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公務執行妨害で逮捕
北海道帯広市の公務執行妨害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。
【事例】
北海道帯広市内在住のXとYは「20××年の東京オリンピック開催反対の会」という団体に所属していました。
そして、当該団体は同市内の××公園においてデモ活動を行っていたところ、釧路方面帯広警察署の警察官が同公園付近住民からの通報を受け同公園付近の警備並びに治安維持のために出動してきました。
日頃から警察官に対して不満を抱いていたXとYはそれぞれ「この機会に怪我をさせてやろう」と考え、近くに落ちていた石を警察官Kに向けて投げました。
その結果、Xの投じた石はKの頭部に直撃しましたが、Kは負傷するに至りませんでした。一方、Yの投じた石はKの頭上を通過しKの身体に当たることはありませんでした。
XとYは公務執行妨害で現行犯逮捕されました。
(この事例はフィクションです)
【公務執行妨害罪】
今回の事例において、XとYの投石行為は治安を維持するために出動した警察官に対して行われたものであることから、公務執行妨害罪(刑法95条1項)が成立することが考えられます。
刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
この犯罪は公務員を特別に保護する趣旨の規定ではなく公務員によって執行される公務そのものを保護するものであるとしていることから、保護法益は公務の円滑な執行とされています。そしてこの犯罪が成立するには、
①公務員が職務を執行するに当たり
②これに対して暴行又は脅迫を加えた
ことが必要です。
ここで、②の「暴行」とは何かが問題となります。
これは、判例において、「公務執行妨害における暴行とは直接に公務員の身体に対して加えられる必要はなく、公務員に向けられた不法な有形力の行使であれば足りる。」としています。以上を踏まえて、今回の事例におけるXとYの投石行為に公務執行妨害罪が成立するか検討します。
【Xについて】
まず、警察官Kは公園付近の警備並びに治安維持のために出動してきたため公務員が職務を執行する場合といえます(①充足)。
そして、職務執行中であるKに対して投石し頭部に直撃させる行為は、暴行を加えたといえます(②充足)。
よって、Xの投石行為に公務執行妨害罪が成立します。
【Yについて】
まず、①についてはXの投石行為の際と同様充足します。
そして、②に関して、上記「暴行」の判例の解釈に照らすと、Yの投げた石は警察官Kの頭上を通過し身体に当たることはなかったものの、投石行為自体が公務員たる警察官に向けられた不法な有形力の行使といえるのでこれも充足しているといえます。
よって、Yの投石行為に公務執行妨害罪が成立すると考えられます。
【XとYの関係について】
今回の事例では、XとYは意思の連絡もなくそれぞれ独立した意思に基づきKへの投石行為を行っています。
もっとも、同じデモに参加している最中に同じ警察官に対して投石という同じ行為をしている点から、XとYは共同して公務執行妨害罪を実行した共犯者(刑法60条)と疑われる可能性があります。
【逮捕されたら】
警察官による逮捕や勾留は、精神的にも身体的にも過酷なものとなっており、できればそれを避けることがご自身やご家族の方にとって大切なこととなってきます。
そして、逮捕される恐れのある場合や万が一逮捕されてしまった場合、その後に事件がより良い方向に進むためには冷静な対応が必要不可欠となっています。
逮捕前であれば示談等、逮捕後であれば示談や身体拘束からの解放又は起訴を免れるよう対応することが可能です。しかし、事件によってはこうした活動が出来ないことがあります。また、いずれの対応をするにあたっても専門性や迅速性が必要不可欠です。
一般の人にとって刑事事件の手続きは理解しにくくとっつきにくいものであると思います。
また、家族であっても基本的に逮捕中の被疑者と会うことはできませんし、勾留後であっても会える時間は制限されています。共犯者がいると疑われる事件では接見禁止(刑事訴訟法81条)がつけられ家族でも会えないことになります。
刑事事件に精通した弁護士であれば、事件の種類や被害者の状況に応じて、可能であれば被害者と冷静かつ迅速に対応し、適切な金額で示談を行うことができます。また、身柄拘束の理由や必要がないとして、勾留決定に対する準抗告申し立てや勾留取消請求を行い、身柄の解放を求めます。
また、弁護士は逮捕中の被疑者と会う(接見)権利を有しており、日時等の制限は基本的にないため、家族の方からの要望に応じていつでも接見を行うことができます。接見においては弁護士から被疑者に取調べへの対応などの助言を行います。他の者と通じたのか、自分の行為で相手はどうなったのかなど自分の記憶に従って正確に捜査機関に対して答えられるようアドバイスします。場合によっては、署名押印の拒否や黙秘権の行使などもアドバイスします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部には刑事事件と少年事件の専門家である弁護士が多く在籍しているため迅速かつ適切な対応が可能となっていますので積極的にご相談下さい。
ご家族や友人等が万が一、公務執行妨害罪で警察に逮捕されたりした場合には、ぜひすみやかに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談下さい。
ロマンス詐欺で逮捕
恋愛感情を持たせてお金をだましとった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説いたします。
【事例】
日本国内に住む外国籍の男性AさんとBさんは、外国の軍人などのふりをして、SNS上で日本国内に住む複数の女性と交流していました。
