注意点

この記事を通じて、痴漢と不同意わいせつ罪の違いについて詳しく解説してきました。

法的根拠の違い

痴漢は主に迷惑防止条例に、不同意わいせつ罪は刑法に基づいています。

罰則の違い

痴漢は罰金や拘留が一般的ですが、不同意わいせつ罪では6月以上10年以下の拘禁刑が科される可能性があります。

状況と証拠

同一の行為でも、状況や証拠によって罪状が変わる可能性があります。

注意点

  • 痴漢や不同意わいせつ行為は、法的にも社会的にも重大な犯罪です。
  • 事前に法的な知識を持つことで、不必要なトラブルを避けることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。

北海道小樽市を走行中の函館本線にて痴漢行為をしてしまい、北海道迷惑行為防止条例違反や不同意わいせつ罪で捜査を受けている・家族が逮捕されているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

現住建造物等放火罪:事例を交えた詳細な法律解説

2023-10-24

現住建造物等放火罪:事例を交えた詳細な法律解説

現住建造物等放火罪は、その名の通り、人が住んでいる建物に放火する行為に対する罪です。 この罪は非常に重く、最悪の場合、死刑にもされうる重大な犯罪です。 今回は、この罪についての法的側面を事例を交えて詳しく解説します。

項目1:現住建造物等放火罪とは?

現住建造物等放火罪(以下、現住放火罪)は、人が住んでいる建物や現に人がいる建造物に放火する行為に対する罪です。 この罪は、日本の刑法第108条に規定されています。 最も重い場合、死刑にもされうる非常に重大な犯罪です。

この罪は、放火行為によって不特定多数の人の生命・身体・財産に危険を及ぼす可能性があるため、非常に厳しく罰せられます。 具体的には、死刑、無期懲役、または五年以上の有期懲役が科される可能性があります。

法律用語で言うと、この罪は「公共の平穏を保護法益」としています。 つまり、この罪によって保護されるのは、公共の安全と平穏です。

項目2:この罪が成立する具体的な要件

現住放火罪が成立するためには、いくつかの具体的な要件が必要です。 まず、放火行為が行われた建造物が「現に人が住居に使用している」か「現に人がいる」状態である必要があります。

「現に人が住居に使用している」とは、その建造物が日常的に人の生活の場として使用されている状態を指します。 一方で、「現に人がいる」とは、放火が行われた瞬間に、その建造物内に人が存在している状態を意味します。

次に、放火行為自体ですが、「日的物の燃焼を惹起させる行為」または「それに原因力を与える行為」が必要です。 具体的には、目的物に直接火をつける行為や、媒介物に火をつけて目的物に火を移す行為などが該当します。

さらに、この罪は故意である必要があります。 つまり、行為者が放火によって建造物が燃えること、そしてその建造物が「現に人が住居に使用している」または「現に人がいる」状態であることを認識している必要があります。

以上のような要件が揃った場合、現住放火罪が成立します。

項目3:「放火」とは何か?

「放火」という言葉は一般的によく使われますが、法律の文脈での「放火」には特定の定義があります。 具体的には、「日的物の燃焼を惹起させる行為」または「それに原因力を与える行為」とされています。

この定義にはいくつかの要点があります。 まず、放火行為は必ずしも目的物に直接火をつける行為だけではありません。 媒介物に火をつけて、その火を目的物に移すような行為も放火とされます。

また、既に火がついている場所に油を注ぐなどして、火の勢いを助長・増大させる行為も放火に該当します。 このような行為は、火力の勢いを助長・増大させるという点で、放火行為と同視されます。

さらに、放火行為は故意である必要があります。 つまり、火をつける行為自体が偶然や事故であった場合、放火罪は成立しません。

項目4:不作為による放火の可能性

一般的に、犯罪は行為によって成立するものと考えられがちですが、不作為、すなわち何もしないことによっても犯罪が成立する場合があります。
このような状況は、不作為犯と呼ばれます。
現住放火罪においても、不作為による放火の可能性が考えられます。

例えば、火事に気づいたにも関わらず、消火活動を行わない、または消防への通報を怠った場合、その行為が放火に該当する可能性があります。
特に、その人が建物の所有者や管理者であり、消火の責任がある場合には、不作為によって現住放火罪が成立する可能性が高まります。

ただし、このような場合でも、行為者が火事によって「現に人が住居に使用している」または「現に人がいる」建造物が燃えることを認識している必要があります。
また、その人が消火活動を行う能力があったかどうかも重要な要素となります。

不作為による放火は、一見、行為による放火とは異なるように思えますが、法的には同じく厳しく罰せられる可能性があります。

項目5:実行の着手とは?

