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【事例解説】銀行口座をネットを通じて売却 後日警察から連絡が(後編)
インターネットを通じて、銀行口座を複数売却した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
事例
北海道札幌市に住むフリーターのAは、ある日SNSで「誰でも簡単に稼げる」「即日振込」などの文言が書かれた広告を見つけ、相手と連絡を取り合ううちに、「新しい銀行口座を作って情報を教えてくれるだけでお金をすぐに振り込む」といわれ、2つの口座を作って口座情報を与えました。
後日、札幌警察署の警察から電話があり「口座売買は違法である」と言われ取調べのため警察署に呼出しを受けることになりました。
(フィクションです)
詐欺罪について
他人に売却するための銀行口座について、その売却の目的を隠したまま銀行で口座開設手続きをおこない、窓口担当職員から預貯金通帳やキャッシュカードを受け取った場合、詐欺罪も成立する可能性があります。
整理すると、すでに自己が所持している自分名義の預貯金口座を売却した場合には「犯罪収益移転防止法違反」の容疑で、預貯金口座を売却する目的で新たに預貯金口座の開設手続きをおこなった場合には詐欺罪の容疑で捜査や逮捕がなされる可能性があるということになります。
なお、今回の事例のような詐欺の場合は未遂も処罰されるため(刑法第250条)、口座開設手続き時の状況次第では、通帳やキャッシュカードを受け取る前でも、詐欺未遂罪の容疑で逮捕される可能性が生じます。
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役刑」です(刑法第246条第1項)。犯罪収益移転防止法違反の法定刑「1年以下の懲役刑もしくは100万円以下の罰金刑(併科あり)」に比べると厳しい刑罰が定められています。
弁護活動
上記の通り、詐欺罪で検挙されてしまった場合に、なんとしても刑務所に服役したくないと希望するならば、できるだけ早期からの効果的な防御活動によって不起訴処分を得る必要があります。
また、起訴されてしまった場合、詐欺罪で執行猶予付き判決の条件を満たすには、酌量減軽・自首減軽などの防御活動が不可欠です。執行猶予付き判決を獲得できなければ刑期を満了するまで日常生活に復帰できないので、起訴された場合は、執行猶予付きの判決を得ることが目標になります。
銀行口座の売却などによって、犯罪収益移転防止法違反や詐欺罪の容疑で捜査・逮捕された場合には、弁護士のサポートを受けながら、少しでも軽い刑事処分を目指すことが肝要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件と少年事件を中心に扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回であれば無料の法律相談を、逮捕または勾留中の方の場合は直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けております。
犯罪収益防止法違反や詐欺罪の事件を起こしてしまった、又はご家族が逮捕されてしまった、そういった時には弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部へ、是非、ご連絡ください。
【事例解説】銀行口座をネットを通じて売却 後日警察から連絡が(前編)
インターネットを通じて、銀行口座を複数売却した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
事例
北海道札幌市に住むフリーターのAは、ある日SNSで「誰でも簡単に稼げる」「即日振込」などの文言が書かれた広告を見つけ、相手と連絡を取り合ううちに、「新しい銀行口座を作って情報を教えてくれるだけでお金をすぐに振り込む」といわれ、2つの口座を作って口座情報を与えました。
後日、札幌警察署の警察から電話があり「口座売買は違法である」と言われ取調べのため警察署に呼出しを受けることになりました。
(フィクションです)
犯罪収益移転防止法違反について
「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(出典/e-GOV法令検索)という法律があります。
この法律は、犯罪組織などによって行われる、収益の出所を不明確にさせるような資金の移動を防ぐために、不正な行為を処罰する目的で施行されました。
犯罪収益移転防止法の指す「犯罪収益」とは、不正な利益を得る目的で犯した罪によって生じた財産や、犯罪行為の報酬として得た財産のことです。
同法第28条第2項は、「他人になりすまして銀行などの特定事業者との間における預貯金契約についての役務の提供を受ける目的または第三者にこれをさせる目的を相手方が有することを知りながら、その者に対して預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、または提供すること」や、「通常の商取引や金融取引としておこなわれるものであることなどの正当な理由がないのに、有償で預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、または提供すること」を処罰しています。
自己の銀行口座を他人に売却することなどはこれに当たります。
違反した場合の法定刑は、「1年以下の懲役刑もしくは100万円以下の罰金刑(併科あり)」となります。
さらに、この売却を「業として」(反復して)行ったとされた場合は、法定刑が「3年以下の懲役刑もしくは500万円以下の罰金刑(併科あり)」まで引き上げられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件と少年事件を中心に扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回であれば無料の法律相談を、逮捕または勾留中の方の場合は直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けております。
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【事例解説】仕事で知り合った男性から現金80万円を騙し取ったとして逮捕(後編)
今回は、仕事で知り合った男性からお金を騙し取ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
事例
接客の仕事で知り合った男性から現金約80万円を騙し取ったとして、札幌方面中央警察署は、札幌市に住むAさんを詐欺の疑いで逮捕しました。
Aさんは、仕事ので知り合った男性Vさんに対して好意をちらつかせて交際を発展させるフリをし、「買い物をしすぎてキャッシュカードを止められそうになっている。支払いのためのお金がほしい」などと嘘をつき、複数回にわたり現金約80万円を騙し取った疑いが持たれています。
札幌方面中央警察署がVさんから相談を受けたことで事件が発覚し、捜査を経てAさんの逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
弁護活動について
詐欺罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄を拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は行動を厳しく規制され、家族や友人や恋人など外部との交流も制限されます。
また、逮捕・勾留による身柄拘束中は、当然ですが職場に勤務することができなくなるので休むことになりますが、無断で休ませてもらえる職場などなかなかありません。
そうなれば、被疑者は職を失う可能性が極めて高くなります。
そのため、少しでも早い身柄拘束からの解放を実現する必要があります。
被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、早期の身柄解放に向けた弁護活動としては、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していくことになります。
例えば、被疑者が家族と同居しており、その家族が被疑者の監督をすることを約束し、身元引受書を作成すれば、被疑者の住居不定や逃亡のおそれを否定する客観的な証拠となります。
早期の身柄解放を実現するためには、少しでも早い段階からこのような弁護活動を行う必要があるため、逮捕・勾留された場合には少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。
北海道内において詐欺罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が詐欺罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しております。
詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】仕事で知り合った男性から現金80万円を騙し取ったとして逮捕(前編)
今回は、仕事で知り合った男性からお金を騙し取ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説致します。
事例
接客の仕事で知り合った男性から現金約80万円を騙し取ったとして、札幌方面中央警察署は、札幌市に住むAさんを詐欺の疑いで逮捕しました。
Aさんは、仕事ので知り合った男性Vさんに対して好意をちらつかせて交際を発展させるフリをし、「買い物をしすぎてキャッシュカードを止められそうになっている。支払いのためのお金がほしい」などと嘘をつき、複数回にわたり現金約80万円を騙し取った疑いが持たれています。
札幌警察署がVさんから相談を受けたことで事件が発覚し、捜査を経てAさんの逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
詐欺罪について
〈詐欺罪〉(刑法246条1項)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
刑法の詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させる犯罪です。
「人を欺」く行為(これを欺罔行為といいます)とは、欺罔行為の相手方を錯誤に陥らせる行為です。これは、相手方が財物や財産上の利益を交付(処分)しようと判断する際の、その判断の重要な事項を偽ることを言います。
詐欺罪は、欺罔行為→相手方の錯誤→錯誤に基づく交付(処分)行為→財物または財産上の利益の移転がそれぞれ原因と結果の関係にあることが必要です。
欺罔行為を行ったが、その相手方が錯誤に陥らず別の理由(例えば、欺罔行為者にお金がないことを知っていて憐みからお金を渡したなど)で交付(処分)行為を行った場合は、欺罔行為と交付行為の間の法的な意味での因果関係が否定されるため、詐欺罪は既遂とはならず未遂にとどまることになります。
上記の事件では、AさんはVさんに対し好意や恋愛感情があるかのように装い、支払の見返りに交際を発展させるフリをしながら、キャッシュカードが止められそうになっていて、その支払いのためのお金がほしいなどと嘘をつき、Vさんからお金を騙し取っているため、Aさんには詐欺罪が成立する可能性があります。
北海道内において詐欺罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が詐欺罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しております。
詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】コンビニのコーヒーマシンでの窃盗事件
コンビニのコーヒーマシンでの窃盗事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
事例紹介
Aさんは、コンビニのコーヒーマシンで110円のレギュラーサイズのカップをレジで購入した後に、コーヒーマシンの前に立って250円のラージ―サイズのカップ用のボタンを押して、レギュラーサイズのカップにラージサイズのカップ用のコーヒーを注ぎました。
この様子を見ていたコンビニ店長のVさんが、Aさんを呼び止めて警察に通報したことで、Aさんは警察で窃盗罪の疑いで捜査を受けることになりました。
警察からの取調べで素直に認めたため、当日には釈放されました。
自宅に帰ったAさんは、これからVさんと示談をするために、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)
コンビニのコーヒーマシンでの窃盗事件
事例のように、コンビニのコーヒーマシンで、レジで購入したレギュラーサイズのカップよりも大きいラージサイズのコーヒーのボタンを故意に押して、ラージサイズのコーヒーをレギュラーサイズのカップに入れる行為については、相手を騙してコーヒーを多く騙し取ったとして刑法246条(出典/e-GOV法令検索)の詐欺罪が成立するのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
確かに、レジでレギュラーサイズのカップを購入する段階からラージサイズのコーヒーのボダンを押してやろうと決意していた場合には、レジで店員の方を騙してラージサイズのコーヒーをだまし取ったとして刑法246条の詐欺罪が成立する可能性が高いと考えられますが、コーヒーマシンでボタンを押すときになって初めてラージサイズのコーヒーのボタンを押そうと思った場合には、レジではあくまでレギュラーサイズのコーヒーボタンを押そうと思ってレギュラーサイズのカップを購入していて人を騙してはいませんので、詐欺罪が成立することは難しいと考えられます。
そのため、コーヒーマシンでボタンを押すときになって初めてラージサイズのコーヒーのボタンを押そうと思った場合には、刑法235条(出典/e-GOV法令検索)の窃盗罪が成立すると考えられます。
このように、コーヒーマシンで購入したサイズよりも大きいサイズのボタンを押す行為には詐欺罪が成立する場合と窃盗罪が成立する場合が考えられるのですが、実際には、どの時点で大きいサイズのコーヒーボタンを押そうと思ったのかといったことについては明確ではないことから、事例のようなケースでは、詐欺罪ではなく窃盗罪で立件されることが多いようです。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役のみですが、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
窃盗事件の被害者の方との示談をお考えの方は
事例のAさんは、警察に通報されたものの窃盗罪で逮捕されることはありませんでしたが、だからといってこれで事件が終了したという訳ではなく、今後は在宅捜査という形で捜査が進められることになります。
そのため、窃盗罪について素直に認めて被害者の方と示談をしたいとお考えの方は、まずは弁護士に相談して、被害者の方と示談をするための流れやどんな準備をすればよいかといったことについてアドバイスを貰った上で、弁護士に示談交渉を依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
窃盗事件で被害者の方と示談をしたいとお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【事例解説】盗撮事件に加えて傷害事件も起こしてしまったケース
盗撮事件に加えて傷害事件まで起こしてしまったケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
事例紹介
Aさんは、駅の上りエスカレーターで前に立っていた女性のⅤさんのスカートの下にスマートフォンを差し入れて、Ⅴさんの下着を盗撮しました。
Aさんが盗撮する様子を偶然目撃したWさんが「何をしているんだ!」と大きな声を上げて、Aさんのことを捕まえようと追いかけて来ました。
Aさんは、追いかけてきたWさんに腕を掴まれて、その場から必死に逃げようとWさんともみ合いになった末、Wさんを押し倒してWさんに頭部打撲の傷害を負わせてしまいました。
結局、Aさんは、騒ぎを聞きつけた駅員さんや通報により駆け付けた警察官に現行犯逮捕されてしまいました。
(この事例はフィクションです)
盗撮が発覚して逃走のために目撃者をケガさせるとどのような罪に問われる?
Aさんは、駅のエスカレーターでVさんのスカートの中の下着を盗撮し、さらに逃走の際に、Aさんを捕まえにきたWさんを押し倒してWさんにケガを負わせています。
AさんがVさんのスカートの中を盗撮した行為については、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(「性的姿態撮影等処罰法」)第2条1項1号ロによって性的姿態等撮影罪が成立すると考えられます。
性的姿態等撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金刑となっています。
また、AさんがWさんを押し倒してWさんに頭部打撲のケガを負わせた行為については、刑法204条の傷害罪が成立すると考えられます。
この傷害罪については、AさんがWさんを意図的にケガさせようとした訳ではなく、Wさんから逃れるためにWさんを意図的に押しただけという場合であっても、Wさんのケガという傷害の結果が生じている以上、傷害罪が成立することになります。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑となっています。
ご家族が盗撮事件で警察に逮捕されたら
ご家族が警察に盗撮事件で逮捕された場合は、いち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
弁護士が初回接見に行くことで、事件の見通しや今後の対応といったことについて詳しく知ることができます。
仮に、今回の事例のように盗撮事件と一緒に傷害事件を起こしたことを逮捕されたご本人が認めるという場合に、性的姿態当撮影罪と傷害罪の前科が付くことを避けるためには、盗撮事件の被害者の方と傷害事件の被害者の方の双方の被害者の方との示談交渉が非常に重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は盗撮事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
ご家族が盗撮事件で警察に逮捕されてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【事例解説】公園のゴミ箱に放火 報道され不安に(後編)
常習的に公園のごみ箱に放火した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
参考事件
北海道函館市に住むAさんは、仕事のストレスを解消するため、人がいない時間帯を見計らって、職場や自宅近くの複数の公園内のごみ箱に放火して憂さを晴らしていました。ある日、ネットニュースに公園の放火で警察が捜査中との記事が出たため、Aさんは自身が逮捕されないか心配になっています。
(フィクションです。)
器物損壊罪にも問われる可能性も
前編では、本件の事例について建造物等以外放火罪が成立する可能性について解説しました。後編では、器物損壊罪について解説します。
事例では、公園内のゴミ箱に火を付けたことで逮捕されたため、放火に関する罪でないことに違和感を覚えるかもしれません。
しかし放火行為があっても状況次第で成立する罪が変わることはすでに前編で述べた通りです。
器物損壊罪は、刑法第261条(出典/e-GOV法令検索)に「前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」として定められています。
「損壊」とは、「物の効用を害する一切の行為」を意味します。物理的な破壊だけでなく、隠す、汚すといった行為も含まれています。
「傷害」は、ペット等の動物を傷付けた場合を指します。
なお、「前3条」とは、第258条の公務所(官公庁その他公務員が職務を行う所)で使用される文書または電磁的記録を毀棄する「公用文書等毀棄罪」、第259条の法的な権利や義務を証明する文書または電磁的記録を毀棄する「私用文書等毀棄罪」、第260条の建造物等を損壊する「建造物等損壊罪(及び同致死傷罪)」をそれぞれ指しています。
つまり、この3条に含まれない「他人の物を損壊」すると器物損壊罪になります。
今回の事例のように、公園のごみ箱に放火して、そのままではごみ箱として使えない状態にさせれば、「他人の物を損壊」したといえ、器物損壊罪が成立する可能性があります。
前編でも解説したように、事件当時の周囲の状況や、犯罪についてのAの認識などによっても成立する犯罪が異なり得ますから、正しく事態を把握するためにも、弁護士に相談して専門的なアドバイスを受けることが肝要といえるでしょう。
弁護活動
器物損壊事件は、親告罪です。被害者の告訴が無ければ起訴ができない犯罪のことを親告罪といいます。
そのような事件では、被害者と示談を成立させることが、刑の軽重や、不起訴の獲得などにとって重要となるでしょう。弁護士が間に入ることで、はじめは難しかった示談が首尾よくまとまるケースもあります。
逮捕された場合は、早期釈放も目標として弁護活動を行うことになります。
その他、酌むべき事情があること、これまで真面目に暮らしてきたこと、反省を深め更生を誓っていること等を意見書の形にして、検察官に提出するなどの活動も考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件と少年事件を中心に扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回であれば無料の法律相談を、逮捕または勾留中の方の場合はそのもとに直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けております。
器物損壊罪や建造物等以外放火罪の事件を起こしてしまった、又はご家族が器物損壊罪や建造物等以外放火罪の容疑で逮捕されてしまった、そういった時には弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部へ、是非、ご連絡ください。
【事例解説】公園のゴミ箱に放火 報道され不安に(前編)
常習的に公園のごみ箱に放火した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
参考事件
北海道札幌市に住むAさんは、仕事のストレスを解消するため、人がいない時間帯を見計らって、職場や自宅近くの複数の公園内のごみ箱に放火して憂さを晴らしていました。ある日、ネットニュースに公園の放火で警察が捜査中との記事が出たため、Aさんは自身が逮捕されないか心配になっています。
(フィクションです。)
放火の罪に問われる?
刑法(出典/e-GOV法令検索)では、放火に関する罪について、第108条には人が住居にしている又は人がいる建造物等に放火する「現住建造物等放火罪」が、第109条には人か住居に使用せずかつ人のいない建造物等に放火する「非現住建造物等放火罪」が定められています。
さらに第110条には「放火して、前2条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。」として「建造物等以外放火罪」が定められています。
参考事件が放火の罪に問われる場合は、ごみ箱の周囲の状況次第で成立する可能性のある犯罪が異なってきます。周囲に建物などがない場合は、これらの中では110条の建造物等以外放火罪が適用される可能性が高いかもしれません。(他に器物損壊罪で逮捕される可能性もあります。こちらは後編で解説します。)
今回の事例で、放火に関する罪が成立するかどうかは、ごみ箱を放火したことで「公共の危険を生じさせた」といえるか否かが重要です。
「公共の危険」とは、不特定・多数人の生命・身体・財産に脅威を及ぼす状態のことをいうとされています。
ゴミ箱の周囲に自己以外の人がいたり、トイレや遊具、ベンチや自転車などの物があり、これらに引火して焼損する可能性などがあったと判断されれば、公共の危険が生じたと認定される可能性があるでしょう。
また、仮に公共の危険が生じ得る状況だったとしても、その危険を発生させることについての故意が必要かどうかにも見解が分かれることがあります。
以上のように、事件の状況や犯罪の認識などによっても成立する犯罪が異なり得ますから、正しく事態を把握するためにも、弁護士に相談して専門的なアドバイスを受けることが肝要といえるでしょう。
刑事事件に詳しい弁護士事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件と少年事件を中心に扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回であれば無料の法律相談を、逮捕または勾留中の方の場合は直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けております。
器物損壊罪や建造物等以外放火罪の事件を起こしてしまった、又はご家族が器物損壊罪や建造物等以外放火罪の容疑で逮捕されてしまった、そういった時には弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部へ、是非、ご連絡ください。
【事例解説】風俗店でサービスを受けている様子を盗撮してトラブルに(後編)
風俗店での盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
事例
Aは、北海道札幌市ススキノにある店舗型風俗店を利用し、スタッフのVから性的サービスを受けている間、こっそりとその様子を盗撮していました。
Aの挙動を不審に思ったVがカメラの存在に気づき、警察署に被害届を出すと言っています。
(フィクションです)
性的姿態等撮影罪以外の犯罪
前編では、風俗店での盗撮行為に、性的姿態等撮影罪や都道府県の迷惑防止条例が成立する可能性があることを解説しました。
この後編では他に成立する可能性のある犯罪について解説します。
まずは建造物侵入罪(刑法130条)に当たる可能性があります。
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処する。」と定められています。
はじめから店舗内で盗撮をする目的で店に入った場合、「正当な理由がないのに」、「人の看守する建造物に侵入」したとみなされ、犯罪が成立する可能性があります。