Aさんは、交流相手の女性の1人であるVさん(札幌市東区在住)に恋愛感情を抱かせた上で、日本で暮らすために必要な荷物を送ったので、代わりに受け取ってほしいなどとお願いしました。
承諾したVさんは、自分の住所や電話番号を伝えました。
すると今度はBさんが運送業者を名乗ってVさんに連絡し、荷物が税関で止まっているので、これを発送するための手数料として50万円を送金してほしいと頼みました。
Vさんは、手続きが進めばAさんが来日して会うことができると思い込んでしまい、指定された口座に50万円を送金しました。
後日、Aさんとの連絡が取れなくなって詐欺であることに気が付いたVさんは、札幌方面東警察署に相談。
捜査の結果、Aさんの犯行であることが判明し、Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~国際ロマンス詐欺~
恋愛感情を巧みに利用し、相手からお金などをだまし取るロマンス詐欺というものがあります。
特に今回の事例のように外国人が日本人をだますパターンは国際ロマンス詐欺などと呼ばれています。
被害者としては30歳代後半から50歳代前半の女性が多くなっているようです。
犯行方法や被害実態についてはこちらに詳しく載っています。
国際ロマンス詐欺。被害者510人のリアルな声を集めると、盗られていたのは金銭だけではなかった。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/terue-shinkawa0226_jp_5c735c07e4b03cfdaa5700a7
(ハフポスト)
このような詐欺に気を付けなければならないのは当然ですが、詐欺をした側も重い罰則を受けることを覚悟しなければなりません。
刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
詐欺罪には罰金刑が定められていません。
多額のお金をだまし取り、それを使ってしまって返還もできないという状況になれば、執行猶予になることも難しいでしょう。
~刑事手続きの流れ~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
勾留期間の最後に検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
被害金額が少ない、被害者に賠償して示談が成立しているといった事件では、前科も付けずに刑事手続を終わらせる不起訴処分となることもありえます。
ただ、今回の事例にように計画的な犯行で、50万円というある程度大きな被害が出ている事件では、不起訴処分はなかなか望めないですし、前述のように執行猶予となるのも容易ではありません。
裁判で執行猶予となったとき、あるいは実刑判決で刑務所に入り出所したときには、国外退去となることが予想されます。
~弁護士にご相談ください~
今回は国際ロマンス詐欺の事例をもとに解説しましたが、日本人同士で恋愛感情を悪用した詐欺の事例もあり、被害状況などによっては実刑判決となってしまいます。
あなたやご家族が詐欺事件など何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合には、被害者への謝罪・賠償をして示談を結び、執行猶予など出来るだけ軽い判決につなげるために、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
児童買春と自首
札幌市南区の児童買春事件における自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説します。
~事例~
札幌市南区に住むAさん(40歳)は、SNSで女子中学生のVさん(15歳)と知り合いました。そして、AさんはVさんが18歳未満であることを認識しながらVさんと会い、ホテルでVさんに現金3万円を渡してVさんと性交しました。その後、Aさんは再びVさんと連絡を取ろうとしましたが、Vさんのアカウントが削除されており連絡を取ることができませんでした。Aさんは「Vさんに何かあったのではないか」「援助交際・児童買春のことが親や警察にばれたのではないか」と不安になりました。そこで、Aさんは札幌方面南警察署に自首することも考えましたが、その前に援助交際・児童買春に詳しい弁護士に自首すべきかどうか相談することにしました。
(フィクションです)
~児童買春の罪~
児童買春の罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)」の4条に規定されています。
法律4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
児童買春とは、児童(18歳未満の者)等に対し、対償(お金など)を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう)をすることをいうとされています(法律2条2項)。
「対償」とは、児童が性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいいます。現金のみならず、物の交付や債務の免除もこれに含まれます。
Aさんは現金をという「対償」を渡した上で、Vさんと性交していますから、Aさんの当該行為は児童買春の罪に当たることは明らかです。
~児童買春と自首~
Aさんは自首を検討しているようです。
自首とは、
①捜査機関に
②犯罪事実又は犯人が発覚する前に
③犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し
④その処分を委ねる意思表示
のことをいいます。
①自首は捜査機関(検察官、警察官)に対してしなければなりません。
②あなたの児童買春が捜査機関に発覚していた場合はもはや自首は成立しません。
③自首の方法は口頭、書面の2通りが考えられます。ですから、いったん書面で行い、捜査機関の出方をうかがって再度口頭で行う、という方法も考えられます。
④書面のみを提出して所在不明となった場合、氏名を秘匿している場合などは、処分を委ねる意思がないものとみなされるでしょう。
このように、「自首」を主張するためにはいくつかのハードル(要件)を超えなければならないことが分かります。
自首の要件を満たさないのに捜査機関に申告してもそれは「自首」ではなく単なる「出頭」にしか当たりません。
「自首」の最大の特徴は、
減刑される可能性があること
です(必ず減刑されるわけではありません)。
しかし、減軽といっても、その対象は法定刑であって、実際の「量刑」は法定刑が減軽された後の範囲で決せられます。
したがって、自首に当たるからといって必ずしも執行猶予が確約されたわけではなくやはり実刑に処せられることもあります。
もう一つの特徴としては、逮捕を免れる可能性があるということです。これは「自首」ではなく「出頭」に当たる場合でも同様です。
罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないと判断されやすいからです。
ただし、反対に、そのおそれがやはりあるとして逮捕される可能性もあります。
このように、自首・出頭にはメリット・デメリットがありますから、自首をご検討中の方は弁護士とよく相談してから決める必要があるでしょう。
~弊所の自首・出頭同行サービス~
弊所は、自首・出頭が不安だ、という方のために自首・出頭同行サービスを用意しております。
自首・出頭にあたって弁護士が助言をさせていただきますし、警察とあなたとの仲介役となって様々な調整をします。また、警察署にも同行します。
まずはお気軽にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
女性宅への泥棒で逮捕
女性宅への泥棒をして逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
【事例】
札幌市厚別区に住むAさん。
近所の1人暮らしの女性宅に忍び込んで、女性が使用する下着などの衣類、アクセサリーなどを盗み取ってきました。
女性が北海道厚別警察署に被害届を提出。
付近の防犯カメラ映像の確認などの捜査の結果、Aさんの犯行と発覚。
Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)
~住居侵入罪と窃盗罪~
女性宅への泥棒で逮捕されたAさん。
住居侵入罪と窃盗罪に問われることになるでしょう。
条文を確認してみます。
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
Aさんは泥棒目的で女性宅に入っていますから、「正当な理由がないのに、人の住居…に侵入」した者として、住居侵入罪の責任を負うでしょう。
また、下着などを盗んでいるので、「他人の財物を窃取した者」として、窃盗罪の責任も負うことになります。
~余罪が追及される可能性も~
犯罪をして逮捕されると家宅捜索を受けて、自宅にある物やスマホやパソコンに保存された画像などを調べられる可能性があります。
これにより、同じ被害者から別の機会に盗んだ物や、他の被害者から盗んだ物が見つかるケースもあります。
また、盗んだ物をスマホなどで写真に撮って保存していれば、そこから余罪が発覚するケースもあります。
場合によっては窃盗だけではなく、盗撮画像や動画が発見され、迷惑行為防止条例違反などにも問われるというパターンも考えられます。
動かぬ証拠を保存してしまっていることになるので、被害者さえ特定できれば、余罪も一緒に裁判にかけられ、より重い処罰を受けてしまう可能性があるわけです。
~早期釈放は可能?~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
ただし、今回の事例のように加害者と被害者の家が近い場所にあることは、勾留される可能性が高くなる事情の1つになります。
つまり、加害者が再び被害者の家に行ったり、加害者と被害者が鉢合わせてしまい、被害者を脅して加害者に有利な供述をさせようとするのではないかといった懸念が生まれてしまうのです。
勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は必要な捜査が終わり次第、刑事裁判がスタートし、刑罰が決まるという流れになるでしょう。
~弁護士にご相談ください~
あなた自身やご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合には、早期釈放の見込み、判決内容の見込み、刑事手続きの流れなど、事件に応じたご説明を致しますので、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
保険金の詐欺未遂罪で逮捕
台風被害に遭ったとの虚偽の申請をして保険金をだまし取ろうとして逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部の弁護士が解説いたします。
【事例】
北海道岩内町に住むAさん。
最近自宅のリフォームをした知人に声をかけ、台風の被害に遭ってリフォームしたのだという虚偽の申請を保険会社に対して行い、保険金をだまし取ることを持ちかけました。
そしてだまし取った保険金は半分ずつ分けると約束し、保険会社に虚偽の申請をしました。
しかし不審に思った保険会社が詳しく調査した結果、虚偽の申請であることが発覚。
保険会社は北海道岩内警察署に被害届を提出。
Aさんは逮捕されました。
(事実を基にしたフィクションです)
~保険金詐欺~