犯罪が成立するためには、単に犯罪の意志を持っているだけでは不十分です。 その意志を具体的な行動に移し、犯罪を「実行の着手」した状態で初めて、犯罪が成立する可能性があります。 現住放火罪においても、この「実行の着手」が非常に重要な要素となります。

「実行の着手」とは、犯罪を完成させるための具体的な行動を開始した状態を指します。 例えば、放火するためにガソリンを購入したり、火をつけるための道具を用意したりする行為は、実行の着手に該当する可能性があります。

しかし、これらの行為が必ずしも「実行の着手」に該当するわけではありません。 重要なのは、その行為が犯罪を完成させるための「直接的な手段」であるかどうかです。 例えば、ガソリンを購入する行為が、他の合法的な目的で行われた場合、実行の着手には該当しない可能性があります。

このように、「実行の着手」は犯罪が成立するかどうかを判断する重要な要素であり、具体的な事例や状況によってその評価が変わる可能性があります。

項目6:この罪が成立しない場合の他の罪

現住放火罪が成立しない場合でも、その行為が他の罪に該当する可能性があります。 例えば、放火行為が「現に人が住居に使用している」または「現に人がいる」建造物以外で行われた場合、一般的な放火罪(刑法第109条)や重大な場合には特定放火罪(刑法第110条)に該当する可能性があります。

また、放火行為が成立しなかった場合でも、その行為が他人の財産を損壊する可能性がある場合、器物損壊罪(刑法第234条)に該当することも考えられます。

さらに、放火行為が人の生命や身体に危険を及ぼす可能性がある場合、傷害罪や殺人罪に該当する可能性もあります。 特に、放火行為が他人の死亡につながった場合、殺人罪が成立する可能性が高くなります。

このように、現住放火罪が成立しない場合でも、その行為が他の罪に該当する可能性は高く、それぞれの罪に応じた刑罰が科される可能性があります。

項目7:弁護活動の重要性

現住放火罪は非常に重大な犯罪であり、その刑罰も厳しいため、弁護活動が非常に重要です。 特に、この罪が疑われる場合、早期の段階で専門の弁護士に相談することが求められます。

弁護士は、証拠の収集や事実関係の確認、さらには公判における弁護戦略の立案など、多岐にわたる活動を行います。 また、犯罪が成立するかどうかの微妙な要件、例えば「実行の着手」や「故意」などについて、専門的な知識と経験を持っています。

さらに、弁護士は被告人の人権を守る役割も果たします。 例えば、取り調べの際に不当な圧力がかかった場合や、証拠が不十分な場合には、その事実を明らかにして、適切な裁判が行われるように努力します。

このように、現住放火罪に関わる場合、弁護活動は被告人にとって、また社会にとっても非常に重要な活動です。 早期の段階での専門的な弁護が、より公正な裁判を実現するためには不可欠です。

項目8:まとめと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の紹介

本記事では、現住建造物等放火罪について詳細に解説しました。 この罪は非常に重大な犯罪であり、成立する要件やその他に該当する可能性のある罪、さらには弁護活動の重要性についても触れました。 法律用語や要件が複雑であるため、専門的な知識と対応が必要です。

このような複雑な刑事事件に対応するためには、専門の弁護士の協力が不可欠です。 ここで、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部を紹介します。 同事務所は、刑事事件に特化した法律事務所であり、経験豊富な弁護士が在籍しています。 早期の段階での適切な弁護活動が、より公正な裁判を実現するためには不可欠です。

何か問題が発生した場合、早急に専門の弁護士に相談することを強くお勧めします。

無免許運転とは?

2023-10-21

無免許運転とは?

無免許で車を運転する行為は、一見無害に思えるかもしれませんが、実は重大な法的リスクが伴います。 この記事では、無免許運転の定義から、それに対する法的な罰則、さらには実際の事例まで、詳しく解説していきます。

1  無免許運転とは?

無免許運転とは、運転免許を取得していない状態で、自動車やバイクなどの車両を公道で運転する行為を指します。 この行為は、日本の道路交通法によって明確に禁止されています。

運転免許は、運転する車両の種類に応じて異なるものがあります。 例えば、普通自動車、大型自動車、原動機付自転車(いわゆるバイク)など、それぞれ専用の免許が必要です。 無免許でこれらの車両を運転すると、法的には「無免許運転」とされ、罰則が科されます。

無免許運転は、単なる交通違反以上の重大な犯罪行為とされています。 そのため、この行為によっては、罰金や懲役刑が科される可能性もあります。 また、無免許で運転して事故を起こした場合、その責任は非常に重くなります。

2: 事例を想定

無免許運転がどれほど重大な問題であるかを理解するために、いくつかの事例を挙げてみましょう。

事例1: 高校生の無免許運転による死亡事故

北海道江別市にて、江別市内に住むとある高校生が、運転免許証を取得したことがないにも関わらず友人の車を無免許で運転していた際、交差点で信号無視をしてしまい、対向車と衝突。 その結果、対向車の運転手が死亡するという悲惨な事故が発生しました。 この高校生は、自動車運転過失致死罪で逮捕・勾留された後、少年鑑別所において収容観護を経て、審判で少年院送致を言い渡されました。

事例2: 免許停止処分中の運転で逮捕

北海道小樽市在住の40代の男性が、累積免停の期間中にも関わらず無免許で車を運転していたところを、交通検問で発覚。 この男性は即座に逮捕され、後に裁判で罰金刑が科されました。

事例3: 無免許での飲酒運転

北海道札幌市白石区在住の20代の女性が、無免許かつ飲酒状態で車を運転。被害者を跳ね軽傷を負わせてしまいました。女性は危険運転致傷罪で起訴され、裁判で執行猶予付きの懲役刑を言い渡されました。

3  法的定義と罰則

無免許運転は、日本の道路交通法によって明確に禁止されています。 具体的には、道路交通法の第64条1項に「無免許運転等の禁止」として規定されています。

罰則

無免許運転に対する罰則は、道路交通法の第117条の2の2第1項1号によって定められています。 この条文によれば、無免許で車両を運転した場合、以下のような罰則が科される可能性があります。

  • 罰金: 最高で30万円
  • 懲役刑: 最長で3年

重過失致死罪や傷害罪

無免許運転によって事故を起こした場合、罰則はさらに重くなります。 重過失致死罪や重過失傷害罪が適用されることもあり、その場合の罰則は非常に厳しいものとなります。

その他の影響

無免許運転は、将来的に運転免許を取得する際にも影響を与える可能性があります。 一度無免許運転で捕まると、その後の運転免許取得が困難になるケースもあります。

4: 被害者への影響

無免許運転が引き起こす影響は、運転者自身だけでなく、他の道路利用者や被害者にも及びます。

物的被害

無免許で運転して事故を起こした場合、その責任は非常に重く、多額の賠償金が発生する可能性があります。 車両や道路施設への損害も含まれます。

精神的被害

事故によっては、被害者が精神的なトラウマを受けることもあります。 このような精神的被害は、賠償金では補えない場合も多く、その影響は長期にわたることがあります。

社会的影響

無免許運転による事故は、社会全体に対する信頼を失墜させる可能性があります。 特に、重大な事故がメディアで報道されると、一般の道路利用者が感じる安全性が低下することが考えられます。

