北海道檜山郡の偽計業務妨害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務札幌支部の弁護士が解説します。
【事件】
Aさんは、いたずら目的で北海道檜山郡にある定食屋Vに行った際、食事があまりに口に合わなかったため腹立たしく思いました。
そこで、別の日に定食屋Vに電話を掛け、「自宅に定食を5人前届けてほしい」と架空の住所を伝えました。
指定された住所に向かったVの従業員は、その場所が空き地であることを知ってAさんに電話を掛けましたが、何度掛けてもつながりませんでした。
その後、Vの店長が被害届を出したことで捜査が進められ、Aさんは偽計業務妨害罪の疑いで北海道江差警察署にて取調べを受けることになりました。
軽率なことをしてしまったと焦ったAさんは、弁護士に不起訴にできないか相談してみました。
(フィクションです。)
【偽計業務妨害罪について】
真実に反する噂・情報を流す、他人を欺くなどの偽計により、他人の円滑な業務を危険にさらした場合、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。
業務妨害罪という名前からすると、業務を妨害した場合、すなわち、売上の減少や業務の停滞などの結果が起こった場合に初めて成立する印象を受けるかもしれません。
ですが、裁判例では、そうした結果の発生は業務妨害罪の成立を認めるうえで必ずしも必要でないとされています。
そのため、他人の業務を妨害する危険さえ認められれば、業務妨害罪に当たる可能性はあると考えられています。
上記事例では、AさんがVに対して定食5人前という嘘の注文をしています。
このような行為は、Vの従業員に無駄な労力を割かせる点で業務を妨害する危険があると言えます。
そうすると、Aさんには偽計業務妨害罪が成立する可能性があり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
業務妨害罪は飽くまでも業務を害する罪なので、その業務を行う個人を害する罪が別個に成立する場合もありえます。
偽計業務妨害罪のケースではあまり見られませんが、威力業務妨害罪のケースではそれが多く見られます。
たとえば、店員に土下座を強要したことで、店員に対する強要罪と店に対する業務妨害罪が成立するケースはその例です。
【不起訴を目指して】
偽計業務妨害罪の疑いで捜査が開始されると、その後警察署および検察庁での取調べなどを経て検察官が事件の取り扱いを決めることになります。
具体的には、①起訴して正式裁判を行う、②略式手続で罰金の支払いにより事件を終了する、③不起訴として事件を終了する、のいずれかです。
ただし、②は正式裁判より簡易な手続で罰金刑が科されるに過ぎず、その本質は①の起訴とそう変わりません。
また、被疑者が逮捕・勾留により身体拘束を受けている事件では、一度処分を保留して釈放することもあります。
上記①から③のうち、最もよいのは当然ながら③不起訴です。
もし不起訴となれば、裁判が行われない、刑罰が科されない、前科が残らない、といったメリットがあるからです。
不起訴の理由は様々ですが、罪を犯したという事実が争いにくいのであれば、狙うべきは起訴猶予による不起訴です。
起訴猶予とは、被害者の態度、犯罪の内容、犯罪後の対応などの様々な事情を考慮し、敢えて起訴を見送るというものです。
罪を犯したことを認めたうえで不起訴を目指せるため、被疑者としては無理やり無罪を狙わなくてもよい点で有益と言うことができます。
実務上起訴猶予による不起訴は少なからず見られますが、その決定打となる事情は被害者との示談の締結だと考えられます。
示談というのは、謝罪や被害弁償などを行うことで、当事者間で事件が解決したことを示すものです。
これにより、捜査機関としては積極的に刑罰を科す必要性が薄れ、結果的に不起訴というかたちで終わるのでしょう。
この不起訴を狙うのであれば、きちんと示談できるようにぜひ弁護士に事件を依頼してください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部では、刑事事件のプロである弁護士が、不起訴にしてほしいという依頼者様の希望に真摯に耳を傾けます。
偽計業務妨害罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。