Archive for the ‘放火’ Category

放火事件で任意同行

2022-08-19

放火事件で任意同行

札幌市豊平区の放火事件について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

北海道豊平警察署は、札幌市豊平区のAさん宅周辺で起きたゴミ置き場放火事件の犯人として、Aさんに放火罪の疑いをもっていました。
ある朝Aさんがゴミ置き場にゴミを出していたところ、警察官に「最近ここで起きた放火事件について話を聞きたい」と声を掛けられました。
Aさんは「仕事がある」と言って任意同行の申出を拒否し、翌日出頭する旨を告げて、出頭前に刑事事件専門弁護士に相談することにしました。
Aさんは弁護士に対し、放火罪はどれぐらい重いのか、任意同行にどう対応すればいいかの2点についてアドバイスを求めました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫

【放火罪の種類と刑罰】

放火罪については、刑法108条から110条に規定されており、放火の対象により罪名と刑罰が異なります。
放火罪の対象物は、
①人が住居に使用しまたは人がいる建造物、電車や船など
②人が住居に使用せず、なおかつ人がいない建造物など
③①②以外の物
に大別されます。
①の放火罪にあたった場合には、法定刑が死刑または無期もしくは5年以上の懲役と非常に重く、刑法犯の中でも重大な部類に属します。

【任意同行について】

警察などの捜査機関は、被疑者に対して犯罪の疑いを抱いたからといって、全ての被疑者をすぐに逮捕するわけではありません。
逮捕は、被疑者の意思によらず行えるため、その分制約も多いことから、まずは任意同行というかたちで犯罪事実に関する話を聞く場合も多いのです。

任意同行は、飽くまで対象者の意思に委ねる手続であるため、任意同行に応じる法的義務があるわけではありません。
ですが、正当な理由もなく任意同行を断り続ければ、逃亡や証拠隠滅を目論んでいるのではないかという不信感を捜査機関に抱かれます。
逃亡や証拠隠滅のおそれが認められれば逮捕や勾留といった身体の拘束につながる危険性があるため、その点は注意すべきです。
仮に任意同行に応じられない場合、出頭できる日を伝えるなど真摯な対応が後に身体の拘束の回避や処分の軽減につながる可能性があります。
弁護士による法的主張も加われば、更に逮捕や勾留を回避する余地も出てきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、依頼者様ひとりひとりに合わせた弁護活動を提供いたします。
放火罪のように重い犯罪であっても、弁護士ができる弁護活動は多岐に渡ります。
放火罪の疑いで任意同行を受けたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士にご相談ください。

放火事件でポリグラフ検査

2021-12-09

放火事件でポリグラフ検査

放火事件で問題となる罪と、ポリグラフ検査という捜査手法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道日高郡新ひだか町在住のAは、ある日を境に後を付けられているような気がしました。
気になったAは後を付けていた者に何者かと声掛けしたところ、日高郡新ひだか町を管轄する札幌方面静内警察署の警察官であることを告げ、後日任意で出頭するよう求められました。
指定された日時に静内警察署に出頭したAは、取調室に入るよう言われ、そこで放火の嫌疑がかかっていることを知らされました。
Aは自身には身に覚えのないことだと否認を貫いたところ、警察官からは、次はポリグラフ検査を行うから同意してくださいと言われました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【放火で問題となる罪】

故意に火をつける行為を放火と呼び、例えば調理中に誤って火災を生じさせてしまう失火と区別されます。
放火に関する罪は、被疑者・被告人が何に火をつけたのかにより区別され、罰条もそれぞれ異なります。
①人がいる建物や住宅に放火した
オフィスや飲食店といった人がいる建物に放火した、あるいは、住宅などに放火した場合には、現住建造物等放火罪が成立します。
たとえ人が死傷しなかった場合でも、厳しい刑罰を科せられる可能性がある罪です。

罰条:死刑または無期もしくは五年以上の懲役に処する。(刑法108条)

②非現住建造物等放火罪
人がいない建物・住居として使用していない建物に放火した場合には、非現住建造物等放火罪が適用されます。
例えばオフィスビルが無人だった場合には②が適用されますが、オフィスに人が残っていた場合には①が適用されるということになります。

罰条:自己所有の建造物については一年以下の懲役又は十万円以下の罰金(刑法109条2項)
※但し、公共の危険を生じなかった場合には不可罰
  :自己所有ではない建造物については二年以上の有期懲役(刑法109条1項)

③建造物等以外放火罪
①②にあたらない物に放火した場合には建造物等以外放火罪が適用される可能性が高いです。

罰則:自己所有物であれば一年以下の懲役又は十万円以下の罰金
※但し、公共の危険が生じなかった場合には不可罰
  :自己所有ではない物であれば一年以上十年以下の懲役
※但し、公共の危険が生じなかった場合には不可罰