保険金詐欺は昔からある犯罪ですが、最近も弊所にもウソの交通事故を装って保険金をだまし取ろうとした事件の相談がありました。
また、弊所の事件ではありませんが、住宅リフォームをした人の名簿をどこからか手に入れ、名簿の中の人に対し連絡を取り、上記事例にように共済金をだまし取って山分けしようとしたとして、詐欺未遂罪で逮捕されたという事件も報道されています。
保険金詐欺を行い、実際に金銭をだまし取った場合には詐欺罪が、だまし取るに至らなかった場合には詐欺未遂罪が成立することになります。
刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条
この章の罪の未遂は、罰する。
条文にある通り、詐欺罪は10年以下の懲役です。
未遂にとどまった場合は、上限が5年になる可能性もあります。
しかし詐欺罪も詐欺未遂罪は条文に懲役刑しか規定されておらず、罰金で済む可能性がありません。
それでも執行猶予付きの懲役刑となる可能性はあるので、そうなれば刑務所に入らなくて済むので1つの理想的な結果ということになります。
ただ、詐欺罪は被害額が大きくなりがちといった理由により、初犯であっても実刑判決となって刑務所に入れられることも十分ありえます。
~刑事手続きの流れ~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身柄拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
その後、刑事裁判が始まります。
保釈金を納めて一時的に釈放してもらうという「保釈」が認められない限り、身柄拘束が続いてしまうことになります。
弁護士としては、勾留を防いだり保釈を認めてもらうことにより、ご本人が釈放されることを目指します。
ただし、被害金額が高いと重い刑罰を受けることが予想されることから、刑罰がから逃れるために逃亡するのではないかと思われたり、あるいは共犯者がいる事例では相談して証拠隠滅を図るのではないかと思われて、なかなか釈放が認められない可能性もあります。
裁判が始まった後は、本人が反省している、家族の監督が望める、家族にも協力してもらってだまし取ったお金を返還したなど、出来る限り本人に有利な事情を集めて裁判官に主張し、軽い判決を目指していくことになります。
~お早めに弁護士にご相談ください~
あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合には、どれくらいの処罰を受けるのか、いつ釈放されるのか、被害者との示談はどうやってすればよいのかなど、不安な点が多いと思います。
事件の内容に応じてお答えいたしますので、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。
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逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
ストーカー規制法と示談
ストーカー規制法と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
~事例~
札幌市北区に住むAさんは、別れ話を切り出されたVさんのLINEアプリに、執拗にメールを送り続けていました。そうしたところ、Aさんは、ある日、札幌北警察署から出頭するよう言われました。Aさんは、自分の行為がストーカー行為なのか尋ねるため弁護士に無料法律相談を申込み、場合によっては、Vさんとの示談交渉を依頼しようかと考えています。
(フィクションです)
~ストーカー規制法とは~
ストーカー規制法とは、正式名称を「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(以下「法」)といいます。
法では、ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めています。
法2条3項では、ストーカー行為を、「同一の者」に対し、「つきまとい等」を「反復してする」ことと定めています。
「つきまとい等」に関しては法2条1項1号から8号に定めがあり、法2条3項では1号から4号及び5号の電子メールの送信等に限っては、ある一定の方法に行われた場合に限り「ストーカー行為」とする旨定めています。
なお、平成29年6月14日から全面的に施行となった改正法では、以下の行為も、「つきまとい等」に含まれるようになりました。
・住居等の付近をみだりにうろつくこと(法2条1項1号)
・拒まれたにもかかわらず、連続して電子メールの送信等をすること(法2条1項5号)
ちなみに、「電子メールの送信等」とは、パソコン・携帯電話・スマートフォンを用いたEメールなどの送信、LINE・Twitter・FacebookなどのSNSを用いたメールの送信の他、被害者のブログやホームページなどへの書き込みなどが挙げられます(法2条2項各号)。
ストーカー行為をした者に対する罰則は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
上記のように、法では「つきまとい等」に関し、様々な行為を定めています。
ご自身の行為がストーカー行為に当たるのか否か不安な方は、まずは弁護士に相談しましょう。
~ストーカーと示談~
AさんはVさんとの示談交渉を望んでいるようです。
もちろん示談交渉は当事者同士で行うこともできます。
しかし、当事者同士の示談交渉では、感情的になって冷静な交渉をすることが期待できません。また、刑事事件化した後に被害者と接触することは、逮捕を避けるという観点からもやめたほうがよいでしょう。