被害者の法的手続き

被害者は、無免許運転者に対して民事訴訟を起こすことも可能です。 その場合、訴訟費用や時間、精神的な負担が増加するという副作用も考慮する必要があります。

5: 関連する法律と条文

無免許運転に関連する法律は、主に道路交通法ですが、その他にもいくつかの法律が関連しています。

道路交通法

  • 第64条1項: 無免許の者の運転の禁止
  • 第117条の2の2第1項1号: 無免許運転に対する罰則

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律違反

  • 第6条ほか:無免許運転による加重

この条文は、無免許運転がもたらす可能な罰則や、事故による刑事責任を明示しています。

自動車損害賠償責任保険法

無免許運転者が事故を起こした場合、自動車損害賠償責任保険(通称:自賠責保険)が適用されない場合があります。 これにより、被害者への賠償が困難になる可能性があります。

民法

  • 第709条: 不法行為による損害賠償責任 被害者が無免許運転者に対して民事訴訟を起こす際に参照される可能性があります。

6 防ぐための対策

無免許運転は重大な犯罪行為であり、その防止は社会全体で取り組むべき課題です。 以下は、無免許運転を防ぐための具体的な対策です。

教育と啓発

  • 学校や地域社会での交通安全教育を強化する。
  • 無免許運転の危険性についての啓発活動を行う。

法的対策

  • 交通検問の頻度を高める。
  • 無免許運転者に対する罰則をさらに厳格化する。

テクノロジーの活用

  • 車両に運転者の免許証認証システムを導入する。
  • 監視カメラやAI技術を用いて、無免許運転を事前に検出する。

個人の責任

  • 免許を持っていない人が運転することを許さない。
  • 自分自身が免許を持っていない場合、絶対に運転しない。

7 まとめと今後の注意点

この記事を通じて、無免許運転の重大性とその法的な影響、さらには防止策について詳しく解説してきました。

まとめ

  • 無免許運転は重大な犯罪行為であり、法的にも厳しく罰せられます。
  • この行為は運転者だけでなく、被害者や社会全体にも悪影響を及ぼします。
  • 防止策としては、教育、法的対策、テクノロジーの活用が考えられます。

今後の注意点

  • 免許を持っていない場合、絶対に運転しないようにしましょう。
  • 免許を持っている人も、無免許運転の危険性を周囲に広める責任があります。
  • 最新の法律や罰則についても、常に更新して理解しておくことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。当事務所の弁護士は、これまでに数多くの交通事件・事故に携わってきました。

無免許運転事件の場合、特に重要となるのは無免許の期間とその間にどれだけ運転を繰り返したかという点が挙げられます。時として、捜査機関はより長い期間無免許運転を繰り返したという嫌疑をかけ、悪質な事案であるとして立件しようとします。よって、適切な取調べ対応やアリバイの確認など重要な弁護活動が数多く考えられます。

北海道札幌市やその周辺で無免許運転をしてしまい捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

在宅事件の場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。

飲酒運転について

2023-10-18

飲酒運転について

アルコールを飲んで自動車を運転すると,各種犯罪が成立します。
飲酒運転は死亡事故につながる可能性が高くなることから,社会の厳しい評価により,刑事処分が重くなっております。
今回は,飲酒運転に関する犯罪について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

・飲酒運転の罪

アルコールを飲んで車を運転すると,犯罪が成立します。
酔いの程度が高く,酒に酔った状態・アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態,の場合は,5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
酒に酔った状態でなくても,血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上にアルコールを保有する状態にあれば,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
飲んだのが前日だとしても,朝方に運転すれば,アルコールが残っていることがあり,十分に気を付けるべきです。

自分が飲酒運転をしなくても,酒気を帯びている者で,酒気を帯びて車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し,車両等を提供したら,犯罪が成立します。
上記の運転者の酔いの程度により,刑罰の大きさが変わります。
酒に酔った状態・アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態の場合は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金,上記の基準値以上にアルコールを保有する状態にあれば3年以下の懲役又は50万円以下の罰金,となります。
人に自動車を貸すときは,相手が飲酒運転をするおそれがないか十分に気を付けなければなりません。

・運転する者に酒を提供したり勧めたりする場合の罪

酒気を帯びて車両等を運転することとなるおそれがある者に対し,酒類を提供し,又は飲酒をすすめたら,犯罪が成立します。
上記の運転者の酔いの程度により,刑罰の大きさが変わります。
酒に酔った状態・アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態の場合は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金,上記の基準値以上にアルコールを保有する状態にあれば2年以下の懲役又は30万円以下の罰金,となります。
飲食店では,客にアルコールを提供するときは,客が運転する予定があるのかどうか十分に気を付ける必要があります。
一緒に食事をしている人に対し,その人が運転する予定があるのであれば,安易にお酒をすすめてはいけません。

車両の運転者が酒気を帯びていることを知りながら,当該運転者に対し,当該車両を運転して自己を運送することを要求し,又は依頼して,当該運転者が酒気を帯びて運転する車両に同乗したら,犯罪が成立します。
車両の運転者が酒に酔った状態にあることを知りながら同乗したら,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
車両の運転者が酒に酔った状態にあることまでは知らなかった場合や,上記の基準値以上にアルコールを保有する状態にあれば,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
アルコールを飲んで運転するような人の車に,安易に同乗してはいけません。

・飲酒運転をした者の使用者に対する罪

自動車の使用者(安全運転管理者等その他自動車の運行を直接管理する地位にある者を含む。)は,その者の業務に関し,自動車の運転者に対し,酒気を帯びて車両等を運転することを命じ,又は自動車の運転者がこれらの行為をすることを容認したら,犯罪が成立します。
運転者の酔いの程度により,刑罰の大きさが変わります。
酒に酔った状態・アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態であることを知ったうえでの犯行の場合は,5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
酒に酔った状態までは認識していなかった場合や,上記の基準値以上にアルコールを保有する状態にあれば,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関し,違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対しても,罰金刑を科されることになります。
会社の従業員が飲酒運転をすることを安易に容認してはなりません。
会社の業務で自動車の運転があるのなら,運転者が飲酒運転をしないように,きちんと監督していく必要があります。

・飲酒運転で事故を起こし被害者を死傷させた場合の罪

飲酒運転の結果,自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させたら,7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となります。
上記の飲酒運転の道路交通法違反と同時に過失運転致死傷罪が成立します。
ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除となる可能性があります。
そうは言っても,飲酒運転での交通事故で人を怪我させる罪は重く,基本的に逮捕されて裁判になる可能性が高いです。

アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為を行い,よって,人を負傷させたら15年以下の懲役となり,人を死亡させたら1年以上の有期懲役となります。
アルコールの影響により,その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で,自動車を運転し,よって,そのアルコールの影響により正常な運転が困難な状態に陥り,人を負傷させたら12年以下の懲役となり,人を死亡させたら15年以下の懲役となります。
これらの危険運転致死傷罪は重罪であり,逮捕のうえで重い刑罰となると思われます。

アルコールの影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が,運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた場合において,その運転の時のアルコールの影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で,更にアルコールを摂取すること,その場を離れて身体に保有するアルコールの濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは,12年以下の懲役となります。
飲酒運転の状況をごまかす行為で,悪質性が高く,更に思い刑事処分となります。

・飲酒運転での弁護活動

飲酒運転の犯罪を行ってしまったら,逮捕されるリスクが高まります。
逮捕されなかったとしても,重い刑事処分となってしまう可能性があります。
刑事事件ではスピードが大切です。
すぐに弁護士に連絡し,相談して依頼しましょう。
逮捕後最大72時間は,たとえ家族の方でも逮捕された人との接見ができませんが,弁護士が代わりに連絡を取ってくれます。
逮捕された場合,最長で23日間,身体が拘束されますが,その間に検察官が起訴をするかどうかを判断します。
非常に限られた時間で活動しなければならず,急がなければなりません。
また,逮捕直後に不当な取調べが行われ,不利な内容の調書が作成されてしまうかもしれません。
早く弁護士が接見し,取調べへの対応方法に関してきちんとしたアドバイスをする必要があります。
裁判となったら,二度と飲酒運転をしないために具体的にどうするか,示していく必要があります。
ご家族とも打ち合わせをし,裁判に対応していくことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事を専門とする弁護士が迅速に対応いたしますので,お気軽にお電話ください。
これまでにも,数多くの飲酒運転事件を扱ってきました。
経験豊富な弁護士が紳士に対応いたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では,刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)
までお気軽にお電話ください。

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