次に、店への営業妨害が成立する余地もあるかもしれません。
刑法233条が定める偽計業務妨害罪は、偽計を用いて人の業務を妨害した場合に成立する犯罪です。
偽計業務妨害罪において、「偽計」とは、「人を欺罔・誘惑する行為や人の錯誤や不知を利用する行為」を広く含むと理解されています。
刑法234条に定められている威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害する罪です。
「威力」とは、人の意思を制圧するに足る勢力のことをいい、暴行・脅迫に至らないものでも威力に当たります。
店の客から盗撮されたり、執拗な嫌がらせを受け、精神的なダメージを負ったことで店を辞めるスタッフも存在するでしょう。Aが、もしそのようになってスタッフが辞めることになっても構わないと認識したうえで盗撮を行っていた場合、スタッフが突然辞めることで損害を受け得る店に対して、偽計又は威力業務妨害罪が成立する余地があるかもしれません。
また、軽犯罪法第31号は、「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害」する行為を禁止し、刑法の業務妨害罪や公務執行妨害罪を補充する規定となっています。
「悪戯」とは、一般的な戯れで、それほど悪意のないものをいい、悪ふざけのことです。
「など」とあるのは、他人の業務の妨害となり得る一切の行為を含んでいることを示しています。
こちらが成立した場合の罰則は、拘留または科料です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
性的姿態等撮影罪などでご家族が警察に逮捕されてしまった方や、過去の盗撮行為でご不安なことがある方やご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部までご連絡ください。
逮捕され身体拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。
【事例解説】風俗店でサービスを受けている様子を盗撮してトラブルに(前編)
風俗店での盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
事例
Aは、北海道札幌市ススキノにある店舗型風俗店を利用し、スタッフのVから性的サービスを受けている間、こっそりとその様子を盗撮していました。
Aの挙動を不審に思ったVがカメラの存在に気づき、警察署に被害届を出すと言っています。
(フィクションです)
風俗店での盗撮行為
まず、Aの盗撮行為には、性的姿態等撮影罪が成立する可能性があります。
これは「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(出典/e-GOV法令検索)によって新設された犯罪で、2023年7月13日から施行されています。
具体的な撮影行為としては、
・人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
・わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態
等を撮影した場合に成立します。
罰則は、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」(2条1項)となっており、かつて同様の行為を罰していた都道府県の迷惑防止条例に比べて、罪が重くなっています。
未遂罪の規定もありますので(2条2項)、仮にうまく撮影できていなかったとしても、カメラを設置したり、撮影を開始しただけで、未遂罪として処罰される可能性があります。
また、都道府県の迷惑防止条例や軽犯罪法違反となる可能性もあります。
さらに、撮影した映像をインターネット上にアップロードをする目的で盗撮を行っていた場合は、撮影した映像を保管しているだけでも、性的影像記録保管罪(4条)として処罰される可能性があります。
加えて、実際にインターネットで不特定多数の者が閲覧可能な態様でアップロードした場合は、「5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」が科せられる可能性があります。(3条2項)。
従来の条例違反に比べ、性的姿態等撮影罪は、罰が重くなり、処罰範囲も広がっているため、逮捕や勾留によって身柄拘束をされる事件も増えていると思われます。
弁護士に相談を!
身体拘束のリスクが格段に上昇している事件類型ですから、もしも盗撮をしてしまったという方や、ご不安なこと、お心当たりがあるけれども会社や学校のことがあるので身体拘束を回避するために弁護士に依頼をしたいという方は、早急に弁護士に相談することをおすすめします。
直ちに示談等に動くことで、事件化(警察介入)を阻止できたり不起訴処分により前科がつかなくなったりする可能性を高めることができます。
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