この点、弁護士であれば、こうした感情を抜きに冷静に示談交渉を進めることができます。弁護士であれば、当事者の間に立って、被害者の要望と加害者の要望とを上手く調整しながら示談交渉を進めることができます。
また、示談に関するトラブルを避けるには、適切な内容・形式で示談書を作成しなければなりません。一部の条項が欠けていたり、文言が不適切だった場合はのちのちのトラブルに発展しかねません。この点、弁護士は示談書作成の専門家です。安心して示談書作成を任せることができます。
示談交渉は弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、ストーカーをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方、一部執行猶予獲得をご検討中のご家族の方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。お気軽にご相談ください。
自転車への放火~放火と器物損壊~
自転車への放火で、放火罪若しくは器物損壊罪となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
~ケース~
仕事がうまくいかず、むしゃくしゃしていた会社員のAさんは、持っていたライターで、北海道余市町の民家の軒下にある自転車のサドル部分に火をつけました。
炎が上がったのを確認して、Aさんはその場を離れました。
しかし、炎は自転車の真横に止まっていたバイクに燃え移り、バイクカバーを燃やしました。
炎は民家の軒下にかかるくらいになり、燃えたすすが隣の庭にも飛散していました。
隣の家の住人が、炎に気が付き、すぐに消化しました。
北海道余市警察署は、周囲の防犯カメラの映像などから、Aさんを特定し逮捕しました。
(フィクションです。)
放火に関する罪
刑法は、放火に関する罪として、現住建造物等放火罪、非現住建造物等放火罪、建造物等放火罪を規定しています。
(1)現住建造物等放火罪
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱抗を焼損する罪です。
本罪の対象は、「現に人が住居に使用し」ている又は「現に人がいる」、「建造物、汽車、電車、艦船、鉱抗」です。
「現に人が住居に使用している」というのは、犯人以外の者が、起臥侵食の場所として使用していることを意味し、人が現在しているか否かを問いません。
「現に人がいる」というのは、放火の当時に、犯人以外の者が中にいることを指します。
本罪の行為は、上の客体に「放火」して「焼損」させることです。
「放火」とは、目的物の燃焼を惹起させる行為や、それに原因力を与える行為をいいます。
つまり、家に直接火をつける行為だけでなく、家に火をつけるために布団に火をつける行為も含みます。
「焼損」とは、火が放火の媒介物を離れて目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼を継続し得る状態に達することをいいます。
その主要部分が毀損することや、効用が害されることまで必要とされません。
(2)非現住建造物等放火罪
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱抗を焼損した場合に成立する罪です。
焼損したものが自己の所有物であるときは、公共の危険を生じさせた場合のみ、処罰の対象となります。
「公共の危険」とは、不特定又は多数人の生命、身体、財産に危険を感じさせる状態をいいます。
「公共の危険」が生じたか否かは、火力の程度、他人の住居などとの隣接状況、当時の風向・風速・気温などの気象状況、昼間か夜間かなどの事情から一般人を基準として判断されます。
(3)建造物等以外放火罪
放火して、現住建造物等放火罪および非現住建造物等放火罪に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせる罪です。
本罪の対象は、現住建造物等放火罪と非現住建造物等放火罪に規定する物以外の物であって、例えば、自転車、バイク、航空機、門、塀、橋、畳、机、椅子、ごみ箱などがあります。
それでは、上のケースについて検討してみましょう。
他人の財物に放火し黒焦げにしてしまった場合、通常は、他人の財物を損壊したとして器物損壊罪が成立します。
しかし、火の勢いが強く延焼の危険が発生するなどして、公共の危険を生じさせた場合、建造物等以外放火罪が成立することになります。
つまり、器物損壊罪と建造物等以外放火罪との違いは、公共の危険が発生したか否かです。
Aさんが自転車のサドルに放火しましたが、火の勢いが弱かったり、住人や隣人がすぐに炎に気づき消火したことにより、自転車のサドルを黒焦げにさせただけだった場合、公共の危険が発生したとまではいえず、器物損壊罪が成立するにとどまるでしょう。
しかし、火の勢いが強く、自転車の隣にあったバイクにも燃え移り、バイクカバーを燃やした上、民家の軒下にかかるほどの炎でしたし、隣の家の庭には燃えたすすが飛散している状況においては、民家や近隣の家にも延焼する可能性はあり、公共の危険性が生じたと言えるでしょう。
そのため、Aさんは、器物損壊罪ではなく、建造物等以外放火罪に問われることになります。
もし、炎の勢いがおさまらなかったり、隣人の発見がさらに遅れ、民家の軒下の一部にも燃え移り、炭化させてしまった場合には、現住建造物等放火罪が成立する可能性があります。
現住建造物等放火罪の法定刑は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と、非常に重い罪です。
建造物等以外放火罪も、1年以上10年以下の懲役と、罰金刑はありません。
ご家族が放火事件で逮捕され、対応にお困りであれば、できる限り早期に弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで!