なお、①②にあたらない場合に、③ではなく森林法などの特別法に違反する場合もあります。

【ポリグラフ検査とは】

ポリグラフ検査は、被疑者が否認しているが、捜査機関はその者が事件に関与していると考えている場合などに用いられます。
ポリグラフ検査というと噓発見器と思いがちですが、その表現は正確ではなく、自分の記憶に反したことを言っている場合に反応する心拍数や発汗量などを測定する機械です。

ポリグラフ検査を行うためには被検者である被疑者の同意が必要です。
例えば、家宅捜索は任意で協力しなければ令状を用いた強制捜査ができますが、ポリグラフ検査の場合は令状による強制捜査はできません。

ポリグラフ検査を行うのは刑事課などの取調官ではなく、科学捜査研究所の専門技師です。

ポリグラフ検査は必ずしも証拠として使うために用いられるわけではなく、捜査機関が否認している被疑者を認めに転じさせるための心理的な作戦として用いることが考えられます。
一方で、証拠書類として請求することも考えられます。

このポリグラフ検査について、過去の判例を見ると、証拠能力を肯定している場合があります。
弁護士としては、起訴後に検察官側がポリグラフ検査を用いた証拠を請求した場合、同意するべきか否か慎重に判断する場合があるでしょう。

北海道日高郡新ひだか町にて、放火などの罪でポリグラフ検査の同意を求められた場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料でご相談いただけます。

死者がいなくても裁判員裁判に?

2021-10-11

死者がいなくても裁判員裁判に?

放火事件を起こしたもの、幸運にも死者がいなかったという事件と裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市中央区在住のAは、札幌市中央区内の会社に勤める会社員です。
Aには夫が居ましたが、夫との夫婦喧嘩が絶えず、事件当日も掴み合いの喧嘩をしていました。
我慢が出来なくなったAは、ストーブ用の軽油が入ったタンクの蓋を開け、自宅に巻き散らしてライターで火をつけました。
夫は火災に気が付きすぐに家を出て、消防局に通報して消火が行われた結果、Aらの住む家以外は燃焼せずに済みました。
消防署からの通報を受けて臨場した札幌市中央区を管轄する中央警察署の警察官は、Aを現住建造物放火罪で現行犯逮捕しました。
Aの夫は、Aの接見に行った刑事事件専門の弁護士に、Aの行為は重罪で裁判員裁判になると聞かされました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【現住建造物放火罪について】

放火という行為がいかに危険な行為か、ここで改めて説明するまでもないかと思われます。
当然、放火をした場合には刑事責任が問われ刑事罰を科せられる可能性があります。

ではどのような罪に問われるかというと、客体、すなわち放火した建物や物がどのようなものかによって異なります。
ケースの場合、Aを含めた「人が住む住居」に放火していることから、現住建造物放火という罪になります。
条文についてはこの欄の下に書いていますが、罰条は「死刑又は無期若しくは五年以上の有期懲役に処する。」と、殺人罪と同じ重さになっています。
これは、自分の家なのか他人の家なのか、あるいは人が死傷したか死傷していないのかを問いません。

刑法108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

【裁判員裁判とは】

裁判員裁判は、平成21年5月に開始した比較的新しい制度です。

通常の裁判は、司法試験に合格した者の中から裁判官に任官された者1~3名(一審の場合)により裁判が進められ、判決が言い渡されます。
一方で裁判員裁判の場合には裁判官3名に加え、一般人から選出された裁判員6名を含め9名による合議体が形成され、有罪無罪の判断およびその量刑を検討し、判決を言い渡します。
裁判員裁判の対象となる事件は重大事件に限られていて、原則として①死刑又は無期の懲役・禁錮にあたる罪に係る事件で②法廷合議事件であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させる罪に係るもの、としています。
具体的には殺人罪や強盗致死傷罪、傷害致死罪、危険運転致死罪、身代金目的誘拐罪、保護責任者遺棄致死罪、覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)や、ケースのような強制性交等致傷事件などがあります。

建造物放火罪も裁判員裁判の対象事件です。
裁判員裁判というと人を死傷させる事件を想像しがちですが、直接的な被害者がいない覚醒剤密輸や、ケースのように幸運にも人が死傷しなかった建造物放火罪であっても、上記①②にあてはまる事件であれば裁判員裁判の対象になるのです。

裁判員裁判は公判前整理手続が必ず行われるなど、一般の刑事裁判とは異なる手続きがとられます。
また、裁判員は一般の方ですので、一般の方に対して分かりやすく説明する書証や質問、説明が重要になります。
そのため、既に裁判員裁判を経験したことがある弁護士事務所に弁護を依頼することをお勧めします。

北海道札幌市中央区にて、御家族が現住建造物放火などの裁判員裁判対象事件で逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が逮捕・勾留されている方の留置先に行って接見を行い、今後の見通しや必要な弁護活動について御説明致します(有料)。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら