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SNSトラブルで告訴②

2021-03-15

SNSトラブルで告訴②

SNSトラブルで問題となる罪と刑事告訴・被害届について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市東区在住のAは、札幌市東区内の会社に勤める会社員です。
Aは子どもが友人からいじめられているという話を聞き、いじめている子の親について、本名で「Vはアバズレで、頼めば誰でもやれる」「Vの不倫相手は数知れず」などのデマを、不特定多数の者が見られるかたちでSNSに投稿しました。
投稿に気が付いたVは、札幌市東区を管轄する札幌方面東警察署の警察官に対して刑事告訴しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【SNSトラブルについて】

≪前回のブログを御覧ください。≫

【刑事告訴と被害届】

日常生活でトラブルが生じた場合に、しばし「告訴されてしまった。」あるいは「被害届を出してやる。」と言う場面、言われる場面があるかと思います。
刑事告訴と被害届、どちらにも言えることですが、これらは被害者が捜査機関に提出する者ですので、被害者が加害者に対して直接何かしらを請求したり捜査したりすることはできません。
では、両者はどのような点で違いがあるのでしょうか。

まず、被害届は、被害の申告をする目的があります。
我が国全土を管轄とする警察官ですが、いくら警察官と言えど、全てのトラブルを把握しているわけではありません。※警察官以外に被害届を提出する可能性もあります。
そのため、被害届を提出することで、捜査機関に対して、いつ、どこで、誰が、どのような被害に遭ったのか、申告することになります。

次に、刑事告訴は、被害届の内容に加えて「処罰感情」を表す場合に用いられます。
つまり、被害者が「私は刑事事件の被害を受けたため、被疑者(犯人)に対して厳しい処罰を求めます。」という意味合いを含むのです。
通常、捜査機関などに対し、「告訴状」という書類を作成して提出します。

刑事事件の被害者は、被害届も刑事告訴も行う権利がありますが、捜査機関は刑事告訴は受理したがらない傾向にあると言われているため、多くの事件では被害届を提出することで捜査機関は捜査を開始します。
一方で、「親告罪」と定められた罪については、「告訴がなければ公訴を提起することができない。」と定められています。
つまり、親告罪の事件では、被害者(又はその遺族)が刑事告訴しなければ、検察官は被疑者を起訴することができないと定めているのです。

【親告罪事件一覧】※2021年3月15日現在

刑法135条
〇住居侵入罪・建造物侵入罪(及び未遂罪)
〇信書開封罪
〇秘密漏示罪

刑法209条
〇過失傷害罪

刑法229条
〇未成年者略取及び誘拐罪(及び同幇助・未遂罪)

刑法232条1項
〇名誉毀損罪
〇侮辱罪

刑法244条・251条・255条
〇親族相盗例(夫や妻、同居の家族などから金品を盗んだ場合)

刑法264条
〇私用文書等毀損罪
〇器物損壊等罪
〇信書隠匿罪

その他、著作権法など特別法の一部にも、親告罪が列挙されています。

【刑事告訴されたら弁護士へ】

ケースのAについて見ると、SNSにおいて不特定多数の者が見られるような状態で、真実ではないせよVの名誉を毀損する事実を摘示していることから、名誉毀損罪の適用が検討されます。
先述のとおり、名誉毀損罪は親告罪ですから、Vが刑事告訴することがあれば、検察官は起訴することができます。
よって弁護士は、被害者に対して刑事告訴をしない、あるいは刑事告訴を取消すことを求める弁護活動を行い、示談書等にその旨の約定を盛り込んだり告訴取消書の作成を求める必要があります。
北海道札幌市東区にて、SNS上のトラブルで名誉毀損罪などの刑事事件に発展している場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、今後の見通しや可能な弁護活動について御説明致します。

SNSトラブルで告訴①

2021-03-11

SNSトラブルで告訴①

SNSトラブルで問題となる罪と刑事告訴・被害届について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
【ケース】
北海道札幌市東区在住のAは、札幌市東区内の会社に勤める会社員です。
Aは子どもが友人からいじめられているという話を聞き、いじめている子の親について、本名で「Vはアバズレで、頼めば誰でもやれる」「Vの不倫相手は数知れず」などのデマを、不特定多数の者が見られるかたちでSNSに投稿しました。
投稿に気が付いたVは、札幌市東区を管轄する札幌方面東警察署の警察官に対して刑事告訴しました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【SNSトラブルについて】

SNSは、ソーシャル・ネットワーク・サービス(Social Networking Service)の略称で、いわゆるLINEやInstagram、Facebookなどのサービスを指します。
SNSの多くは、自身の考えや撮った画像・動画をアップロードし、鍵付きのアカウントであれば特定の者に対し、鍵をかけていないアカウントであれば不特定多数の者に対し、それを公開するというものです。

SNSは、使い方によっては便利なツールとなる一方、使い方を誤るとトラブルに発展し、結果的に人に迷惑をかけたり、ともすれば刑事事件に発展することもございます。
では、どのような場合に刑事事件に発展していくか、以下で検討致します。

・人に対しての悪口を投稿した
他人に対する悪口を投稿して問題となるのは、名誉毀損罪や侮辱罪が挙げられます。
名誉毀損罪と侮辱罪の条文はそれぞれ以下のとおりですが、名誉毀損罪は具体的事実を摘示する必要があり、侮辱罪は単なる侮辱で成立します。
名誉毀損罪の言う事実は真実である必要はありません。
名誉毀損罪の場合も侮辱罪の場合も公然性を必要としているため、例えば鍵付きアカウントでフォロワー(投稿を閲覧できる人)が数名であれば、公然性は否定されることになるでしょう。
ただし、その投稿がスクリーンショットを撮られるなどして不特定又は多数の者により閲覧できるといういわゆる伝播性が認められた場合、例え数人しか見られない形での投稿であっても公然性が認められる場合が考えられます。

刑法230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
同231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

・人を脅すような投稿をした
他人を脅かすような投稿をした場合、脅迫罪の適用が検討されます。
脅迫罪の条文は以下のとおりです。

刑法222条1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

・店などの営業を妨害した
対象が人ではなく店などの場合、信用毀損罪や偽計・威力業務妨害の罪に問われる可能性があります。
例えば、「○○の店で出す食事には髪の毛や虫が入っている。」などの投稿をした場合には信用毀損罪や偽計業務妨害罪が適用されます。
また、「店員の態度に腹が立ったので、明日、○○の店に放火をしに行く。」などの投稿をした場合には、威力業務妨害罪の適用が検討されます。
いずれの場合も、実際に業務が妨害されたという事実までは必要としていないため、たとえ誰もが投稿を信じず、翌日以降の売り上げが下がっていなかったとしても、罪に問われる可能性はあります。

刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
同234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

【刑事告訴と被害届】

≪次回のブログに続きます。≫

北海道札幌市東区にて、名誉毀損罪などの親告罪で刑事告訴された方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部に御連絡ください。

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