強制わいせつ事件で執行猶予付き判決
強制わいせつ事件で執行猶予付き判決を獲得する活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
~事例~
北海道旭川市に住むAさんは、仕事や家庭の問題から生じたストレスを発散しようと、夜ランニングをしていました。
ランニング中、Aさんは、帰宅途中とみられる若い女性と遭遇しました。
女性はかなり酔っている様子で、公園のベンチに座り込みました。
Aさんは、女性の様子を伺っているうちに、ムラムラしてきたため、その女性に抱きつき、服の中に手を入れ、女性の胸を揉む等のわいせつ行為をしました。
Aさんはすぐ現場から逃走しましたが、その後も、何度か違う女性に対して同じようなわいせつ行為をしていました。
ある日、Aさんの家に北海道旭川中央警察署の警察官が訪れ、強制わいせつの疑いでAさんを逮捕しました。
余罪も複数あるため、「実刑も覚悟しておくことだな。」と警察官から言われ、Aさんは不安でたまりません。
(フィクションです。)
強制わいせつで逮捕されたら
強制わいせつ罪は、暴行または脅迫を用いて相手方にわいせつな行為をする犯罪です。
相手方が13歳未満である場合には、暴行または脅迫を用いずとも、ただわいせつな行為をすることにより、強制わいせつ罪は成立します。
強制わいせつ罪の法定刑、つまり、犯罪に対して科されるべきものとして、法令が罰則により規定している刑罰は、6月以上10年以下の懲役です。
強制わいせつ罪の法定刑に罰金は含まれません。
つまり、検察官は強制わいせつ罪で被疑者を略式起訴することはできません。
検察官が起訴する場合、公判請求の形で行うことになります。
検察官が公判請求すると、被告人は公開の法廷で審理されることになります。
裁判官が、検察官が主張する犯罪事実が合理的な疑いを入れる余地なく証明されたと判断すれば、被告人に有罪判決を言い渡します。
と同時に、被告人に科す刑罰も言い渡されます。
この刑罰は、法定刑の範囲内で決められます。
強制わいせつ罪であれば、6か月から10年までの範囲で懲役刑の期間が決められます。
10年もの間、刑務所で生活することもあり得るのです。
強制わいせつ罪の法定刑は6か月から10年と、なんともその範囲は広いですが、初犯であり、かつ、犯行態様が軽微であれば、実刑にはならず執行猶予が付くことが多いようです。
しかし、悪質なケースでは、執行猶予が付かず実刑となる可能性は高いです。
懲役刑というのは、刑務所に収容され、刑務作業を負う刑罰のことです。
懲役刑が執行されると、刑務所に収監されることになります。
ただ、刑の執行が猶予されると、直ちに刑務所に収監されることはなく、社会で通常の生活を起こることができます。
言い渡された刑の執行が猶予されることを「執行猶予」といいます。
執行猶予について
執行猶予は、判決で刑を言い渡すにあたり、一定の期間その刑の執行を猶予し、その猶予期間中罪を犯さず経過すれば、刑の言い渡しの効力を失わせる制度です。
執行猶予付きの判決であっても、有罪判決ですので、前科が付くことには変わりありません。
しかし、判決言い渡し後に刑務所に入るのと、社会に戻るとでは、その後の生活は大きく変わります。
そのため、正式裁判となり、かつ罪を認めている場合には、執行猶予を獲得することを目指します。
どのような事件でも執行猶予が付くとは限りません。
執行猶予を付けるには満たすべき要件があります。
執行猶予の要件
執行猶予には、刑の全部の執行猶予と刑の一部の執行猶予とがありますが、今回は前者の要件について説明します。
刑の全部の執行を猶予することができるのは、
①前に禁固以上の刑に処せられたことがない者、または、
②前に禁固以上の刑に処せられた者であっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑の処せられたことがない者
が、3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金の言い渡しがなされる場合です。
この場合、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間で刑の全部の執行を猶予することができます。
強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役ですので、3年以下の懲役が言い渡される可能性はあります。
その場合に、上の①または②に該当する者であり、かつ情状により、裁判官が執行猶予付き判決を言い渡すことはできます。
裁判官は、どのような点に着目して、科すべき刑罰を決めているのでしょうか。
考慮される要素には様々なものがありますが、その大枠は犯情で占められます。
