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強制わいせつ致傷事件の弁護活動

2021-01-07

強制わいせつ致傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説いたします。

~今回のケース~

北海道砂川市に在住のAさん(30歳)は、Vさん(20歳)が帰宅した瞬間を狙い、Vさんの自宅に侵入し、Vさんを押し倒して胸を触るなどのわいせつ行為を行いました。
突然押し倒されたVさんは、その時に腰を強く床に打ち付け、腰の骨を折るなどの重傷を負いました。
Vさんの助けを求める声を聞いた隣人が警察に通報し、現場に駆け付けた札幌方面砂川警察署の警察官は、Aさんを強制わいせつ罪の疑いで現行犯逮捕しました。
Aさんが逮捕されたことを聞いたAさんの両親は、自分たちがどう動けばよいか分からなかったので、弁護士に相談することにしました。
(これはフィクションです)

~問題となる条文~

〇刑法 第176条 強制わいせつ
13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

・行為
①被害者が13歳以上である場合
被害者が13歳以上である場合、「わいせつな行為」の際に、「暴行又は脅迫」という手段を用いることが必要となります。

「暴行」とは「正当な理由なく被害者の意思に反してその身体に有形力を行使すること」とされています。
「脅迫」とは「害悪の告知」のことを言います。

そして、強制わいせつ罪における「暴行」や「脅迫」は「相手方の犯行を著しく困難にする程度のもの」であることが必要であるとされています。

②被害者が13歳未満である場合
一方、被害者が13歳未満(12歳以下)である場合は、暴行や脅迫といった手段が無かったとしても、「わいせつな行為」を行った時点で強制わいせつ罪が成立することになります。

・わいせつ
判例によると、「わいせつ」という言葉の定義は、公然わいせつ罪(刑法174条)、わいせつ物頒布等罪(刑法175条)と同様に「性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいうとされています。
しかし、強制わいせつ罪は、公衆の性的風俗ではなく、個人の性的自由を保護するために制定されているため、他の犯罪よりも、「わいせつな行為」として認められる範囲は広くなっています。

・性的意図
これまで、強制わいせつ罪においては、「性的意図(自己の性欲を刺激・興奮させ、又は満足させる意図)」が必要か否かについて議論されてきました。
しかし、平成29年の最高裁判所の判例では、「性的意図は必須の要件ではない」と判断されました。
そのため、性的意図が無く、単に相手に嫌がらせをするためにしたわいせつな行為であったとしても、強制わいせつ罪に該当する可能性が高いです。

〇刑法 第181条 強制わいせつ等致死傷
1第176条、第178条若しくは第179条第1項の罪またはこれらの未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
2(略)

強制わいせつ罪(刑法176条)の罪を犯し、さらに相手を死傷させた場合は刑罰が加重されます。
今回のケースでは、Aさんはわいせつ行為を行った際、Vさんは腰の骨を折るなどの重傷を負ったため、強制わいせつ致傷罪が成立するでしょう。

~今回のケースにおける弁護活動~

①接見
今回のケースのような性犯罪事件は重大性が高い上に、被害者との接触のおそれがあることから、身体拘束(逮捕・勾留)を受ける可能性が高いです。
身体拘束を受けた場合、ご家族の方は接見(面会)に行くことは可能ですが、接見のできる時間は限られていますし、接見禁止命令が出されている場合は、ご家族の方であっても接見することが出来ません。

そこで、ご家族の方から、性犯罪知識を含む刑事事件への知識や経験が豊富な弁護士に接見を依頼することをおすすめします。
弁護士にはご家族の方とは異なり、接見禁止といった制約がないので、ご家族の方の代わりに自由に面会をすることができますし、ご家族の方からの伝言を伝えることもできます。

〇示談交渉
示談が成立することによって、検察官に不起訴処分にするよう働きかけることが容易になります。
しかし、今回のケースのような、性犯罪事件の場合は特に、被害者の方と罪を犯してしまった方とが直接会って示談ができる可能性は極めて低いです。
そこで、法律の専門家である弁護士が、罪を犯してしまった方の代わりに被害者の方との示談交渉を行うことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、北海道砂川市強制わいせつ致傷事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

他人の自動車のタイヤをパンクさせ逮捕

2020-12-31

今回は、自宅玄関前に自動車を駐車された腹いせに、自動車のタイヤをパンクさせた疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

北海道旭川市に住むAさんの自宅玄関前にはたびたび他人の自動車が駐車されており、かねてからAさんは自動車の持ち主に対して怒りを覚えていました。
ある日、駐車をされた腹いせにアイスピックを用い、自動車のタイヤを全てパンクさせ、あわせて、塗装用スプレーで自動車に落書きをしました。
被害に気付いた自動車の持ち主Vは怒り心頭で、旭川方面旭川中央警察署に告訴状を提出しました。

事件を起こしてしばらく経ってから、Aさん同署より呼び出しを受けました。
取調べで尋ねられたことは、上記の犯行についてです。
取調べが終わった後、Aさんは器物損壊の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんは自宅玄関前に勝手に車を駐車したVに落ち度があると考えており、逮捕されたことにまったく納得がいきません。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~器物損壊罪とは?~

公用文書、私用文書、他人の建造物又は艦船以外の、他人の物を損壊し、又は傷害する犯罪です(刑法第261条)。
「公用文書」、「私用文書」、「他人の建造物又は艦船」を破いたり、破壊した場合には、別の犯罪が成立します。

「損壊」とは、その物の効用を害する行為をいいます。
アイスピックで他人の自動車のタイヤをパンクさせたり、塗装用スプレーを用いて他人の自動車に落書きをする行為は、「他人の物を損壊」したものと判断される可能性が高いでしょう。

「傷害」とは、動物を客体とする場合であり、「損壊」と同じ意義です。
他人の動物を傷つけたり、死亡させたりすることはもちろん、養魚池の水門を開いて、飼養中の鯉を養魚地の外へ流出させる行為も「損壊」に該当します。

器物損壊罪について有罪判決が確定すると、「三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料」に処せられます。

~Aさんは逮捕されたことに納得していないが~

Aさんは、Vに落ち度がある以上、自分には非がないと考えているようです。
Vの駐車が法律に違反するか否かはケースバイケースです。
「Aさんの自宅玄関前」が道路交通法第45条の規定する場所であれば駐車違反になりうるでしょう。
また、Vが車を停めている時間が長ければ、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」違反になる可能性もあります。

しかし、AさんがVの自動車をパンクさせたり、自動車に落書きをすることが許容されるか、という問題と、Vの行為が法律に違反したか否かは別の問題です。
もしVの自動車が障害物となっていたのであれば、Aさんには、警察に相談する、Vと交渉するなどといった選択肢があったはずです。
それにも関わらず、Aさんは犯罪行為によってVに復讐するという方法を選んでしまいました。
Aさんの行為が正当化される余地はないでしょう。

Vの行為に立腹していることは十分理解できるところではありますが、Aさんにおいてしっかりと内省を深め、Vに謝罪をし、生じさせた損害を賠償する必要があるでしょう。

~Vと示談ができれば不起訴処分を獲得できる可能性がある~

Vに謝罪と賠償を尽くし、示談を成立させ、告訴も取り下げてもらうことができれば、ケースの事件は不起訴処分となります。

器物損壊罪は「親告罪」とされており、告訴がなければ起訴されることがありません。
不起訴処分を獲得することができれば、裁判にかけられることはありません。
したがって、刑罰を受けずに事件を解決することができるのです。

~早期に弁護士を依頼~

もっとも、愛車を傷つけられたVはかなり怒っているでしょう。
どれだけ高額の示談金を提示したとしても、Vが応じてくれなければ示談を成立させることはできません。
示談交渉のため、十分な時間を用意する必要があります。
なるべく早期に弁護士を依頼し、事件解決に向けて行動していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が器物損壊の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

人身事故を起こした場合の責任

2020-12-24

今回は、人身事故を起こしてしまった場合の刑事手続と、これを有利に解決するための弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、北海道滝川市内の道路を自動車で走行中、道路を横断しているVを認めたのでブレーキをかけましたが、間に合わず、Vと接触し、加療1ヵ月を要する傷害を負わせてしまいました。
Aさんは札幌方面滝川警察署と救急車を呼び、Vは病院に搬送されました。
Aさんは警察で「過失運転致傷の疑いで捜査するから、呼び出しがあったら出頭してほしい」と告げられ、帰宅を許されました。
今後、Aさんはどうなるのでしょうか。(フィクションです)

~人身事故を起こしたAさんの責任~

免許を取得している方は、事故を起こしてしまった場合、「刑事上の責任」、「民事上の責任」、「行政上の責任」を負うと聞いたことがあるかもしれません。

「刑事上の責任」の例として、その交通事故が犯罪を構成する場合、刑に処せられる可能性
がある、という点が挙げられます。
「民事上の責任」として、事故の被害者に対し、治療費や休業損害、慰謝料などを支払わなければならない点が挙げられます。
「行政上の責任」の例として、事故を起こした方の免許が停止されたり、取り消されたりする可能性がある、という点が挙げられます。

今回は、主に刑事上の責任、及び、必要に応じて民事上の責任に焦点をあて、有利に事件を解決するための弁護活動について解説したいと思います。

~過失運転致傷罪について解説(刑事上の責任)

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる」としています。

自動車の運転上必要な注意を怠り、人を傷害した場合に「過失運転致傷罪」が、人を死亡させた場合に「過失運転致死罪」が成立します。
両者をあわせて過失運転致死傷罪と呼ぶこともあります。

Aさんには、自動車を運転するにあたって、路上の歩行者や横断者の有無に注意し、歩行者や横断者がいれば、これと衝突しないよう、適切にハンドルやペダルを操作する義務があったと考えられます。
Aさんはブレーキを操作するのが遅れ、Vと衝突し、加療1ヵ月を要する傷害を負わせてしまいました。
上記事実関係によれば、Aさんは自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を傷害したものと判断される可能性があります。

~今後の捜査~

ケースにおいては、逮捕されず、在宅で捜査が実施されることになっているので、警察の要請に応じて出頭し、取調べを受けることになります。
警察での捜査が熟すると、事件が検察へ送致されます。
検察へ送致された後は、検察官の取調べを受け、起訴・不起訴の別が決定されることになります。

ケースの事件が起訴された場合には、罰金刑を受ける可能性が高いと思われます。
罰金刑を受けることにより、金銭的な損失を受けることはもちろん、前科も付くことになります。
できれば、不起訴処分を獲得し、事件を解決したいところです。

~Vと示談をする(民事上の責任)~

ケースの事件を有利に解決するためには、自動車保険などでVに生じさせた損害を賠償することは勿論ですが、さらに示談を成立させることが重要です。
もしVの処罰感情がほとんどなく、円満に示談が成立すれば、宥恕条項(「Vは、Aに対して寛大な処分を希望する」などといった意思を表明する条項をいいます)を示談書に盛り込んでもらえることも期待できます。
宥恕条項付きの示談が成立すれば、ケースの事件は不起訴処分とされる可能性が高まるでしょう。

人身事故を有利に解決するためには、弁護士の助力が役立ちます。
人身事故を起こし、過失運転致傷の疑いで捜査を受ける場合には、なるべく早く弁護士と相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
過失運転致傷罪の嫌疑をかけられ、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

喧嘩の末、傷害の疑いで現行犯逮捕 身柄解放に向けて動く弁護士

2020-12-17

今回は、面識のない被害者と喧嘩をし、傷害を負わせた疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、北海道芦別市内の路上において、面識のないVとトラブルになり、頭に血がのぼったAさんは拳でVの顔面を殴打してしまいました。
その結果、Vは鼻骨骨折の傷害を負い、Aさんは通報によって駆け付けた北海道芦別警察署の警察官により、傷害の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんには勤め先があり、無断欠勤を続けることによって解雇されてしまうことをおそれています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~傷害罪について~

傷害罪とは、文字通り人を傷害する犯罪です。
他人を殴ったり、蹴るなどしてケガを負わせてしまった場合には、通常、傷害罪が成立することになるでしょう(刑法第204条)。
法定刑は「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」となっています。

なお、銃砲または刀剣類を用いて人の身体を傷害した場合は、「暴力行為等処罰に関する法律」が適用されます(同法第1条の2)。
この場合の法定刑は「一年以上十五年以下の懲役」となります。

Aさんは素手でVに傷害を負わせているので、刑法第204条の傷害罪が成立することになるでしょう。

~逮捕後、Aさんはどうなるか?~

逮捕・勾留された場合、捜査段階において最長23日間の身体拘束を受けます。
その間、外出することはできませんので、勤め先に出勤することは不可能です。
そのため、身体拘束が長引けば長引くほど、職場を無断欠勤する回数が増えることになります。
無断欠勤を繰り返せば、職場を解雇されてしまう可能性が極めて高いです。
職場を失ってしまうと、事件が解決した後の社会復帰が困難になるかもしれません。

~早期の身柄解放の実現を目指す~

逮捕された場合であっても、勾留が付かなければ、逮捕日を含め1~3日で外に出られます。
無断欠勤が1~3日程度であれば、解雇されずに済むかもしれません。
釈放された後は、今まで通りに出勤して問題ないでしょう。

ケースのように、事件の内容が偶発的なケンカであり、被害者とも面識がない場合にあっては、適切な弁護活動を尽くすことにより、勾留されずに釈放される可能性が見込めます。
そのため、一刻も早く弁護士に弁護活動を依頼することをおすすめします。

~ケースの事件において想定される身柄解放活動~

逮捕直後においては、勾留を回避することが重要です。
適法にAさんを勾留するためには、以下の要件を満たしていることが必要です。

〇勾留の要件
①被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
②(1)被疑者が定まった住居を有しないこと
②(2)被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること
②(3)被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること
③勾留の必要性が認められること

※なお、②(1)~(3)は、いずれか1つ充足すれば足ります。

勾留請求を行う検察官や、勾留の可否を審査する裁判官が上記の要件を満たしていないと判断すれば、勾留されずに済みます。
そのために、逮捕直後からAさんの身元引受人を用意し、身元引受人においてAさんを監督する態勢を整え、検察官や裁判官にアピールすることが必要です。
身元引受人が責任をもってAさんを監督すると誓う上申書を作成する必要もあるでしょう。

早期の身柄解放を実現するためには、一刻も早く身柄解放活動に着手する必要があります。
まずは接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が喧嘩をし、傷害の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

アルバイト先のレジから現金を窃取

2020-12-10

今回は、アルバイト先のレジから現金を窃取した事件を有利に解決する方法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説いたします。

~ケース~

北海道室蘭市に住む大学生のAさん(21歳)は、アルバイト先のコンビニエンスストアにおいて、1人で勤務している際、レジから3万円を窃取してしまいました。
後日、アルバイト先から「売上額とレジにある現金が合わない。Aさんがレジから金を抜いているのがカメラに写っていた。どうするつもりか」と電話がありました。
まだ警察は介入していませんが、先方は被害届を提出することも示唆しています。
Aさんは現在、就職活動中で、いくつか内定も得ており、警察沙汰になることは避けたいと考えています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~ケースの事件は窃盗罪を構成する可能性が高い~

アルバイト先のコンビニエンスストアのレジから現金を抜く行為は、窃盗罪(刑法第235条)を構成する可能性が高いと思われます。

~被害届を提出されるとどうなる?~

当然ですが、警察の捜査を受ける可能性が高いでしょう。
ケースの事件について捜査を受ける場合、①逮捕・勾留された上で捜査が進行する場合と、②在宅で捜査が進行する場合とが考えられます。

①の場合は、捜査段階において最長23日間、身体拘束を受ける可能性があります。
②の場合は、警察の出頭要請に応じて出頭し、取調べを受けることになります。

いずれの場合も、捜査の最終段階において検察官が起訴・不起訴の別を決めることになります。
起訴され、有罪判決を受ける場合は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金を言い渡されることになるでしょう。

~刑事事件化を防ぐ弁護活動~

Aさんは就職活動中であり、内定をいくつか得ている状況であるため、刑事事件化を回避したいと考えています。
どうすれば刑事事件化を回避することができるでしょうか。

~示談交渉を弁護士に依頼~

(示談交渉)
刑事事件化を回避するためには、弁護士に依頼し、コンビニエンスストアを経営する会社や店長と、示談を成立させることが有効であると考えられます。
この場合、コンビニエンスストアを経営する会社や店長に謝罪し、生じさせてしまった損害を賠償する合意を行います。
さらに、示談書の条項に「被害届や告訴状を出さない」旨の文言を入れてもらうことができれば理想的です。

ただし示談金額が何円になるかは、ケースバイケースという他ありません。
レジから盗んだ3万円では済まない可能性も十分あります。

Vとの示談がまとまれば、刑事事件化する可能性は極めて低くなります。
示談が成立する前に刑事事件化してしまった場合であっても、Aさんに対してなされる処分が有利になる可能性が高まります。

(示談交渉を弁護士に依頼するメリット)
示談は、Aさんと被害者との間における合意なので、法律上、Aさん自身でも行うことができます。
もっとも、示談交渉は弁護士に一任することをおすすめします。

Aさん自身で示談交渉を行った場合、以下のようなリスクが生じます。
・そもそも被害者がAさんと交渉してくれない
・不当に不利な示談の条件に合意してしまう
・罪証隠滅工作を行っていると判断された場合、逮捕される可能性が高まる
示談として無意味な合意(刑事事件化の回避に役立たない)を行ってしまう 
など

Aさんではなく、弁護士が交渉相手であれば、先方も応じてくれるかもしれません。
また、弁護士はAさんの利益のために行動するため、Aさんにとって不当に不利な条件に応じないよう取り計らいます。
また、法律の専門家である弁護士を間に入れることにより、罪証隠滅工作を行っていると判断されるおそれ、示談として無意味な合意を行ってしまうおそれがなくなります。

まずは弁護士と相談し、刑事事件化の回避に向けたアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
アルバイト先で窃盗事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

居酒屋の看板を破壊し逮捕

2020-12-03

今回は、酒に酔って居酒屋の看板を破壊し、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。

~ケース~

北海道美唄市に住むAさんは、食事をしに訪れていた居酒屋の店主と口論になり、頭に血が上ったのか、外に設置してある居酒屋の看板を蹴って破壊してしまいました。
Aさんの暴れ方が目に余るので、居酒屋の店主は札幌方面美唄警察署の警察官を呼び、看板を蹴って壊された旨を話したところ、Aさんは器物損壊の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
酔いからさめたAさんは大いに反省し、自分の過ちを後悔しています。
これからどうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~器物損壊罪について解説~

器物損壊罪とは、他人の物を損壊し、又は傷害する犯罪です(刑法第261条)。

※刑法第261条
「前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」

「物」とは、公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊罪の客体以外の全ての物をいい、動産だけでなく、不動産も含まれ、さらに、他人の動物も含まれます。

「損壊」とは、物の効用を害する一切の行為をいい、物を嫌がらせ目的などで隠匿する行為も「損壊」に該当します。

「傷害」とは、動物に対する損壊行為を指し、他人の動物を殺傷したり、逃がしたりする行為がこれに該当します。
動物に対しては、器物損壊罪とは別に、動物愛護法違反の罪が成立する可能性にも注意しなければなりません。

ケースにおける居酒屋の看板は、明らかに居酒屋や店長の「物」であり、これを蹴って破壊する行為は、「損壊」に該当する可能性が極めて高いと思われます。

~身柄解放活動の開始~

器物損壊の疑いで逮捕されてしまった場合は、一刻も早く弁護士を依頼し、身柄解放活動などの弁護活動を行ってもらうのが良いでしょう。
逮捕・勾留されてしまうと、捜査段階において、最長23日間、留置場や拘置所に入らなければなりません。
身体拘束が長引けば長引くほど、Aさんの社会復帰が難しくなります。

ケースの事件は、逮捕直後から適切な弁護活動を行うことにより、勾留が付かずに釈放される可能性もあります。
信頼できる身元引受人を用意し、その上申書を作成してもらい、なるべく早期に外に出られるよう努める必要があります。

~示談交渉を弁護士に依頼~

器物損壊事件においては、通常、被害者が存在します。
逮捕されている場合には、被害者に生じさせた損害を賠償し、示談を成立させることにより、早期の釈放を実現できる可能性が高まります。
さらに、後日、居酒屋の店主との間で民事紛争が起きるのを予防することができます。

特に器物損壊罪親告罪とされているため、告訴がなければ起訴されることがありません(刑法第264条)。
そのため、示談を成立させるのと同時に、居酒屋の看板を破壊した件について告訴を取り下げてもらうことができれば、必ず不起訴処分を獲得することができます。
ケースの場合、起訴されてしまうと、罰金刑を言い渡される可能性が高いでしょう。
罰金刑を言い渡されると、金銭的な損失を被る上、前科がついてしまうことになります。
前科を付けずに事件を解決するためには、弁護士のアドバイスが役に立つと思われます。

器物損壊の疑いで逮捕されてしまった方は、すぐに弁護士の接見を受け、事件解決に向けたアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が器物損壊の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

酒気帯び運転で人身事故を起こし、ひき逃げ

2020-11-26

今回は、酒気帯び運転で人身事故を起こし、事故現場から逃亡した後、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説いたします。

~ケース~

北海道小樽市に住むAさんは、酒気を帯びた状態で自動車を運転中、横断歩道上のVに衝突し、傷害を負わせてしまいました。
後に、Vが重い後遺障害を負ったことが判明しています。
事故直後、Aさんは動かなくなったVを見て怖くなってしまい、その場から逃亡しました。

数時間後、Aさんの自宅に札幌方面小樽警察署の警察官が現れ、車が調べられた結果、警察はAさんが犯人であると断定しました。
Aさんを警察署に任意同行し、取調べを行ったところ、上記事故を起こしてその場を立ち去ったことを認めたので、Aさんは道路交通法違反(酒気帯び運転、ひき逃げ)及び過失運転致傷の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~Aさんに成立しうる罪~

(酒気帯び運転について)
酒気帯び運転とは、身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で、車両等(軽車両は除かれます)を運転する犯罪です(道路交通法第117条の2の2第3号・65条1項)。
法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。

「政令で定める程度」は、道路交通法施行令第44条の3によると、「血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラム」とされています。

(ひき逃げ)
ひき逃げ(轢き逃げ)とは、自動車やバイクなどの運転中に人身事故・死亡事故を起こした場合に、負傷者の救護義務や危険防止措置義務を怠って事故現場から離れることで成立する犯罪です(道路交通法第117条1項及び2項・72条1項前段)。
人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

(過失運転致傷)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を傷害する犯罪です。
法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となっています(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができるとされています。
また、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で運転していたとされると、より重い危険運転致傷罪となり、1年以上の有期懲役(20年以下)を科されます。

~今後Aさんはどうなるか?~

(ひき逃げ事件の捜査)
Aさんは事故現場を立ち去ったものの、警察の捜査によって逮捕されてしまいました。
現在では、多くの場所に監視カメラが設置されており、また、監視カメラの映像以外にもAさんを追跡する方法は存在します。
逃亡して数時間後に取り調べられたのであれば、呼気検査をしてアルコールが検出されれば、飲酒運転と認められます。

酒気帯び運転の罪、過失運転致傷罪に加えて、ひき逃げの罪(救護義務違反、危険防止措置義務違反)がつくことにより、最終的な処分が極めて重いものになる可能性が高まります。
また、ひき逃げ事件の検挙率も極めて高いです。
逃げ切れると考えて事故現場を立ち去ることは絶対に止めるべきであると考えられます。

(今後はどうするべきか?)
ケースの事件は、比較的悪質な部類の人身事故といえます。
長期間勾留され、外に出られない可能性も十分あります。
早期に弁護士を依頼し、弁護活動に着手してもらうことをおすすめします。

また、起訴される可能性もかなり高いと思われます。
起訴された場合には、実刑判決を回避し、執行猶予付き判決を獲得することが主目標になると思われます。

起訴後の弁護活動として、
①被害者に対して、真摯な謝罪と賠償を行うこと(示談を成立させる)
②自家用車を放棄し、二度と運転しないことを誓うこと
③Aさんを監督する身元引受人を用意し、法廷で証言してもらうこと
④Aさんがアルコール依存症であれば、その治療を受けること
が考えられます。

有利に事件を解決するためには、早期に弁護士を依頼することが大切です。
一刻も早く弁護士の接見を受け、今後の対策を検討する必要があると思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が飲酒運転中に人身事故を起こし、ひき逃げをした疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

タクシー強盗事件の弁護活動

2020-11-19

今回は、酒に酔ってタクシー強盗事件を起こしてしまった方の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、居酒屋で酒を飲んだ後、タクシーで帰路につきました。
札幌市厚別区の自宅に着いたので、運転手はAさんに対して精算を求めましたが、Aさんは上着に入れていたカッターナイフを示し、「うるせえ、つべこべいうと殺すぞ」と脅迫しました。
運転手が驚いている隙にAさんはタクシーを降車し、自宅で眠りにつきました。

1時間も経たないうちに、Aさんの自宅に札幌方面厚別警察署の警察官が現れ、「ここまでタクシーに乗ったみたいだけど、料金を踏み倒したらしいな」と告げました。
警察官は、Aさんがタクシー強盗事件の犯人であると断定したため、Aさんを強盗の疑いで逮捕しました。(フィクションです)

~Aさんの行為は単なる料金の踏み倒しではない~

Aさんの行為は、単なる料金の踏み倒しではなく、「強盗罪」(刑法第236条2項)を構成しうるものです。

(参考)刑法
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪の法定刑は「5年以上20年以下の有期懲役」となっており、起訴され、有罪判決を受ける場合には、刑が減軽されない限り、即、実刑となってしまいます。
また、捜査段階においても、勾留が長期化する可能性があり、起訴後も保釈が実現できなければ、外に出られない可能性が十分見込まれます。
早期に弁護士を依頼し、迅速に対応することが必要です。

~「財産上不法の利益を得」とは?~

ケースの事件では、金品を強奪しているわけではないので、軽く考えられてしまう場合もあるかもしれません。
しかし、刑法第236条2項にある通り、暴行又は脅迫を用いて、「財産上不法の利益を得」、又は「他人にこれを得させた」場合であっても、強盗罪が成立します(「2項強盗」などと呼ばれます)。

財産上不法の利益を得るとは、「不法に」財産上の利益を得ることをいい、利益自体が「不法」であることは必要ありません。
財産上の利益の典型例として、「債務の免除」、「履行期の延期」、「財産的価値のある役務の提供」等が挙げられ、タクシー料金を支払わない行為も「財産上の利益」に該当する可能性が極めて高いでしょう。

~今後の弁護活動~

(身柄解放活動の実施)
適切な弁護活動を行わなければ、勾留が長期化し、当分の間、外に出られなくなる可能性が高いでしょう。
勾留の阻止、勾留決定に対する準抗告、勾留取消請求を弁護士に行ってもらい、なるべく早く外に出られるように活動してもらうのがよいと思われます。
もっとも、強盗事件は重大な罪ですので、証拠隠滅や逃亡のおそれが高いとされ、身柄解放は容易には認められません。

また、起訴後も勾留されている場合には、保釈の実現を目指す必要があります。
しかし、これも容易ではありませんし、仮に認められたとしても保釈保証金は高額となるでしょう。

(不起訴処分を目指す)
強盗事件は半分近くが起訴されてしまいます。
先述の通り、強盗事件が起訴され、有罪判決を受けてしまうと、刑務所に行かなくてはならなくなる可能性が高いです。
ハードルは極めて高いですが、もし不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることがないので、刑務所に行く可能性はなくなります。

ケースの事件において不起訴処分を獲得するためには、誠心誠意、被害者(タクシー会社や運転手)に対して謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(「被害者は、Aさんに対して寛大な処分を求める」などの意思を表明する条項です)付の示談を成立させることが重要と思われます。
強盗事件においては示談金も高額になりがちであり、示談交渉にかける時間はもちろん、お金を工面する時間も必要になるかもしれません。
弁護士に依頼するタイミングは、逮捕された直後であっても、早すぎるということはありません。
早期に弁護士を依頼し、有利な事件解決を目指して活動してもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が強盗の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。

正当防衛で無罪主張

2020-11-12

傷害事件における正当防衛の無罪主張について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

~事例~

札幌市豊平区の会社に勤めるAさんと同僚のVさんは、札幌市内の居酒屋で飲んでいた際、ちょっとしたことから口論になった。
そして、Aさんは「早くかかって来い」とVさんを挑発した。
腹を立てたVさんがAさんに殴りかかったが、AさんはこれをかわしてVさんの顔面を殴ったため、Vさんは顔に全治1週間の怪我を負った。
後日、Vさんから被害の申告を受けた札幌方面豊平警察署は、Aさんに後日警察署に来るよう出頭要請をした。
Aさんは、最初に殴りかかってきたのはVさんなのに自分が捜査を受けるのはおかしいと思い、何とか無罪を主張出来ないかと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士に無料相談をしに行った。
(フィクションです)

~正当防衛~

よく「先に相手から殴られたので、殴り返しました。」という理由で正当防衛を主張される方がいますが、正当防衛が成立するかは否かは、どちらが先に手を出したかどうかで判断されるものではありません。
正当防衛については、刑法第36条1項において、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」と規定されています。

正当防衛は、「やむを得ずにした行為」でなければ成立しません。
「やむを得ずにした行為」とは、権利を防衛するための手段として必要最小限度のものであることを意味します。
ここで重要なのは、「手段」として必要最小限度であればよいということで、「結果」が必要最小限度であることまでは、要求されていません。
とある地方裁判所では、傷害事件で起訴されていた男性に、正当防衛による無罪判決が言い渡されました。
この事件は、Aさんの事件と同様に、起訴されていた男性が、被害者の頭をハンマーで殴りつけるという暴行形態でしたが、相手との体格差(被害者の方が大柄であった事)や年齢(起訴された男性の方が高齢であった事)ことを理由に、ハンマーで殴りつけることが、唯一の防衛手段であったと判断されて正当防衛が認められたようです。

上記のケースでは、AさんはVさんから殴られそうになったため反撃をしています。
その為、例え反撃をした結果としてVさんに傷害を負わせていたとしても、正当防衛が成立し傷害罪に問われ処分を受けることは無いように思われます。
ただし、上記のケースでは、AさんはVさんを挑発しており、その結果VさんがAさんに殴りかかっています。
Aさんが挑発することによって誘発された急迫不正の侵害に対しての反撃行為にも正当防衛が認められるかどうかが問題になります。
ちなみに、防衛者が自ら不正の侵害を招いて正当防衛の状況を作り出す場合は「自招侵害」と呼ばれます。

この点、判例では挑発の態様から「反撃行為に出るのが相当ではない」として正当防衛の成立を否定したものもあります。
したがって、上記のようなケースで正当防衛を主張するためには、挑発がどの程度のものだったのか、反撃した状況はどうだったのか等、事件当時の状況が重要になります。

~正当防衛成立に向けた弁護活動~

傷害罪などの刑事事件で正当防衛の成立を主張するうえで、まず重要となるのが、捜査機関からの取調べにおける供述内容です。
というのも、取調べにおいて話す内容によっては被疑者に積極的加害意思があったという内容の調書にされてしまったりすることもあります。
そうなってしまうと、その後正当防衛を主張していくうえで、取調べで話した内容が大きな足かせになってしまうことも有ります。

また、捜査機関からの圧力に負けてしまい、嘘の自白をしてしまうと、それをもとに起訴されたり、公判で有罪認定の有力な証拠となることがあります。
さらに、後から自白を覆すことは困難なことが多く、また自白を覆すことが出来たとしても何度も供述が変わっているとして、被疑者・被告人の供述の信憑性に疑いを持たれることになりかねません。

