痴漢事件で示談

札幌市豊平区の痴漢事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、札幌市営地下鉄の駅で、前にいた大学生と思しき女性Vさんに痴漢をしたくなりました。
そこで、Vさんに続いて電車に乗り、電車が駅を出てから間もなくVさんのお尻を撫で始めました
5分程度経ったところで、VさんがAさんの方を振り返って「何してるんですか」と叫んだため、Aさんは他の乗客により駅で降ろされました。
少しして札幌豊平警察署の警察官が駆けつけ、Aさんは北海道迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
(フィクションです。)

【痴漢の罪について】

刑法が定めている性犯罪は、強制わいせつ罪や強制性交等罪(旧強姦罪)といった、相当の悪質性があると考えられるものです。
そのため、多くの痴漢で見られる他人の身体に触れる程度の行為を罰する罪は、刑法には規定されていないということができます。
そこで、各都道府県が定める迷惑防止条例という条例により、強制わいせつ罪などに至らない程度の行為でも罰せられることになっています。

北海道においても、「公衆に著しく迷惑を掛ける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(通称:北海道迷惑防止条例)が定められています。
この条例は「卑わいな言動」を禁止しており、多くの痴漢はこれに含まれると考えられます。
条例の効力が及ぶのは各自治体なので、北海道における痴漢には北海道迷惑防止条例が適用されるということになります。
罰則は、通常の場合6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習の場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
常習痴漢に当たるかどうかは、前科の内容や余罪の程度などの様々な要素に基づき判断されます。
過去に何度も痴漢をしていれば、常習と見られる可能性は著しく高まることが予想されます。

痴漢の程度が悪質であれば、迷惑防止条例ではなく強制わいせつ罪に当たる余地が出てきます。
強制わいせつ罪の罰則は6か月以上10年以下の懲役なので、そうなった場合は事件の重大性ががらりと変わってくるでしょう。

【示談とは】

示談とは、被害弁償に加え、告訴や被害届を取り下げてもらうこと、被害者から処罰を望まないというお言葉をいただく(宥恕条項)こと等、被害感情の慰謝を目的とする側面があります。
単に被害を弁償するだけにとどまらないことで、処分結果に与える影響も、被害弁償するにとどまる場合に比較して、お許しをいただく分、示談の方が高いと一般的に考えられています。
また示談は相手方との契約になるので、通常示談書という書面を作成します。

【示談のメリット】

示談のメリットは、刑事処分に対する被害者の意見をもらえる点にあります。
刑事事件の最終的な処分は、被害者の処罰感情の程度も参考にして決定されます。
痴漢など比較的軽微な犯罪の場合には、被害者が罪に問わないという意思を示せば、実際には罪に問われないケース(不起訴)も多くあります。
また器物損壊罪など被害者の告訴が必要となる犯罪(親告罪)については、示談によって告訴が取り下げられることで不起訴にすることができます。
加えて示談をする際に、今後紛争としないことを約束する条項を加えることで、今後損害賠償請求を受けるなどの紛争を防止できることも示談のメリットです。

【被害弁償だけでは?】

被害弁償とは、単に被害者の方が被った被害や損害を埋めることを指します。
窃盗罪で被害金額に相当する金額をお支払いした場合や、殺人罪などで慰謝料相当額をお支払いした場合を指します。
つまり、仮に民事訴訟を起こしたとすれば得られる金額の支払をした場合を被害弁償となるので、刑事手続き上の処分結果にもたらす効果は、示談ほど大きなものではなく、被害弁償をしたからといって必ず処分が軽減されるとは限りません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件に詳しい弁護士が、示談締結に向けてできる限りの弁護活動を行います。
ご家族などが痴漢の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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