犯情というのは、犯罪行為それ自体に関わる事情のことです。
罪を犯したことは認める場合でも、犯行態様の悪質性、被害者に与えた結果の重大性、犯行動機、計画性の有無など、検察官の主張に誤りがないか、あるいはそのような主張を裏付ける証拠があるのかどうか慎重に検討する必要があります。
科すべき刑罰を決めるにあたっては、犯情に加えて、一般情状についても考慮されます。
一般情状は、被告人の生い立ち・性格・年齢、人間・職業・家族関係、被害者の状況、被害の回復状況、被害弁償の具合、被害感情、被告人の再犯可能性や更生可能性など、広範囲に及ぶ事情を含みます。
強制わいせつ罪のように被害者がいる事件では、被害者の被害の回復、具体的に言えば、被害弁償や示談がなされているかといった点が重視されます。
また、再び性犯罪を起こすことがないよう専門的な治療を受けていることも更生可能性の有無を判断する上でも考慮されるでしょう。
以上の要素について、被告人にできるだけ有利な形で主張し、認められれば、執行猶予となり実刑を回避することができるでしょう。
そのためには、刑事事件に精通した弁護士による刑事弁護が望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制わいせつを含む刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
前科を回避
前科について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
~事例~
公務員のAさんは、電車内で乗客とトラブルになり、相手方が暴行で北海道小樽警察署に被害届を出しました。
Aさんは、身柄不拘束のまま警察で取調べを受けていましたが、ある日、小樽区検察庁から呼び出しを受けました。
前科が付くことを心配したAさんは、出頭する前に、刑事事件専門弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
前科とは
「前科」とは、法律で定められた言葉ではありませんが、一般的には、過去に有罪判決を受け、刑が言い渡されたことを意味します。
有罪判決を受け、刑が言い渡された事実であればよく、略式手続により罰金や科料が科された場合でも、正式裁判で執行猶予付き判決を言い渡された場合でも「前科」が付いたことには変わりありません。
この「前科」とよく似たものに、「前歴」があります。
「前歴」とは、過去に警察や検察などの捜査機関によって被疑者として捜査の対象となったことを指します。
捜査機関による取調べを受けたが、最終的に不起訴処分となった場合には、起訴されていませんので、有罪判決や刑も言い渡されず「前科」は付きませんが、被疑者として捜査対象となったため「前歴」は付くということになります。
前科や前歴は、その後の生活にどのような影響を与えるのでしょうか。
実は、前科・前歴が付いたことで、日常生活にそれほど大きな影響は生じません。
前科・前歴については、検察、警察、本籍地の市区町村で記録が管理されるにとどまり、一般の企業や個人が前科・前歴の有無を確認することはできません。
ただし、企業によっては、前科・前歴を本人に確認することもありますので、その時に前科がないと回答することは経歴詐欺となりますので気を付ける必要があります。
また、、一定の職業に就くことや資格を取得する際に問題となることがあります。
例えば、弁護士、弁理士、教員は資格を必要とする職業ですが、禁固以上の前科者は欠格事由となり、一定期間内は再度受ける権利を失います。
他の国家資格によっては、禁固以上の前科者は欠格事由となることもあります。
また、公務員も、禁固刑以上の前科は欠格事由です。
前科を回避するには
前科が付くことで生じるデメリットが大きい場合には、前科を回避することが重要です。
前科を回避するためには、検察官が起訴しないこと、つまり不起訴処分を獲得する必要があります。
起訴されなければ、有罪判決が言い渡されることがなく、前科が付くこともありません。
では、不起訴処分を獲得するためには、どのように対処すればよいのでしょうか。
不起訴処分には、大きく分けて4つの種類があります。
①嫌疑なし、②嫌疑不十分、③親告罪の告訴取下げ、そして④起訴猶予です。
不起訴処分の多くは、④起訴猶予によるものです。
容疑を認めている場合、起訴猶予での不起訴処分を獲得することを目指します。
被害者がいる事件であれば、被害者への謝罪・被害弁償や示談を成立させることは、検察官が起訴・不起訴を判断する上で大切な要素となります。
また、被疑者が再び罪を犯すことがないよう、更生に向けた環境を整えることも重要です。
不起訴処分を獲得し、前科を回避することをお望であれば、できるだけ早く弁護士に弁護活動を依頼されるのがよいでしょう。