したがって、刑事事件で正当防衛を主張したいとお考えの場合は、出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。
取り調べでの供述内容や、受け答えの仕方についてアドバイスを受けるだけでも、嘘の自白をしてしまった、本意ではない内容の供述調書を取られてしまうリスクを軽減することが出来ます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士は、日頃刑事事件のみを受任しております。
そのため、正当防衛の主張など、刑事事件に関することであれば安心してご相談下さい。
札幌市で傷害罪に問われてお困りの方、正当防衛を主張したいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士にご相談ください。

執行猶予中の再犯

2020-11-05

薬物事件における執行猶予中の再犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。

~事例~

札幌市南区在住のAさんは、札幌市内の繁華街で歩いていたところ、札幌方面南警察署の警察官に職務質問を受け所持品検査を受けた。
その結果、Aさんのバックから乾燥大麻らしきものが入ったパケが見つかった。
Aさんは取調べにおいて、自己使用目的で所持していたことを認め、また鑑定の結果大麻であることが判明したため、Aさんは大麻取締法違反の容疑で逮捕された。
Aさんは約2年前に覚せい剤使用で懲役1年6月執行猶予3年の判決を受けており、現在執行猶予期間中である。
(フィクションです)

~薬物事件における執行猶予~

大麻取締法は、無許可・無免許での大麻の栽培、輸出入、所持、譲渡、譲受等について罰則を設けて規制しています。
上記のケースのAさんのように、大麻を単純所持していた場合、法定刑は5年以下の懲役となります。
大麻に関する罪は、①大麻という信用性の高い物的証拠が存在する、②法律上罰金刑を選択する余地がない、という特徴があります。
そのため、家宅捜索などをきっかけに大麻に関する罪を疑われると、非常に高い確率で逮捕・勾留および起訴に至ると考えられます。

大麻所持を含む薬物事件では、初犯かつ犯情がさほど重くなければ、執行猶予が付される可能性が十分あります。
執行猶予とは、事件の内容や被告人の反省の程度などを考慮して、一定期間刑の執行の全部または一部を猶予する制度です。
刑の全部の執行猶予が行われると、判決が言い渡された直後に刑務所へ収容されるという事態を回避できます。
執行猶予の範囲が一部にとどまっても、刑期が短くなる可能性があると考えればやはり有用です。

~執行猶予中の再犯~

執行猶予とは刑事裁判の被告人に対する判決において、一定の期間(執行猶予期間)中に、他の刑事事件を起こさないことを条件として、判決の執行を猶予する制度です。
執行猶予期間中に新たに犯罪を犯すことがなければ、判決の効力が消滅することになります。
執行猶予の趣旨は、被告人を収監するのではなく、社会復帰させながら更生させるという点にあります。
したがって、執行猶予期間中に再度犯罪を犯してしまうという事は、当然社会の中での更生は難しいという判断に繋がりやすく、比較的軽微な罪を犯した場合でも有罪判決が下れば執行猶予が取り消されることになります。

仮に、執行猶予が取り消されてしまった場合、執行を猶予されていた刑罰に加え、新たに犯してしまった犯罪に対する刑罰が加重されることになります。
さらに、執行猶予期間中に犯罪を犯してしまった場合、再犯となります。
再犯をしてしまった場合の刑の加重については、刑法第57条において「再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。」と規定されています。
つまり、今回のケースのAさんの場合、覚せい剤取締法違反が懲役1年6月、大麻取締法違反が最長で懲役10年まで科すことが出来るようになるため、最悪の場合、懲役11年6月を科されることも有り得ます。

~再度の執行猶予~

ただし、再度の執行猶予が認められれば、執行猶予中に犯罪を行っても執行猶予が取取り消されることはなく、直ちに刑務所に入らずに済みます。

再度の執行猶予とは、文字通り、再び執行猶予付き判決が下されることをいいます。
再度の執行猶予は最初に獲得する執行猶予よりも認められる条件が厳しくなっており、

①前に禁錮以上の刑に処せられて執行猶予中の者であること
②1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けること
③情状に特に酌量すべきものがあること
④最初の執行猶予判決に保護観察がつけられていないこと
 
となっています。

ただし、再度の執行猶予は認められづたいのが現状です。
しかし、端から諦めてしまうのではなく、まずは刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
例えば、再犯について大麻への依存度が低い、使用回数が少ないといった被告人にとって有利となる事情を説得的に主張することで、再度の執行猶予獲得を獲得する可能性を高めることは可能です。
また、薬物異存から脱却するためにカウンセリングや治療を受けている、あるいは身近な方が被告人を監督するなど、再犯防止に向けた環境整備が整っていることを主張することも効果的です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士は刑事事件に強く、起訴後の公判弁護も安心してお任せいただけます。
執行猶予期間中に再犯をしてしまいお困りの方、またはそのご家族は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士までご相談ください。

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