特に、刑事事件に精通する弁護士であれば、刑事分野における豊富な知識・経験を有しており、迅速かつ適切な弁護活動が期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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一時使用行為と窃盗事件
一時使用行為と窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
~事例~
Aさんは、北海道札幌市東区にある友人宅に行く約束をしていました。
しかし、最寄り駅に下車すると、天候が悪く、歩いていくのが嫌になってきました。
かといって、タクシーを使うのももったいないから、どうしたものかと思っていたところ、Aさんは、近くの駐輪場に鍵がエンジンキーにかかったままの原付バイクを見つけました。
Aさんは、使った後は元に戻すつもりで、その原付バイクに乗って友人宅に向かいました。
約3時間後、Aさんは原付バイクに乗って駅に戻り、駐輪場に置いたところ、北海道東警察署の警察官に声を掛けられ、話を聞かれています。
(フィクションです。)
窃盗罪
窃盗罪は、「他人の財物」を「窃取」する罪です。
◇犯行の対象◇
窃盗罪の客体は、「他人の財物」、つまり、「他人の占有する財物」です。
「財物」には、形があるものでなくとも、物理的に管理可能なもの、例えば電気も含まれます。
窃盗における「占有」というのは、人が物を実力的に支配する関係のことをいいます。
◇行為◇
窃盗罪の行為は、「窃取」です。
「窃取」は、財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、目的物を自己または第三者の占有に移ることです。
◇結果◇
窃取した財物の占有を取得することで窃盗罪は既遂となります。
占有取得は、財物の他人の占有を排除して、自己または第三者の占有に移したことを意味します。
◇不法領得の意思◇
窃盗罪について規定している条文にはありませんが、判例上認められた要件として、「不法領得の意思」があります。
この「不法領得の意思」というのは、「権利者を排除する意思」と「他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用しまたは処分する意思」の2つの意思があることを意味します。
◇故意◇
窃盗罪は、故意犯ですので、故意がなければ成立しません。
窃盗罪における故意とは、他人の財物を窃取することの認識・認容のことです。
つまり、財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、自己または第三者の占有に移すことについての認識・認容が必要となります。
一時使用行為
Aさんは、他人の原付バイクを許可なく使用しているため、財物(=原付バイク)の占有者(=持ち主)の意思に反して、その占有を侵害し、自分の占有に移していると言えるでしょう。
しかし、Aさんは、使用後は返すつもりでした。
このように、後で変換するつもりで持ち去った場合(一時使用行為)、窃盗罪は成立するのでしょうか。
ここでポイントとなるのが、窃盗罪の構成要件要素である「不法領得の意思」の有無です。
他人の物を利用し、利用後は元に戻す意思で物を持ち去って利用するような一時使用において、権利者を排除する意思が認められるかが問題となります。
「不法領得の意思」とは、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様に、その経済的用法に従い、これを利用し、または処分する意思のことをいいます。
一時使用行為が、権利者を排除したと言えるか否かは、①利用により価値の減少や消耗が生じたか、②価値の減少・消耗の危険性が大きい場合には、権利者でなければできない利用であるか、③利用の妨害の程度が大きいか、といった点を考慮して判断されます。
Aさんは、原付バイクを利用後は元に戻すつもりで乗り、実際に元の場所に戻しています。
また、使用した時間は約3時間にすぎず、原付バイクの利用も妨害も生じていません。
しかし、原付バイクの使用はガソリンの消耗を伴う他、事故による損傷の危険性も認められるため、権利者を排除する意思(=不法領得の意思)が認められ、窃盗罪が成立する可能性があるでしょう。
窃盗事件で捜査機関の取調べを受けて対応にお困りの方、窃盗事件でご家族が逮捕されてご心配な方は、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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